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御礼がしたいです
御礼がしたいです 5-4
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軍手を履いて屈んで作業をしている葵の背後に近づく。金髪のアイツらみたいに背後から突き放して虐めるわけじゃない。
ちょっと葵を驚かせて揶揄いたくなった。
静かに近づいては真横に自分も屈んで見る。優しい瞳で花壇と真剣に向き合う彼の横顔。
柔らかそうな髪。眼鏡を取ったらどんな顔をしているんだろうか。
自然と彼への好奇心が湧いてくる。
こんなにも近くにいるのに葵は全く俺の存在に気づいていないようだった。
「あおいせーんぱい」
亨は悪戯心に火をつけながら顔を葵の耳元まで近づけると囁くように声を掛けてみた。
「し、塩谷くん!」
囁かれた当人は予期せぬ出来事だったのか、体を震わせ、屈ませていた足が崩れると自分とは反対側に倒れていこうとしていた。
亨は咄嗟に葵の腕を掴んで、引っ張ってやると元の体勢に戻る。
思いの外強く引いたせいで距離がグッと縮まり、肩が触れ合った途端に葵は「すみません」と赤面させながら亨の掴んだ手からすり抜けていった。
別にどうってこと無いはずなのに、相手から妙な緊張感を感じて、亨も何故か申し訳ないことをした気持ちになる。
「すみません。約束、忘れてた訳じゃないんです」
折角転んで汚れないように支えてあげたのに、自ら地面に俺と向き合うようにして正座をしては深く頭を下げてきた。
待たされて腹立たしかった筈なのに、当の本人に会うとどうでも良くなるくらい、彼がいじらしい。
もっと困らせたい·····。
「いいよ。葵先輩は俺よりお花の方が大事なんだ?」
「ち、ちが ·····います。お花も大事だけど塩谷くんの方が·····」
亨はわざと意地悪く問いかけてみると、葵は
膝の上の両手がギュっと握っては、力無さげに訴えてきた。顔は隠れて見えないけど、きっと顔は真っ赤になっているに違いない。
あまり他人慣れしてないと分かるからこそ、純粋な反応をする葵の姿が亨には面白かった。
ちょっと葵を驚かせて揶揄いたくなった。
静かに近づいては真横に自分も屈んで見る。優しい瞳で花壇と真剣に向き合う彼の横顔。
柔らかそうな髪。眼鏡を取ったらどんな顔をしているんだろうか。
自然と彼への好奇心が湧いてくる。
こんなにも近くにいるのに葵は全く俺の存在に気づいていないようだった。
「あおいせーんぱい」
亨は悪戯心に火をつけながら顔を葵の耳元まで近づけると囁くように声を掛けてみた。
「し、塩谷くん!」
囁かれた当人は予期せぬ出来事だったのか、体を震わせ、屈ませていた足が崩れると自分とは反対側に倒れていこうとしていた。
亨は咄嗟に葵の腕を掴んで、引っ張ってやると元の体勢に戻る。
思いの外強く引いたせいで距離がグッと縮まり、肩が触れ合った途端に葵は「すみません」と赤面させながら亨の掴んだ手からすり抜けていった。
別にどうってこと無いはずなのに、相手から妙な緊張感を感じて、亨も何故か申し訳ないことをした気持ちになる。
「すみません。約束、忘れてた訳じゃないんです」
折角転んで汚れないように支えてあげたのに、自ら地面に俺と向き合うようにして正座をしては深く頭を下げてきた。
待たされて腹立たしかった筈なのに、当の本人に会うとどうでも良くなるくらい、彼がいじらしい。
もっと困らせたい·····。
「いいよ。葵先輩は俺よりお花の方が大事なんだ?」
「ち、ちが ·····います。お花も大事だけど塩谷くんの方が·····」
亨はわざと意地悪く問いかけてみると、葵は
膝の上の両手がギュっと握っては、力無さげに訴えてきた。顔は隠れて見えないけど、きっと顔は真っ赤になっているに違いない。
あまり他人慣れしてないと分かるからこそ、純粋な反応をする葵の姿が亨には面白かった。
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