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保健室と葵
保健室と葵 6-5
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何も考えずに保健室の扉を開けて中に入ると
西田は教員ディスクに向かってパソコン作業をしていた。俺と目が合うなり「とおるー!」といつもの調子で座席を立ち上がるとカツカツと音を立てて駆け寄ってくる。
葵は西田が近づいてくるにつれて、掴んでいた手をクイッと引いてきて静かに離れて言った途端、亨は少し寂しくなった。
「亨。なんで昨日既読む·····あ、葵くん」
しかし、座席にいた時は斜め後ろに立っていた葵に気づかなかったのか、近づいて葵の存在に気がつくと、罰が悪そうな表情をしては黙り込んでいた。誤魔化すように葵に優しく微笑えんで軌道修正をしようとするのが見ていて滑稽だったが、亨にとっては都合が良かった。
「飯食うから此処借りる」
亨はそんな西田を気に留めずに、室内の中心にある椅子に座り多めに買ったパンをテーブルに広げた。その中で亨はメロンパンを手に取ると封を開けてかぶりつく。
本当は保健室になど行きたくなかったが、屋上はきっと星野を含めカップルの愛の巣だ。
そんな所に自分達が行くなんて確実に浮いて居心地が悪いだろう。それに葵は人気の少ないところを好みそうだった。
だからと言って適当に入れる教室があったとしても、彼は真面目だから「いいんでしょうか?」などと言って落ち着かない気がしたから手っ取り早いのが保健室だった。
葵がいれば西田はあくまで教師の顔をするので昨夜の既読無視のことを咎められずに済む。
「はい、座れよ」
入口で突っ立っている葵に向かってお茶と焼きそばパンを差し出すが、葵は俺と西田の顔を交互に見ては戸惑っているようだった。
「葵くん入って」
西田に促されてようやく前進するとテーブルに恐る恐る近づいては亨の差し出したパンを受け取ると向かいの椅子に座った。
西田もそれに続いて亨の左隣の椅子に座る。
「珍しい組み合わせね」
西田がこちらを睨みながら返答を求めてきていたが、亨は無視をしてやり過ごそうとすると左足先を西田の右踵に踏まれた。
「いてっ」
ピンヒールじゃなくて良かったと思うが、厚さがあるヒールと言えども踵で踏まれるのは圧迫感がある。葵に気づかれまいと小さく呟き、悶えては西田を見遣ると、にこやかに笑っていた。
笑顔の意図に怨念が込められていると思うと、とてもじゃないけど笑い返すことなど出来ず、すかさず目を逸らした。
「西田先生、急に押しかけてすみません」
そんな二人でのやり取りを知らない葵が救いの手を差し伸べるかのように西田に深々と頭を下げる。
「ホントよー。って冗談。塩谷くんが悪いから。葵くんは気にしないで。葵くんならいつでも来ても大丈夫だから」
西田は内心では俺に言いたいことが山ほどあるんだろうと雰囲気で察しながらも葵と西田を横目に見ていた。
西田は教員ディスクに向かってパソコン作業をしていた。俺と目が合うなり「とおるー!」といつもの調子で座席を立ち上がるとカツカツと音を立てて駆け寄ってくる。
葵は西田が近づいてくるにつれて、掴んでいた手をクイッと引いてきて静かに離れて言った途端、亨は少し寂しくなった。
「亨。なんで昨日既読む·····あ、葵くん」
しかし、座席にいた時は斜め後ろに立っていた葵に気づかなかったのか、近づいて葵の存在に気がつくと、罰が悪そうな表情をしては黙り込んでいた。誤魔化すように葵に優しく微笑えんで軌道修正をしようとするのが見ていて滑稽だったが、亨にとっては都合が良かった。
「飯食うから此処借りる」
亨はそんな西田を気に留めずに、室内の中心にある椅子に座り多めに買ったパンをテーブルに広げた。その中で亨はメロンパンを手に取ると封を開けてかぶりつく。
本当は保健室になど行きたくなかったが、屋上はきっと星野を含めカップルの愛の巣だ。
そんな所に自分達が行くなんて確実に浮いて居心地が悪いだろう。それに葵は人気の少ないところを好みそうだった。
だからと言って適当に入れる教室があったとしても、彼は真面目だから「いいんでしょうか?」などと言って落ち着かない気がしたから手っ取り早いのが保健室だった。
葵がいれば西田はあくまで教師の顔をするので昨夜の既読無視のことを咎められずに済む。
「はい、座れよ」
入口で突っ立っている葵に向かってお茶と焼きそばパンを差し出すが、葵は俺と西田の顔を交互に見ては戸惑っているようだった。
「葵くん入って」
西田に促されてようやく前進するとテーブルに恐る恐る近づいては亨の差し出したパンを受け取ると向かいの椅子に座った。
西田もそれに続いて亨の左隣の椅子に座る。
「珍しい組み合わせね」
西田がこちらを睨みながら返答を求めてきていたが、亨は無視をしてやり過ごそうとすると左足先を西田の右踵に踏まれた。
「いてっ」
ピンヒールじゃなくて良かったと思うが、厚さがあるヒールと言えども踵で踏まれるのは圧迫感がある。葵に気づかれまいと小さく呟き、悶えては西田を見遣ると、にこやかに笑っていた。
笑顔の意図に怨念が込められていると思うと、とてもじゃないけど笑い返すことなど出来ず、すかさず目を逸らした。
「西田先生、急に押しかけてすみません」
そんな二人でのやり取りを知らない葵が救いの手を差し伸べるかのように西田に深々と頭を下げる。
「ホントよー。って冗談。塩谷くんが悪いから。葵くんは気にしないで。葵くんならいつでも来ても大丈夫だから」
西田は内心では俺に言いたいことが山ほどあるんだろうと雰囲気で察しながらも葵と西田を横目に見ていた。
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