Broken Flower

なめめ

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突然の…

突然の····· 12-8

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猛暑も活況を迎え、気だるさはより一層に増す。補習も二週目に入り、職員室前ですれ違う教員と毎日部活動に勤しんでいる生徒達の掛け声に聞き慣れてきた頃。

朝9時から午後12時までの三時間の補習を終え
、2階から1階へと降りている道中でふと全開の窓の外に視線を向けるといるはずの無い人影を見つけて外を覗き込んだ。

外では猛暑にもかかわらず、花壇にホースのシャワーで水やりをしている葵の姿があった。相変わらずの花を前に顔を綻ばせている彼の姿が愛おしくて久しぶりの葵の姿にドクドクと心拍数が上がる。

美化委員として、お花好きとして毎日欠かさず来ていたのだろうか、だとしたら自分は何故気づかなかったのだろうかと酷く己を悔いたが、葵と話せるかもしれないチャンスがきた。

嬉しさもあるが緊張の方が大きい。
窓枠を強く握り、大声で名前を叫ぼうとして息を吸い込んだところで、亨は咄嗟に屈んで身を隠した。今叫んで呼び止めたところで、葵が足を止めてくれる保証はない。

メールを拒絶されてしまったのだから、葵が俺に対して良好的ではないのか確かだった。
ちゃんと葵に理解して貰えるように話すことを頭で考える。

許しては貰えないかもしれないが、葵なら話は聞いてくれるはず。西田とのことはちゃんと謝って、葵への想いは本当だと言うことを伝える。恋人として付き合っていきたい。

葵は今受験の大事な時期の真っ只中だろうし、色恋にかまけている暇がないと断られるかもしれない。なら葵が落ち着くまで俺の事は二の次に考えてくれてもいい。
どんな形でもいいから再び葵の隣にいれることを信じて·····。

亨は深く息を吐くと足早に花壇の方へと向かった。正門で靴を履いては、グラウンドの方角まで回ると遠目でまだ花壇に人影があることに安堵する。

ゆっくり近づいていき、額にじわりと汗を滲ませながら数メートル歩んだところで葵が此方の存在に気がついた。
その表情は先程、お花を眺めていた穏やかさとはかけ離れた、恐ろしいものでも目にしたような怯えた顔に胸がヒビが入りそうな木板のようにミシミシと痛むのを感じる。

「葵」

目が合った瞬間に名前を呼ぶと彼は慌ててシャワーの水を止め、地面に放り投げると、一目散に駆け出していってしまった。
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