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突然の…
突然の····· 12-13
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普段弄られ側なのだろうか、前方から「塩谷がモテるからって、虚しいだけだぞー板野」と勝手に振られた喧嘩で盛り上がってる外野。
「なんでこいつ怒ってんの」と状況を読めていない奴に「こいつさー塩谷にとられたんだよ。好きだったマネージャー」と周りの話し声で板野とかいう男が俺にやたら絡んでくる理由を知る。
当然買う気などないので、呆れながらも教科書を机上に出して無視をしていると胸倉を掴まれ腰が僅かに浮く。
「うちのマネージャーの次は西田、いいご身分だな。おまえ」
西田の前、一つ上の女と付き合っていたが野球部のマネージャーだったことは
知らない。確か美人でアイドル的存在だとか言われていたらしいが、相手のことなど微塵も興味なかった亨は覚えてすらいなかった。
朝練をしていたのか汗臭さと生臭い息が鬱陶しい。亨は掴まれた胸倉を乱暴に振りほどくと、ワイシャツの皺を直す。途端に右頬に鈍い衝撃を受けたと共に椅子から床へと転がり落ちていった。
何が起きたのか諭さないうちに「おまえ、許さねー」と声を荒らげ血気盛る板野に対して男が野球部であることを危惧して仲裁に入る男。同時にチャイムが鳴り担任が入ってきたことによって事は一時的に収まった。
担任が連絡事項を話している中、前席の星野が静かに椅子を引いて俺の机に背中だけ近づけてきては「塩谷、ごめん」とだけ告げて戻っていった。
星野がずっと廊下側の座席で俺と板野の一連をクラスの奴らと同様に傍観していたのは知っている。教室の空気に呑まれて、俺を庇うことができなかったことも。
星野が悪いわけじゃない。
俺だって逆の立場だったらそうしている。
真ん中の座席から俺のことをじっと睨んできている板野の視線。
多分もう、元に戻ることはできないんだと思う。葵のことも。
禁忌を犯したことでクラスの奴らに対する俺への侮蔑も。
「なんでこいつ怒ってんの」と状況を読めていない奴に「こいつさー塩谷にとられたんだよ。好きだったマネージャー」と周りの話し声で板野とかいう男が俺にやたら絡んでくる理由を知る。
当然買う気などないので、呆れながらも教科書を机上に出して無視をしていると胸倉を掴まれ腰が僅かに浮く。
「うちのマネージャーの次は西田、いいご身分だな。おまえ」
西田の前、一つ上の女と付き合っていたが野球部のマネージャーだったことは
知らない。確か美人でアイドル的存在だとか言われていたらしいが、相手のことなど微塵も興味なかった亨は覚えてすらいなかった。
朝練をしていたのか汗臭さと生臭い息が鬱陶しい。亨は掴まれた胸倉を乱暴に振りほどくと、ワイシャツの皺を直す。途端に右頬に鈍い衝撃を受けたと共に椅子から床へと転がり落ちていった。
何が起きたのか諭さないうちに「おまえ、許さねー」と声を荒らげ血気盛る板野に対して男が野球部であることを危惧して仲裁に入る男。同時にチャイムが鳴り担任が入ってきたことによって事は一時的に収まった。
担任が連絡事項を話している中、前席の星野が静かに椅子を引いて俺の机に背中だけ近づけてきては「塩谷、ごめん」とだけ告げて戻っていった。
星野がずっと廊下側の座席で俺と板野の一連をクラスの奴らと同様に傍観していたのは知っている。教室の空気に呑まれて、俺を庇うことができなかったことも。
星野が悪いわけじゃない。
俺だって逆の立場だったらそうしている。
真ん中の座席から俺のことをじっと睨んできている板野の視線。
多分もう、元に戻ることはできないんだと思う。葵のことも。
禁忌を犯したことでクラスの奴らに対する俺への侮蔑も。
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