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フラワー大藪
フラワー大藪 13-9
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慎文さんと話していくうちに花のことだけではなく、葵のことまで教えてくれるようになった。葵はデザイン科の専門学校に在学中でフラワーデザインだけではなく経営学も学んでいるという。本格的にこのお店を継ぐつもりなのだろう。非常階段の踊り場で赤面させながら語ってくれた、将来の夢を着実に実現しようとしてる葵の話を聞いているだけでも、胸がトクリと高鳴った。
学校が終わり、木曜定休以外のほぼ毎日、店内業務はもちろん配達を主に手伝っているという。亨は未だ出会ったことはないが、体調を崩している店長の大藪百合さんの代わりに学業と仕事を両立しているのは感心した。
「あの、その賞状って大藪君のですか?」
慎文さんと談笑している途中で壁際に貼られたフラワーデザイン大賞と綴られた賞状が目についた。
「そうそう、プロからアマチュアまで参加可能な賞なんだけど、学校の推薦で出展したんだって、そしたら大賞は逃したけど優秀賞取ったのすごいでしょ。やっぱ葵くん、センスあるんだなー」
亨が視線を向けた先に慎文さんも振り返ると感心したように深く頷く。
過去の恋愛に未練ばかり残して蟠っている俺に対して、葵はちゃんと自分の進むべき道を見据えて行動に移している。少し遠い存在な気がして、亨を少しばかり虚しくさせた。
「ねえ、亨くん。そろそろ葵くんと話してみない?」
「へぇ?」
口元を綻ばせて亨の表情を伺ってくる。
あまりにも葵のことに興味を示しすぎてしまっただろうか。
最初に慎文さんに悟られてからあまり、葵のことに関して表には出さないように意識していたが、どんなに気を張っていても無意識に耳を真剣に傾けているのは葵のことばかりだった。
亨は慎文さんの唐突の提案に一瞬だけ固まっては、全力で否定するように大きく首を振った。
「む、無理ですっ……だから、大藪くんには絶対俺のこと話さないでださい……」
「なんで?葵君もシクラメン好きだから、俺に訊くより葵君の方が
ずっと詳しいと思うんだけどなー?」
葵と鉢合わせした時のために被っているキャップのツバを掴んでは、表情を隠すように深く被る。慎文さんが葵と話したい俺のことを気にかけてくれている嬉しさとそんなことは許されないと分かってる自制が亨の心を悶々とさせる。
「俺はその……慎文さんがいいので……」
「それは嬉しいけど、今の告白じゃないよね?」
表情を隠したことで勘違いさせてしまったのか、帽子の中を覗き込むように訝んできたので亨は慌てて顔を上げる。確かにこんな外見も中身も憧れるような人に優しくされたら落ちない人はいないと思うし、どうやら慎文さんはフラワー大藪では彼目当てで来る女性客がいるほど人気者のようだった。
「違いますっ。単純には恥ずかしいから……」
「そっか。良かった。俺さ、一生心に決めてる愛しい人がいるからさ」
安堵の息を漏らすと右瞼を瞑り亨に向かってウィンクをしてくる。不覚にもドキッとしたが、慎文さんは俺よりも遥か後方に視線を向けると「和幸」と訪問してきた人物の名前を呼ぶと「亨くん、ごめんね。ちょっと待ってて」と店の入り口の方へと向かっていってしまった。
学校が終わり、木曜定休以外のほぼ毎日、店内業務はもちろん配達を主に手伝っているという。亨は未だ出会ったことはないが、体調を崩している店長の大藪百合さんの代わりに学業と仕事を両立しているのは感心した。
「あの、その賞状って大藪君のですか?」
慎文さんと談笑している途中で壁際に貼られたフラワーデザイン大賞と綴られた賞状が目についた。
「そうそう、プロからアマチュアまで参加可能な賞なんだけど、学校の推薦で出展したんだって、そしたら大賞は逃したけど優秀賞取ったのすごいでしょ。やっぱ葵くん、センスあるんだなー」
亨が視線を向けた先に慎文さんも振り返ると感心したように深く頷く。
過去の恋愛に未練ばかり残して蟠っている俺に対して、葵はちゃんと自分の進むべき道を見据えて行動に移している。少し遠い存在な気がして、亨を少しばかり虚しくさせた。
「ねえ、亨くん。そろそろ葵くんと話してみない?」
「へぇ?」
口元を綻ばせて亨の表情を伺ってくる。
あまりにも葵のことに興味を示しすぎてしまっただろうか。
最初に慎文さんに悟られてからあまり、葵のことに関して表には出さないように意識していたが、どんなに気を張っていても無意識に耳を真剣に傾けているのは葵のことばかりだった。
亨は慎文さんの唐突の提案に一瞬だけ固まっては、全力で否定するように大きく首を振った。
「む、無理ですっ……だから、大藪くんには絶対俺のこと話さないでださい……」
「なんで?葵君もシクラメン好きだから、俺に訊くより葵君の方が
ずっと詳しいと思うんだけどなー?」
葵と鉢合わせした時のために被っているキャップのツバを掴んでは、表情を隠すように深く被る。慎文さんが葵と話したい俺のことを気にかけてくれている嬉しさとそんなことは許されないと分かってる自制が亨の心を悶々とさせる。
「俺はその……慎文さんがいいので……」
「それは嬉しいけど、今の告白じゃないよね?」
表情を隠したことで勘違いさせてしまったのか、帽子の中を覗き込むように訝んできたので亨は慌てて顔を上げる。確かにこんな外見も中身も憧れるような人に優しくされたら落ちない人はいないと思うし、どうやら慎文さんはフラワー大藪では彼目当てで来る女性客がいるほど人気者のようだった。
「違いますっ。単純には恥ずかしいから……」
「そっか。良かった。俺さ、一生心に決めてる愛しい人がいるからさ」
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