Broken Flower

なめめ

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ファミレス

ファミレス①

「イケメン君が二人並ぶと目の保養になるわね」

土曜日のお昼過ぎ、カウンターに頬杖を突きながら、溜息を漏らす、母親であり、この店の店主でもある百合。彼女が眺めている先は紛れもなく、店先で今も尚、勉強中の塩谷亨と亨の質問に答えながらも丁寧に教えている慎文さんだった。

確かに絵面的に女性客を寄せ付けそうな二人ではある。
もともと慎文さんだけでも、彼目当てでやってくるお客さんはいたものの
亨も増えたことでここ二週間で特に近所の奥様方の来客が増えたような気がする。

「兄弟って言われてもおかしくないくらいよね。看板息子が二人もいてくれて心強いわー」
「本当の息子は僕なんだけど…」

「あら葵ちゃん、拗ねちゃって可愛い。大丈夫よ。世界で私の一番の息子は葵ちゃんだけだから」

陽気な笑顔で百合に頭をくしゃりと撫でられる。
亨の事は未だに受け入れ難くとも、百合が心から笑っていられるのであれば良かったのだろうか。

「それより、葵ちゃんも亨くんと仲良くしなさいよ?」
「…別に僕は友達作るために手伝ってるわけじゃないから…」

初日に亨に突然の告白を受けて以来、彼とは業務以外の会話をしていない。
葵自ら線引きをしているのもあるが、教えるのは完全に慎文さんに任せているし、突き放したのが彼に効いたのか必要以上に話し掛けてくる素振りを見せてこなかった。

この距離感が自分と亨には合っている。

「もう、そんなこと言って…。年の近い子との交流も大事なことよ?
いいから、あそこに混ざって親睦を深めてきなさい」

小学生と言ったら家に帰ったら真っ先に友達と公園で遊ぶ周りに対して葵はずっと母親に付き添ってお店に入り浸っていた。金銭的な問題で学童保育に入れられなかったのもあるが、葵自身の意志でもあった。お花に囲まれながら、植物図鑑などを眺め、母親とお客さんの笑顔を見るのが幼き葵の楽しみであった。その延長線上から中学、そして高校もフラワー大藪が自分の居場所のように感じていた。

母親としては店の手伝いばかりではなく、同年代の子と遊んでほしい親心もあるのであろうが、今回ばかりは素直に頷けない。

「気が向いたらするよ…」
「ダメです。今お店暇なんだし。はいはい、三人でお昼でも行ってきたら?」
「それじゃあ母さんが…」

「お店は大丈夫よ。それよりも母さんは葵ちゃんが天涯孤独になるんじゃないかの方が心配です」

後ろ向きな返事をしてると百合に二人がいる店先の方まで背中を押される。
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