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嫉妬から始まる恋心……
嫉妬から始まる恋心……①
デートの日から一週間ほど経った。
あれから亨は、通常通りお店に来て業務をこなし、僕との会話も仕事以外で会話をすることはなくなった。
時折感じていた熱を帯びたような視線も無くなった気がする。しかし、亨の好意によって心を乱されることはなくなった筈なのに、あの日の亨の姿や抱き竦められた時の感触を無意識に思い出している自分がいた。
6月中旬、来月からお盆に合わせてお店も繁忙期を迎える。例年通り今回は亨を迎えて三人でお店を回すとはいえ、亨は学校があるから出れる日は限られてくる。少し厳しいが乗り切るしかなかった。このままじゃ埒が明かないと思った百合が短期アルバイト募集を掛けた張り紙をしていたが、なかなか志願してくる人は現れてこない現状だった。
「葵。俺、定休日以外出るよ。百合さんも大変だろうし……夏休みに入ったら一日中入れるから.......」
お客さんのいない閉店間際の店内で、頬に手を当てて困り顔の百合とその話をしていると間を割って亨が会話に入ってきた。百合と僕を気遣ってそう言ってくれるが、雇っている側である以上規定もあるし、そう簡単にお願いしますとはならない。
「大丈夫です。アルバイトの貴方にそんなことさせられないので…」
「そうね、その気持ちは有難いけど、亨君に無理はさせられないわ」
「そうだよな…俺ができることは精一杯助けるんで……」
不甲斐なさそうに肩を落とし店内清掃へと戻る亨。ここで永遠と話していたところで人が来てくれないことには現状は変えられない。この話は一旦保留にして業務に戻ることにした。
「あのっ……」
暫くして、お店の鈴と共に一人の小柄な若い女性が入ってくる。
年齢的には同じくらいだろうか…ふわりとパーマが当てられた長い髪。
とても緊張しているのか、赤面させながらも、少しだけ額に汗を滲ませていた。同年代の人がこんな時間に慌てて花屋に来店してくるのは珍しいが、友達へのプレゼントだろうか。
葵がその人に歩み寄り、声を掛けようとしたところで背後から亨の
驚いたような声が聞こてきた。
「えっ、雛森さん…!?」
あれから亨は、通常通りお店に来て業務をこなし、僕との会話も仕事以外で会話をすることはなくなった。
時折感じていた熱を帯びたような視線も無くなった気がする。しかし、亨の好意によって心を乱されることはなくなった筈なのに、あの日の亨の姿や抱き竦められた時の感触を無意識に思い出している自分がいた。
6月中旬、来月からお盆に合わせてお店も繁忙期を迎える。例年通り今回は亨を迎えて三人でお店を回すとはいえ、亨は学校があるから出れる日は限られてくる。少し厳しいが乗り切るしかなかった。このままじゃ埒が明かないと思った百合が短期アルバイト募集を掛けた張り紙をしていたが、なかなか志願してくる人は現れてこない現状だった。
「葵。俺、定休日以外出るよ。百合さんも大変だろうし……夏休みに入ったら一日中入れるから.......」
お客さんのいない閉店間際の店内で、頬に手を当てて困り顔の百合とその話をしていると間を割って亨が会話に入ってきた。百合と僕を気遣ってそう言ってくれるが、雇っている側である以上規定もあるし、そう簡単にお願いしますとはならない。
「大丈夫です。アルバイトの貴方にそんなことさせられないので…」
「そうね、その気持ちは有難いけど、亨君に無理はさせられないわ」
「そうだよな…俺ができることは精一杯助けるんで……」
不甲斐なさそうに肩を落とし店内清掃へと戻る亨。ここで永遠と話していたところで人が来てくれないことには現状は変えられない。この話は一旦保留にして業務に戻ることにした。
「あのっ……」
暫くして、お店の鈴と共に一人の小柄な若い女性が入ってくる。
年齢的には同じくらいだろうか…ふわりとパーマが当てられた長い髪。
とても緊張しているのか、赤面させながらも、少しだけ額に汗を滲ませていた。同年代の人がこんな時間に慌てて花屋に来店してくるのは珍しいが、友達へのプレゼントだろうか。
葵がその人に歩み寄り、声を掛けようとしたところで背後から亨の
驚いたような声が聞こてきた。
「えっ、雛森さん…!?」
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