70 / 118
第2章
第70話 エルフの里長
しおりを挟む
里にあるエルフたちの住居や建物。それらは自然の素材と調和していた。
木々の枝や蔦が建物に絡みつき、建物が緑に包まれている。
まさに自然と共に生きているエルフ。その中でも一際、大きな住居に進められる。
「ここが里長さまのおられる家です」とメイヴ。
「この向こう側……エルフの地を納める里長がいるのか」
「はい、でもそんなに緊張する必要はありませんよ」
「緊張をしているのが見抜かれていたか。しかし――――」
そう言われても緊張は解けない。しかし、いつまでも里長の家の前で止まっている場合ではない。
「よし、行こう!」と覚悟を決めた。
「失礼します。メイヴ・ブラックウッドが帰ってまいりました」
すると――――
「おぉ、メイヴ。待っていたよ。入りなさい」
その声に従って中に入る2人。 広い室内、その真ん中に座っている老人。
白い絹の服に、長い白髪と髭。 物語に出て来る魔法使いの老エルフのイメージが、そのまま座っていた。
「お前が里を飛び出して200年程度。それでも成長が見て取れる」
「はい、ありがとうございます」
「それで、後ろにいる男が手紙に書いていた――――」
「はい、彼の名前はユウト・フィッシャー 私の伴侶です」
「伴侶……?」と疑問を持つユウトだったが、事前にメイヴから、
「これから行われるのは儀式的挨拶なので、奇妙な表現をするかもしれませんがお気にせずに」と言われていたので、そういうものなのかと納得した。
「ユウトとやら、もう少し近くに……顔を見せてくれ」
「はい」と彼は下げていた頭を上げて、里長に近づいた。
「おぉ、良い目をしている。さすが、メイヴが認めた男――――今日は里の客人として認めよう」
「ありがとうございます」
「夜は宴としよう。我々はエルフである。質素であるが、精一杯のおもてなしをさせてもらうよ」
こうして、里長との面談を終えて外に出た2人。すると――――
ダレスが待ち受けていた。
「ダレス兄さん……」
「その様子だと、里長に認められたようだな。里に滞在する事は……」
「はい、ありがたいことに」
「フン! お前はともかく、そこの男が認められるとはな!」
「兄さん、ユウトは里の客人です。失礼な言葉は、里長への非礼になります」
「ほう……そこまで、お前が感情を露わにするのは珍しいな。それほどまでに――――」
「いや、さすがに煽り過ぎだろ? なんか、メイヴに劣等感があるのか?」
そのユウトの言葉、反論されるとは夢にも思っていなかったのだろう。
ダレスは
「なッ――――!」と絶句した。
それ以上、言葉が出てこない、なわなわと怒りに肩を震えさせている。
「これ以上、用事はないな? 行かせてもらうぜ?」
それだけ言うと、歩き出したユウトとメイヴを止める事をダレスにはできなかった。
「クソっ! 只人が!」と2人の姿が見えなくなってから吐き捨てるように言う。
すると――――
「あらあら、舌戦では完敗したみたいね」と近づいてきたのは、メリスだった。
「お前の言葉を完全に信じた。メイヴは里長の座を狙うため、ここに只人を招き入れた」
「そうね。その通りよ」
「いいだろう。お前が言う通り、俺があの只人を殺す」
怒り狂っているダレス。その様子に、メリスは――――
(レインから貰った薬。魔導書の力が少し強過ぎてるわね。予定より、早くぶつけないと暴走しそうだわ)
ダレスは本来、聡明な男であった。 少なくとも里長候補に選ばれる程度には……
しかし、今の彼は異常。
メリスの『色欲』の能力。 レインの『怠惰』の能力。
この2人によって、暴走直前に精神になっていた。
「メリス……俺は、どうしたらいい? どうやって、只人を殺したらいい?」
「もう、こうなっては策略じゃダメね。単純な戦い……決闘を申し込みなさい」
「決闘……エルフ式の決闘か。悪くない。俺は――――
――――ユウト・フィッシャーを今日、殺す」
木々の枝や蔦が建物に絡みつき、建物が緑に包まれている。
まさに自然と共に生きているエルフ。その中でも一際、大きな住居に進められる。
「ここが里長さまのおられる家です」とメイヴ。
「この向こう側……エルフの地を納める里長がいるのか」
「はい、でもそんなに緊張する必要はありませんよ」
「緊張をしているのが見抜かれていたか。しかし――――」
そう言われても緊張は解けない。しかし、いつまでも里長の家の前で止まっている場合ではない。
「よし、行こう!」と覚悟を決めた。
「失礼します。メイヴ・ブラックウッドが帰ってまいりました」
すると――――
「おぉ、メイヴ。待っていたよ。入りなさい」
その声に従って中に入る2人。 広い室内、その真ん中に座っている老人。
白い絹の服に、長い白髪と髭。 物語に出て来る魔法使いの老エルフのイメージが、そのまま座っていた。
「お前が里を飛び出して200年程度。それでも成長が見て取れる」
「はい、ありがとうございます」
「それで、後ろにいる男が手紙に書いていた――――」
「はい、彼の名前はユウト・フィッシャー 私の伴侶です」
「伴侶……?」と疑問を持つユウトだったが、事前にメイヴから、
「これから行われるのは儀式的挨拶なので、奇妙な表現をするかもしれませんがお気にせずに」と言われていたので、そういうものなのかと納得した。
「ユウトとやら、もう少し近くに……顔を見せてくれ」
「はい」と彼は下げていた頭を上げて、里長に近づいた。
「おぉ、良い目をしている。さすが、メイヴが認めた男――――今日は里の客人として認めよう」
「ありがとうございます」
「夜は宴としよう。我々はエルフである。質素であるが、精一杯のおもてなしをさせてもらうよ」
こうして、里長との面談を終えて外に出た2人。すると――――
ダレスが待ち受けていた。
「ダレス兄さん……」
「その様子だと、里長に認められたようだな。里に滞在する事は……」
「はい、ありがたいことに」
「フン! お前はともかく、そこの男が認められるとはな!」
「兄さん、ユウトは里の客人です。失礼な言葉は、里長への非礼になります」
「ほう……そこまで、お前が感情を露わにするのは珍しいな。それほどまでに――――」
「いや、さすがに煽り過ぎだろ? なんか、メイヴに劣等感があるのか?」
そのユウトの言葉、反論されるとは夢にも思っていなかったのだろう。
ダレスは
「なッ――――!」と絶句した。
それ以上、言葉が出てこない、なわなわと怒りに肩を震えさせている。
「これ以上、用事はないな? 行かせてもらうぜ?」
それだけ言うと、歩き出したユウトとメイヴを止める事をダレスにはできなかった。
「クソっ! 只人が!」と2人の姿が見えなくなってから吐き捨てるように言う。
すると――――
「あらあら、舌戦では完敗したみたいね」と近づいてきたのは、メリスだった。
「お前の言葉を完全に信じた。メイヴは里長の座を狙うため、ここに只人を招き入れた」
「そうね。その通りよ」
「いいだろう。お前が言う通り、俺があの只人を殺す」
怒り狂っているダレス。その様子に、メリスは――――
(レインから貰った薬。魔導書の力が少し強過ぎてるわね。予定より、早くぶつけないと暴走しそうだわ)
ダレスは本来、聡明な男であった。 少なくとも里長候補に選ばれる程度には……
しかし、今の彼は異常。
メリスの『色欲』の能力。 レインの『怠惰』の能力。
この2人によって、暴走直前に精神になっていた。
「メリス……俺は、どうしたらいい? どうやって、只人を殺したらいい?」
「もう、こうなっては策略じゃダメね。単純な戦い……決闘を申し込みなさい」
「決闘……エルフ式の決闘か。悪くない。俺は――――
――――ユウト・フィッシャーを今日、殺す」
0
あなたにおすすめの小説
五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~
放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」
大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。
生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。
しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。
「すまない。私は父としての責任を果たす」
かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。
だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。
これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。
異世界転生したので森の中で静かに暮らしたい
ボナペティ鈴木
ファンタジー
異世界に転生することになったが勇者や賢者、チート能力なんて必要ない。
強靭な肉体さえあれば生きていくことができるはず。
ただただ森の中で静かに暮らしていきたい。
北白川先生(♀ 独身)に召喚されました
よん
青春
小田原の県立高校に勤務する国語教諭――北白川。彼女はある目的を果たすために、自分が受け持つ五人の生徒を毎晩二時に召喚するようになった。一日一度のことわざ、そこに込められた思いとは……。
『イルカノスミカ』『フラれる前提で私にコクる鈴木くん』のスピンオフ。
異世界召喚されたけどスキルが地味だったので、現代知識とアイテムボックスで絶品料理を作ったら大商会になっちゃいました
黒崎隼人
ファンタジー
手違いで剣も魔法もない異世界に召喚された、しがない日本のサラリーマン、湊カイリ。
彼に与えられたのは、無限に物が入る【アイテムボックス】と、物の名前が分かる【鑑定】という、あまりにも地味な二つのスキルだけだった。
戦闘能力は皆無。途方に暮れるカイリだったが、異世界の食事が絶望的に不味いことを知り、大きなチャンスに気づく。
現代日本の「当たり前」の知識は、この世界ではとんでもない「宝」なのだと!
「醤油?味噌?そんなものがあれば、この世界の食文化はひっくり返るぞ!」
ひょんなことから出会った没落貴族の美少女・リリアナと共に、カイリは現代知識と地味スキルを駆使して屋台から商売をスタート。
絶品料理で人々の胃袋を掴み、さらには便利な生活用品を次々と発明していく。
伝説の神獣の幼体「フェン」やドワーフの鍛冶師など、頼れる仲間たちも加わり、彼らが立ち上げた「サンライズ商会」は瞬く間に大躍進!
迫り来る悪徳商会や腐敗した貴族の妨害も、現代のマーケティング術と知恵で痛快に打ち破る!
これは、平凡なサラリーマンが異世界の常識を覆し、食と生活に革命を起こして一代で大商会を築き上げる、痛快成り上がりファンタジー!
美味しい料理と、もふもふな相棒、そして仲間との絆。
人生、逆転できないことなんて何もない!
異世界転生~チート魔法でスローライフ
玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。
43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。
その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」
大型連休を利用して、
穴場スポットへやってきた!
テントを建て、BBQコンロに
テーブル等用意して……。
近くの川まで散歩しに来たら、
何やら動物か?の気配が……
木の影からこっそり覗くとそこには……
キラキラと光注ぐように発光した
「え!オオカミ!」
3メートルはありそうな巨大なオオカミが!!
急いでテントまで戻ってくると
「え!ここどこだ??」
都会の生活に疲れた主人公が、
異世界へ転生して 冒険者になって
魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。
恋愛は多分ありません。
基本スローライフを目指してます(笑)
※挿絵有りますが、自作です。
無断転載はしてません。
イラストは、あくまで私のイメージです
※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが
少し趣向を変えて、
若干ですが恋愛有りになります。
※カクヨム、なろうでも公開しています
転生者は力を隠して荷役をしていたが、勇者パーティーに裏切られて生贄にされる。
克全
ファンタジー
第6回カクヨムWeb小説コンテスト中間選考通過作
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。
2020年11月4日「カクヨム」異世界ファンタジー部門日間ランキング51位
2020年11月4日「カクヨム」異世界ファンタジー部門週間ランキング52位
転生者のブルーノは絶大な力を持っていたが、その力を隠してダンジョンの荷役として暮らしていた。だが、教会の力で勇者を騙る卑怯下劣な連中に、レットドラゴンから逃げるための生贄として、ボス部屋に放置された。腐敗した教会と冒険者ギルドが結託て偽の勇者パーティーを作り、ぼろ儲けしているのだ。ブルーノは誰が何をしていても気にしないし、自分で狩った美味しいドラゴンを食べて暮らせればよかったのだが、殺されたブルーノの為に教会や冒険者ギルドのマスターを敵対した受付嬢が殺されるのを見過ごせなくて・・・・・・
【土壌改良】で死の荒野がSランク農園に!食べただけでレベルアップする野菜で、世界最強ギルド設立
黒崎隼人
ファンタジー
「え? これ、ただのトマトですよ?」
「いいえ、それは食べただけで魔力が全回復する『神の果実』です!」
ブラック企業で働き詰めだった青年は、異世界の名門貴族の三男・ノアとして転生する。
しかし、授かったスキルは【土壌改良】という地味なもの。
「攻撃魔法も使えない役立たず」と罵られ、魔物すら寄り付かない死の荒野へ追放されてしまう。
だが、彼らは知らなかった。
ノアのスキルは、現代の農業知識と合わせることで、荒れ果てた土地を「Sランク食材」が溢れる楽園に変えるチート能力だったことを!
伝説の魔獣(もふもふ)をキュウリ一本で手懐け、行き倒れた天才エルフを極上スープで救い出し、気づけば荒野には巨大な「農業ギルド」が誕生していた。
これは、本人がただ美味しい野菜を作ってのんびり暮らしたいだけなのに、周囲からは「世界を救う大賢者」と崇められてしまう、無自覚・最強の農業ファンタジー!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる