77 / 118
第2章
第77話 トレントへの勝利。『色欲』のメリス登場
しおりを挟む
ユウトは反撃に移る。
両手に魔力を込め、地面に触れた瞬間に激しい衝撃波を放つ。
『大地の震え』
それは巨大ワニの足元を揺さぶり、その巨体はバランスを崩していく。
ユウトはその隙を逃さない。素早く巨大ワニの背中に飛び乗り、両手に宿った魔力を解放する。
「詠唱 我が手に宿る炎の力よ 今こそ力を見せて焼き払え――――『炎剣《イグニスグラディウス》』」
その手から炎が燃え上がり、敵の体を包み込む。
巨大ワニは苦痛に身をよじりながらも、凶暴な咆哮を上げる。
しかし、暴れ狂う巨大ワニの上。ユウトは振り落とされないようにしっかりと巨大ワニの体にしがみつき、魔力の炎をさらに強める。
「喰らえ! もう一発だ――――『炎剣《イグニスグラディウス》』」
炎に身を焼かれていく巨大ワニの姿――――必死に抵抗。
身体をくねらせ、あるいは全身を振るわせるように暴れ続けるが、魔法使いの炎によって次第に弱まっていく。
「まだまだ、これで終わりじゃないぞ! ――――『炎剣《イグニスグラディウス》』」
再び魔力の炎を集中させると、一気に巨大ワニの体内に放出した。
直後――――激しい爆発が起こり、炎と煙が巨体の周りを包み込む。
炎が収まり、煙が晴れる。 ユウトは巨大ワニの倒れた姿を見る。
敵は力尽き、その脅威は消え去ったのだ。息をつきながら、戦いの終わりを迎えた。
――――そう思われた。 しかし、間違えてはいけない。
魔物『トレント』は巨大ワニの名前ではない。
巨大ワニを覆い包む植物の鎧。 生物に憑りついて操る寄生植物こそが『トレント』の正体だ。
寄生主である巨大ワニが倒れた事でトレントが出現。
勝敗を決して油断しただろう魔法使いに襲い掛かる。
巨大ワニの肉体から突如として飛び出すと、その巨大な蔓を振り回しながらユウトに向かって飛び掛かって来る。
だが、ユウトには奇襲は通用しなかった。なぜなら――――
「それは、もう経験済だ!」
あっさりとユウトが放った火炎魔法の直撃を浴びたトレント。
全身が炎に包まれ、苦しみから暴れ狂うも――――すぐに動きを止めて、燃え尽きた。
それを見届けたユウトは――――
「……もしかして、俺は強くなっているのか?」
この場所は、得意の『火剣』が通じにくい場所のはずだった。
しかし、それを物ともしない自身の火力――――
(いつの間にか、魔法の威力が上がっている。 炎の付加性、魔力の凝縮性、魔法発動までの速度……以前、戦った相手だからこそ、違いがわかる。やはり―――)
ユウトは雑囊の奥に仕舞われた魔導書に目をやる。
「やっぱり、魔導書の効果……書かれている料理のレシピの効果か?」
改めて口にすると不思議な感覚だ。
(料理を食べて強くなる……あり得るのか? いや、食事で体が良好になる事は否定できない。 しかし、魔法の効果が向上するってなんだ? 一度、本格的に調べてみるか?)
そんな事を考えながら、先に進む。
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・・
いつもの通り、隠しダンジョンの最奥。
光が漏れているのが見えた。 きっと、あの光の先には闘技場があるのだろう。
「さて、今回は……いや、この臭い」
ユウトは足を止めた。 この先から血の臭いが漂っていた。
反射的に探知魔法を発動する。 返って来る情報量――――
(この奥には、やはり闘技場が…… 2人いる!? いや、1人が魔物を倒している最中だ。おそらく、魔物がここの主だとしたら――――)
ユウトは、自身が気づくよりも早く駆けだしていた。
そして光の先、闘技場で広がる光景は――――
エルフの少女が立っていた。
彼女の足元には、倒れた女性――――おそらく半妖の魔物。
狐のような耳を持っていて、どこか神聖さを纏っている。
それを遊ぶように、いたぶっていたエルフの少女は、ユウトに気づいた。
「遅かったね 『暴食』の魔導書使い」
「――――誰だ?」
「私? 私は、メリス・ウィンドウィスパー……『色欲』の魔導書使いメリスよ」
「何をしている?」
「ん? 何に怒っているの? 私、怒られるような事をした?」
「彼女から、足をどけろ。そう言っているんだ」
エルフの少女、メリスが踏みつけている女性。 このダンジョンの主だろう。
ユウトは、その行為に不思議な怒りが湧き上がっていた。
「……これ、魔物よ? もしかして、人間みたいな見た目だから、感情移入をしてる? まぁ、良いわ」
そう言うと、彼女は踏み飛ばしている狐耳の女性を蹴り飛ばした。
「おまえ!」と感情を露わにしたユウトは、駆け出す。
両手に魔力を込め、地面に触れた瞬間に激しい衝撃波を放つ。
『大地の震え』
それは巨大ワニの足元を揺さぶり、その巨体はバランスを崩していく。
ユウトはその隙を逃さない。素早く巨大ワニの背中に飛び乗り、両手に宿った魔力を解放する。
「詠唱 我が手に宿る炎の力よ 今こそ力を見せて焼き払え――――『炎剣《イグニスグラディウス》』」
その手から炎が燃え上がり、敵の体を包み込む。
巨大ワニは苦痛に身をよじりながらも、凶暴な咆哮を上げる。
しかし、暴れ狂う巨大ワニの上。ユウトは振り落とされないようにしっかりと巨大ワニの体にしがみつき、魔力の炎をさらに強める。
「喰らえ! もう一発だ――――『炎剣《イグニスグラディウス》』」
炎に身を焼かれていく巨大ワニの姿――――必死に抵抗。
身体をくねらせ、あるいは全身を振るわせるように暴れ続けるが、魔法使いの炎によって次第に弱まっていく。
「まだまだ、これで終わりじゃないぞ! ――――『炎剣《イグニスグラディウス》』」
再び魔力の炎を集中させると、一気に巨大ワニの体内に放出した。
直後――――激しい爆発が起こり、炎と煙が巨体の周りを包み込む。
炎が収まり、煙が晴れる。 ユウトは巨大ワニの倒れた姿を見る。
敵は力尽き、その脅威は消え去ったのだ。息をつきながら、戦いの終わりを迎えた。
――――そう思われた。 しかし、間違えてはいけない。
魔物『トレント』は巨大ワニの名前ではない。
巨大ワニを覆い包む植物の鎧。 生物に憑りついて操る寄生植物こそが『トレント』の正体だ。
寄生主である巨大ワニが倒れた事でトレントが出現。
勝敗を決して油断しただろう魔法使いに襲い掛かる。
巨大ワニの肉体から突如として飛び出すと、その巨大な蔓を振り回しながらユウトに向かって飛び掛かって来る。
だが、ユウトには奇襲は通用しなかった。なぜなら――――
「それは、もう経験済だ!」
あっさりとユウトが放った火炎魔法の直撃を浴びたトレント。
全身が炎に包まれ、苦しみから暴れ狂うも――――すぐに動きを止めて、燃え尽きた。
それを見届けたユウトは――――
「……もしかして、俺は強くなっているのか?」
この場所は、得意の『火剣』が通じにくい場所のはずだった。
しかし、それを物ともしない自身の火力――――
(いつの間にか、魔法の威力が上がっている。 炎の付加性、魔力の凝縮性、魔法発動までの速度……以前、戦った相手だからこそ、違いがわかる。やはり―――)
ユウトは雑囊の奥に仕舞われた魔導書に目をやる。
「やっぱり、魔導書の効果……書かれている料理のレシピの効果か?」
改めて口にすると不思議な感覚だ。
(料理を食べて強くなる……あり得るのか? いや、食事で体が良好になる事は否定できない。 しかし、魔法の効果が向上するってなんだ? 一度、本格的に調べてみるか?)
そんな事を考えながら、先に進む。
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・・
いつもの通り、隠しダンジョンの最奥。
光が漏れているのが見えた。 きっと、あの光の先には闘技場があるのだろう。
「さて、今回は……いや、この臭い」
ユウトは足を止めた。 この先から血の臭いが漂っていた。
反射的に探知魔法を発動する。 返って来る情報量――――
(この奥には、やはり闘技場が…… 2人いる!? いや、1人が魔物を倒している最中だ。おそらく、魔物がここの主だとしたら――――)
ユウトは、自身が気づくよりも早く駆けだしていた。
そして光の先、闘技場で広がる光景は――――
エルフの少女が立っていた。
彼女の足元には、倒れた女性――――おそらく半妖の魔物。
狐のような耳を持っていて、どこか神聖さを纏っている。
それを遊ぶように、いたぶっていたエルフの少女は、ユウトに気づいた。
「遅かったね 『暴食』の魔導書使い」
「――――誰だ?」
「私? 私は、メリス・ウィンドウィスパー……『色欲』の魔導書使いメリスよ」
「何をしている?」
「ん? 何に怒っているの? 私、怒られるような事をした?」
「彼女から、足をどけろ。そう言っているんだ」
エルフの少女、メリスが踏みつけている女性。 このダンジョンの主だろう。
ユウトは、その行為に不思議な怒りが湧き上がっていた。
「……これ、魔物よ? もしかして、人間みたいな見た目だから、感情移入をしてる? まぁ、良いわ」
そう言うと、彼女は踏み飛ばしている狐耳の女性を蹴り飛ばした。
「おまえ!」と感情を露わにしたユウトは、駆け出す。
0
あなたにおすすめの小説
追放された『修理職人』、辺境の店が国宝級の聖地になる~万物を新品以上に直せるので、今さら戻ってこいと言われても予約で一杯です
たまごころ
ファンタジー
「攻撃力が皆無の生産職は、魔王戦では足手まといだ」
勇者パーティで武器や防具の管理をしていたルークは、ダンジョン攻略の最終局面を前に追放されてしまう。
しかし、勇者たちは知らなかった。伝説の聖剣も、鉄壁の鎧も、ルークのスキル『修復』によるメンテナンスがあったからこそ、性能を維持できていたことを。
一方、最果ての村にたどり着いたルークは、ボロボロの小屋を直して、小さな「修理屋」を開店する。
彼の『修復』スキルは、単に物を直すだけではない。錆びた剣は名刀に、古びたポーションは最高級エリクサーに、品質すらも「新品以上」に進化させる規格外の力だったのだ。
引退した老剣士の愛剣を蘇らせ、村の井戸を枯れない泉に直し、ついにはお忍びで来た王女様の不治の病まで『修理』してしまい――?
ルークの店には、今日も世界中から依頼が殺到する。
「えっ、勇者たちが新品の剣をすぐに折ってしまって困ってる? 知りませんが、とりあえず最後尾に並んでいただけますか?」
これは、職人少年が辺境の村を世界一の都へと変えていく、ほのぼの逆転サクセスストーリー。
追放された悪役令嬢、農業チートと“もふもふ”で国を救い、いつの間にか騎士団長と宰相に溺愛されていました
黒崎隼人
ファンタジー
公爵令嬢のエリナは、婚約者である第一王子から「とんでもない悪役令嬢だ!」と罵られ、婚約破棄されてしまう。しかも、見知らぬ辺境の地に追放されることに。
絶望の淵に立たされたエリナだったが、彼女には誰にも知られていない秘密のスキルがあった。それは、植物を育て、その成長を何倍にも加速させる規格外の「農業チート」!
畑を耕し、作物を育て始めたエリナの周りには、なぜか不思議な生き物たちが集まってきて……。もふもふな魔物たちに囲まれ、マイペースに農業に勤しむエリナ。
はじめは彼女を蔑んでいた辺境の人々も、彼女が作る美味しくて不思議な作物に魅了されていく。そして、彼女を追放したはずの元婚約者や、彼女の力を狙う者たちも現れて……。
これは、追放された悪役令嬢が、農業の力と少しのもふもふに助けられ、世界の常識をひっくり返していく、痛快でハートフルな成り上がりストーリー!
転生貴族の領地経営〜現代日本の知識で異世界を豊かにする
初
ファンタジー
ローラシア王国の北のエルラント辺境伯家には天才的な少年、リーゼンしかしその少年は現代日本から転生してきた転生者だった。
リーゼンが洗礼をしたさい、圧倒的な量の加護やスキルが与えられた。その力を見込んだ父の辺境伯は12歳のリーゼンを辺境伯家の領地の北を治める代官とした。
これはそんなリーゼンが異世界の領地を経営し、豊かにしていく物語である。
異世界へ誤召喚されちゃいました 女神の加護でほのぼのスローライフ送ります
モーリー
ファンタジー
⭐︎第4回次世代ファンタジーカップ16位⭐︎
飛行機事故で両親が他界してしまい、社会人の長男、高校生の長女、幼稚園児の次女で生きることになった御剣家。
保険金目当てで寄ってくる奴らに嫌気がさしながらも、3人で支え合いながら生活を送る日々。
そんな矢先に、3人揃って異世界に召喚されてしまった。
召喚特典として女神たちが加護やチート能力を与え、異世界でも生き抜けるようにしてくれた。
強制的に放り込まれた異世界。
知らない土地、知らない人、知らない世界。
不安をはねのけながら、時に怖い目に遭いながら、3人で異世界を生き抜き、平穏なスローライフを送る。
そんなほのぼのとした物語。
田舎農家の俺、拾ったトカゲが『始祖竜』だった件〜女神がくれたスキル【絶対飼育】で育てたら、魔王がコスメ欲しさに竜王が胃薬借りに通い詰めだした
月神世一
ファンタジー
「くそっ、魔王はまたトカゲの抜け殻を美容液にしようとしてるし、女神は酒のつまみばかり要求してくる! 俺はただ静かに農業がしたいだけなのに!」
ブラック企業で過労死した日本人、カイト。
彼の願いはただ一つ、「誰にも邪魔されない静かな場所で農業をすること」。
女神ルチアナからチートスキル【絶対飼育】を貰い、異世界マンルシア大陸の辺境で念願の農場を開いたカイトだったが、ある日、庭から虹色の卵を発掘してしまう。
孵化したのは、可愛らしいトカゲ……ではなく、神話の時代に世界を滅亡させた『始祖竜』の幼体だった!
しかし、カイトはスキル【絶対飼育】のおかげで、その破壊神を「ポチ」と名付けたペットとして完璧に飼い慣らしてしまう。
ポチのくしゃみ一発で、敵の軍勢は老衰で塵に!?
ポチの抜け殻は、魔王が喉から手が出るほど欲しがる究極の美容成分に!?
世界を滅ぼすほどの力を持つポチと、その魔素を浴びて育った規格外の農作物を求め、理知的で美人の魔王、疲労困憊の竜王、いい加減な女神が次々にカイトの家に押しかけてくる!
「世界の管理者」すら手が出せない最強の農場主、カイト。
これは、世界の運命と、美味しい野菜と、ペットの散歩に追われる、史上最も騒がしいスローライフ物語である!
迷宮攻略企業シュメール
秋葉夕雲
ファンタジー
今は中東と呼ばれるティグリス川とユーフラテス川、数千年前に栄えたメソポタミア文明、その現実とは異なる神話のただなか。
その都市の一つ、ウルクで生まれ育った少年エタリッツは家族のために迷宮に挑むこととなる。
非才の身でも、神に愛されずとも、もがけ。
家族転生 ~父、勇者 母、大魔導師 兄、宰相 姉、公爵夫人 弟、S級暗殺者 妹、宮廷薬師 ……俺、門番~
北条新九郎
ファンタジー
三好家は一家揃って全滅し、そして一家揃って異世界転生を果たしていた。
父は勇者として、母は大魔導師として異世界で名声を博し、現地人の期待に応えて魔王討伐に旅立つ。またその子供たちも兄は宰相、姉は公爵夫人、弟はS級暗殺者、妹は宮廷薬師として異世界を謳歌していた。
ただ、三好家第三子の神太郎だけは異世界において冴えない立場だった。
彼の職業は………………ただの門番である。
そして、そんな彼の目的はスローライフを送りつつ、異世界ハーレムを作ることだった。
二月から週二回更新になります。お気に入り・感想、宜しくお願いします。
「役立たず」と追放されたが、俺のスキルは【経験値委託】だ。解除した瞬間、勇者パーティーはレベル1に戻り、俺だけレベル9999になった
たまごころ
ファンタジー
「悪いがクビだ、アレン。お前のような戦闘スキルのない寄生虫は、魔王討伐の旅には連れていけない」
幼馴染の勇者と、恋人だった聖女からそう告げられ、俺は極寒の雪山に捨てられた。
だが、彼らは勘違いしている。
俺のスキルは、単なる【魔力譲渡】じゃない。
パーティメンバーが得た経験値を管理・分配し、底上げする【経験値委託(キックバック)】という神スキルだったのだ。
俺をパーティから外すということは、契約解除を意味する。
つまり――今まで彼らが俺のおかげで得ていた「かさ増しステータス」が消え、俺が預けていた膨大な「累積経験値」が全て俺に返還されるということだ。
「スキル解除。……さて、長年の利子も含めて、たっぷり返してもらおうか」
その瞬間、俺のレベルは15から9999へ。
一方、勇者たちはレベル70から初期レベルの1へと転落した。
これは、最強の力を取り戻した俺が、雪山の守り神である銀狼(美少女)や、封印されし魔神(美少女)を従えて無双し、新たな国を作る物語。
そして、レベル1に戻ってゴブリンにも勝てなくなった元勇者たちが、絶望のどん底へ落ちていく「ざまぁ」の記録である。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる