81 / 118
第2章
第81話 魔導書の秘密
しおりを挟む
『色欲』のメリスとの戦い。そして、勝利。
残されたユウトは「大丈夫か?」と闘技場の端で避難していた少女に話しかける。
人間の少女ではない。その耳が証左だろう。
妖狐《フォックス・スピリット》
彼女には狐の耳が生えていた。
「はい、ありがとうございます」と頭を下げる。それもペコリと音が聞こえてくるように可愛らしく。
ユウトは「……」となんと切り出して良いのか悩んで無言になる。
少女も「……?」と無言で首を傾げた。
「……えっと、俺はユウト・フィッシャー。この魔導書に導かれて、ここに来た……のだけど」
「あっ! はい! では戦いますか?」
「いや、さっきまでメリスと戦っていたみたいだけど」
それも負けていた。 その状態で戦うと選択肢が、浮かばないユウトだった。
「それじゃ、見逃してくれます? 勝った事にして差し上げるので」
「勝った事に……できるのか?」
「はい、簡単です! それではいきますよ」
「えい!」とかけ声と共に、ユウトの魔導書に変化が――――輝きを生み出した。
「魔導書が更新された。そう言えば……」と思い出す。
「さっきの戦い、あのメリスに勝った後に魔導書に変化があったのだけど……あれってなに?」
「え? えっと……シルキアやニクシアから説明を受けてませんか?」
「なんにも説明された記憶はないけど……」
いや、説明と言うと……
神が王を選ぶための儀式ってのは、ニクシアから聞いた覚えはある。
逆に言えば、そのくらいしかユウトは知らない。
「それは……えっと……サボりですね」
「……」
「では、代わりに私が説明いたしましょう。まず、魔導書は王になるための必須品です。王の候補に選ばれた者を有資格者と私たち使徒は呼んでます」
「有資格者……確かにあの2人――――シルキアとニクシアから、そう呼ばれているな」
「王になる資格を持つ者……だから、有資格者です。まず有資格者は7人います。ここまではご存知でしょうか?」
「――――いや、確かに聞いたことある。 7人も魔導書をもってる奴がいるってのは」
「よかったです。そこまで教えてないとしたら、2人にはお仕置きをしなければならないところでした」
「もしかして、あの2人よりも強いのか?」
「……さて」と妖狐《フォックス・スピリット》は誤魔化すように舌をだした。
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
彼女、妖狐《フォックス・スピリット》の説明では、こうだ。
神が王を認めるために作った魔導書。 それは7冊の魔導書だ。
それぞれ――――『傲慢』 『嫉妬 』『憤怒』『強欲』『怠惰』『暴食』『色欲』
魔導書の保有者には、特殊な能力が与えられる。
例えば、ユウトの『暴食』なら自己強化。 魔導書に書かれた料理を食べる事で、身体能力、魔力などの戦闘能力が強化されていく。
他の魔導書にも、それぞれ強化する方法が書かれているらしい。
魔導書に浮き出た地図は、隠しダンジョンがあり、そこを攻略する事で強化手段の追加――――つまり、ユウトの場合は料理が増えるということだ。
そして、王に近づくために、一番効率的な方法は――――魔導書使い同士の直接戦闘。
原則1対1で行われる決闘(ただし操作系能力の影響を受けた者は、その対象ではない)。
勝者は敗者から、魔導書を強化するため使った資源《リソース》を奪い取る事ができる。
「なるほど……凄い重要な情報じゃないか。なんでシルキアやニクシアは教えてくれなかったんだよ!」
「あの2人は使徒の中でも、ちょっと……」と苦笑する妖狐。
「今の説明だと、その魔導書使いを倒さなくても王になる事は可能って事でいいんだよな?」
「はい、魔導書で示される地図を使って、隠しダンジョンを攻略していけば不可能ではありませんね」
「う~ん、ところで隠しダンジョンって全部で幾つあるんだ?」
「全部ですか? 確か――――
1万4038カ所ありますね」
「……え? なに?」
「ですから、1万4038カ所の隠しダンジョンがあります」
「……」と絶句したユウト。 頭は左右に振って、冷静さを取り戻す。
「それを全部攻略しないと王とやらになれないわけじゃないよな?」
「それは……」
「それは?」
「わかりません」
「え?」
「私は保有している情報では、具体的に幾つのダンジョンを攻略したら神から王として認められるのか……詳細はありません」
「あ~ そりゃ、魔導書を持ってる連中はダンジョン攻略をやるよりも、他の連中を襲う事を優先するだろうなぁ……」
「そうですね」と彼女は再び苦笑いを見せた。
「魔導書が7冊。7人の魔導書使いがいるとして……まだ、誰もリタイアしてないのか?」
少し期待している。何人か脱落者がいる事を――――しかし、彼女の答えは、
「いませんね。幸いにも全員が健やかに戦っています」
「健やかに戦っている……ね。なんか矛盾を感じる表現だ。面白い」
それから、ユウトは最後に妖狐へ質問をした。
「最後に聞くのは失礼かもしれないけど……」
「はい、なんですか?」
「名前を聞いてなかった。」
「え? 私の名前ですか?」と妖狐は、驚いた表情になり、それから――――
「私の名前は、コノハです」と照れ臭そうに自分の名前を言った。
残されたユウトは「大丈夫か?」と闘技場の端で避難していた少女に話しかける。
人間の少女ではない。その耳が証左だろう。
妖狐《フォックス・スピリット》
彼女には狐の耳が生えていた。
「はい、ありがとうございます」と頭を下げる。それもペコリと音が聞こえてくるように可愛らしく。
ユウトは「……」となんと切り出して良いのか悩んで無言になる。
少女も「……?」と無言で首を傾げた。
「……えっと、俺はユウト・フィッシャー。この魔導書に導かれて、ここに来た……のだけど」
「あっ! はい! では戦いますか?」
「いや、さっきまでメリスと戦っていたみたいだけど」
それも負けていた。 その状態で戦うと選択肢が、浮かばないユウトだった。
「それじゃ、見逃してくれます? 勝った事にして差し上げるので」
「勝った事に……できるのか?」
「はい、簡単です! それではいきますよ」
「えい!」とかけ声と共に、ユウトの魔導書に変化が――――輝きを生み出した。
「魔導書が更新された。そう言えば……」と思い出す。
「さっきの戦い、あのメリスに勝った後に魔導書に変化があったのだけど……あれってなに?」
「え? えっと……シルキアやニクシアから説明を受けてませんか?」
「なんにも説明された記憶はないけど……」
いや、説明と言うと……
神が王を選ぶための儀式ってのは、ニクシアから聞いた覚えはある。
逆に言えば、そのくらいしかユウトは知らない。
「それは……えっと……サボりですね」
「……」
「では、代わりに私が説明いたしましょう。まず、魔導書は王になるための必須品です。王の候補に選ばれた者を有資格者と私たち使徒は呼んでます」
「有資格者……確かにあの2人――――シルキアとニクシアから、そう呼ばれているな」
「王になる資格を持つ者……だから、有資格者です。まず有資格者は7人います。ここまではご存知でしょうか?」
「――――いや、確かに聞いたことある。 7人も魔導書をもってる奴がいるってのは」
「よかったです。そこまで教えてないとしたら、2人にはお仕置きをしなければならないところでした」
「もしかして、あの2人よりも強いのか?」
「……さて」と妖狐《フォックス・スピリット》は誤魔化すように舌をだした。
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
彼女、妖狐《フォックス・スピリット》の説明では、こうだ。
神が王を認めるために作った魔導書。 それは7冊の魔導書だ。
それぞれ――――『傲慢』 『嫉妬 』『憤怒』『強欲』『怠惰』『暴食』『色欲』
魔導書の保有者には、特殊な能力が与えられる。
例えば、ユウトの『暴食』なら自己強化。 魔導書に書かれた料理を食べる事で、身体能力、魔力などの戦闘能力が強化されていく。
他の魔導書にも、それぞれ強化する方法が書かれているらしい。
魔導書に浮き出た地図は、隠しダンジョンがあり、そこを攻略する事で強化手段の追加――――つまり、ユウトの場合は料理が増えるということだ。
そして、王に近づくために、一番効率的な方法は――――魔導書使い同士の直接戦闘。
原則1対1で行われる決闘(ただし操作系能力の影響を受けた者は、その対象ではない)。
勝者は敗者から、魔導書を強化するため使った資源《リソース》を奪い取る事ができる。
「なるほど……凄い重要な情報じゃないか。なんでシルキアやニクシアは教えてくれなかったんだよ!」
「あの2人は使徒の中でも、ちょっと……」と苦笑する妖狐。
「今の説明だと、その魔導書使いを倒さなくても王になる事は可能って事でいいんだよな?」
「はい、魔導書で示される地図を使って、隠しダンジョンを攻略していけば不可能ではありませんね」
「う~ん、ところで隠しダンジョンって全部で幾つあるんだ?」
「全部ですか? 確か――――
1万4038カ所ありますね」
「……え? なに?」
「ですから、1万4038カ所の隠しダンジョンがあります」
「……」と絶句したユウト。 頭は左右に振って、冷静さを取り戻す。
「それを全部攻略しないと王とやらになれないわけじゃないよな?」
「それは……」
「それは?」
「わかりません」
「え?」
「私は保有している情報では、具体的に幾つのダンジョンを攻略したら神から王として認められるのか……詳細はありません」
「あ~ そりゃ、魔導書を持ってる連中はダンジョン攻略をやるよりも、他の連中を襲う事を優先するだろうなぁ……」
「そうですね」と彼女は再び苦笑いを見せた。
「魔導書が7冊。7人の魔導書使いがいるとして……まだ、誰もリタイアしてないのか?」
少し期待している。何人か脱落者がいる事を――――しかし、彼女の答えは、
「いませんね。幸いにも全員が健やかに戦っています」
「健やかに戦っている……ね。なんか矛盾を感じる表現だ。面白い」
それから、ユウトは最後に妖狐へ質問をした。
「最後に聞くのは失礼かもしれないけど……」
「はい、なんですか?」
「名前を聞いてなかった。」
「え? 私の名前ですか?」と妖狐は、驚いた表情になり、それから――――
「私の名前は、コノハです」と照れ臭そうに自分の名前を言った。
0
あなたにおすすめの小説
#密売じゃありません!ミツバイギフトで最高に美味しい果物作ったら、領主令息が夫になった件について
国府知里
ファンタジー
「がんばっても報われなかったあなたに」“スローライフ成り上がりファンタジー”
人生に疲れ果てた北村めぐみは、目覚めると異世界の農村で少女グレイスとして転生していた。この世界では6歳で神から“ギフト”を授かるという。グレイスが得た謎の力「ミツバイ」は、果物を蜜のように甘くするという奇跡の力だった!村を、領地を、やがて王国までも変えていく果樹栽培の物語がいま始まる――。美味しさが未来を育てる、異世界農業×スローライフ・ファンタジー!
異世界召喚されたけどスキルが地味だったので、現代知識とアイテムボックスで絶品料理を作ったら大商会になっちゃいました
黒崎隼人
ファンタジー
手違いで剣も魔法もない異世界に召喚された、しがない日本のサラリーマン、湊カイリ。
彼に与えられたのは、無限に物が入る【アイテムボックス】と、物の名前が分かる【鑑定】という、あまりにも地味な二つのスキルだけだった。
戦闘能力は皆無。途方に暮れるカイリだったが、異世界の食事が絶望的に不味いことを知り、大きなチャンスに気づく。
現代日本の「当たり前」の知識は、この世界ではとんでもない「宝」なのだと!
「醤油?味噌?そんなものがあれば、この世界の食文化はひっくり返るぞ!」
ひょんなことから出会った没落貴族の美少女・リリアナと共に、カイリは現代知識と地味スキルを駆使して屋台から商売をスタート。
絶品料理で人々の胃袋を掴み、さらには便利な生活用品を次々と発明していく。
伝説の神獣の幼体「フェン」やドワーフの鍛冶師など、頼れる仲間たちも加わり、彼らが立ち上げた「サンライズ商会」は瞬く間に大躍進!
迫り来る悪徳商会や腐敗した貴族の妨害も、現代のマーケティング術と知恵で痛快に打ち破る!
これは、平凡なサラリーマンが異世界の常識を覆し、食と生活に革命を起こして一代で大商会を築き上げる、痛快成り上がりファンタジー!
美味しい料理と、もふもふな相棒、そして仲間との絆。
人生、逆転できないことなんて何もない!
【完結】スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
異世界帰りの勇者、今度は現代世界でスキル、魔法を使って、無双するスローライフを送ります!?〜ついでに世界も救います!?〜
沢田美
ファンタジー
かつて“異世界”で魔王を討伐し、八年にわたる冒険を終えた青年・ユキヒロ。
数々の死線を乗り越え、勇者として讃えられた彼が帰ってきたのは、元の日本――高校卒業すらしていない、現実世界だった。
五十一歳、森の中で家族を作る ~異世界で始める職人ライフ~
よっしぃ
ファンタジー
【ホットランキング1位達成!皆さまのおかげです】
多くの応援、本当にありがとうございます!
職人一筋、五十一歳――現場に出て働き続けた工務店の親方・昭雄(アキオ)は、作業中の地震に巻き込まれ、目覚めたらそこは見知らぬ森の中だった。
持ち物は、現場仕事で鍛えた知恵と経験、そして人や自然を不思議と「調和」させる力だけ。
偶然助けたのは、戦火に追われた五人の子供たち。
「この子たちを見捨てられるか」――そうして始まった、ゼロからの異世界スローライフ。
草木で屋根を組み、石でかまどを作り、土器を焼く。やがて薬師のエルフや、獣人の少女、訳ありの元王女たちも仲間に加わり、アキオの暮らしは「町」と呼べるほどに広がっていく。
頼れる父であり、愛される夫であり、誰かのために動ける男――
年齢なんて関係ない。
五十路の職人が“家族”と共に未来を切り拓く、愛と癒しの異世界共同体ファンタジー!
巻き込まれ異世界召喚、なぜか俺だけ竜皇女の推しになった
ノラクラ
ファンタジー
俺、霧島悠斗は筋金入りの陰キャ高校生。
学校が終わったら即帰宅して、ゲームライフを満喫するのが至福の時間――のはずだった。
だがある日の帰り道、玄関前で学園トップスターたちの修羅場に遭遇してしまう。
暴君・赤城獅童、王子様系イケメン・天条院義孝、清楚系美少女・柊奏、その親友・羽里友莉。
よりによって学園の顔ぶれが勢ぞろいして大口論!?
……陰キャ代表の俺に混ざる理由なんて一ミリもない。見なかったことにしてゲームしに帰りたい!
そう願った矢先――空気が変わり、街に巨大な魔法陣が出現。
赤城たちは光に呑まれ、異世界へと召喚されてしまった。
「お~、異世界召喚ね。ラノベあるあるだな」
そう、他人事のように見送った俺だったが……。
直後、俺の足元にも魔法陣が浮かび上がる。
「ちょ、待て待て待て! 俺は陰キャだぞ!? 勇者じゃないんだぞ!?」
――かくして、ゲームライフを愛する陰キャ高校生の異世界行きが始まる。
異世界転生したおっさんが普通に生きる
カジキカジキ
ファンタジー
第18回 ファンタジー小説大賞 読者投票93位
応援頂きありがとうございました!
異世界転生したおっさんが唯一のチートだけで生き抜く世界
主人公のゴウは異世界転生した元冒険者
引退して狩をして過ごしていたが、ある日、ギルドで雇った子どもに出会い思い出す。
知識チートで町の食と環境を改善します!! ユルくのんびり過ごしたいのに、何故にこんなに忙しい!?
追放されたので田舎でスローライフするはずが、いつの間にか最強領主になっていた件
言諮 アイ
ファンタジー
「お前のような無能はいらない!」
──そう言われ、レオンは王都から盛大に追放された。
だが彼は思った。
「やった!最高のスローライフの始まりだ!!」
そして辺境の村に移住し、畑を耕し、温泉を掘り当て、牧場を開き、ついでに商売を始めたら……
気づけば村が巨大都市になっていた。
農業改革を進めたら周囲の貴族が土下座し、交易を始めたら王国経済をぶっ壊し、温泉を作ったら各国の王族が観光に押し寄せる。
「俺はただ、のんびり暮らしたいだけなんだが……?」
一方、レオンを追放した王国は、バカ王のせいで経済崩壊&敵国に占領寸前!
慌てて「レオン様、助けてください!!」と泣きついてくるが……
「ん? ちょっと待て。俺に無能って言ったの、どこのどいつだっけ?」
もはや世界最強の領主となったレオンは、
「好き勝手やった報い? しらんな」と華麗にスルーし、
今日ものんびり温泉につかるのだった。
ついでに「真の愛」まで手に入れて、レオンの楽園ライフは続く──!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる