追放された魔法使いは孤高特化型魔法使い(ぼっち)として秘密のダンジョンと大食いに挑む

チョーカ-

文字の大きさ
82 / 118
第2章

第82話 帰宅前 一方その頃――――

しおりを挟む
 いつも通り、ユウトは歩きながら魔導書の翻訳をしていた。

「そう言えば……他の連中も同じように、魔導書を翻訳させているならどうやって?」

 ユウトは魔法使いとして、多くの知識を有していた。

 魔導書に書かれている文字は、古代文字の部類。 翻訳するには、専門の教育を受けてなければ難しい……はず。

「俺みたいに、自分で訳せる奴もいるだろうけど……協力者がいる?」

 魔導書を翻訳できる者。世界で何人いるだろうか?

 ユウト自身が専門家とも言える高度な教育を受けているからこそ、想像ができる。

「そこから、魔導書使いの正体を暴けれる可能性が……」

 そんな事を考えているとエルフの里が見えてきた。

「ん? なんだか人が集まってる。少し騒がしいな」

 入口にはエルフたちが集まっていた。 その中の1人、ユウトの姿を見ると飛び出してきた。

 その人物はメイヴだ。

「メイヴ、何かあっ――――」と最後まで言えなかった。

 彼女が抱きついて来たからだ。

「ちょ、急に何を苦しい……苦し……きゅ~」と呼吸ができなくなっていった。

「よかったです。無事だったのですね、ユウト。実は――――ユウト?」

 そこでメイヴは、自分の腕の中でユウトが意識を失っている事に気がついた。

・・・

・・・・・・   

・・・・・・・・・

「……ここは?」

「あっ、目を覚ましましたかユウト。貴方は気を失っていたのですよ」

「気を失って……えっと、何があった? 記憶が曖昧で……」

「わかりません」とメイヴはハッキリと言った。

「あなたは、1人で里の外に出かけて、戻って来ると、いきなり倒れたのです」

「そうだったのか……そう言えば、そんな記憶もあるような、ないような」

「そんな事よりも、大変な事が起きました。 投獄されていたはずのダレスが脱獄したそうです!」

「ん? あぁ、それは……なんていうか、大変だね」

「……」とメイヴはジト目でユウトの様子を窺ってきた。

「その反応、何か知ってません?」

「いや、知らないよ」

「……そうですか。とりあえず、里長に知らせてきます」

「うん、行っておいで」

「やっぱり、何か知ってません?」

「いや、知らないよ」とやり取りを繰り返した。

 1人になったユウト。天井を見上げながら

「さて、これからどうするか?」

 なんて呟いた。

 敵は7人。 いや……7人は敵なのか?

 少し考える。 7人と戦う必要、俺にはあるのか?

「俺が王になりたい理由――――あるか?」

 自問自答する。 金、権力、名声……

「意外だ。そういう欲が俺にないのか? 冒険者って、そういう欲望を叶えるための職業じゃなかったのか?」

 呆然とする。 なんのために冒険者をやっているのか?

 目的とか、目標とか、そういうのがなく冒険者をやっていた?

「――――いや、1つだけあったな」とユウトは、荷物から魔導書を取り出した。

「暴食……俺らしい魔導書だ。 なんのために冒険者をやっていたのか思い出したぜ」

 パラパラとページをめくる。 まだ翻訳が終わってない部分。そこに書かれているであろう料理に思いを馳せる。

「俺は命を賭けた戦いに勝って、食べる飯が好きだった。それだけ、ここまで来たんだ」 

「フッ」とユウトは、思わず笑った。

 飯が美味いから、危険な事をする。

 強敵に勝った後の飯が美味いから戦う。

 そんな戦闘中毒者や、戦闘狂みたいな側面が自分にあった事が面白かった。

「今は早く町に戻って、店主に料理を作って貰いたいな」

 そんな事をユウトは呟いた。

・・・

・・・・・・

・・・・・・・・・・
 
 一方その頃――――

「まさか、このタイミングで襲って来るほど、節操がない女だとは思わなったよ」

 そう言うのは『色欲』のメリスだ。 場所は、彼女の住み家。

 負けたばかりの彼女を狙っての敵襲を受けていた。 その相手は――――

「こっちも想定外よ。アンタがユウトに負けるなんてね」

 敵の正体は『怠惰』 つまり、レイン・アーチャーだった。

「まぁ、ラッキーだわ。同タイプの魔導書使いを最初の頃に潰せるなんてね!」

 レインは魔導書を開いた。 それと同時にメリスも魔導書を開く。

 互いに魔法を発動。地面に魔法陣が出現して――――

「行け、ミカエル!」

「来なさい、ダレス!」

 それぞれ、支配下にある戦士が召喚された。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

異世界転生したおっさんが普通に生きる

カジキカジキ
ファンタジー
 第18回 ファンタジー小説大賞 読者投票93位 応援頂きありがとうございました!  異世界転生したおっさんが唯一のチートだけで生き抜く世界  主人公のゴウは異世界転生した元冒険者  引退して狩をして過ごしていたが、ある日、ギルドで雇った子どもに出会い思い出す。  知識チートで町の食と環境を改善します!! ユルくのんびり過ごしたいのに、何故にこんなに忙しい!?

没落した貴族家に拾われたので恩返しで復興させます

六山葵
ファンタジー
生まれて間も無く、山の中に捨てられていた赤子レオン・ハートフィリア。 彼を拾ったのは没落して平民になった貴族達だった。 優しい両親に育てられ、可愛い弟と共にすくすくと成長したレオンは不思議な夢を見るようになる。 それは過去の記憶なのか、あるいは前世の記憶か。 その夢のおかげで魔法を学んだレオンは愛する両親を再び貴族にするために魔法学院で魔法を学ぶことを決意した。 しかし、学院でレオンを待っていたのは酷い平民差別。そしてそこにレオンの夢の謎も交わって、彼の運命は大きく変わっていくことになるのだった。 ※2025/12/31に書籍五巻以降の話を非公開に変更する予定です。 詳細は近況ボードをご覧ください。

高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません

下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。 横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。 偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。 すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。 兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。 この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。 しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。

五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~

放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」 大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。 生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。 しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。 「すまない。私は父としての責任を果たす」 かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。 だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。 これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。

辺境貴族ののんびり三男は魔道具作って自由に暮らします

雪月夜狐
ファンタジー
書籍化決定しました! (書籍化にあわせて、タイトルが変更になりました。旧題は『辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~』です) 壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。 辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。 しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。

英雄将軍の隠し子は、軍学校で『普通』に暮らしたい。~でも前世の戦術知識がチートすぎて、気付けば帝国の影の支配者になっていました~

ヒミヤデリュージョン
ファンタジー
帝国の辺境で、ただ静かに生き延びたいと願う少年、ヴァン。 彼に正義感はない。あるのは、前世の記憶と、母が遺した『物理法則を応用した高圧魔力』という危険な理論だけだ。 敵の大軍が迫る中、ヴァンは剣も振るわず、補給線と心理を切り裂く。 結果、敵軍は撤退。代償も、喝采も、彼には無意味だった。 だが、その「効率的すぎる勝利」は帝国の目に留まり、彼は最高峰の『帝国軍事学院』へと引きずり出される。 「英雄になりたいわけじゃない。生き残りたいだけだ」 謎の仮面メイド『シンカク』、命を取引に差し出した狼耳の少女『アイリ』。 少年は選択する。正義ではなく、最も費用対効果の高い道を。 これは、合理が英雄譚を侵食していく、学園ミリタリーファンタジー。 【※作者は日本語を勉強中の外国人です。翻訳ソフトと辞書を駆使して執筆しています。至らない点もあるかと思いますが、物語を楽しんでいただければ幸いです。】

【完結】スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

転生貴族の領地経営〜現代日本の知識で異世界を豊かにする

ファンタジー
ローラシア王国の北のエルラント辺境伯家には天才的な少年、リーゼンしかしその少年は現代日本から転生してきた転生者だった。 リーゼンが洗礼をしたさい、圧倒的な量の加護やスキルが与えられた。その力を見込んだ父の辺境伯は12歳のリーゼンを辺境伯家の領地の北を治める代官とした。 これはそんなリーゼンが異世界の領地を経営し、豊かにしていく物語である。

処理中です...