追放された魔法使いは孤高特化型魔法使い(ぼっち)として秘密のダンジョンと大食いに挑む

チョーカ-

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第2章

第111話 ユウトの作戦と地下路

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 目前に広がる光景。3000の兵士が向かってくるのは壮観だった。

「おいおい、流石にこれは洒落にならないじゃないか?」

 迫り来る軍勢。それに対してユウトの声は、なぜか軽い。

 それにインファは、眉を顰めながら――――

「言葉のわりに余裕があるじゃないか? 何か手があるのか?」

「さて……ね? 打開する方法はあるけど、気が進まない」

「ふん、気が進まないか。面白い、やってみせろ」

「それじゃ、ドラゴンから人の形態に戻ってくれないか?」

「うむ」とインファを素直に応じる。それから、

「こっちだ」と言うユウトの後について行く。

 途中、彼の目的地に気づいたインファは笑った。 

「くっくっく……やはり、面白い事を思いつく奴だな。中々、性格が悪い」 

・・・

・・・・・・

・・・・・・・・・

「止まれ!」と軍の指揮官は叫んだ。 

 目前には呆然と立ちすくむルオン王子。当然、お救いするべきだ。

「ご無事ですか?」と司令官の声に「あぁ」とルオン王子は答える。

 どうも心ここに非ずといった様子。 すぐに彼が負っている傷の深さに気づいた。

(ひどい怪我だ。なんせ、あのドラゴンに挑んだのだ……。しかし、回復薬があれば問題なかろう)

 司令官はルオン王子の負傷に納得する。 だが、彼が呆然としている本当の理由はわからないだろう。 

 ルオン王子が持っていた本————魔導書が焼け落ちて失っている事を気づくはずもない。

「すぐに治療を」と衛生兵に王子を任せる。

 なぜなら彼の……いや、軍の目的はドラゴンだからだ。

(だが、今はその巨大な姿を見失った……そんな事があるだろうか? 一体、どこに隠れた?)

 指揮官の動揺は、兵をも乱す。 敵を見失い行き場を無くした3000人の兵たち。

「ならば……」と自身の麾下《きか》から、素早く目の良い者を10名集める。

 いずれも冒険者として経験のある者だ。 魔法で姿を消した者も発見できる力量を持つ。

「お前たち、姿を消したドラゴンを探せ!」

 散開して周辺を探り始めた彼等は優秀な人材のようだった。すぐに――――

「隠し通路を発見しました」と声が聞こえてきた。

「うむ……地下路か。この辺りならば……」と司令官は頭の中で地図を開いた。

 彼が司令官として、今回の指揮を任せられた理由。それは市街戦での能力が高さによるもの。 増して、ここは彼の住んでいる城下町……何度も戦闘シミュレーションは行われている。

「この地下と繋がる水源はない。 いきなり、水計に襲われる事もないだろう」

 彼は馬を捨て、地下路へ飛び込んだ。 配下たちも――――

「司令官に続け!」と追いかけていく。 無論、3000の兵が地下路を進むわけには行かない。 地下路を進むのは司令官直属の精鋭……それでも100は近い兵力だ。

 集団が地下を駆け抜けていく。 

「妙だな」と司令官は並走する腹心に呟いた。

 腹心の男は上司に「何が?」と聞くわけにはいかない。わからないまま「はい」と同意するしかない。

「ここには想定していたような罠はない。我らが王の密偵が調べた所、敵には魔法使いのユウト・フィッシャーがいたはず……」

 彼等が聞かされた敵勢力。 そこには最上位冒険者であるメイヴ・ブラッドウッドがいたのは、驚かされた。

 しかし、それだけではない。

「俺らの敵には、あの冒険者……ミカエル・シャドウがいる」

 腹心は、緊張のあまり喉を鳴らす。 

 A級冒険者として頭角を現したミカエル。

 個人の戦闘能力ならばS級冒険者のメイヴが上……しかし、統率力の高さはミカエル・シャドウには、職業軍人たちも評価しなければならないほどのもの。
  
「あの男が反逆者どもの指示を取っているなら、ここらでユウトとレインによる遠距離攻撃を仕掛けて来るはず……」

「しかし、追撃の気配もありません。そもそも、本当に反逆者たちは地下路に逃げたのでしょうか?」

「――――情報が少ない。地上では残った兵が捜索をしているはず……今は、我らは進む先にいる。そう信じるしかなかろう」

 そんな会話を交えてる最中、司令官は違和感を覚えた。

(むっ! 体にふらつきが……呼吸が乱れる。まさか、不可視の毒をながされたのか?)

 他の兵たちの足が止まっている。 鍛え抜かれた精鋭たちが、運動不足の中年男性のように息を上げて――――

「いや、待て! お前等……一体誰だ?」

 司令官は気がついた。 自身の部下たちの顔が変わっている。

「いつの間に別人と入れ替わったのだ!」

「な、何を言って……司令官殿、ご乱心か!」と腹心の男が司令官を止めようとする。

 しかし、互いに「「あっ!」」と驚きの声を上げた。

 司令官と腹心。 彼等の顔は――――

「ふ、老けている! そんな僅かな時間で歳を取っている!?」  
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