魔法令嬢アリスは星空に舞いたい

チョーカ-

文字の大きさ
8 / 42

第8話 最強の魔法使い登場

しおりを挟む
 ゴトゴトと音を出して揺れ動く馬車の中。

 アリスはモズリーを一緒に王城に向かっていた。

「モズリー先生、そのミゲール・コットさんって言うのは、どのような方なのですか?」

「そうですね……端的に言ってしまえば、破天荒な行動をする人物。あるいは破壊神……のような人物ですね」

「破壊神……ですか?」とアリスは首を傾げた。

「ずいぶんと攻撃的な魔法を研究されている方なのですね」

 自分で口にしながら、疑問が湧き出た。

(あれ? モズリー先生は、私が攻撃魔法の指導を受けれる年齢ではないから、新しい先生を招くって話じゃなかったかしら?) 

 一方の、モズリー先生は、

「いや、違うんだ、アリス。彼女は、彼女の在り方と言うのは……表現するには、あまりにも言葉が足りない。なんて言うか……彼女は破壊神なんだよ」

 引き攣った表情で、言葉を探している姿を見せられ、

(なんで、そんな人を推薦したのかしら、この人?)

 なんて、アリスは不安になってきた。

 さて――――

 魔法の家庭教師を宮廷魔法使いに頼む。それは簡単なことではない。

 なんせ、宮廷魔法使いというのは、

 国に有益な魔法の研究を行う研究者であり、

 戦争が起きれば、戦場で軍師のように兵士に指示を出し、

 時には内政に、国家戦略に意見を出さなければならない。

 要するに、

 宮廷魔法使いというのは、研究者であり、軍師であり、政治家であるということだ。

 だから、王城に部屋を与えられ、そこを生活の基盤としている。

 いくら公爵家の権力があっても、家庭教師として呼び寄せるは容易ではない。

 だが、この話が出た時、本人であるミゲール・コットは――――

「いいぜ。ただし、条件がある。魔法の家庭教師をやるっていうことは、弟子を取るってことだろ? それじゃ、王城までアリスって子供を連れてこいよ。面談ってわけじゃねぇけど、私の弟子に相応しい力量を見せて欲しいもんだぜ!」

 そんな返答だったため、モズリーはアリスと連れて王城まで、ミゲール・コットに会いに来たのだ。

「凄いですね。王都ってこんなにも人が多くて、賑わっているのですか!?」

 アリスは馬車の窓から、興味深そうに外を眺めてる。

「アリスは、初めてですか? 王都に来たのは」

「はい! 社交界デビューもまだですから……あっ! 見えてきました。あそこに見えるのが王城ですよね?」

 モズリーも馬車から外を見た。

 見上げるほどに巨大な建造物。間違いなく、この国を代表する城であった。

 門番が馬車を確認すると、中に入るように許可が出た。

 到着。 

 馬車から出たアリスは、改めて城の大きさを確認するように見上げる。すると――――

「先生、あそこに人がいませんか?」

「え?」とアリスが指す場所をモズリーも見ると、彼女は「――――」と無言で嫌そうな顔を見せる。

「もしかして、あの人ですか?」

「えぇ、あの人です。城の、それも王城の天辺に登って、私たちを迎えるなんて傍若無人が許されるのは……」

「あっ! 飛び降りました」とアリス。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

最愛の番に殺された獣王妃

望月 或
恋愛
目の前には、最愛の人の憎しみと怒りに満ちた黄金色の瞳。 彼のすぐ後ろには、私の姿をした聖女が怯えた表情で口元に両手を当てこちらを見ている。 手で隠しているけれど、その唇が堪え切れず嘲笑っている事を私は知っている。 聖女の姿となった私の左胸を貫いた彼の愛剣が、ゆっくりと引き抜かれる。 哀しみと失意と諦めの中、私の身体は床に崩れ落ちて―― 突然彼から放たれた、狂気と絶望が入り混じった慟哭を聞きながら、私の思考は止まり、意識は閉ざされ永遠の眠りについた――はずだったのだけれど……? 「憐れなアンタに“選択”を与える。このままあの世に逝くか、別の“誰か”になって新たな人生を歩むか」 謎の人物の言葉に、私が選択したのは――

冷遇王妃はときめかない

あんど もあ
ファンタジー
幼いころから婚約していた彼と結婚して王妃になった私。 だが、陛下は側妃だけを溺愛し、私は白い結婚のまま離宮へ追いやられる…って何てラッキー! 国の事は陛下と側妃様に任せて、私はこのまま離宮で何の責任も無い楽な生活を!…と思っていたのに…。

【12月末日公開終了】これは裏切りですか?

たぬきち25番
恋愛
転生してすぐに婚約破棄をされたアリシアは、嫁ぎ先を失い、実家に戻ることになった。 だが、実家戻ると『婚約破棄をされた娘』と噂され、家族の迷惑になっているので出て行く必要がある。 そんな時、母から住み込みの仕事を紹介されたアリシアは……?

【12月末日公開終了】有能女官の赴任先は辺境伯領

たぬきち25番
恋愛
辺境伯領の当主が他界。代わりに領主になったのは元騎士団の隊長ギルベルト(26) ずっと騎士団に在籍して領のことなど右も左もわからない。 そのため新しい辺境伯様は帳簿も書類も不備ばかり。しかも辺境伯領は王国の端なので修正も大変。 そこで仕事を終わらせるために、腕っぷしに定評のあるギリギリ貴族の男爵出身の女官ライラ(18)が辺境伯領に出向くことになった。   だがそこでライラを待っていたのは、元騎士とは思えないほどつかみどころのない辺境伯様と、前辺境伯夫妻の忘れ形見の3人のこどもたち(14歳男子、9歳男子、6歳女子)だった。 仕事のわからない辺境伯を助けながら、こどもたちの生活を助けたり、魔物を倒したり!? そしていつしか、ライラと辺境伯やこどもたちとの関係が変わっていく…… ※お待たせしました。 ※他サイト様にも掲載中

これで、私も自由になれます

たくわん
恋愛
社交界で「地味で会話がつまらない」と評判のエリザベート・フォン・リヒテンシュタイン。婚約者である公爵家の長男アレクサンダーから、舞踏会の場で突然婚約破棄を告げられる。理由は「華やかで魅力的な」子爵令嬢ソフィアとの恋。エリザベートは静かに受け入れ、社交界の噂話の的になる。

「25歳OL、異世界で年上公爵の甘々保護対象に!? 〜女神ルミエール様の悪戯〜」

透子(とおるこ)
恋愛
25歳OL・佐神ミレイは、仕事も恋も完璧にこなす美人女子。しかし本当は、年上の男性に甘やかされたい願望を密かに抱いていた。 そんな彼女の前に現れたのは、気まぐれな女神ルミエール。理由も告げず、ミレイを異世界アルデリア王国の公爵家へ転移させる。そこには恐ろしく気難しいと評判の45歳独身公爵・アレクセイが待っていた。 最初は恐怖を覚えるミレイだったが、公爵の手厚い保護に触れ、次第に心を許す。やがて彼女は甘く溺愛される日々に――。 仕事も恋も頑張るOLが、異世界で年上公爵にゴロニャン♡ 甘くて胸キュンなラブストーリー、開幕! ---

王宮地味女官、只者じゃねぇ

宵森みなと
恋愛
地味で目立たず、ただ真面目に働く王宮の女官・エミリア。 しかし彼女の正体は――剣術・魔法・語学すべてに長けた首席卒業の才女にして、実はとんでもない美貌と魔性を秘めた、“自覚なしギャップ系”最強女官だった!? 王女付き女官に任命されたその日から、運命が少しずつ動き出す。 訛りだらけのマーレン語で王女に爆笑を起こし、夜会では仮面を外した瞬間、貴族たちを騒然とさせ―― さらには北方マーレン国から訪れた黒髪の第二王子をも、一瞬で虜にしてしまう。 「おら、案内させてもらいますけんの」 その一言が、国を揺らすとは、誰が想像しただろうか。 王女リリアは言う。「エミリアがいなければ、私は生きていけぬ」 副長カイルは焦る。「このまま、他国に連れて行かれてたまるか」 ジークは葛藤する。「自分だけを見てほしいのに、届かない」 そしてレオンハルト王子は心を決める。「妻に望むなら、彼女以外はいない」 けれど――当の本人は今日も地味眼鏡で事務作業中。 王族たちの心を翻弄するのは、無自覚最強の“訛り女官”。 訛って笑いを取り、仮面で魅了し、剣で守る―― これは、彼女の“本当の顔”が王宮を変えていく、壮麗な恋と成長の物語。 ★この物語は、「枯れ専モブ令嬢」の5年前のお話です。クラリスが活躍する前で、少し若いイザークとライナルトがちょっと出ます。

P.S. 推し活に夢中ですので、返信は不要ですわ

汐瀬うに
恋愛
アルカナ学院に通う伯爵令嬢クラリスは、幼い頃から婚約者である第一王子アルベルトと共に過ごしてきた。しかし彼は言葉を尽くさず、想いはすれ違っていく。噂、距離、役割に心を閉ざしながらも、クラリスは自分の居場所を見つけて前へ進む。迎えたプロムの夜、ようやく言葉を選び、追いかけてきたアルベルトが告げたのは――遅すぎる本心だった。 ※こちらの作品はカクヨム・アルファポリス・小説家になろうに並行掲載しています。

処理中です...