上 下
15 / 42

第15話 ジャングルに冒険に行こう!

しおりを挟む
「そうか。それじゃ、アリスに会える回数が増えるのか」と呟いた。

 それを聞いていたミゲールとモズリーはニヤニヤとしていたが、

 アリスはよくわからず「?」と小首を傾げていた。

 しばらく、アリスはミゲールから魔法の指導を(相変わらず攻撃魔法の指導は受けれず)受けて過ごしていた。

 そんな時だった。 唐突にミゲールは――――

「暇だな……」

「いえ、魔法の指導中に暇とか言わないでくださいよ」

「ちぇ、真面目だね。いいだろ? 暇な時は暇なんだよ!」 


 まるで子供のように駄々をこねるミゲールだったが、急に思いついたらしい。

「そうだ! 現地調査だ! 魔法は机に向かって勉強してるだけじゃダメなんだぜ!」

「別に先生の授業、机に座って教える事ないじゃないですか?」

「屁理屈をいうな!」

「えぇ……」

「魔法の研究のために古代遺跡に行くぞ! 明日な、明日! 別の国だから、いろいろ用意しておけよ!」

 こうして、思いつきのようにアリスはミゲールと冒険に出かける事に決まった。 
 
・・・

・・・・・・

・・・・・・・・・

 翌日――――

「なんで普段と同じドレスで来てるんだよ!」

 王城で待っていたミゲールはサファリスタイルで怒鳴った。

 本来、サファリと言うの小旅行という意味だ。 それが転じて、ジャングルで目的の動物を探索、発見、観察する……そのための恰好だ。

「昨日、ジャングルに行くって言っただろ!」

「――――いえ、言ってませんよ?」

「あれ? そうだったかな……まぁいいだろ。行こうぜ!」

「えっと、もう少し説明をお願いします。古代遺跡に行くとしか聞いてませんよ?」 

「仕方ねぇな。さて、どこから説明したらいいか――――」

 ミゲールは説明を始めた。

 この世界には、まだまだ未知の魔法が存在している。

 例えば、今回の目的のような古代遺跡――――要するにダンジョンだ。

 そういう場所には、儀式や媒体を利用した大規模魔法の痕跡が残っている。

 それらの研究、実験、再現が魔法使いとしてのミゲール・コットが行う仕事の1つ……彼女の場合、趣味の要素が高い。 

「今回は、特別立ち入り禁止になってる危険度最高クラスのダンジョンだ!」

「帰っていいですか?」

「コラッ! ちょっと待て、帰るな! 帰るな! 他ならぬ『世界最強の魔法使い』である私が行くんだぞ? 安心して構わないぞ」

「いえいえ、ミゲール先生と一緒だから不安なんですよ」

「そんな鉄壁な防御魔法を持っていて、不安視する要素はないだろ? それに――――」

「それに、なんです?」

「お前の風魔法は便利なんだよ。移動に空飛べる。ジャングルで快適に寝れる」

「私の魔法で野宿するつもりですか!?」

「おいおい、そんなに露骨に嫌そうな顔をするな。魔法の研究するなら実地調査は必要だぞ」

「わかりましたよ。旅行の準備はしてきましたので」

「いいね! お前がいてくれて助かるぜ! 荷物はいくらあっても問題ないからな」

「――――はい?」
しおりを挟む

処理中です...