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第14話 お城でクロと再会しました
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「なんでぇ、なんでぇ! お前らいい仲なのか、まだ若いのに隅に置けないね!」
「いえ、いい仲というよりも私とクロは婚約者なので」
平然と言うアリス。対してクロは少し照れているように見える。
「婚約者……だと!!」とミゲールは真顔になる。
「はい、いい仲か? って聞かれても、答えるなら将来を誓い合った仲です」
「……将来を誓い合った仲?」
「そう言えば、ミゲール先生って若く見えますけど何歳なのですか?」
それは、ミゲールが『まだ若いのに――――』と言った言葉から来た物であるが、ミゲールは心臓をナイフで刺されたような顔をしている。
離れて聞いていたモズリーは、ゆっくりと近づいてアリスの肩をポン!と叩くと――――
「アリス……年齢の話は、それくらいにしておいてあげなさい」
「くっ! モズリー! お前だって同じ歳だぞ! なんだ、その余裕は! まさか、お前! 私の知らない間に――――」
「何を言うつもりですか! 子供たちの前で!」
「私の知らない間に大人の階段を上ってしまったのか……」
「……」と微妙な表情を見せるモズリー。
アリスとクロは意味もわからず「?」と疑問符を浮かべていた。
その時だった。 集団が歩いてくるのが見えた。
「グラハム王子……」とクロの呟き。それでアリスも気がついた。
一番前を颯爽と歩く人物。集団の正体は、グラハム王子の取り巻き。
グラハム王子は、この国の第一王子……グラハム・オブ・ブラック。
つまり、次期国王の最有力者になる。
彼の側近となれば、将来は―――― 王の側近となることが約束されるも同じ。
(あの人が……そう言われてみるとクロに似ている)
「おや、エドワードじゃないか」と初めてそこにクロがいる事に気づいたように声をかけて来た。
「……」と顔を逸らすクロをグラハムは鼻で笑う。それだけで2人の力関係がわかってしまう。
グラハムは、アリスたちに視線を向ける。
「おや、客人かね? あぁ、彼女がウワサに聞くマクレイガー公爵の――――」
「私の弟子でもあるけどな」
グラハムは、言葉の主に――――ミゲールに気づくと
「――――」と無言で顔を青く染めた。
「おう! 王様候補さんよ! 最近、私とは遊んでくれないじゃねぇか。まるで避けられてみたいで悲しいぜ。今度、手頃なダンジョンの最下層まで行って楽しもうぜ? キャンプとか、狩猟とかな」
「ミ、ミゲールさま、最近は忙しくて顔を見せれずに……えっと、時間が空けば今度――――さようなら!」
そう言うとグラハムは、まるで逃げるように――――いや、実際に逃げて行ったのだった。
「やれやれ、グラハムちゃんも昔は可愛い男の子だったのにさぁ。何があって人の顔を見て逃げるような子になっちまったんだか」
「いや、貴方との会話を聞けば、だいたいの見当は付きますよ」
「マジか、モズリー! 教えてくれよ。私とお前の仲だろ!」
そんな一幕もあり、ミゲールはアリスの師匠となった。
もっとも、宮廷魔法使いであるミゲールはモズリーのようにマクレイガー公爵家に住み込みで家庭教師のような事は出来ない。
基本的にアリスが王城に来て、ミゲールから指導を受ける。
週に2日ほどは逆にミゲールがマクレイガー公爵家に指導に来る。
そういう風に決まった。 それを聞いていたクロは――――
「そうか。それじゃ、アリスに会える回数が増えるのか」と呟いた。
「いえ、いい仲というよりも私とクロは婚約者なので」
平然と言うアリス。対してクロは少し照れているように見える。
「婚約者……だと!!」とミゲールは真顔になる。
「はい、いい仲か? って聞かれても、答えるなら将来を誓い合った仲です」
「……将来を誓い合った仲?」
「そう言えば、ミゲール先生って若く見えますけど何歳なのですか?」
それは、ミゲールが『まだ若いのに――――』と言った言葉から来た物であるが、ミゲールは心臓をナイフで刺されたような顔をしている。
離れて聞いていたモズリーは、ゆっくりと近づいてアリスの肩をポン!と叩くと――――
「アリス……年齢の話は、それくらいにしておいてあげなさい」
「くっ! モズリー! お前だって同じ歳だぞ! なんだ、その余裕は! まさか、お前! 私の知らない間に――――」
「何を言うつもりですか! 子供たちの前で!」
「私の知らない間に大人の階段を上ってしまったのか……」
「……」と微妙な表情を見せるモズリー。
アリスとクロは意味もわからず「?」と疑問符を浮かべていた。
その時だった。 集団が歩いてくるのが見えた。
「グラハム王子……」とクロの呟き。それでアリスも気がついた。
一番前を颯爽と歩く人物。集団の正体は、グラハム王子の取り巻き。
グラハム王子は、この国の第一王子……グラハム・オブ・ブラック。
つまり、次期国王の最有力者になる。
彼の側近となれば、将来は―――― 王の側近となることが約束されるも同じ。
(あの人が……そう言われてみるとクロに似ている)
「おや、エドワードじゃないか」と初めてそこにクロがいる事に気づいたように声をかけて来た。
「……」と顔を逸らすクロをグラハムは鼻で笑う。それだけで2人の力関係がわかってしまう。
グラハムは、アリスたちに視線を向ける。
「おや、客人かね? あぁ、彼女がウワサに聞くマクレイガー公爵の――――」
「私の弟子でもあるけどな」
グラハムは、言葉の主に――――ミゲールに気づくと
「――――」と無言で顔を青く染めた。
「おう! 王様候補さんよ! 最近、私とは遊んでくれないじゃねぇか。まるで避けられてみたいで悲しいぜ。今度、手頃なダンジョンの最下層まで行って楽しもうぜ? キャンプとか、狩猟とかな」
「ミ、ミゲールさま、最近は忙しくて顔を見せれずに……えっと、時間が空けば今度――――さようなら!」
そう言うとグラハムは、まるで逃げるように――――いや、実際に逃げて行ったのだった。
「やれやれ、グラハムちゃんも昔は可愛い男の子だったのにさぁ。何があって人の顔を見て逃げるような子になっちまったんだか」
「いや、貴方との会話を聞けば、だいたいの見当は付きますよ」
「マジか、モズリー! 教えてくれよ。私とお前の仲だろ!」
そんな一幕もあり、ミゲールはアリスの師匠となった。
もっとも、宮廷魔法使いであるミゲールはモズリーのようにマクレイガー公爵家に住み込みで家庭教師のような事は出来ない。
基本的にアリスが王城に来て、ミゲールから指導を受ける。
週に2日ほどは逆にミゲールがマクレイガー公爵家に指導に来る。
そういう風に決まった。 それを聞いていたクロは――――
「そうか。それじゃ、アリスに会える回数が増えるのか」と呟いた。
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******
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