39 / 92
第39話 VSホスト系ダンジョン配信者
しおりを挟む
「すいません! こっち配信中ですが、問題ないですよね?」
俺は、ダンジョンで配信者同士がかち合った時の決まりの挨拶をして、ひょこひょこと姿を見せた。
最初に気づいたのはリーダーの男。
「────ッ! し、獅堂ライガ……だと!」
この男について、事前にホストクラブ『乱魔』に行って訊ねている。
名前は─── 片桐狂児。 本名は、山本浩二らしい。
狂児に遅れて気づいた他の連中も騒ぎ始める。
「獅堂ライガ!? 馬鹿な、さっきまで配信をしてたはず」
「配信を終えて20分で、ここまで来たってのか?」
「馬鹿やろ。そんなわけあるか。録画を流してたか、数十分単位で配信を遅延させていたんだ」
「そ、そうだよ。 このダンジョン階層に来るまで2時間……いや、3時間は必要だ」
騒ぐ彼等を見て、俺は───
「統率が取れてないなぁ。ただ好き勝手に暴れるだけで、ダンジョン配信者未満……荒くれ者って感じか」
少し挑発してみた。
ちなみ、ここまでたどり着くのに走って数分。3時間も必要ない。
なんなら、事前にホスト『乱魔』に立ち寄って、話を聞かせてもらってから来た。
それは、さておき……挑発の結果は?
「狂児さん、やりましょう!」
「そうだ。どうせ俺たちの話しは配信で流されているんだ!」
「証拠は消せねぇ! だったら、力でづくで黙らせねぇと!」
凄い効果的だった。 そんな強い言葉で煽ったつもりもないが……
「なるほど、自分たちは向上心がない。ないからこそ、下に見られるのは異常に嫌うのか……どうやって社会生活を成り立たせているんだ?」
今度の挑発じゃない。ただの感想だった。
しかし、ホスト集団は焚きつけられたように怒り狂っている。
「こいつ、ふざけやがって!」
「やっちまいましょう。もう、抑えがつきませんぜ!」
「舐めやがって!」
「───黙れ」と片桐狂児は小さく呟いた。
それだけだ。それだけで騒いでいた連中は、口を紡ぐ。
どうやら、恐怖政治で荒くれ者たちをまとめ上げていたようだ。
「良いか、お前等。このライガがダンジョン配信の天辺《テッペン》だ。こいつを倒しちまえば、俺たちが───俺たちがテッペンを取ったら、何でも、何やって許される! そうだろ!」
「おおおおぉぉ!」と一瞬でホスト軍団は、まとまった。
俺は自分の配信画面をチラっと見た。
『うおお! やっちまえ、俺が許す!』
『VTuber対ホスト軍団www』
『喧嘩だ! 喧嘩祭りじゃ!』
『この×××が!(このコメントは削除されました)』
盛り上がりが凄い。
ただし、無駄無駄から移動してきた人たち(いわゆる初見さんってやつだ)が多いようだ。
若干、荒々しいと言うか……俺の配信のマナーが悪くなっている。
「まぁ、視聴者の教育は配信者の義務だ。あとで何とかしよう!」
「何を1人でペラペラと! ふざけた野郎が!」
「え!?」と俺は絶句した。 同じ配信者だよな?
「お前たちは、ダンジョン配信中にコメントを見たり、反応しないのか? そりゃ……ホストとしても売れないわな」
どうやら、彼等の地雷を踏み付いてしまったようだ。
全員、顔が真っ赤。ついでに、ピキピキって聞こえるように、顔に青筋が浮き出ている。
「いきなり、前回で殺すぞ、コイツを! お前等、俺に合わせろ!」
「「「はい!」」」
今まで違って、軍隊のように綺麗な列を作り始めた。
「これは……舞踏家《ダンサー》タイプか」
舞踏家《ダンサー》タイプ。 直接戦闘をするタイプというよりも、仲間たちを強化させ支援する事が役割。
「だが、この人数───15人か 全員が相互支援をしたら……どれだけ、バフとデバフをばら撒く事になるのか?」
俺の言葉どおり、ホスト達は狂児を中心にして、詠唱と踊りを開始する。
「いくぞ! 片桐ラブラブ! はい!」
「「「片桐ラブラブ! ラブ・ピース・ピープル!」」」
全員が真顔。 それでいて、一糸乱れぬ踊りを始めた。
おそらく、舞踏家の戦いを初めて見る視聴者たちは───
『なんだこれ? その……なに?』
『真面目に戦え……いや、真面目なのか?』
『あっ、ホストとか水商売のコール芸だ』
───と何が起きているかよくわからない様子だった。
「あのかけ声は、魔法でいう詠唱と同じ効果がある。集団で行う事で、全員が強化されていく─── 漫画で言うなら相互協力型《ジョイントタイプ》の集団行動形式《パーティーフォーム》」
『ハンター×ハンターで例えるな』
『第九王子の念能力ね』
『全員がジャンプ漫画を読んでいるわけじゃないぞ』
うん、わかりやすいと思って漫画ネタで説明してみたが……よくなかったかな?
「ちなみにリズムを取り続ける限り、肉体強化が入っている。 それに加えて魔法耐性を会得してく。 ビートは呪いを退け、自ら身体能力を───」
『呪術に変更するな!』
『だから、全員がジャンプを(ry』
『ねぇ、わざとやってる? わざとでしょ?』
そんな事をやっている間に、片桐狂児たちの強化は最大値まで上げっていく。
「……いつまで、ふざけているつもりだ?」
「ん?」
「いくら、お前でも総勢15人により、最大強化……勝てないだろ?」
「さぁ、それはやってみないとわからないだろ?」
「ほざけ! その余裕顔を砕いてやるぞ!」
ホスト集団15人が同時に攻撃を開始した。
俺は、ダンジョンで配信者同士がかち合った時の決まりの挨拶をして、ひょこひょこと姿を見せた。
最初に気づいたのはリーダーの男。
「────ッ! し、獅堂ライガ……だと!」
この男について、事前にホストクラブ『乱魔』に行って訊ねている。
名前は─── 片桐狂児。 本名は、山本浩二らしい。
狂児に遅れて気づいた他の連中も騒ぎ始める。
「獅堂ライガ!? 馬鹿な、さっきまで配信をしてたはず」
「配信を終えて20分で、ここまで来たってのか?」
「馬鹿やろ。そんなわけあるか。録画を流してたか、数十分単位で配信を遅延させていたんだ」
「そ、そうだよ。 このダンジョン階層に来るまで2時間……いや、3時間は必要だ」
騒ぐ彼等を見て、俺は───
「統率が取れてないなぁ。ただ好き勝手に暴れるだけで、ダンジョン配信者未満……荒くれ者って感じか」
少し挑発してみた。
ちなみ、ここまでたどり着くのに走って数分。3時間も必要ない。
なんなら、事前にホスト『乱魔』に立ち寄って、話を聞かせてもらってから来た。
それは、さておき……挑発の結果は?
「狂児さん、やりましょう!」
「そうだ。どうせ俺たちの話しは配信で流されているんだ!」
「証拠は消せねぇ! だったら、力でづくで黙らせねぇと!」
凄い効果的だった。 そんな強い言葉で煽ったつもりもないが……
「なるほど、自分たちは向上心がない。ないからこそ、下に見られるのは異常に嫌うのか……どうやって社会生活を成り立たせているんだ?」
今度の挑発じゃない。ただの感想だった。
しかし、ホスト集団は焚きつけられたように怒り狂っている。
「こいつ、ふざけやがって!」
「やっちまいましょう。もう、抑えがつきませんぜ!」
「舐めやがって!」
「───黙れ」と片桐狂児は小さく呟いた。
それだけだ。それだけで騒いでいた連中は、口を紡ぐ。
どうやら、恐怖政治で荒くれ者たちをまとめ上げていたようだ。
「良いか、お前等。このライガがダンジョン配信の天辺《テッペン》だ。こいつを倒しちまえば、俺たちが───俺たちがテッペンを取ったら、何でも、何やって許される! そうだろ!」
「おおおおぉぉ!」と一瞬でホスト軍団は、まとまった。
俺は自分の配信画面をチラっと見た。
『うおお! やっちまえ、俺が許す!』
『VTuber対ホスト軍団www』
『喧嘩だ! 喧嘩祭りじゃ!』
『この×××が!(このコメントは削除されました)』
盛り上がりが凄い。
ただし、無駄無駄から移動してきた人たち(いわゆる初見さんってやつだ)が多いようだ。
若干、荒々しいと言うか……俺の配信のマナーが悪くなっている。
「まぁ、視聴者の教育は配信者の義務だ。あとで何とかしよう!」
「何を1人でペラペラと! ふざけた野郎が!」
「え!?」と俺は絶句した。 同じ配信者だよな?
「お前たちは、ダンジョン配信中にコメントを見たり、反応しないのか? そりゃ……ホストとしても売れないわな」
どうやら、彼等の地雷を踏み付いてしまったようだ。
全員、顔が真っ赤。ついでに、ピキピキって聞こえるように、顔に青筋が浮き出ている。
「いきなり、前回で殺すぞ、コイツを! お前等、俺に合わせろ!」
「「「はい!」」」
今まで違って、軍隊のように綺麗な列を作り始めた。
「これは……舞踏家《ダンサー》タイプか」
舞踏家《ダンサー》タイプ。 直接戦闘をするタイプというよりも、仲間たちを強化させ支援する事が役割。
「だが、この人数───15人か 全員が相互支援をしたら……どれだけ、バフとデバフをばら撒く事になるのか?」
俺の言葉どおり、ホスト達は狂児を中心にして、詠唱と踊りを開始する。
「いくぞ! 片桐ラブラブ! はい!」
「「「片桐ラブラブ! ラブ・ピース・ピープル!」」」
全員が真顔。 それでいて、一糸乱れぬ踊りを始めた。
おそらく、舞踏家の戦いを初めて見る視聴者たちは───
『なんだこれ? その……なに?』
『真面目に戦え……いや、真面目なのか?』
『あっ、ホストとか水商売のコール芸だ』
───と何が起きているかよくわからない様子だった。
「あのかけ声は、魔法でいう詠唱と同じ効果がある。集団で行う事で、全員が強化されていく─── 漫画で言うなら相互協力型《ジョイントタイプ》の集団行動形式《パーティーフォーム》」
『ハンター×ハンターで例えるな』
『第九王子の念能力ね』
『全員がジャンプ漫画を読んでいるわけじゃないぞ』
うん、わかりやすいと思って漫画ネタで説明してみたが……よくなかったかな?
「ちなみにリズムを取り続ける限り、肉体強化が入っている。 それに加えて魔法耐性を会得してく。 ビートは呪いを退け、自ら身体能力を───」
『呪術に変更するな!』
『だから、全員がジャンプを(ry』
『ねぇ、わざとやってる? わざとでしょ?』
そんな事をやっている間に、片桐狂児たちの強化は最大値まで上げっていく。
「……いつまで、ふざけているつもりだ?」
「ん?」
「いくら、お前でも総勢15人により、最大強化……勝てないだろ?」
「さぁ、それはやってみないとわからないだろ?」
「ほざけ! その余裕顔を砕いてやるぞ!」
ホスト集団15人が同時に攻撃を開始した。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
異世界帰りの少年は現実世界で冒険者になる
家高菜
ファンタジー
ある日突然、異世界に勇者として召喚された平凡な中学生の小鳥遊優人。
召喚者は優人を含めた5人の勇者に魔王討伐を依頼してきて、優人たちは魔王討伐を引き受ける。
多くの人々の助けを借り4年の月日を経て魔王討伐を成し遂げた優人たちは、なんとか元の世界に帰還を果たした。
しかし優人が帰還した世界には元々は無かったはずのダンジョンと、ダンジョンを探索するのを生業とする冒険者という職業が存在していた。
何故かダンジョンを探索する冒険者を育成する『冒険者育成学園』に入学することになった優人は、新たな仲間と共に冒険に身を投じるのであった。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。
カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。
だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、
ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。
国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。
そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。
備蓄スキルで異世界転移もナンノソノ
ちかず
ファンタジー
久しぶりの早帰りの金曜日の夜(但し、矢作基準)ラッキーの連続に浮かれた矢作の行った先は。
見た事のない空き地に1人。異世界だと気づかない矢作のした事は?
異世界アニメも見た事のない矢作が、自分のスキルに気づく日はいつ来るのだろうか。スキル【備蓄】で異世界に騒動を起こすもちょっぴりズレた矢作はそれに気づかずマイペースに頑張るお話。
鈍感な主人公が降り注ぐ困難もナンノソノとクリアしながら仲間を増やして居場所を作るまで。
男女比1:15の貞操逆転世界で高校生活(婚活)
大寒波
恋愛
日本で生活していた前世の記憶を持つ主人公、七瀬達也が日本によく似た貞操逆転世界に転生し、高校生活を楽しみながら婚活を頑張るお話。
この世界の法律では、男性は二十歳までに5人と結婚をしなければならない。(高校卒業時点は3人)
そんな法律があるなら、もういっそのこと高校在学中に5人と結婚しよう!となるのが今作の主人公である達也だ!
この世界の経済は基本的に女性のみで回っており、男性に求められることといえば子種、遺伝子だ。
前世の影響かはわからないが、日本屈指のHENTAIである達也は運よく遺伝子も最高ランクになった。
顔もイケメン!遺伝子も優秀!貴重な男!…と、驕らずに自分と関わった女性には少しでも幸せな気持ちを分かち合えるように努力しようと決意する。
どうせなら、WIN-WINの関係でありたいよね!
そうして、別居婚が主流なこの世界では珍しいみんなと同居することを、いや。ハーレムを目標に個性豊かなヒロイン達と織り成す学園ラブコメディがいま始まる!
主人公の通う学校では、少し貞操逆転の要素薄いかもです。男女比に寄っています。
外はその限りではありません。
カクヨムでも投稿しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる