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第58話 V祭りの面接 後編
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さて・・・・・・ 俺、獅堂ライガはスパーリングをする事になった。
相手は、同期である野町オルネ・・・・・・どうしてこうなった?
「初めてだけど、思ったよりも堅いもんだな」
俺は手につけたグローブを確かめるようにポンポンと叩く。
総合格闘技、MMA専門のグローブだ。 新品のそれは、ボクシングのグローブと比べて堅い。
「素手みたいな感覚・・・・・・え? プロの格闘家って本当にコレで殴り合ってるの? すげぇなぁ」
格闘家にリスペクトを抱きながら、顔に防具をつける。 顔全体を覆う防具・・・・・・スーパーセーフだ。
獅堂ライガVS野町オルネ───とは言え、本気で戦うわけじゃない。
面接だったはずが、気づけば合否は俺に一任される事になった。
言ってしまえば、査定試合。 オルネの実力が分かれば良い。
「そろそろ、時間です。準備は?」
声をかけられ、俺は頷いた。 オルネは既に八角形《リング》で待っている。
不知火さんが、審判役。 彼が試合開始を宣言した。
「ん~ じゃ、まずはこうかな?」
俺は構えた。 観客たちはそれを見てざわめく。
観客は、『オレナイ』の偉い人たち。 ダンジョン配信の会社役員であり、戦闘に関して知見のある人たちでも驚いたようだ。
俺の構え───わずかに腰を落として、両手をまっすぐに突き出す。
それだけの構えだ。 だが、観客たちは───
「なんだ、あの構えは? 対人戦闘にも、モンスターの戦いにも使えなさそうだぞ」
「重心を落として、左右の動きは可能でしょうが・・・・・・前後の動きはできないでしょうね」
「最初から真っ直ぐに伸ばした両手。自分からは攻撃しない意思表示でしょうなぁ」
観客である会社役員たちの言葉は正しい。 ・・・・・・というわけで、俺はこの面接試験のルールについて、オルネに説明をすることにした。
「ダンジョン配信者および探索者・・・・・・俺が必要だと思う才能は、観察眼、分析力、直感を含めた戦闘考察力。要するに未知に対する適応能力だと思ってる」
「ん~ よくわかんないよ。 要するに一撃当てたら合格って事で良いの?」
「よし、正解。 10点加点だぜ!」
「あんた、私に甘すぎない?」と呆れられた。 少し心外だ。
彼女は、あらためて俺の構えを見つめてきた。
真っ直ぐに伸びた両手。 彼女にとっては壁だろう。
強引に体を滑り込ませて、パンチを打つようなの隙間はなし。
加えて、俺とオルネのリーチ差は15センチ。 格闘技でいうリーチってのは、単純な腕の長さの事ではないけど・・・・・・ まぁ、普通にパンチを出しても当たらない距離ってことだ。
「パンチはダメそうね。それじゃ、様子見で!」
そう言うと、オルネはハイキックを放ってくる。 思い切りが良い! 10点加点・・・・・・けど!
俺は伸ばした腕を僅かに上げた。 完全なガードはできなくとも、攻撃の威力を削ぐには十分。 加えて、頭部には防具がある。
「くっ! それじゃこれは!」とオルネは、コンビネーションを見せた。
さっきの右のハイキックから半回転して左のスピンキック。
それも同じように受けて見せる。
「くぅ~~~! 正面から行ったらダメ。 左右から攻めるのが正解のはずなのに!」
そう言いながら、オルネは縦蹴り───下から足を振り上げて俺の顎を蹴り上げようとする。
良い蹴りだ。 ダンスの時に思ってたけど柔軟性は高いんだよな、こいつ。
だが、それはフェイントだったらしい。 俺が上体を反らして回避している好きに、彼女は大きく横に飛んでいた。
「ハイキックみたいに、ライガの腕を迂回する攻撃が正解のはずなんだ。だったら、大きく迂回して───真っ直ぐ殴る!」
宣言通り、俺の真横に位置付けしてから、真っ直ぐのストレートを放ってきた。
「よし、正解・・・・・・だけど、コレはおまけだ!」
バランスを崩してる俺の体。 それを強引に捻って、オルネの拳を回避すると───
バックハンドブロー
裏拳をオルネの目前で止める寸止め決着をしてみたが───
「ちぇ、瞬きもしないか。 はい、合格!」
こうして、オルネの査定試合は終わった。
彼女はさっきまでの闘志が嘘みたいに、スタミナ切れで倒れている。
「ナイスファイト・・・・・・それで? 結局は何のためにこんな真似を?」
「ぜっ・・・ぜっ・・・はぁ・・・・・・」
「あっ、息を整えてからで良いよ」
「私は、同期として・・・・・・あんたが、いつも、いつも、いつも・・・・・・無茶をしてるのを知ってるから・・・・・・せめて、私だけは殴ってでも止めれる立場にいたかった。それだけよ!」
「おいおい、暴力ヒロインは今どき流行らないぜ。けど・・・・・・嫌いじゃないぜ」
「・・・・・・バカ」
そんなエモいやり取りをしていると───
「おら! いつまで待たせる! どいつがライガじゃ!」
なんかヤンキーが乱入してきた。 なんだ? サプライズニンジャ理論ならぬサプライズヤンキー理論か?
それを見ていた不知火さんは一言だけ───
「はい、ソコとソコで試合決定で」
とりあえず、次の査定試合でヤンキーくんに手加減することを止めておいた。
相手は、同期である野町オルネ・・・・・・どうしてこうなった?
「初めてだけど、思ったよりも堅いもんだな」
俺は手につけたグローブを確かめるようにポンポンと叩く。
総合格闘技、MMA専門のグローブだ。 新品のそれは、ボクシングのグローブと比べて堅い。
「素手みたいな感覚・・・・・・え? プロの格闘家って本当にコレで殴り合ってるの? すげぇなぁ」
格闘家にリスペクトを抱きながら、顔に防具をつける。 顔全体を覆う防具・・・・・・スーパーセーフだ。
獅堂ライガVS野町オルネ───とは言え、本気で戦うわけじゃない。
面接だったはずが、気づけば合否は俺に一任される事になった。
言ってしまえば、査定試合。 オルネの実力が分かれば良い。
「そろそろ、時間です。準備は?」
声をかけられ、俺は頷いた。 オルネは既に八角形《リング》で待っている。
不知火さんが、審判役。 彼が試合開始を宣言した。
「ん~ じゃ、まずはこうかな?」
俺は構えた。 観客たちはそれを見てざわめく。
観客は、『オレナイ』の偉い人たち。 ダンジョン配信の会社役員であり、戦闘に関して知見のある人たちでも驚いたようだ。
俺の構え───わずかに腰を落として、両手をまっすぐに突き出す。
それだけの構えだ。 だが、観客たちは───
「なんだ、あの構えは? 対人戦闘にも、モンスターの戦いにも使えなさそうだぞ」
「重心を落として、左右の動きは可能でしょうが・・・・・・前後の動きはできないでしょうね」
「最初から真っ直ぐに伸ばした両手。自分からは攻撃しない意思表示でしょうなぁ」
観客である会社役員たちの言葉は正しい。 ・・・・・・というわけで、俺はこの面接試験のルールについて、オルネに説明をすることにした。
「ダンジョン配信者および探索者・・・・・・俺が必要だと思う才能は、観察眼、分析力、直感を含めた戦闘考察力。要するに未知に対する適応能力だと思ってる」
「ん~ よくわかんないよ。 要するに一撃当てたら合格って事で良いの?」
「よし、正解。 10点加点だぜ!」
「あんた、私に甘すぎない?」と呆れられた。 少し心外だ。
彼女は、あらためて俺の構えを見つめてきた。
真っ直ぐに伸びた両手。 彼女にとっては壁だろう。
強引に体を滑り込ませて、パンチを打つようなの隙間はなし。
加えて、俺とオルネのリーチ差は15センチ。 格闘技でいうリーチってのは、単純な腕の長さの事ではないけど・・・・・・ まぁ、普通にパンチを出しても当たらない距離ってことだ。
「パンチはダメそうね。それじゃ、様子見で!」
そう言うと、オルネはハイキックを放ってくる。 思い切りが良い! 10点加点・・・・・・けど!
俺は伸ばした腕を僅かに上げた。 完全なガードはできなくとも、攻撃の威力を削ぐには十分。 加えて、頭部には防具がある。
「くっ! それじゃこれは!」とオルネは、コンビネーションを見せた。
さっきの右のハイキックから半回転して左のスピンキック。
それも同じように受けて見せる。
「くぅ~~~! 正面から行ったらダメ。 左右から攻めるのが正解のはずなのに!」
そう言いながら、オルネは縦蹴り───下から足を振り上げて俺の顎を蹴り上げようとする。
良い蹴りだ。 ダンスの時に思ってたけど柔軟性は高いんだよな、こいつ。
だが、それはフェイントだったらしい。 俺が上体を反らして回避している好きに、彼女は大きく横に飛んでいた。
「ハイキックみたいに、ライガの腕を迂回する攻撃が正解のはずなんだ。だったら、大きく迂回して───真っ直ぐ殴る!」
宣言通り、俺の真横に位置付けしてから、真っ直ぐのストレートを放ってきた。
「よし、正解・・・・・・だけど、コレはおまけだ!」
バランスを崩してる俺の体。 それを強引に捻って、オルネの拳を回避すると───
バックハンドブロー
裏拳をオルネの目前で止める寸止め決着をしてみたが───
「ちぇ、瞬きもしないか。 はい、合格!」
こうして、オルネの査定試合は終わった。
彼女はさっきまでの闘志が嘘みたいに、スタミナ切れで倒れている。
「ナイスファイト・・・・・・それで? 結局は何のためにこんな真似を?」
「ぜっ・・・ぜっ・・・はぁ・・・・・・」
「あっ、息を整えてからで良いよ」
「私は、同期として・・・・・・あんたが、いつも、いつも、いつも・・・・・・無茶をしてるのを知ってるから・・・・・・せめて、私だけは殴ってでも止めれる立場にいたかった。それだけよ!」
「おいおい、暴力ヒロインは今どき流行らないぜ。けど・・・・・・嫌いじゃないぜ」
「・・・・・・バカ」
そんなエモいやり取りをしていると───
「おら! いつまで待たせる! どいつがライガじゃ!」
なんかヤンキーが乱入してきた。 なんだ? サプライズニンジャ理論ならぬサプライズヤンキー理論か?
それを見ていた不知火さんは一言だけ───
「はい、ソコとソコで試合決定で」
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