37 / 42
第37話 歌舞伎忍者 討伐
しおりを挟む
歌舞伎忍者 髪による攻撃を繰り出してくる。
しかし、それは髪であって髪ではない。
景虎は小刀ではなく、金棒を振って打ち返す。 その時に鳴った音は――――
キン――――と金属音であった。 また、景虎が回避した後、地面にぶつかった髪の跡。岩の洞窟であるはずの地面は、磨り潰されたリンゴのように削られている。
もしも、景虎が金棒ではなく小刀で防御していたら、腕ごと壊されていただろう。
視聴者の反応は――――
『いやいや、なんだよ。あの髪は!』
『見た目と破壊力が不釣り合い過ぎる!』
『まさかヘアスタイルで攻撃。こんなユニークな敵は初めて見た』
景虎は、歌舞伎忍者の髪による遠距離攻撃を金棒で防御を続ける。
ただし問題は金棒の重さだ。 その重量によって素早く動けず、間合いは潰せない。
「これでは反撃もままならないでござる。さて――――」
ここで、景虎が思いついた選択肢は2つ。
1つ――――
髪による遠距離攻撃を金棒で打ち返し、歌舞伎忍者自身にぶつける。
2つ――――
小刀を投擲。その隙に金棒を捨てると素早く間合いを縮め、歌舞伎忍者に突き刺さった小刀でとどめをさす。
景虎は後者を選択した。
愛刀である日本刀を失った今、次に信頼できる武器は、己の体術。
攻撃を失敗しても、すぐに体勢を修正ができるからだ。
「せいっ!」と投げると同時に前に出た景虎。しかし――――
「消えた!?」
彼の誤算。 歌舞伎忍者は影となり隠密行動、または回避運動ができる。
(くっ! また距離を稼がれて、遠距離攻撃に……)
だが、その予想は外れていた。
歌舞伎忍者は前進。手を伸ばせば当たる距離に。
「わざわざ、接近戦を挑んできた?」
放たれた拳を避ける景虎。 反撃のタイミングを狙って集中していく。
(確かに武道の動きを模している。しかし――――)
「所詮は、魔物の物真似。人間の動きを再現しても、同じ効果にはならない……でござるよ」
景虎は打撃を叩き込んだ。 歌舞伎忍者は防御もできずに吹き飛んで行った。
「以前より、なぜ魔物が人間と戦闘術を身に付けているのか不思議に思う事もあったでござるが……」
「うむ、おそらくは……」と言葉を切る。 立ち上がってきた歌舞伎忍者が再び襲って来たからだ。
「人間の動きを意味もわからず真似をして、種として進化させた自然発生的な格闘術……と言うべきでござろうか?」
しかし、戦いはまるで子供と大人の喧嘩であった。
いつの間に手放していたはずの小刀を手にしていた景虎は、歌舞伎忍者にとどめをさした。
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
「さて、物珍しい魔物とは遭遇してきたでござるが、使えそうな武器は――――」
店を広げるように景虎は手に入れたアイテムを地面に広げた。
使えそうな物はない。
「値打ち物は……ござらんな」と落胆した時だった。 不意に、アイテムが少しだけ浮かんだように見えた。
次は、ずん――――と体が浮いた。 それが地響きだと、すぐに判断した。
それは巨大な魔物が徘徊している余波。それもすぐ近くで……
「戦闘は回避できないようでござるな」と景虎は笑いながら、急いでアイテムをかき集めた。
「さて、経験はあるが、この装備で狩れるものかな?」
小刀を構える。
近場に出没している魔物。それは巨大な魔物だ。
そして、誰もが知る魔物の名前――――それはドラゴンであった。
しかし、それは髪であって髪ではない。
景虎は小刀ではなく、金棒を振って打ち返す。 その時に鳴った音は――――
キン――――と金属音であった。 また、景虎が回避した後、地面にぶつかった髪の跡。岩の洞窟であるはずの地面は、磨り潰されたリンゴのように削られている。
もしも、景虎が金棒ではなく小刀で防御していたら、腕ごと壊されていただろう。
視聴者の反応は――――
『いやいや、なんだよ。あの髪は!』
『見た目と破壊力が不釣り合い過ぎる!』
『まさかヘアスタイルで攻撃。こんなユニークな敵は初めて見た』
景虎は、歌舞伎忍者の髪による遠距離攻撃を金棒で防御を続ける。
ただし問題は金棒の重さだ。 その重量によって素早く動けず、間合いは潰せない。
「これでは反撃もままならないでござる。さて――――」
ここで、景虎が思いついた選択肢は2つ。
1つ――――
髪による遠距離攻撃を金棒で打ち返し、歌舞伎忍者自身にぶつける。
2つ――――
小刀を投擲。その隙に金棒を捨てると素早く間合いを縮め、歌舞伎忍者に突き刺さった小刀でとどめをさす。
景虎は後者を選択した。
愛刀である日本刀を失った今、次に信頼できる武器は、己の体術。
攻撃を失敗しても、すぐに体勢を修正ができるからだ。
「せいっ!」と投げると同時に前に出た景虎。しかし――――
「消えた!?」
彼の誤算。 歌舞伎忍者は影となり隠密行動、または回避運動ができる。
(くっ! また距離を稼がれて、遠距離攻撃に……)
だが、その予想は外れていた。
歌舞伎忍者は前進。手を伸ばせば当たる距離に。
「わざわざ、接近戦を挑んできた?」
放たれた拳を避ける景虎。 反撃のタイミングを狙って集中していく。
(確かに武道の動きを模している。しかし――――)
「所詮は、魔物の物真似。人間の動きを再現しても、同じ効果にはならない……でござるよ」
景虎は打撃を叩き込んだ。 歌舞伎忍者は防御もできずに吹き飛んで行った。
「以前より、なぜ魔物が人間と戦闘術を身に付けているのか不思議に思う事もあったでござるが……」
「うむ、おそらくは……」と言葉を切る。 立ち上がってきた歌舞伎忍者が再び襲って来たからだ。
「人間の動きを意味もわからず真似をして、種として進化させた自然発生的な格闘術……と言うべきでござろうか?」
しかし、戦いはまるで子供と大人の喧嘩であった。
いつの間に手放していたはずの小刀を手にしていた景虎は、歌舞伎忍者にとどめをさした。
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
「さて、物珍しい魔物とは遭遇してきたでござるが、使えそうな武器は――――」
店を広げるように景虎は手に入れたアイテムを地面に広げた。
使えそうな物はない。
「値打ち物は……ござらんな」と落胆した時だった。 不意に、アイテムが少しだけ浮かんだように見えた。
次は、ずん――――と体が浮いた。 それが地響きだと、すぐに判断した。
それは巨大な魔物が徘徊している余波。それもすぐ近くで……
「戦闘は回避できないようでござるな」と景虎は笑いながら、急いでアイテムをかき集めた。
「さて、経験はあるが、この装備で狩れるものかな?」
小刀を構える。
近場に出没している魔物。それは巨大な魔物だ。
そして、誰もが知る魔物の名前――――それはドラゴンであった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
「キヅイセ。」 ~気づいたら異世界にいた。おまけに目の前にはATMがあった。異世界転移、通算一万人目の冒険者~
あめの みかな
ファンタジー
秋月レンジ。高校2年生。
彼は気づいたら異世界にいた。
その世界は、彼が元いた世界とのゲート開通から100周年を迎え、彼は通算一万人目の冒険者だった。
科学ではなく魔法が発達した、もうひとつの地球を舞台に、秋月レンジとふたりの巫女ステラ・リヴァイアサンとピノア・カーバンクルの冒険が今始まる。
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2巻決定しました!
【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&続刊決定!】
皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、オリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました!
本当に、本当にありがとうございます!
皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。
市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です!
【作品紹介】
欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。
だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。
彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。
【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc.
その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。
欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。
気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる!
【書誌情報】
タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』
著者: よっしぃ
イラスト: 市丸きすけ 先生
出版社: アルファポリス
ご購入はこちらから:
Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/
楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/
【作者より、感謝を込めて】
この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。
そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。
本当に、ありがとうございます。
【これまでの主な実績】
アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得
小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得
アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞
第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過
復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞
ファミ通文庫大賞 一次選考通過
誰一人帰らない『奈落』に落とされたおっさん、うっかり暗号を解読したら、未知の遺物の使い手になりました!
ミポリオン
ファンタジー
旧題:巻き込まれ召喚されたおっさん、無能で誰一人帰らない場所に追放されるも、超古代文明の暗号を解いて力を手にいれ、楽しく生きていく
高校生達が勇者として召喚される中、1人のただのサラリーマンのおっさんである福菅健吾が巻き込まれて異世界に召喚された。
高校生達は強力なステータスとスキルを獲得したが、おっさんは一般人未満のステータスしかない上に、異世界人の誰もが持っている言語理解しかなかったため、転移装置で誰一人帰ってこない『奈落』に追放されてしまう。
しかし、そこに刻まれた見たこともない文字を、健吾には全て理解する事ができ、強大な超古代文明のアイテムを手に入れる。
召喚者達は気づかなかった。健吾以外の高校生達の通常スキル欄に言語スキルがあり、健吾だけは固有スキルの欄に言語スキルがあった事を。そしてそのスキルが恐るべき力を秘めていることを。
※カクヨムでも連載しています
チート魔力はお金のために使うもの~守銭奴転移を果たした俺にはチートな仲間が集まるらしい~
桜桃-サクランボ-
ファンタジー
金さえあれば人生はどうにでもなる――そう信じている二十八歳の守銭奴、鏡谷知里。
交通事故で意識が朦朧とする中、目を覚ますと見知らぬ異世界で、目の前には見たことがないドラゴン。
そして、なぜか“チート魔力持ち”になっていた。
その莫大な魔力は、もともと自分が持っていた付与魔力に、封印されていた冒険者の魔力が重なってしまった結果らしい。
だが、それが不幸の始まりだった。
世界を恐怖で支配する集団――「世界を束ねる管理者」。
彼らに目をつけられてしまった知里は、巻き込まれたくないのに狙われる羽目になってしまう。
さらに、人を疑うことを知らない純粋すぎる二人と行動を共にすることになり、望んでもいないのに“冒険者”として動くことになってしまった。
金を稼ごうとすれば邪魔が入り、巻き込まれたくないのに事件に引きずられる。
面倒ごとから逃げたい守銭奴と、世界の頂点に立つ管理者。
本来交わらないはずの二つが、過去の冒険者の残した魔力によってぶつかり合う、異世界ファンタジー。
※小説家になろう・カクヨムでも更新中
※表紙:あニキさん
※ ※がタイトルにある話に挿絵アリ
※月、水、金、更新予定!
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
『異世界庭付き一戸建て』を相続した仲良し兄妹は今までの不幸にサヨナラしてスローライフを満喫できる、はず?
釈 余白(しやく)
ファンタジー
毒親の父が不慮の事故で死亡したことで最後の肉親を失い、残された高校生の小村雷人(こむら らいと)と小学生の真琴(まこと)の兄妹が聞かされたのは、父が家を担保に金を借りていたという絶望の事実だった。慣れ親しんだ自宅から早々の退去が必要となった二人は家の中で金目の物を探す。
その結果見つかったのは、僅かな現金に空の預金通帳といくつかの宝飾品、そして家の権利書と見知らぬ文字で書かれた書類くらいだった。謎の書類には祖父のサインが記されていたが内容は読めず、頼みの綱は挟まれていた弁護士の名刺だけだ。
最後の希望とも言える名刺の電話番号へ連絡した二人は、やってきた弁護士から契約書の内容を聞かされ唖然とする。それは祖父が遺産として残した『異世界トラス』にある土地と建物を孫へ渡すというものだった。もちろん現地へ行かなければ遺産は受け取れないが。兄妹には他に頼れるものがなく、思い切って異世界へと赴き新生活をスタートさせるのだった。
連載時、HOT 1位ありがとうございました!
その他、多数投稿しています。
こちらもよろしくお願いします!
https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/398438394
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる