127 / 144
ダンジョン探索
しおりを挟む
「なんだったのだ……」
ジェルたちが立ち去った後の玉座の間。
残された人々は理解ができなかった。
請求された賠償金は、確かに高額ではある。
しかし、それは個人の尺度。
敗戦国が支払う賠償金とすれば破格の安値。
提示された領土も、資源も乏しい土地。
内政も、積極的な干渉を行わず、友好国扱い。
「助かったのか、我々は?」
安堵というより、理解が追い付かない不気味さだけが残されていた。 しかし────
王城の廊下を歩くジェル一行。
「お見事でした」と執事が声をかけた。
「ん? 何が?」
「我々の目的を悟られぬよう、虚実を織り混ぜた交渉術。領土? 賠償金? 国の隷属化に王族の命? そんな安いものは不要に────」
「声が大きい。ここはまだ敵地であろう?」
「はっ、失礼いたしました」
「まぁ、知られたところで、理解はできないだろうが、念のために……な。それで首尾の方は?」
「抜かりなく。既にこの国との契約は完了しました。我々が新たな領土に兵を引き連れ、開拓を開始しても問題はないかと」
「では、行くか」とジェルは城の外に出た。
門番や城兵たちともすれ違ったが、驚愕を隠せずにいた。
まさか落とした国の城に、魔王を名乗る王が従者を1人だけ連れてくるとは思っていなかったのだろう。
そんな彼らが驚きを重ねたのは、魔王と従者が城を出ると同時に全身を覆う魔力。
それらを推進力に転換させての高速飛行魔法。
「こりゃ……負けるわけだ」
門番の呟きは、不敬そのものだが、誰も指摘しない。
それを見た全員が、心の中で同意したからだ。
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・・
「道理で長い時間、人に見つからなかったわけだ」
目的地へ到着。深い森の中に広がる建設物。
「どうやら、異教徒の祭壇跡地のようですね。邪悪過ぎて、近隣の住民も近づかないとか……」
「ふん、かつての支配者たちは知っていたのだろうか? この地の下に、真の宝が秘められていたことを」
「ここを祭壇にするほどです。知っていて、距離を取ったのではないでしょうか? 積極的に使えるなら、後世に残る宗教団体になっていたはずでしょう」
「なるほど、懸命だな。力の怖さがわかっている。俺たちと違ってな……」
「……お戯れを。我々は、例のアレをジェルさまに相応しい力の源だと心得ています」
「そうか……そうだといい。さて、今回はどのような編成だ」
「はい」と執事が返事をする。 それだけで、彼の足元……影に変化が起きる。
「待機させていたのは、魔術師と暗殺者です」
それだけ言うと彼の影が立体に、人間の姿に変わった。
「元となった人材は、この国の英雄でした。今回の戦争で勧誘をしていたのですが、断られ続け、ついには戦死を――――」
「なるほど、お前が死して、惜しむ人材か。見せてもらおうか? その実力を」
影となった『魔術師』と『暗殺者』を「……」と無言であった。
どうやら、言葉は喋れないようだ。 しかし、ジェルと執事を守るように陣形を組んだ。
「なるほど、優秀さが良くわかる。これから楽しませてもらうぞ」とジェルは笑った
ジェルたちが立ち去った後の玉座の間。
残された人々は理解ができなかった。
請求された賠償金は、確かに高額ではある。
しかし、それは個人の尺度。
敗戦国が支払う賠償金とすれば破格の安値。
提示された領土も、資源も乏しい土地。
内政も、積極的な干渉を行わず、友好国扱い。
「助かったのか、我々は?」
安堵というより、理解が追い付かない不気味さだけが残されていた。 しかし────
王城の廊下を歩くジェル一行。
「お見事でした」と執事が声をかけた。
「ん? 何が?」
「我々の目的を悟られぬよう、虚実を織り混ぜた交渉術。領土? 賠償金? 国の隷属化に王族の命? そんな安いものは不要に────」
「声が大きい。ここはまだ敵地であろう?」
「はっ、失礼いたしました」
「まぁ、知られたところで、理解はできないだろうが、念のために……な。それで首尾の方は?」
「抜かりなく。既にこの国との契約は完了しました。我々が新たな領土に兵を引き連れ、開拓を開始しても問題はないかと」
「では、行くか」とジェルは城の外に出た。
門番や城兵たちともすれ違ったが、驚愕を隠せずにいた。
まさか落とした国の城に、魔王を名乗る王が従者を1人だけ連れてくるとは思っていなかったのだろう。
そんな彼らが驚きを重ねたのは、魔王と従者が城を出ると同時に全身を覆う魔力。
それらを推進力に転換させての高速飛行魔法。
「こりゃ……負けるわけだ」
門番の呟きは、不敬そのものだが、誰も指摘しない。
それを見た全員が、心の中で同意したからだ。
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・・
「道理で長い時間、人に見つからなかったわけだ」
目的地へ到着。深い森の中に広がる建設物。
「どうやら、異教徒の祭壇跡地のようですね。邪悪過ぎて、近隣の住民も近づかないとか……」
「ふん、かつての支配者たちは知っていたのだろうか? この地の下に、真の宝が秘められていたことを」
「ここを祭壇にするほどです。知っていて、距離を取ったのではないでしょうか? 積極的に使えるなら、後世に残る宗教団体になっていたはずでしょう」
「なるほど、懸命だな。力の怖さがわかっている。俺たちと違ってな……」
「……お戯れを。我々は、例のアレをジェルさまに相応しい力の源だと心得ています」
「そうか……そうだといい。さて、今回はどのような編成だ」
「はい」と執事が返事をする。 それだけで、彼の足元……影に変化が起きる。
「待機させていたのは、魔術師と暗殺者です」
それだけ言うと彼の影が立体に、人間の姿に変わった。
「元となった人材は、この国の英雄でした。今回の戦争で勧誘をしていたのですが、断られ続け、ついには戦死を――――」
「なるほど、お前が死して、惜しむ人材か。見せてもらおうか? その実力を」
影となった『魔術師』と『暗殺者』を「……」と無言であった。
どうやら、言葉は喋れないようだ。 しかし、ジェルと執事を守るように陣形を組んだ。
「なるほど、優秀さが良くわかる。これから楽しませてもらうぞ」とジェルは笑った
0
あなたにおすすめの小説
『異世界ガチャでユニークスキル全部乗せ!? ポンコツ神と俺の無自覚最強スローライフ』
チャチャ
ファンタジー
> 仕事帰りにファンタジー小説を買った帰り道、不運にも事故死した38歳の男。
気がつくと、目の前には“ポンコツ”と噂される神様がいた——。
「君、うっかり死んじゃったから、異世界に転生させてあげるよ♪」
「スキル? ステータス? もちろんガチャで決めるから!」
最初はブチギレ寸前だったが、引いたスキルはなんと全部ユニーク!
本人は気づいていないが、【超幸運】の持ち主だった!
「冒険? 魔王? いや、俺は村でのんびり暮らしたいんだけど……」
そんな願いとは裏腹に、次々とトラブルに巻き込まれ、無自覚に“最強伝説”を打ち立てていく!
神様のミスで始まった異世界生活。目指すはスローライフ、されど周囲は大騒ぎ!
◆ガチャ転生×最強×スローライフ!
無自覚チートな元おっさんが、今日も異世界でのんびり無双中!
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
【魔女ローゼマリー伝説】~5歳で存在を忘れられた元王女の私だけど、自称美少女天才魔女として世界を救うために冒険したいと思います!~
ハムえっぐ
ファンタジー
かつて魔族が降臨し、7人の英雄によって平和がもたらされた大陸。その一国、ベルガー王国で物語は始まる。
王国の第一王女ローゼマリーは、5歳の誕生日の夜、幸せな時間のさなかに王宮を襲撃され、目の前で両親である国王夫妻を「漆黒の剣を持つ謎の黒髪の女」に殺害される。母が最後の力で放った転移魔法と「魔女ディルを頼れ」という遺言によりローゼマリーは辛くも死地を脱した。
15歳になったローゼは師ディルと別れ、両親の仇である黒髪の女を探し出すため、そして悪政により荒廃しつつある祖国の現状を確かめるため旅立つ。
国境の街ビオレールで冒険者として活動を始めたローゼは、運命的な出会いを果たす。因縁の仇と同じ黒髪と漆黒の剣を持つ少年傭兵リョウ。自由奔放で可愛いが、何か秘密を抱えていそうなエルフの美少女ベレニス。クセの強い仲間たちと共にローゼの新たな人生が動き出す。
これは王女の身分を失った最強天才魔女ローゼが、復讐の誓いを胸に仲間たちとの絆を育みながら、王国の闇や自らの運命に立ち向かう物語。友情、復讐、恋愛、魔法、剣戟、謀略が織りなす、ダークファンタジー英雄譚が、今、幕を開ける。
異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜
KeyBow
ファンタジー
間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。
何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。
召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!
しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・
いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。
その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。
上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。
またぺったんこですか?・・・
『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる
仙道
ファンタジー
気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。 この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。 俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。 オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。 腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。 俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。 こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。
12/23 HOT男性向け1位
高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません
下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。
横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。
偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。
すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。
兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。
この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。
しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。
異世界ビルメン~清掃スキルで召喚された俺、役立たずと蔑まれ投獄されたが、実は光の女神の使徒でした~
松永 恭
ファンタジー
三十三歳のビルメン、白石恭真(しらいし きょうま)。
異世界に召喚されたが、与えられたスキルは「清掃」。
「役立たず」と蔑まれ、牢獄に放り込まれる。
だがモップひと振りで汚れも瘴気も消す“浄化スキル”は規格外。
牢獄を光で満たした結果、強制釈放されることに。
やがて彼は知らされる。
その力は偶然ではなく、光の女神に選ばれし“使徒”の証だと――。
金髪エルフやクセ者たちと繰り広げる、
戦闘より掃除が多い異世界ライフ。
──これは、汚れと戦いながら世界を救う、
笑えて、ときにシリアスなおじさん清掃員の奮闘記である。
スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる