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第9話 『旧下水処理場ダンジョン』
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「あんた、凄い男だ。最後に握手をしてくれ」
担架に乗せられ、治癒のために教会に運ばれていく最中のガストンはシロウを握手を交えた。 それから、
「お前らもわかってるだろ? 俺の代わりにシロウ・ムラサメの頼み事を叶えるように動いてくれよ」
「おう、後の事は俺たちに任せておけ! おめぇは体を治すことだけに集中するんだぞ」
冒険者たちは、ガストンを見送った。
「────とは言ったけどよぉ。あんたらの目的は、封鎖されている方角に向かっているんだろ?」
「どうする?」と冒険者たちは集まり、円陣を組んで相談を始めた。
「問題は、山賊か。 俺たちで根城をやっちまうか?」
「いや、山賊どもは、組織化されているぞ。 戦力を分散してるのに、性格な連携を取って来る」
「やっぱり、山賊に擬装した兵士たちじゃないのか?」
「隣国が戦争を仕掛けようとしてるって話だな。 なかなか、眉唾物ではあるが・・・・・・」
そんな議論が煮詰まっていった時だった。
「俺、知ってるかもしれない」と手を上げたのは新人冒険者であるジェイクだった。
「なんだ、ジェイク? 知ってるって何を知ってるって言うんだ?」
「封鎖されてなくて、山賊が出没しない隣町までの道筋を」
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
町から、少しだけ離れた場所。 そこにレンガ作りの建物があった。
決して大きな建物ではなく、小さな小屋程度の大きさではあったが、
「旧下水処理場か。考えたな」とシロウは建物の扉を開いた。
建物の内部には、地下へ続く階段だけがあった。
旧下水処理場
クモの巣のように地下に走っている下水道。 それは隣町にまで繋がっていた。
新人冒険者のジェイクは、地下水での大ネズミ退治を続ける毎日で、下水道の一部が、この場所に繋がっている事に気づいたそうだ。
幸いにして、ギルドには旧下水道の地図があった。
だが、封鎖されて数十年も経過して、誰も立ち入ってない。 ジェイク以外は・・・・・・
そのため────
「それじゃ、俺たちは夜営の準備をしておくぞ」と無償で護衛を申し出てきた冒険者たちがテントを張り始めた。
今回は旧下水処理場の調査。 1日で突破して、隣町に行こうとはシロウとセリカは思っていない。
「それじゃ・・・・・・」と冒険者たちは、山賊に襲われないように護衛。それから、旧下水処理場で遭難した場合の救助役を買って出てくれたのだ。
それに加え、内部の案内役として新人冒険者であるジェイクは大役を任せられる事になった。
「それじゃ、ここから入ります!」と緊張しながらも、ランタンで階段を照らして進んでいく、シロウとセリカも後に続いた。
階段を下り終え、ジェイクが進もうとした時だった。
「待ってくれ」とシロウが止めると、その場でしゃがみこんだ。
「え? なに?」と慌てるジェイクだったが、
「心配はありません。 もしかしたら、良い発見があるのかも知れません」とセリカはジェイクに微笑んだ。
「?」とジェイクには心当たりがなかったのだが、すぐにその言葉の意味を知ることになった。
「やはりだ。新しい生態系が生まれている。ここはまるでダンジョン───ではない。もう新しいダンジョンとして生まれ変わっている」
「え? 新しいダンジョン?」
ジェイクは何を言っているのかわからなかったが、
「おめでとうございます」と彼にセリカは説明する。
「あなたがこのダンジョンの発見者になるます」
「俺が……? 発見者になる?」
「帰って冒険者ギルドに申請すれば、すぐにダンジョンの発見者として名前が登録されることになるでしょ。やはり名前は、自分の名前をつけますか?」
「一体、それって何が凄いんだ?」
新ダンジョンの発見者。それは冒険者にとって名誉な事だ。
さらに、ダンジョン発見者には、ダンジョンの命名権がギルドから与えられる。
もっとも、すぐに通称で呼ばれる事になるだろうが…… 例えば、
『西の砂漠ダンジョン』
『水の都ダンジョン』
『王家の墓ダンジョン』などなど……
それでも正式名と発見者なの名前は冒険者ギルドに登録され、ダンジョンがこの世に有る限り、名前も後世に残るというわけだ。
しかし、それを説明しても、ジェイクはよく理解できておらず「?」と疑問符を浮かべているだけだった。
「とにかく、凄い名誉な事が起きますよ」とセリカは締めくくった。
3人はダンジョン化した旧下水処理場を進み始めた。
長年放置された旧下水処理場は、もはや人間の生活圏から忘れ去られた存在である。
古いレンガ作りの壁には苔が這い、無数の亀裂がその年月を物語る。
しかし────
ポタっ
ポタっ
「放置されて、水が流れるはずのない乾いた空間。だが、耳を澄ませると水の滴が跳ねた音が聞こえる……気がするな」
「水の音だけではないみたいですね。 ジェイクさんは下がっておいてください」
ジェイクを庇うようにシロウとセリカが前に出た。
その直後、異音に新たな音が加わった。
───カンッ……カンッ……
遠くで聞こえる規則的な音。先ほどまで聞こえていた水滴が跳ねる音ではない。
カン……カン……
「これって……足音か?」と遅れてジェイクも気づく。
「そんな、前に来た時はモンスターなんて数匹だけだったのに!」
「大丈夫だ。今は俺がいる」とシロウは、どこからか武器を取り出した。
狭い通路には有利とは言えない長い武器──ハルバードを構えて待つ。
さらに近づいてくる足音。
まるで重い金属の靴が床を叩いているかのような足音だった。人間のものよりも大きく重い足音。
異形が静寂の中に忍び寄ってくる。
見えない敵の足音が、古びた通路の壁に反響し、どこからともなく襲いかかってきそうだった。
そして、風がない密閉空間に微かな風を感じた。冷たい気流が背中を撫でるように抜けていく。視界の奥で何かが動いた。それは、こちらの目の錯覚なのか───否。
出現したモンスターはあまりにもデカかった。
「彷徨う鎧!? ですが、あまりにも大きすぎます!」
セリカが叫ぶのも当然だろう。 なんせ、彷徨う鎧は死んだ騎士の怨霊がモンスター化したもの。
ならば人間サイズが基準。しかし、目前の彷徨う鎧は4メートルの身長はあるだろう。だから────
「いや違うぞ、セリカ!」とシロウは叫んだ。
「こいつは、トロルかオークか・・・・・・とにかく、そういう人間型のモンスターが、甲冑を着込んでいるだけだ!」
どうやら、シロウの考察は正しいようだ。なぜ、そんな巨大な甲冑と武器が、こんな旧下水処理場にあったのか? そういう疑問は残るにしても・・・・・・
セリカは武器を抜き、前衛である己の仕事を全うしようとした。しかし───
「待て、セリカ」とシロウが止めた。
「何を?」と彼女の抗議を受けたシロウだったが、
「ここは俺が請け負う。セリカはジェイクを守ることに専念してくれ」
「────わかった」と彼女も理解した。
ジェイクは新人冒険者だ。この戦いに巻き込むわけにはいかない。
誰かを守りながら戦うということなら、シロウよりも自分の方が向いている。
巨大な彷徨う鎧が動いた。 左右の隙間から、抜かれないように体を広げ、折れた剣で素早く突いてくる。
「良い突きだ。よく、デカイ癖に速いっていう奴がいるけど、逆だよな? デカイ奴は良い肉が体に詰まってるから動きが速いってな!」
シロウは長物《ハルバード》を器用に操り、彷徨う鎧の攻撃を弾いていく。
大きく起動がズレた剣は通路に突き刺さり、下水処理場全体を揺らして見せた。
「流石に生き埋めも、通路を潰されるのも、不味いな」
『氷魔法《アイス》』
攻撃するのが目的ではない。 通路を補強するのが目的。
みるみるうちに、通路を凍らせる。 ついでに、彷徨う鎧の足元も凍らせた。
これが幸いした。彷徨う鎧の動きが明らかに鈍くなったのだ。
「ん? 氷や寒さに弱いのか? なるほど、このパワーやスピードの秘密がわかった・・・・・・かもしれない」
「それじゃ、これはどう捌く?」とシロウは次の魔法を────斬撃をはなった。
異常なほど、遅い速度で放たれた斬撃魔法。 こともあろうか、シロウは自分が放った斬撃の上に飛び乗った。
理屈の上では可能だ。 斬撃魔法は、剣などの物理攻撃を魔力によって再現している。
だから、軽気功や軽業を極めた盗賊や武道家が振り回す剣のう上に飛び乗ると同じように斬撃魔法に乗って見せたのだ。
・・・・・・なんのために?
無論、攻めの一手。 狭い通路で前後にしか移動できないのは、彷徨う鎧も同じ。
シロウの斬撃魔法に対してできる事は────
防御するか?
攻撃でかき消すか?
彷徨う鎧は、まとわり付く氷ごと破壊するように折れた剣を振る。
その豪腕は、斬撃魔法をかき消すには十分過ぎるほどの威力を持っている。
しかし、シロウ本人は斬撃魔法の上から、さらに飛び上がっていた。
「さぁ! これで終わりか、モンスター?」
手にした武器はハルバード。
4メートルを越えるであろう彷徨う鎧の顔の正面まで接近したシロウは、超至近距離での投擲を行った。
その衝撃。 直撃した彷徨う鎧を頭部を天井にぶつけながらも、仰向けに倒れた。
「やったか?」とシロウは、その姿に勝利を確信した。
セリカも、ジェイクも、そうだろう。 だが、まだ彷徨う鎧は生きていた。
「ぐおおおおおおおおおおおおおおおおおおっっ!」
咆哮を放つ。それには、まだ衰えぬ闘志が含まれていた。
(どうする?)
シロウには悩みが生じた。 己の武器であるハルバードは今、彷徨う鎧の頭部に突き刺さっている。
強引にでも回収するか? それとも、無手で魔法を中心に戦うか?
どちらでも戦闘が継続できるからこその悩み。
その隙を彷徨う鎧は理解していたわけではないだろう。
あるのは怒り。だが、怒りだけではない。 この場所に住む彼は知っている。
この旧下水処理場のさらに地下に何があるか。 この通路、戦闘で大きく損傷したのならば────
ただ、腕を叩きつけるだけで破壊できる。
そして、彼はそれを実行した。 床に向かって、激しく拳を叩きつける。
床には、無数の亀裂が走り──── 自分とシロウを飲み込むように大きな穴が生まれた。
担架に乗せられ、治癒のために教会に運ばれていく最中のガストンはシロウを握手を交えた。 それから、
「お前らもわかってるだろ? 俺の代わりにシロウ・ムラサメの頼み事を叶えるように動いてくれよ」
「おう、後の事は俺たちに任せておけ! おめぇは体を治すことだけに集中するんだぞ」
冒険者たちは、ガストンを見送った。
「────とは言ったけどよぉ。あんたらの目的は、封鎖されている方角に向かっているんだろ?」
「どうする?」と冒険者たちは集まり、円陣を組んで相談を始めた。
「問題は、山賊か。 俺たちで根城をやっちまうか?」
「いや、山賊どもは、組織化されているぞ。 戦力を分散してるのに、性格な連携を取って来る」
「やっぱり、山賊に擬装した兵士たちじゃないのか?」
「隣国が戦争を仕掛けようとしてるって話だな。 なかなか、眉唾物ではあるが・・・・・・」
そんな議論が煮詰まっていった時だった。
「俺、知ってるかもしれない」と手を上げたのは新人冒険者であるジェイクだった。
「なんだ、ジェイク? 知ってるって何を知ってるって言うんだ?」
「封鎖されてなくて、山賊が出没しない隣町までの道筋を」
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
町から、少しだけ離れた場所。 そこにレンガ作りの建物があった。
決して大きな建物ではなく、小さな小屋程度の大きさではあったが、
「旧下水処理場か。考えたな」とシロウは建物の扉を開いた。
建物の内部には、地下へ続く階段だけがあった。
旧下水処理場
クモの巣のように地下に走っている下水道。 それは隣町にまで繋がっていた。
新人冒険者のジェイクは、地下水での大ネズミ退治を続ける毎日で、下水道の一部が、この場所に繋がっている事に気づいたそうだ。
幸いにして、ギルドには旧下水道の地図があった。
だが、封鎖されて数十年も経過して、誰も立ち入ってない。 ジェイク以外は・・・・・・
そのため────
「それじゃ、俺たちは夜営の準備をしておくぞ」と無償で護衛を申し出てきた冒険者たちがテントを張り始めた。
今回は旧下水処理場の調査。 1日で突破して、隣町に行こうとはシロウとセリカは思っていない。
「それじゃ・・・・・・」と冒険者たちは、山賊に襲われないように護衛。それから、旧下水処理場で遭難した場合の救助役を買って出てくれたのだ。
それに加え、内部の案内役として新人冒険者であるジェイクは大役を任せられる事になった。
「それじゃ、ここから入ります!」と緊張しながらも、ランタンで階段を照らして進んでいく、シロウとセリカも後に続いた。
階段を下り終え、ジェイクが進もうとした時だった。
「待ってくれ」とシロウが止めると、その場でしゃがみこんだ。
「え? なに?」と慌てるジェイクだったが、
「心配はありません。 もしかしたら、良い発見があるのかも知れません」とセリカはジェイクに微笑んだ。
「?」とジェイクには心当たりがなかったのだが、すぐにその言葉の意味を知ることになった。
「やはりだ。新しい生態系が生まれている。ここはまるでダンジョン───ではない。もう新しいダンジョンとして生まれ変わっている」
「え? 新しいダンジョン?」
ジェイクは何を言っているのかわからなかったが、
「おめでとうございます」と彼にセリカは説明する。
「あなたがこのダンジョンの発見者になるます」
「俺が……? 発見者になる?」
「帰って冒険者ギルドに申請すれば、すぐにダンジョンの発見者として名前が登録されることになるでしょ。やはり名前は、自分の名前をつけますか?」
「一体、それって何が凄いんだ?」
新ダンジョンの発見者。それは冒険者にとって名誉な事だ。
さらに、ダンジョン発見者には、ダンジョンの命名権がギルドから与えられる。
もっとも、すぐに通称で呼ばれる事になるだろうが…… 例えば、
『西の砂漠ダンジョン』
『水の都ダンジョン』
『王家の墓ダンジョン』などなど……
それでも正式名と発見者なの名前は冒険者ギルドに登録され、ダンジョンがこの世に有る限り、名前も後世に残るというわけだ。
しかし、それを説明しても、ジェイクはよく理解できておらず「?」と疑問符を浮かべているだけだった。
「とにかく、凄い名誉な事が起きますよ」とセリカは締めくくった。
3人はダンジョン化した旧下水処理場を進み始めた。
長年放置された旧下水処理場は、もはや人間の生活圏から忘れ去られた存在である。
古いレンガ作りの壁には苔が這い、無数の亀裂がその年月を物語る。
しかし────
ポタっ
ポタっ
「放置されて、水が流れるはずのない乾いた空間。だが、耳を澄ませると水の滴が跳ねた音が聞こえる……気がするな」
「水の音だけではないみたいですね。 ジェイクさんは下がっておいてください」
ジェイクを庇うようにシロウとセリカが前に出た。
その直後、異音に新たな音が加わった。
───カンッ……カンッ……
遠くで聞こえる規則的な音。先ほどまで聞こえていた水滴が跳ねる音ではない。
カン……カン……
「これって……足音か?」と遅れてジェイクも気づく。
「そんな、前に来た時はモンスターなんて数匹だけだったのに!」
「大丈夫だ。今は俺がいる」とシロウは、どこからか武器を取り出した。
狭い通路には有利とは言えない長い武器──ハルバードを構えて待つ。
さらに近づいてくる足音。
まるで重い金属の靴が床を叩いているかのような足音だった。人間のものよりも大きく重い足音。
異形が静寂の中に忍び寄ってくる。
見えない敵の足音が、古びた通路の壁に反響し、どこからともなく襲いかかってきそうだった。
そして、風がない密閉空間に微かな風を感じた。冷たい気流が背中を撫でるように抜けていく。視界の奥で何かが動いた。それは、こちらの目の錯覚なのか───否。
出現したモンスターはあまりにもデカかった。
「彷徨う鎧!? ですが、あまりにも大きすぎます!」
セリカが叫ぶのも当然だろう。 なんせ、彷徨う鎧は死んだ騎士の怨霊がモンスター化したもの。
ならば人間サイズが基準。しかし、目前の彷徨う鎧は4メートルの身長はあるだろう。だから────
「いや違うぞ、セリカ!」とシロウは叫んだ。
「こいつは、トロルかオークか・・・・・・とにかく、そういう人間型のモンスターが、甲冑を着込んでいるだけだ!」
どうやら、シロウの考察は正しいようだ。なぜ、そんな巨大な甲冑と武器が、こんな旧下水処理場にあったのか? そういう疑問は残るにしても・・・・・・
セリカは武器を抜き、前衛である己の仕事を全うしようとした。しかし───
「待て、セリカ」とシロウが止めた。
「何を?」と彼女の抗議を受けたシロウだったが、
「ここは俺が請け負う。セリカはジェイクを守ることに専念してくれ」
「────わかった」と彼女も理解した。
ジェイクは新人冒険者だ。この戦いに巻き込むわけにはいかない。
誰かを守りながら戦うということなら、シロウよりも自分の方が向いている。
巨大な彷徨う鎧が動いた。 左右の隙間から、抜かれないように体を広げ、折れた剣で素早く突いてくる。
「良い突きだ。よく、デカイ癖に速いっていう奴がいるけど、逆だよな? デカイ奴は良い肉が体に詰まってるから動きが速いってな!」
シロウは長物《ハルバード》を器用に操り、彷徨う鎧の攻撃を弾いていく。
大きく起動がズレた剣は通路に突き刺さり、下水処理場全体を揺らして見せた。
「流石に生き埋めも、通路を潰されるのも、不味いな」
『氷魔法《アイス》』
攻撃するのが目的ではない。 通路を補強するのが目的。
みるみるうちに、通路を凍らせる。 ついでに、彷徨う鎧の足元も凍らせた。
これが幸いした。彷徨う鎧の動きが明らかに鈍くなったのだ。
「ん? 氷や寒さに弱いのか? なるほど、このパワーやスピードの秘密がわかった・・・・・・かもしれない」
「それじゃ、これはどう捌く?」とシロウは次の魔法を────斬撃をはなった。
異常なほど、遅い速度で放たれた斬撃魔法。 こともあろうか、シロウは自分が放った斬撃の上に飛び乗った。
理屈の上では可能だ。 斬撃魔法は、剣などの物理攻撃を魔力によって再現している。
だから、軽気功や軽業を極めた盗賊や武道家が振り回す剣のう上に飛び乗ると同じように斬撃魔法に乗って見せたのだ。
・・・・・・なんのために?
無論、攻めの一手。 狭い通路で前後にしか移動できないのは、彷徨う鎧も同じ。
シロウの斬撃魔法に対してできる事は────
防御するか?
攻撃でかき消すか?
彷徨う鎧は、まとわり付く氷ごと破壊するように折れた剣を振る。
その豪腕は、斬撃魔法をかき消すには十分過ぎるほどの威力を持っている。
しかし、シロウ本人は斬撃魔法の上から、さらに飛び上がっていた。
「さぁ! これで終わりか、モンスター?」
手にした武器はハルバード。
4メートルを越えるであろう彷徨う鎧の顔の正面まで接近したシロウは、超至近距離での投擲を行った。
その衝撃。 直撃した彷徨う鎧を頭部を天井にぶつけながらも、仰向けに倒れた。
「やったか?」とシロウは、その姿に勝利を確信した。
セリカも、ジェイクも、そうだろう。 だが、まだ彷徨う鎧は生きていた。
「ぐおおおおおおおおおおおおおおおおおおっっ!」
咆哮を放つ。それには、まだ衰えぬ闘志が含まれていた。
(どうする?)
シロウには悩みが生じた。 己の武器であるハルバードは今、彷徨う鎧の頭部に突き刺さっている。
強引にでも回収するか? それとも、無手で魔法を中心に戦うか?
どちらでも戦闘が継続できるからこその悩み。
その隙を彷徨う鎧は理解していたわけではないだろう。
あるのは怒り。だが、怒りだけではない。 この場所に住む彼は知っている。
この旧下水処理場のさらに地下に何があるか。 この通路、戦闘で大きく損傷したのならば────
ただ、腕を叩きつけるだけで破壊できる。
そして、彼はそれを実行した。 床に向かって、激しく拳を叩きつける。
床には、無数の亀裂が走り──── 自分とシロウを飲み込むように大きな穴が生まれた。
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