紅眼の殺人鬼

チョーカ-

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「私には才能の有無がわかっちゃうんだ」

 それは嘘じゃない。 私、鷲見朋には、そういう才能がある。

 幼少期から、なんとなく人の職業を言い当てたり、向き不向きと言い当てたりできた。
 
 だから、本当は私、最初から分かって……

「そうなんだ、それって大変そうだね」

 なんて、私を殺そうとした同級生は、同情してきた。

「……え? 待って。私、同情されてるのおかしくない? 殺人鬼相手に」

「そんな事を言われても(なんて言うか、シリアスな雰囲気じゃなくなるんだよな。話してると)」

「私、貴方にいろいろ言いたい事があったのよ」

「ん~、そりゃそうだろうけど……待ってよ。それじゃ、いつから気づいていたんだ?」

「いつからって言われても困るわ。文くんに殺人の才能があるっていう事は最初からわかっていたけど、私を襲ったのが文くんだと思わなかったから」

「???」と文は困惑。それから

「最初からって……最初?」

「えぇ、最初にクラスメイトになった時、なんとなく殺人が得意そうな顔だなぁ……なんてね」

「最悪の第一印象だね。それで、クラスに俺みたいな殺人鬼がいるって分かっていて、犯人だとは思わなかったて? 矛盾してない、それ?」

「全然! 文くん、人を殺しそうだけど耐えてて大変だって思っていたけど、私相手に興奮するなんて思っていなかったから驚いた。さっき、窓からのぞいていたでしょ? それで、嗚呼……ついにやらかしたのねって気づいちゃった」

「まぁ、納得してないけど……ごめんなさい。職員室にでも、警察にでもついていきます」

「え? 別にいいわよ。そんな事」

「――――はぁ!?!?(何言ってるんだ、コイツ?)」

「よくある事だからね」

「いやいや、よくねぇだろ」

「通学時間の満員電車に乗ったら、大体1人くらいは同じ車両に人殺しが乗っているわ」

「――――っ!? それは」と絶句して言葉が出なかった。

 殺人鬼。

 その自覚している異常性が、自分の性格に影響を与えている。

 複雑に捻じ曲がった性格を形成している。 それが――――

『意外とありふれて大したものじゃない』と言わてたような感じがして――――

 不思議と嬉しかった。

「け、けど、怪我させて」

「ないわよ。怪我した箇所。痣ならあるけど」

「それに気絶させたし」

「私、貧血気味なの」

「……いや、まずいよ。なんか償わないと。人を襲ったのに勝手に許されるなんて」

「……そう、じゃ聞かせて」

「なにを?」

「貴方は、どうして、そんなに耐えながら学校に来ているの? 本能に抗いながら生きるだけでも大変そうなのに――――何か目的があるのでしょ?」

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