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Prepare
しおりを挟むすっかり疲れて寝落ちてしまった自分が目を覚ましたのは、屋敷にウィリウスが帰ってきた時だった。荷物を下ろして装備を脱ぐ音ではたと気が付き、慌てて起き出す。雑事は全て屋敷付きの使い魔が行うはずなので、お叱りはないはずだ。が、いかんせん今日以前の記憶がほとんどないから、どう対応するべきかもよく分からない。ひとまず大人しく従順さを見せておけば奴隷らしいかな。
ガチャガチャと重たい物を動かす音。声は聞こえてこないから、新しいメンバーは連れ帰らなかったようだ。下克上したい側としては有難い。最初期の屋敷はほとんど小屋と言っていい狭さと薄さで、隣室で人が動いていれば音が聞こえてくる。ぼそぼそと独り言を呟く声も聞こえてきて……なんというか、あんまり成果が良くなかったんだろうな、というのは分かった。
「ああくそ……、ん、なんだ起きてたのか」
土埃に汚れた姿で調整部屋に現れたウィリウス。目付きが鋭いので態度がめちゃくちゃに悪い冒険者に見える。怪我はしていないようで、少し安心した。邪魔にならないようすみっこで座っておく。彼はちらっとこちらを見下ろし、そのまま風呂場へ入って行った。シャワーの音がして、彼が身体を清めているのが分かった。今のうちにそーっと部屋を出て、本日の彼の頑張りを確認してみることにする。
「おぉ……結構頑張ってる」
1人にしては良い成果じゃないか? 素材系の資源が一袋と、宝箱から出たらしい武器にポーションが数点。隣に置かれた装備は一番低品質な木製一式だ。ここからこっそり素材をくすねて万全を期しても良いのだけれど……それはなんか違う気がするな。隷属の鎖で堕としてから共有素材にして貰おう。
小さな使い魔たちがやって来て装備を手入れしたり、素材を倉庫にしまったりしているのを眺める。この世界、お屋敷付きの使い魔はだいたいがこぶし大くらいのスライムだ。ピンクの楕円形で、中心に白い核がある。ぷにぷにと数匹で移動するそいつらは、ゲーム内の説明文によると屋敷の汚れを食べて掃除したり、指示した作業を繰り返したりと基本単純作業をこなしてくれる低級の妖魔である。なお、躾をすればベッドでも役立ってくれる有能。解体して取れる素材はゼリーと魔石、たまに媚薬(小)。かわいい妖精さん的ポジションキャラだ。
眺めるうちに彼らは素材を運び終わって、もちもち動きながら清掃作業へ戻っていく。いずれ人外とかも仲間に出来たらなあ、と思いながら見送った。
「おい、今からちょっと寝るから、飯用意しておけよ」
ひょこりと調整部屋から顔を覗かせたウィリウスが、濃い緑色の目を細めてこちらを見る。ゲーム内では食事等の飲食アイテムはプレイヤーが作成するかショップで購入するかが基本だったのだが、ここでは違うらしい。よく考えれば、ウィリウスは曲がりなりにも貴族に属する人間だ。彼が台所に立つより、奴隷の自分が用意する方が自然である。切って焼くくらいの男料理で良ければ作れるぞ。
「……かしこまりました」
「おいどうした、しゃんとしろ。風邪でも引いたか?」
「い、いえ」
疑わしげにこちらを見るウィリウスをなんとか誤魔化す。返事に間が開いたので怪しまれたかもしれない。でも、あのベッドで寝てくれたなら予定通りだ。こっそり鎖を付けてしまおう。
「なんか食う物作っとくくらいはしても良いか」
自分が食う分欲しいし、倉庫の在庫を確認しておいて損はない。ちょっと昼寝して元気になったことだし、ウィリウスが寝付くまで作業しよう。
使い魔に付いて倉庫に行き、中身を漁る。野菜や干し肉なんかの食材と、他の素材が分けて貯蓄されていた。足の早そうな食材を選んで台所へ。切って焼いて塩でも振って……まああとパンでも添えておけばいいだろう。いつ操作権が移ったのか分からない体に慣れる意味も込めて、西洋風の台所を物色。使用方法は現実と変わらないようなので、なんとなーく洗って切って焼いて、置いてあった塩胡椒を振って置いておく。後で温め直して食べよう。
「さて、ウィリ兄さん寝たかなー……」
お待ちかね、隣室で音も声もしなくなってしばらく経ったので、そっと戻って確認してみた。寝具の上で、下着のまま大の字になっている。かわいい。
外出前はそんな余裕なかったし、さっきも慌ただしかったので改めてウィリウスを眺めてみる。美しい赤毛。ちょっと固そうなツンツン髪は、今は少し湿って落ち着いていた。エロゲのキャラなだけあって顔立ちは秀逸。閉じられた睫毛もばっさばさだし、近くでまじまじ眺めても容姿に瑕疵は見つけられない。しなやかな体は筋肉で包まれていて、大きな獣のようだ。無防備に眠っているので、へそ天した大型犬を思い起こさせる。いつもは気の強そうな立ち絵とスチルばかり出てくるのに、意識のない時の絵はちょっと幼い顔になるのがずるいんだよなぁ。三男坊で苦労しているとかのショートストーリーもあったはずだ。
んまあ、そんなこととは関係なく拘束してヤるんだけど。
「はい失礼しまーす」
そっと手を取って、頭上の手錠をかける。自分より2回りくらい大きくて骨張った指と、戦闘するからか短く整えられた爪。ちょっと出来心で撫でてみたけれど、起きる気配はない。それから足の所にある鎖を使って足首も固定。体勢的に挿れるのが難しそうな開き方だが、今ウィリウスに蹴られたら骨ぐらい折れそうなので厳重に拘束させてもらう。そしたら、都合よく下着で寝てくれているので媚薬成分配合のアロマを焚いて、タオルやらおもちゃやらを用意。BLモードの主人公設定だから後ろの開発はしていなさそうだが、まあ良いか。魔法の道具で綺麗にして開発しよ、その方が楽しい。
「よし、準備完了」
静かに寝具へ乗り上げ、ウィリウスの股の間に陣取る。ローションをたっぷり手のひらに出して温めて……ゆっくりと下着越しに股間へ垂らして、ウィリウスの調整開始だ。
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