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第9話
9-24+
しおりを挟む灯燭を消して、床帷ごしに差し込んでくるさやかな月光に映し出された身體を愛でるのは至福の時間だった。
胸をいじっただけで幾度も腰をふるわせ、肌香をあふれさせる仁瑶はひどく可愛らしく、獣慾をそそる。普段の清廉さを知るだけに、こんなにも淫らな姿を目の当たりにできるのはおのれだけだと思うと、喜悦もこみあげてきた。
蜜花がいやらしくほころび、番に媚びるための匂いを発露させる。
仁瑶が心から翠玲を求めてくれているからこそ、床帷の内に馥郁たる香りがひろがっていく。
翠玲はたまらない心地で囁いた。
「そんなに香りをまとって、仁瑶様は本当にかわいいかたですね」
「んく……っ、ン、んぅ、ふあ……っ」
「この肌香を感じられるのも、わたしだけ。わたしを誘惑するために、一生懸命ほころんで……なんて愛らしい花紗でしょう」
一度しか抱いていないのに、覚えのよい仁瑶の躰はもう胸だけで気を遣ることができるようになっている。
翠玲の愛撫に気持ち良さそうに下腹部を痙攣させ、白蜜をこぼす仁瑶をうっとりと見つめれば、腹の底に慾が募るのを感じた。
本能の獣が唆すままに、翠玲は仁瑶の肌膚にくちびるを寄せる。甘い肌を余すところなく味わい、涙をこぼす花芯を撫でながら、ふるえる太腿や膝、ふくらはぎから爪先までを丁寧に舌で愛撫し、くちづけを落としていく。
仁瑶は翠玲に食べられてしまう心地にでもなったのか、駄々をこねるように頭を振ったけれど、やさしくなだめると大人しくなった。
それでも不安そうにしている仁瑶に、翠玲はまるで忠誠を誓うかのようにくちづけを施していく。
仁瑶が怖がる必要などどこにもないのだ。翠玲という獣に枷をはめられるのはただ仁瑶だけであり、身の内で不遜なまでに暴れ狂う獣慾も、仁瑶に対してはひたすらに従順だ。
白蜜で濡れそぼる花芯にしゃぶりつきながら、翠玲は視線だけを動かして仁瑶の媚態を堪能する。
亀頭のふくらみを舌でなぞれば、甘い蜜がぷちゅぷちゅとあふれて翠玲の喉を潤した。仁瑶の蜜をまるで甘露か緑酒のように感じるのは、彼が翠玲だけの花だからだろうか。
「かわいい私の仁瑶様。あなたの肌も、蜜も、どこもかしこも甘くて、……小玲は酔ってしまいそうです」
「んく……っ、ぅん……、ゃ、や、しゃおれぇ……っ」
陶然と紡げば、仁瑶の頬に朱が差した。
舌足らずに嫌がるいとけない様子は、庇護慾を掻きたててくる。
「きっとこの世のどこを探しても、あなたほど甘い花紗はいらっしゃらないでしょうね」
かわいい、翠玲だけの花紗。
その蜜をもっと味わいたくて、もっと感じさせたくて、翠玲は吐精を促すように花芯を扱いた。幾らも経たずにあふれた蜜をくちびるで受けとめ、最後の一滴まで飲み干す。
絶頂の余韻に戦慄く肢体を眺めながら双珠のふくらみを食み、甘く吸いつく。仁瑶が怯えた声で喘いだけれど、翠玲は知らぬふりをした。
白い喉から切れ切れの嬌声がこぼれ、紫紺の瞳が淫悦と羞恥に濡れる。褥の上で息も絶え絶えに身じろぐ仁瑶は、さながら慈雨にうたれてふるえる木蓮の花びらのようだった。
濃艶に香る花蜜の匂いを肺腑に吸い込み、翠玲は双珠の奥へとくちびるを寄せていく。
待ち焦がれて泣いていた花蕾にくちづけ、舌でくすぐると、あわいから愛蜜があふれた。とろけた媚肉は翠玲に甘えるように収縮し、なんの抵抗もなく舌を受け入れてくれる。
翠玲は爛熟した媚肉を思うさま舐めしゃぶり、こぼれる蜜を味わった。その間も仁瑶はひっきりなしに気を遣り、絹の海で悶える。
その過敏なほどの反応は、仁瑶が翠玲の与えるものをすべて享受しようとしてくれているからだろう。
達しすぎて吐き出すものもないまま、それでも腰をひくつかせて法悦に喘ぐ仁瑶を見つめれば、慾を含んだ声音がねだってきた。
「しゃおれ……っ、も、ぉ、っおくが、さびしい……っ」
翠玲がそうであるように、仁瑶もほとんど淫心に呑まれていたのかもしれない。見せつけるように脚をひらききり、いやらしくほころんだ花蕾をひくつかせる。
慾を誘う肌の香りがふくらんで、息もできないほど酔いしれる。
邪魔な衣を脱ぎ落し、互いの熱を重ねて繋がって。肌の感触を確かめるように抱きしめれば、満たされているのに飢餓感がこみあげてくる。
くちびるをあわせて、仁瑶の花芯におのれの昂ったものを押しつければとまらなかった。そのまま数度こすりあわせてから、張り詰めたものを太腿の奥へと押しつける。
濡れた窄まりが翠玲の先端に吸いつき、深く咥え込もうとねだってくるのを感じた。
雌伏に特化した下邪とはいえ、身體をひらかれる痛みがないわけではない。そうでなくとも、翠玲は仁瑶に快感だけを得ていてほしいのだ。
はやくはやくと縋ってくる番をなだめつつ、やさしくなかを犯していく。痛みを与えてしまわないよう、ゆるやかな抽挿をくり返せば、仁瑶は気持ち良さそうにあえかな嬌声を漏らした。
翠玲にしがみつきながらむせび泣く仁瑶は、快感と圧迫感で息も絶え絶えになっている。翠玲は仁瑶がこれ以上苦しくならないよう、しばらくは浅い律動で慣らそうと思っていた。
けれど、仁瑶のなかはそれでは嫌だと言わんばかりに、翠玲のものを締めつけてくる。
「小玲、もっと……」
かすれた声で紡がれ、翠玲は困惑の色を浮かべた。
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本当にありがたく思います。
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