Real escape game

おもちの国

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第一章 Until the morning with her

第一話 阿鼻叫喚

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「ねえ、ゲームの館『翡翠』って都市伝説知  
 ってる?ゲームの中に入れるゲーム屋なん  
 だって!やってみたいなぁ。」
「は?お前そんなオカルトチックな都市伝説
 信じてんの?ガキじゃんw」
(わざわざ突っかかんなくてもいーのに。
 もはや恒例行事だな。)
「ガ、ガキじゃないし!それに!いちいち
 嫌味言ってくるようなガキっぽい奴は言わ
 れたくないんですけどー!」
(また始まったよ・・・。)
割と静かだった教室に、舞花の怒声が響き渡る。いつもと同じ風景の教室を眺めながら、あくびをした。
「は、はぁ!?お前のそーやってすぐムキに
 なってくるところがガキって言ってんの!
 な!秀平!」
「え!?俺は・・ガキガキ言ってる奴の方が
 ガキだと思うぞ。」
正論を言うのはいつも俺で、それに突っかかるのは庄ちゃん。お決まりのパターン・・・しかし、今日は少し違った。
「な・・!?そうかよ!じゃ、じゃあ美奈は
 どうなんだよ!?」
「え!?わ、私?私は・・秀平の言う通りだ
 と思う・・かな。」
「っ!・・なんだよ。結局みんな秀平なのか
    よ。もういい!!」
いつもなら美奈にまで振らない。自分が無茶苦茶なことを言ってると自覚しているから。
でも、今日は何かが違う。
(まぁ・・たまたまだよな。)
しかし、俺の予想に反して異変は続いた。
給食を一番最初に食べ終わるのは必ず庄ちゃんだったのに、今日は亜依澤だった。庄ちゃんが地団駄を踏んでいるのをチラリとも見ず給食を片付けている亜依澤なんて、今の一度も見たことがなかった。その後も体育の授業が苦手だった夏菜子が徒競走の1番をとったり、国語が苦手な円堂がテストで100点とったり。挙句、放課後必ずと言っていいほどの確率で先生に手伝わされる美奈が、今日は呼び出されていない!!・・皆んな口を揃えて「たまたまだよ」とか「考えすぎ」って言うけど、これは何かが変わろうとしているんじゃないだろうか!
「考えすぎよ。面倒臭い奴は嫌われるわよ?
 それに全部良い変化じゃない。」
舞花はサバサバしてるから話しやすいんだけど・・時々もう少しサバサバを抑えてほしいと思ってしまう。放課後になっても異変が続くから誰かとこの感覚を共有したいと思ったのだけど・・・相手を間違えたらしい。
「とにかく!気にしなくても大丈夫よ。昔っ
 から心配性なとこあるわよね秀平って。」
「わーったよ。美奈んとこ行ってくる!」
「なぁにぃ?やっと思いを伝える気になった
 のぉ?」
「は・・!?バッカお前!!そんなわけない
 だろ!今日なんかずっと元気なかったか
 ら・・てか、何で俺が美奈好きな前提なん
 だよ!!」
「照れなくてもいーのにぃ!皆ーんな知って
 るよ?わかりやす過ぎて寧ろ気づかない方
 がおかしいよ(笑)!」
「っ・・!もーいい!」
鞄を引ったくるように持ち、校門に向かって
走り出した。まだ舞花が後ろで何か言っていたようだったけど、恥ずかしくて、顔が熱くて、それどころじゃなかった。こんなカッコ悪い姿、美奈に見られたくない。
(クッソ・・!何だよ舞花のやつ!) 
暑さで朦朧としながら坂を駆け上る。6月とは思えない暑さに耐えながら家へと急いだ。
「ただいま。」
そう言うと同時にドアを開けた。その時、家の中の熱風が一気に押し寄せてきた。
「なんだこれ・・!あっつ!?蒸し風呂じゃ
 んか!おい母さん!!・・買い物にでも行
 ったのか?ったく。クーラーぐらいつけて
 ってくれよなー。」

ーザザッー

誰もいないみたいだから、とりあえずクーラーをつけて扇風機のスイッチを入れた。戸棚を漁っても何もなかったから、冷蔵庫を見てみようとキッチンに向かう。
(・・っかしーな。いつもなら置き手紙ぐら
 い置いといてくれるのに。急いでたのか?
 うーん。今日は何か変な日だ。)

ーザーザザッザッー

そんなことを考えながら、冷蔵庫を開けた。
「・・っ!?かあ・・さん!?」

ーザザッザッー

そこには、見るも無惨なほどにバラバラに切り裂かれた母の姿があった。肉塊と成り果てた母の姿を見て、悲しみと恐怖が息の隙間で空回りして、もうどうしようもなく哀しくて認めたくなかった。
「は・・?うそ、だろ。こんなのって・・・
 そ、そうだ!これはドッキリだろ!?おい
 庄ちゃん!どっかで見てるんだろ!?こん
 な悪趣味なドッキリしやがって!おい!!
 ・・・なぁ、おいって。返事しろよ。返事
 してくれよ・・頼むよ。」

ーザーザッザザー

どんなに叫んでも、誰も出てこない。誰も、
「嘘だよ!ドッキリだよ!」とは言ってくれない。・・ようやくわかった。これは嘘でも
ドッキリでもない。どうやっても覆せない真実なのだと。俺は、その場で泣き崩れた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「・・・ここは?」
目が覚めると、知らない場所で寝ていた。
「・・!秀平君!!目が覚めたのね!?待っ
 ててね、今先生呼んでくるから!」
どうやらここは病院のようだ。どのぐらい寝ていたのだろうか?・・体が重い。
ーコンコンー
「失礼します。秀平さんですね?私はあなた
 の担当医の比良中です。早速ですが、あな
 たは精神的な病気にかかっていると思
 われます。」 
「な・・!?どういうことですか?何を根拠
 にそんなこと・・」
「だから思われますと言ったでしょう?
 ・・大変申し訳ないのですが、あなたが寝
 ている間に少し診察させていただきまし
 た。その時の様子からして精神的に問題が
 あると思われます。」
「・・そうなんですね。」

ーザザッー

「・・っ!!」
「どうかしましたか?」
「いや・・大したことじゃないんですけど、
 最近よく急に頭痛が・・・。」
「なるほど・・あの、いくつか質問させてい
 ただいても?」
「・・はい。いいですよ。」
その後当たり障りのない簡単な質問をいくつかされ、全て答え終えると帰っていいと言われた。ずっと病院で寝ていたからか、少しクラクラするような・・・。気のせいか?
いつもはこんな時、母さんがそばに居てくれたから辛くなかった・・なんて、甘えたこと言ってられないな。
その数日後、あっという間に葬儀が行われた。皆んな「可哀想に」とか「まだお若いのにねぇ」とか「息子さんこれからどうするんだろうね」とか、皆んなそれっぽいこと言ってるけど、誰一人として俺に「大丈夫?」なんて聞かなかった。むしろ泣いていない俺を見て、「息子さんちょっと冷たいんじゃない?」とか「これじゃ聖子さん浮かばれないわよねぇ」とか好き勝手に言ってる。俺に聞こえるような音量で。友達の中でも美奈だけは心配してくれたけど、所詮人間とはそういうものだ。周りを気にしてそれっぽいことは言うけど、それ以外は何もしない。面倒臭いから。それ以上でもそれ以下でもない。俺は、美奈以外の人間を、信じなくなった。そうしないと、いつか崩れてしまいそうで、怖かったから。

 



















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