暗黙のルール

清楚系女子

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暗黙のルール

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「あはは、何言ってんの、たっくん!」

私にはつい最近、彼氏が出来た。同じクラスのたくやくんは人気者で、私に告白してきてくれた時は夢だとも思った。
そんなたっくんとは毎晩、電話をする約束をしている。ラブラブだ。

『ナナ、今度遊ぼうよ。』

「うん!どこ行こうか?」

『俺が考えとくからさ、次の日曜日とかどう?』

「日曜日…、うん、OKだよ!楽しみにしてる!」

デートのお誘いをされてテンションが上がった私は気づかなかった。隣の壁から3回ノックされていたことに。

『ナナ、…好きだよ。』

「…っ、私も、す…」

乱暴に開けられた私の部屋のドアが、バンッと音を立てた。そこにいたのは私の弟の、真叶まなとだった。

「…ねぇちゃん。うるさい。」

「あ、ごめん…」

私達姉弟には、暗黙のルールがある。私の部屋と弟の部屋を仕切る薄い壁を3回ノックされたら、うるさいよ、って合図。

「それじゃ、おやすみ。奈々美ななみ姉ちゃん。」

「うん、おやすみ…真叶まなと。」 

寝る前のあいさつをして真叶が出て行った。扉は、荒々しく閉められた。

『誰?真叶って。』
「ん~?弟。うるさいって怒られちゃった。」

真叶と私は姉弟だ。昔はそれなりに仲が良かった。けれど、いつのころからか避けられるようになった、気がする。気のせいかもしれないんだけど。
まぁ、私が普通に夜中にうるさくしてるからなんだろうけど。

『そっか。もう寝る?』

静かに話せば問題ないんだけど、

「うん。おやすみ」

なんだか話を続ける気にはなれなくて電話を切った。

「デート、か」

独白の様にそう告げれば、静寂が身を包んだ。隣からは小さく、ゲームの音が聞こえる。
楽しみだ。楽しみにしている、はず。だって、たっくんからのデートのお誘いだもん。

楽しまないと。

電気を消す。まだ隣からはゲームの音が聞こえる。

「うるさいよ、真叶…」


私は目を閉じた。
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