暗黙のルール

清楚系女子

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デート

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今日はたっくんとデートの日だ。私はおしゃれをして外に出かける準備をする。

「どうしたの、その格好。」
「え~?おかしいかな?今日はデートなの~」

あれから私と真叶は普通に、普通に過ごした。
だって、私たちは血のつながった姉弟で、家族だ。あんなことがあったって家族じゃなくなるわけじゃない。

真叶は、少しムッとした表情で、言った。

「おれ、キスしたんだよ?なんも思わないの?」
「…思わないよ?だって、姉弟じゃん。それに、中学生にキスされたところでねえ?」

嘘だ。本当は動揺しまくっている。なんで、どうして、何で…グルグル回って、落ちていく。

「おれ、好きだよ。菜々美姉ちゃんのこと。」
「…周りを傷つける恋愛なんて。間違ってるよ。」

真叶は寂しそうに顔を伏せた後、今日だけ、一緒にいてよ。母さんたちが帰ってくるまで。と、笑った。

「うん。」

としか、言えなかった。


***


「どこ行くの~?」
「秘密」

真叶が漕ぐ自転車の後ろに乗って、風を感じる。暑い日差しと、頬をかすめる涼しい風が、夏を感じさせた。

「着いたよ。」

海、だった。砂浜のきれいな海。田舎のここには海水浴をしている人はいなくて、波の音で工事の音なんかもかき消されて、まるで私と真叶と二人、取り残されたような錯覚を起こした。

「あちち。」

素足で砂をけると暑くて、すぐにやめた。

「なにやってんだよ」

真叶が笑った。
ほんと、何やってんだろ。彼氏とのデートを蹴って、弟と二人泳ぐ気もないのに海なんかに来て。
でも、無理だった。家にいるのは。どうしても、家族だって言われてるみたいで。
影に入って、ぬるいアスファルトに腰を下ろした。

真叶と、目が合った。
雰囲気に流されてまた、キスをした。馬鹿だとは思う。でも、流されてみたくなった。至近距離で目が合って、また目を閉じて。
セミの鳴き声と海の波の音がどうしようもなくはかなく思えた。私たちの関係の様に。

「俺、好きだよ。」
「…聞いたよ。さっき。」

「これって、いいのかな。」
「いいんだよ、1日だけだから。誰にも、迷惑かけない、傷つかない。」

震える手で、しっかり私の衣服を脱がす。

汗が、首筋を伝った。夏が私を溶かそうとしているみたいに、日差しを浴びせた。溶けしまいたかった。報われるはずのない、報われてはいけない恋。

真叶が、下着に、手をかけて、

止まった。


「ダメだ、俺、好きだけど、姉ちゃんのこと、でも…。」

真叶の涙が私の頬に落ちた。私の涙と混ざって、どっちがどっちのかなんて区別はつかなかった。
混ざりあって、アスファルトに落ちた。

「…うん。」





セミが必死に、1週間の命を叫んでいた。
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