真の聖女が現れたと追放されたら、森の中で真っ白もふもふに出会いました。帰って来いと言われても、聖龍様の番になったのでもう遅い

信楽ぽんた

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歓迎されざる闖入者

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「なりません! 今は夜のお祈りの時間です!」

「大事な儀式を中断しては、国を守る結界に悪影響が出ます!!」

「ええい、うるさい! 俺はこのエセンチ王国の第一王子だぞ!!」

 ああもう。うるさいなあ。
 今は大事なお祈りの真っ最中。
 いつも晩ご飯を終えてから、毎日大聖堂の祭壇前で聖女がそろって祈りをささげるの。
 こうして祈りの力……神聖力を祭壇の魔法陣に注ぎ込むことで、この国を守る結界を維持してるんだけど……

 最近、サボる子が多くて困ってる。
 今夜なんて、真面目にお祈りしてるのはあたし一人だよ。ここ、王都の大神殿に仕える聖女って、見習いの神子も入れれば10人はいるはずなのに。
 そんな時に大事な儀式を邪魔されたら迷惑だってこと、王子様なのにわかんないのかな。
 あんなに威張ってるのに、言動は幼稚でバカっぽくてイヤになる。

「いくら王子殿下でも儀式の邪魔はいけません! 国がどうなっても良いのですか!?」

「やかましい!! 未来の国王に何を申すか!! ええい、そこをどけい!!」

 必死に止める神官様たちの悲痛な声にもかかわらず、重厚な扉が蹴破らんばかりの勢いでバーンと開け放たれる。荒々しいドタドタという足音とともにずかずかと大聖堂に踏み込んできたのは、自称あたしの婚約者、第一王子のリーベルだ。

(黙っていればいい男……に見えなくもないんだけど)

 均整の取れた長身に、まばゆい金髪、宝石のように輝く蒼い瞳。姿だけは際立って美しいのに、下品にぎゃあぎゃあと喚き散らす姿には、王族らしい落ち着きや威厳がかけらも感じられない。

(もうやだ。怒鳴れば何でも思い通りになると思ってるのよね。王子様っていうより、下町で暴れてるチンピラみたい)

「殿下、いったい何の用ですか? 今はお祈りの真っ最中なので、後にしてほしいんですけど」

 王子様に対する態度じゃないって怒られそうだけど気にしない。
 だって、今は国を守るための大事な儀式の真っ最中だよ? 邪魔されて、結界に傷がついたらどう責任取るつもりなんだろう。

 それにあたしたち聖女は建国の女神アストレイア様の代理人として、女神さまの力の一部をお預かりしてるんだもん。王族だって威張り散らしていい相手じゃないってことになっている。
 それなのに、こんなに威張り散らして騒いでるんだもの。あたしだって少しくらいぞんざいに扱ってもバチはあたらないよね? というか、バチをあてるのはあたしたち聖女の方かも。

「ルナ……ッ!! 何だその生意気な態度は!?」

「殿下こそ何なんです? 毎日の夜のお祈りは、国を守る結界を維持するためのとっても大事なものだってご存じでしょう?」

「くそっ……ああ言えばこう言いおって、可愛げのかけらもない」

「殿下に可愛く見られたいと思ってないし、別にどうでもいいです」

「……っ。まぁいい。お前の顔も見納めだ。お前との婚約は破棄してやる!!」

「ええ、喜んで。もともと婚約した覚えもありませんし」

 満面の笑顔で言うあたしを、リーベル王子は何とも苦々しい顔でにらみつけた。


お祈りを邪魔されてご機嫌斜めのルナ
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