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真の聖女が現れた?
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「俺とは、もともと結婚できない。だから最初から婚約しなかった。そう言いたいのか?」
怪訝そうなリーベル殿下は首をひねりながらあたしの言葉をもごもごと繰り返した。
言われたことをちゃんと理解しようとしてくれてるのかな?
今まで会話が成立しなかったけど、距離を置けばちゃんと話ができるのかも。
「その通りです。もちろん、殿下が個人的にお祈りにいらっしゃるなら歓迎します。でも、神殿の権威を自分のものにしようと思ってるなら無意味です」
「たとえ聖女と結婚しても、神殿は俺の後援者にはならない……そう言いたいのか?」
「はい。正確に言うなら、『ならない』んじゃなくて『なれない』んですが」
自分の意見として「ならない」って決めるのと、立場上ルールで「なれない」って決まってるのは全然違うんだけど、そこんとこわかってくれるかな?
「だから、殿下との婚約をお断りしたのも、あたしの立場では結婚しちゃいけない相手だからです。決して殿下を嫌ったり馬鹿にしてたわけじゃありません」
実は殿下が王位継承権を放棄して臣下もしくは平民に下るのであれば、絶対に不可能ってわけじゃないんだけどね。
でも、それはお互いに深い愛情があってはじめて可能なこと。ただ単に神殿の権威を自分のものとして、王位継承争いを少しでも有利にしたいだけの殿下には絶対無理。
だって、あたしのこと孤児出身だって見下して、あんなに罵るんだもの。あたしへの愛なんてかけらもないはず。
あたしだってリーベル殿下のことは恋愛対象にできない。
「だから、あたしに限らず聖女との婚約なんてあきらめて下さいね」
「お前が俺と結婚する気がないのはわかった。俺を馬鹿にしてるつもりじゃないのも」
良かった。ちゃんとあたしの説明を聞いてくれてたみたい。
全然人の話を聞かない人だって思い込んでたから、ちょっとだけ見直したかも。
「だが、他の聖女は話が別だ」
あれ? やっぱりわかってない? 大丈夫?
「お前が王室に関わってはならないと思い込んでるのはわかった。当代きっての大聖女と言われるお前を王妃に据えてやろうと考えたが、それならば仕方ない。俺をないがしろにする訳ではないなら許してやる」
「えっと……」
いや、殿下が許す許さないの問題じゃないんだけど……
「俺も本音を言えば、いくら神聖力が強い大聖女でも、どこの馬の骨とも知れん孤児上りを娶るのはごめんだ。他に真の聖女がいるなら、そちらを選びたい」
いきなり風向きが変わってきた。
真の聖女?
そんなのあたしは聞いてない。あたしが聞いてないってことは、神殿は無関係ってこと。
殿下はいったい何を言ってるんだろう?
「このたびソル公爵令嬢エリスが真の聖女として目覚めた。平民の……しかも孤児あがりのお前などもう不要だ。俺はソル公爵令嬢エリスと婚約し、この国の王となる!!」
そう言えば、どこかの公爵令嬢がアストレイア様の声を聞いて神子になったという話を小耳にはさんだけど……まだ聖女って言えるほどの神聖力は備わっていないはず。
まして大聖女なんて……十年早いどころのさわぎじゃない。
戸惑うあたしの耳に、甘ったるい女性の声が響いた。
「ふふ。そういうことだから、あなたはさっさと出て言ってね」
怪訝そうなリーベル殿下は首をひねりながらあたしの言葉をもごもごと繰り返した。
言われたことをちゃんと理解しようとしてくれてるのかな?
今まで会話が成立しなかったけど、距離を置けばちゃんと話ができるのかも。
「その通りです。もちろん、殿下が個人的にお祈りにいらっしゃるなら歓迎します。でも、神殿の権威を自分のものにしようと思ってるなら無意味です」
「たとえ聖女と結婚しても、神殿は俺の後援者にはならない……そう言いたいのか?」
「はい。正確に言うなら、『ならない』んじゃなくて『なれない』んですが」
自分の意見として「ならない」って決めるのと、立場上ルールで「なれない」って決まってるのは全然違うんだけど、そこんとこわかってくれるかな?
「だから、殿下との婚約をお断りしたのも、あたしの立場では結婚しちゃいけない相手だからです。決して殿下を嫌ったり馬鹿にしてたわけじゃありません」
実は殿下が王位継承権を放棄して臣下もしくは平民に下るのであれば、絶対に不可能ってわけじゃないんだけどね。
でも、それはお互いに深い愛情があってはじめて可能なこと。ただ単に神殿の権威を自分のものとして、王位継承争いを少しでも有利にしたいだけの殿下には絶対無理。
だって、あたしのこと孤児出身だって見下して、あんなに罵るんだもの。あたしへの愛なんてかけらもないはず。
あたしだってリーベル殿下のことは恋愛対象にできない。
「だから、あたしに限らず聖女との婚約なんてあきらめて下さいね」
「お前が俺と結婚する気がないのはわかった。俺を馬鹿にしてるつもりじゃないのも」
良かった。ちゃんとあたしの説明を聞いてくれてたみたい。
全然人の話を聞かない人だって思い込んでたから、ちょっとだけ見直したかも。
「だが、他の聖女は話が別だ」
あれ? やっぱりわかってない? 大丈夫?
「お前が王室に関わってはならないと思い込んでるのはわかった。当代きっての大聖女と言われるお前を王妃に据えてやろうと考えたが、それならば仕方ない。俺をないがしろにする訳ではないなら許してやる」
「えっと……」
いや、殿下が許す許さないの問題じゃないんだけど……
「俺も本音を言えば、いくら神聖力が強い大聖女でも、どこの馬の骨とも知れん孤児上りを娶るのはごめんだ。他に真の聖女がいるなら、そちらを選びたい」
いきなり風向きが変わってきた。
真の聖女?
そんなのあたしは聞いてない。あたしが聞いてないってことは、神殿は無関係ってこと。
殿下はいったい何を言ってるんだろう?
「このたびソル公爵令嬢エリスが真の聖女として目覚めた。平民の……しかも孤児あがりのお前などもう不要だ。俺はソル公爵令嬢エリスと婚約し、この国の王となる!!」
そう言えば、どこかの公爵令嬢がアストレイア様の声を聞いて神子になったという話を小耳にはさんだけど……まだ聖女って言えるほどの神聖力は備わっていないはず。
まして大聖女なんて……十年早いどころのさわぎじゃない。
戸惑うあたしの耳に、甘ったるい女性の声が響いた。
「ふふ。そういうことだから、あなたはさっさと出て言ってね」
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