真の聖女が現れたと追放されたら、森の中で真っ白もふもふに出会いました。帰って来いと言われても、聖龍様の番になったのでもう遅い

信楽ぽんた

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追放宣言

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「ふふ。そういうことだから、あなたはさっさと出て行ってね」

 甘ったるい女性の声に驚いてそちらを見ると、目もさめるような鮮やかなピンク色の髪を持つ、美しい少女が入ってきた。あたしより少しだけ年上かな? すごく色っぽくて大人っぽい。
 着ているものは白地に金銀の糸で刺繍をあしらったローブ。あたしたち聖女の着るものに似てるけど、これでもか!ってくらいに豪華な刺繍とレースがほどこされ、大量の宝石まで縫い付けてあって、燭台の灯りを反射してキラキラ光っている。
 おまけに大きくあいたスリットから太ももがあらわになっていて、まるで聖女の仮装をした娼婦みたい。

「あなたは誰? この時間は結界に神聖力を注ぐ大事な儀式を行うから、祭壇の間には聖女以外は入れないはずだけど」

 それ以前に、たとえ聖女であっても、そんな色気づいた格好でうろつかないでほしいけど。

「あら、それじゃリーベル殿下はどうなるのかしら? そちらにいらっしゃる殿下は間違っても聖女になれないでしょう?」

 ふふん、と笑って彼女は祭壇前にひざまずいたままのあたしを見下ろした。軽く胸を反らしてあごを挙げたポーズに嘲りがこもっている。
 あたしが聞いたことには答えてないけど、どうやらわざと無視してるみたい。
 アメジストみたいな瞳はきれいだけど、薄暗い中でも光は目立たず、星の紋章もはっきりしない。この調子じゃ、神聖力はほとんどないみたいだね。

「殿下は止めたけど勝手に入ってきちゃったんですよ。おかげで儀式が途中で中断されたから、今日は最初からやり直ししなきゃ」

 無駄になった手間と時間を考えるとため息しか出ない。ああ、これで今夜も寝不足確定だ。

「邪魔になるので、二人ともさっさと出て行ってください」

「だめよぉ。出ていくのはあ・な・た。だって、あたくしこそが真の聖女なんですもの」

 うんざりしながら出てってくれと言ったあたしに、娼婦もどきは自信満々に言い返した。

「そうだ。今日からはこのエリスが大聖女だ」

 傲然とあたしを見下ろして言う自称「真の聖女」に寄り添うリーベル殿下。
 豊満な胸やお尻と対照的にきゅっと引き締まった腰を抱き寄せながら、自信満々に宣言した。
 どうやらこの少女が「エリス・ソル公爵令嬢」らしい。

 下品で傲慢な立ち居振る舞いといい、ギラギラとむやみに飾り立てた露出度の高い衣装といい、とても「公爵令嬢」にも「聖女」にも見えないのだけど。

「もう一度言う。王家の血を引く高貴な令嬢が真の聖女として目覚めたのだ。薄汚い孤児あがりのお前はこの国には不要。……いや、害悪とすら言えようっ!!」

 仁王立ちになってびしっっとあたしに指を突きつけ、ふんぞり返って叫ぶリーベル殿下。
 もともと馬鹿……もとい、賢さが足りない人だとは思っていたけど、ここまでひどいとは……

 呆れるあたしに殿下はなおも言い募る。

「何の力もないくせに、不当に国民の血税で贅沢の限りを尽くしてきた偽聖女、ルナッ!! 次期国王、リーベル・ロア・エセンティアの名において、お前を追放する……っ!!」

 この人、自分が何言ってるのかわかってるんだろうか?


やたらと色っぽい自称「真の聖女」
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