56 / 61
47話 俺と私のライバル宣言③
しおりを挟む
選手の控えの間っぽい所に掲示板が出され、そこに合格者の名前が記入された紙が貼り出された。
心配していたけど、合格だったようで『ユーマ・キリター』の名前が載っていた。
「っしゃ!」
「よしっ」
ん?
俺の声とほぼ同時に隣からも声が。
思わずその声の方を見ると、短く切った金色の髪が目に入った。
俺より10cmくらい高そうな身長のそいつは、同じく同時に声を出した俺が気になったようで深い緑色の瞳をこちらに向けた。
…えー…なんでこいつがここにいるわけ?…
確かこいつは、第四王子のヒース・エンディライト・ブロムリア王子…
姉貴が「カッコ可愛い!守ってあげたい!!」とか言ってたなぁ。「無理やり剥いて、真っ赤になって「やめろー!」って叫ばれたい!」とか変態なコトも言ってた。
ヒース王子はキース王子の実弟で、第五王子のムツキ王子より数日前に生まれたって事で第四王子だ。
ゲーム内ではあまりスポットライトも当たらず、むしろ攻略対象者の中では人気は最下位だったらしい。格好良いランキングでは4位。可愛いランキングは2位と微妙らしいけど。
そして攻略が簡単だったからってのも人気が最下位だったせいだろう。
俺もプレイしたけど、一番簡単だったのはコイツだったと思う。そしてスチルも一番少なくて、運営も愛を掛けてないなとちょっと哀れに思った。
まぁ、それにしても、一番人気のヒース王子の半分以下のスチルの量は、もうちょっとどうにかしてやれよと思った。
でも、姉貴は王子の中では一番好き!とか言ってたな。
そんなヒース王子を表す言葉は『熱血少年』。
実兄のキース王子を目指していて、かつ剣の道に進もうと騎士団に入ろうとする王子。
周りからしたら迷惑のなにものでもないな。護衛対象が自ら剣持って突っ込んでいこうとするんだから。
ってか、そうか。
そういや、ゲームでもこの大会あったわ。
確かゲーム内ではサラがヒース王子に再会するイベントだったはず。
また街中で買い物をしようとしたサラが襲われかけて、それを今度はヒース王子に助けられ、この大会で再会して応援するってストーリーだった。
で、サラの応援に力を貰ったらしいヒース王子が優勝して…って、ご都合主義だなと今なら思える。
ってか、サラ、襲われすぎ。なんだこのヒロイン。
今考えたら完全にダメな子じゃねぇか…
「?俺の顔に何か付いてるか?」
ヒース王子を見ながら思わず思考が飛んでた俺を訝しげに見下ろされた。
「あ、いや、なんでもない。ちょっと知り合いに似てるなと思っただけだ。すまん」
ゲーム内ではヒース王子はお忍びでこの大会に出てるってあったから、わざとタメ口で言うと、一瞬きょとんとした顔をしてすぐに笑顔になった。
「そうか。お前、おもしろいやつだな!名前は?」
「あー…ユーマ。ユーマ・キリターだ。あんたは?」
「俺はヒース…ヒーロだ。ヒーロって呼んでくれ!」
あぁはい。お忍びですしね。そりゃ偽名使いますよね。
でもお前、今普通にヒースとか言ってたよね。聞き流しとくけど。
「ヒーロな。よろしく」
「ああ!!」
普通の少年っぽく言うと何故か嬉しそうに満面の笑顔で頷くヒース王子。
…ちょっとわんこっぽい…
「ユーマ…様、どうでした?」
むさ苦しい男達の集まる控え室にはそぐわない、ドレスを着た美少女が入ってきて全員の視線がそちらを向く。
そして呼び捨てにしようとした美少女…サラは、俺の隣にいるヒース王子に気付いたようで、すぐに様を付けた。
「あれ?…貴女はこの前の…」
ふむ。出会いのイベントはやったのか。
ってことは、姉貴のお目当てはヒース王子か?
「こんにちは。えっと…」
「あ。ヒーロと。ここではヒーロと呼んでください」
「はい。ヒーロ様」
目の前でなんか甘い空気が漂っている気がします。
ちょっと逃げていいっすか。
流石にちょっと、見た目はサラだけど、姉貴のラブシーンは見たくないです…
「そういえば今、ユーマの名前を呼んでいらっしゃいましたか?」
「えぇ。友人なんですの」
「友…人…?」
にこやかに言うサラ。うん。やめて?
なんかヒース王子がめっちゃ睨んでくる。
「今日はユーマ様の応援に来ておりまして」
「そうですか…ってことは、彼も強いのですか?」
「えぇ。とても。私の保障付きで強いですわ」
いーやー!!
何かヒース王子の目が段々座ってきてるー!?
俺視線だけで殺されるよ!?やめて!?
「では、彼に勝ったら…俺を認めて貰えますか?」
「ふふ…勝てたら…ですわよ?」
ちょっとー!?
純朴少年を炊きつけるの、マジやめて!
「ユーマ・キリター。お前を倒す!!」
ビシッと指を突きつけられ宣言されました。
ってか…俺を当て馬にすんのやめてよマジで!!!
心配していたけど、合格だったようで『ユーマ・キリター』の名前が載っていた。
「っしゃ!」
「よしっ」
ん?
俺の声とほぼ同時に隣からも声が。
思わずその声の方を見ると、短く切った金色の髪が目に入った。
俺より10cmくらい高そうな身長のそいつは、同じく同時に声を出した俺が気になったようで深い緑色の瞳をこちらに向けた。
…えー…なんでこいつがここにいるわけ?…
確かこいつは、第四王子のヒース・エンディライト・ブロムリア王子…
姉貴が「カッコ可愛い!守ってあげたい!!」とか言ってたなぁ。「無理やり剥いて、真っ赤になって「やめろー!」って叫ばれたい!」とか変態なコトも言ってた。
ヒース王子はキース王子の実弟で、第五王子のムツキ王子より数日前に生まれたって事で第四王子だ。
ゲーム内ではあまりスポットライトも当たらず、むしろ攻略対象者の中では人気は最下位だったらしい。格好良いランキングでは4位。可愛いランキングは2位と微妙らしいけど。
そして攻略が簡単だったからってのも人気が最下位だったせいだろう。
俺もプレイしたけど、一番簡単だったのはコイツだったと思う。そしてスチルも一番少なくて、運営も愛を掛けてないなとちょっと哀れに思った。
まぁ、それにしても、一番人気のヒース王子の半分以下のスチルの量は、もうちょっとどうにかしてやれよと思った。
でも、姉貴は王子の中では一番好き!とか言ってたな。
そんなヒース王子を表す言葉は『熱血少年』。
実兄のキース王子を目指していて、かつ剣の道に進もうと騎士団に入ろうとする王子。
周りからしたら迷惑のなにものでもないな。護衛対象が自ら剣持って突っ込んでいこうとするんだから。
ってか、そうか。
そういや、ゲームでもこの大会あったわ。
確かゲーム内ではサラがヒース王子に再会するイベントだったはず。
また街中で買い物をしようとしたサラが襲われかけて、それを今度はヒース王子に助けられ、この大会で再会して応援するってストーリーだった。
で、サラの応援に力を貰ったらしいヒース王子が優勝して…って、ご都合主義だなと今なら思える。
ってか、サラ、襲われすぎ。なんだこのヒロイン。
今考えたら完全にダメな子じゃねぇか…
「?俺の顔に何か付いてるか?」
ヒース王子を見ながら思わず思考が飛んでた俺を訝しげに見下ろされた。
「あ、いや、なんでもない。ちょっと知り合いに似てるなと思っただけだ。すまん」
ゲーム内ではヒース王子はお忍びでこの大会に出てるってあったから、わざとタメ口で言うと、一瞬きょとんとした顔をしてすぐに笑顔になった。
「そうか。お前、おもしろいやつだな!名前は?」
「あー…ユーマ。ユーマ・キリターだ。あんたは?」
「俺はヒース…ヒーロだ。ヒーロって呼んでくれ!」
あぁはい。お忍びですしね。そりゃ偽名使いますよね。
でもお前、今普通にヒースとか言ってたよね。聞き流しとくけど。
「ヒーロな。よろしく」
「ああ!!」
普通の少年っぽく言うと何故か嬉しそうに満面の笑顔で頷くヒース王子。
…ちょっとわんこっぽい…
「ユーマ…様、どうでした?」
むさ苦しい男達の集まる控え室にはそぐわない、ドレスを着た美少女が入ってきて全員の視線がそちらを向く。
そして呼び捨てにしようとした美少女…サラは、俺の隣にいるヒース王子に気付いたようで、すぐに様を付けた。
「あれ?…貴女はこの前の…」
ふむ。出会いのイベントはやったのか。
ってことは、姉貴のお目当てはヒース王子か?
「こんにちは。えっと…」
「あ。ヒーロと。ここではヒーロと呼んでください」
「はい。ヒーロ様」
目の前でなんか甘い空気が漂っている気がします。
ちょっと逃げていいっすか。
流石にちょっと、見た目はサラだけど、姉貴のラブシーンは見たくないです…
「そういえば今、ユーマの名前を呼んでいらっしゃいましたか?」
「えぇ。友人なんですの」
「友…人…?」
にこやかに言うサラ。うん。やめて?
なんかヒース王子がめっちゃ睨んでくる。
「今日はユーマ様の応援に来ておりまして」
「そうですか…ってことは、彼も強いのですか?」
「えぇ。とても。私の保障付きで強いですわ」
いーやー!!
何かヒース王子の目が段々座ってきてるー!?
俺視線だけで殺されるよ!?やめて!?
「では、彼に勝ったら…俺を認めて貰えますか?」
「ふふ…勝てたら…ですわよ?」
ちょっとー!?
純朴少年を炊きつけるの、マジやめて!
「ユーマ・キリター。お前を倒す!!」
ビシッと指を突きつけられ宣言されました。
ってか…俺を当て馬にすんのやめてよマジで!!!
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【長編版】悪役令嬢は乙女ゲームの強制力から逃れたい
椰子ふみの
恋愛
ヴィオラは『聖女は愛に囚われる』という乙女ゲームの世界に転生した。よりによって悪役令嬢だ。断罪を避けるため、色々、頑張ってきたけど、とうとうゲームの舞台、ハーモニー学園に入学することになった。
ヒロインや攻略対象者には近づかないぞ!
そう思うヴィオラだったが、ヒロインは見当たらない。攻略対象者との距離はどんどん近くなる。
ゲームの強制力?
何だか、変な方向に進んでいる気がするんだけど。
彼女が高級娼婦と呼ばれる理由~元悪役令嬢の戦慄の日々~
プラネットプラント
恋愛
婚約者である王子の恋人をいじめたと婚約破棄され、実家から縁を切られたライラは娼館で暮らすことになる。だが、訪れる人々のせいでライラは怯えていた。
※完結済。
【本編完結】伯爵令嬢に転生して命拾いしたけどお嬢様に興味ありません!
ななのん
恋愛
早川梅乃、享年25才。お祭りの日に通り魔に刺されて死亡…したはずだった。死後の世界と思いしや目が覚めたらシルキア伯爵の一人娘、クリスティナに転生!きらきら~もふわふわ~もまったく興味がなく本ばかり読んでいるクリスティナだが幼い頃のお茶会での暴走で王子に気に入られ婚約者候補にされてしまう。つまらない生活ということ以外は伯爵令嬢として不自由ない毎日を送っていたが、シルキア家に養女が来た時からクリスティナの知らぬところで運命が動き出す。気がついた時には退学処分、伯爵家追放、婚約者候補からの除外…―― それでもクリスティナはやっと人生が楽しくなってきた!と前を向いて生きていく。
※本編完結してます。たまに番外編などを更新してます。
【完結】ど近眼悪役令嬢に転生しました。言っておきますが、眼鏡は顔の一部ですから!
As-me.com
恋愛
完結しました。
説明しよう。私ことアリアーティア・ローランスは超絶ど近眼の悪役令嬢である……。
気が付いたらファンタジー系ライトノベル≪君の瞳に恋したボク≫の悪役令嬢に転生していたアリアーティア。
原作悪役令嬢には、超絶ど近眼なのにそれを隠して奮闘していたがあらゆることが裏目に出てしまい最後はお約束のように酷い断罪をされる結末が待っていた。
えぇぇぇっ?!それって私の未来なの?!
腹黒最低王子の婚約者になるのも、訳ありヒロインをいじめた罪で死刑になるのも、絶体に嫌だ!
私の視力と明るい未来を守るため、瓶底眼鏡を離さないんだから!
眼鏡は顔の一部です!
※この話は短編≪ど近眼悪役令嬢に転生したので意地でも眼鏡を離さない!≫の連載版です。
基本のストーリーはそのままですが、後半が他サイトに掲載しているのとは少し違うバージョンになりますのでタイトルも変えてあります。
途中まで恋愛タグは迷子です。
溺愛最強 ~気づいたらゲームの世界に生息していましたが、悪役令嬢でもなければ断罪もされないので、とにかく楽しむことにしました~
夏笆(なつは)
恋愛
「おねえしゃま。こえ、すっごくおいしいでし!」
弟のその言葉は、晴天の霹靂。
アギルレ公爵家の長女であるレオカディアは、その瞬間、今自分が生きる世界が前世で楽しんだゲーム「エトワールの称号」であることを知った。
しかし、自分は王子エルミニオの婚約者ではあるものの、このゲームには悪役令嬢という役柄は存在せず、断罪も無いので、攻略対象とはなるべく接触せず、穏便に生きて行けば大丈夫と、生きることを楽しむことに決める。
醤油が欲しい、うにが食べたい。
レオカディアが何か「おねだり」するたびに、アギルレ領は、周りの領をも巻き込んで豊かになっていく。
既にゲームとは違う展開になっている人間関係、その学院で、ゲームのヒロインは前世の記憶通りに攻略を開始するのだが・・・・・?
小説家になろうにも掲載しています。
悪役令嬢に転生したけど、知らぬ間にバッドエンド回避してました
神村結美
恋愛
クローデット・アルトー公爵令嬢は、お菓子が大好きで、他の令嬢達のように宝石やドレスに興味はない。
5歳の第一王子の婚約者選定のお茶会に参加した時も目的は王子ではなく、お菓子だった。そんな彼女は肌荒れや体型から人々に醜いと思われていた。
お茶会後に、第一王子の婚約者が侯爵令嬢が決まり、クローデットは幼馴染のエルネスト・ジュリオ公爵子息との婚約が決まる。
その後、クローデットは体調を崩して寝込み、目覚めた時には前世の記憶を思い出し、前世でハマった乙女ゲームの世界の悪役令嬢に転生している事に気づく。
でも、クローデットは第一王子の婚約者ではない。
すでにゲームの設定とは違う状況である。それならゲームの事は気にしなくても大丈夫……?
悪役令嬢が気付かない内にバッドエンドを回避していたお話しです。
※溺れるような描写がありますので、苦手な方はご注意ください。
※少し設定が緩いところがあるかもしれません。
逆ハーレムを完成させた男爵令嬢は死ぬまで皆に可愛がられる(※ただし本人が幸せかは不明である)
ラララキヲ
恋愛
平民生まれだが父が男爵だったので母親が死んでから男爵家に迎え入れられたメロディーは、男爵令嬢として貴族の通う学園へと入学した。
そこでメロディーは第一王子とその側近候補の令息三人と出会う。4人には婚約者が居たが、4人全員がメロディーを可愛がってくれて、メロディーもそれを喜んだ。
メロディーは4人の男性を同時に愛した。そしてその4人の男性からも同じ様に愛された。
しかし相手には婚約者が居る。この関係は卒業までだと悲しむメロディーに男たちは寄り添い「大丈夫だ」と言ってくれる。
そして学園の卒業式。
第一王子たちは自分の婚約者に婚約破棄を突き付ける。
そしてメロディーは愛する4人の男たちに愛されて……──
※話全体通して『ざまぁ』の話です(笑)
※乙女ゲームの様な世界観ですが転生者はいません。
※性行為を仄めかす表現があります(が、行為そのものの表現はありません)
※バイセクシャルが居るので醸(カモ)されるのも嫌な方は注意。
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇ご都合展開。矛盾もあるかも。
◇なろうにも上げてます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる