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第三章 時空捜査クラブのメンバー

第15話

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 次の日。

 大祇が登校した時には、すでにマシューの机の横には手提げかばんがかけられていた。

「あいつ……。こんな朝早くから、鬼探しに行っているのか? ちゃんと寝ているのか、こっちが不安になってくるよ……」

 朝の予鈴が鳴ると、すぐにマシューは教室に入ってきた。ついつい、彼の服装に土や葉がついていないか目視で確認してしまう。

「おはよう、たいき」
「おはよう。何時に学校来たんだよ?」
「ははは」

 大祇の質問に対して、笑って返答するくらいだから早朝くらいからマシューは学校、正確に言うと第二理科室に来ていたのだろう。

「マシューに相談があるんだけどさ。あの刀文様通行証ってまだあるの? 俺も渡しておきたい人がいるんだけど……」

「それは、どこまで話すつもりなの? 時空捜査クラブに正式に勧誘した人がいるってこと?」
「うん。信頼できるし、マシューにも俺にも協力してくれると思う」
 
 マシューは、人差し指を顎に当てて、しばらく思案している。彼なりにメリット、デメリットを計算しているのだろう。

「わかった。たいきが推薦する人物なら、僕も信用できるよ。明日には刀文様通行証を用意しておくから、今日の放課後にでも詳細はたいきからその人物に伝えておいてくれるかい?」

「俺が説明して、どこまで理解してくれるかわからないけど、まぁ何とかなるだろう」
「じゃあ、時空捜査クラブは三人になりそうだね」
「そうなるように、しっかり説明してみるよ。ところで、俺が誰に声をかけようとしているとかマシューは気にならないのかよ」

 大祇は、マシューが相手の事に対して、全く質問してこないから、逆に不安になってくる。

「え? なんだ。そんなことか」

「そんなことって、メンバーになるかもしれない相手の事、全然気にならないのか?」

 大祇は、ちょっと頬を膨らまして、横目でマシューを見つめる。

「あぁ。まりなに声をかけるんだろう? たいきの考えている事くらい、わかるから敢えて聞かなかったんだよ。心配させて悪かったね」

 マシューはわかりきっていたらしく、ウィンクして謝った。

 大祇は自分の考えている事がわかることに、ちょっとびっくりしてしまった。マシューには、どこまで俺の心が読めているんだろう。きっと、まりなに片想いしていることすら、お見通しなのだろう。

 大祇は、隠していた恋心があっさりとばれてしまっているような気がして、恥ずかしくなってくる。

「安心してよ。たいきの想いは大事にしたらいいし、僕は温かく見守っているからさ」
「どこまで、心を読まれているのか不安になってきたわ」

 大祇は、両手で顔を覆って、指の隙間からマシューのひすい色の瞳を捉える。

「心なんて読んでいないよ。たいきの視線が、他の人よりも数秒長く見つめている人物かなって予想しただけだから。他のクラスメートには、気づかれていないから大丈夫だと思うよ。それに、幼馴染だって紹介してくれていたから、お互いの信頼関係がしっかりしているのも、理解できるしさ。僕には、年月をかけて築き上げてきた信頼関係って無いから、羨ましいし尊敬しているよ」

 マシューは真面目な顔になって、大祇に優しく微笑んでくれる。マシューの生い立ちはわからないけれど、いろんな任務に当たる中で、人と信頼関係を育むよりも任務遂行に注力せざるを得ない境遇だったんだろうなと、大祇は察してみる。

 
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