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試練、それは君が見た絶望
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SIDE:シペア
「……以上の59名、新たに設立される部隊への編入を命ずる」
位階で見ると上は司祭から下は修道士見習いまで、様々な人間が集まった室内に響くのは、式台へ立つウルディオ司祭が読みあげた、教皇猊下による部隊発足の令書によるものだ。
その場で膝をついて辞令を聞いていた者達が一斉に立ち上がり、各々が祈る仕草で先のウルディオ司祭の言葉を静かに呑みこむ。
俺もその中の一人として神妙に祈る姿勢を示す。
ようやくこの日が来た、あるいは来てしまったというべきか。
魔術師部隊への配属が内々に伝えられてから今はもう半年ほどが経っており、少し前まで修道士見習いとして勤めていた俺がもう一端の部隊員だ。
たった今を持って俺は修道騎士に並ぶ身分として、教会の安寧のために歩き出すこととなる。
この部隊に魔術師を五十人以上も集めただけでも教会の人材の厚さが窺えるが、新たに一から作られる部隊なりに若い人間が多い。
何人か年齢的には老人といえる人もいるが、それ以外の大半は若いと言って差し支えない。
あくまでも見た目での判断となるが、上は二十代後半から下は十代と年齢の幅はそれなりに広く、その中でも何人かは学園でも見た顔だ。
同期と言える間柄ではないが、上級生として何度か言葉を交わしたこともある。
そもそも学園にいる魔術師は数も多くないうえに、その中でも扱う属性が同じ人間同士ともなると自然と交流が生まれるもので、こうして同じ場所で同じ時間を過ごすことには学園以来のなつかしさを覚える。
それら卒業生以外の人間で目立つのは、学園以外で魔術師として育成された人間だろう。
広範での教育という点ではディケット学園が先を行くが、特定の職種に限ればまだ士官学校が優れているらしい。
少数ながら国内に点在する士官学校は、騎士から官僚、魔術師や錬金術師まで分野は様々だが、主に国に従事する人材を育てるための学び舎と言える。
基本的にはいずれも貴族やそれに準じた地位の子女だけを受け入れているせいで、ディケット学園以上に閉鎖的と言われるものの、優秀な人材を多く輩出しているため、教会でもかなりの数を招き入れていた。
次いで多いのが、教会が独自に育てていた魔術師だ。
庇護者の方針で学園には出さず、独自に魔術師として教育した人材は、実力は抜きんでていなくとも教会への忠誠心は確かなものといえ、決して裏切らない扱いやすい駒として部隊へ送りこまれたと推測できる。
ちなみに聖鈴騎士に魔術師が選ばれる場合、基本的にこの教会が育てていた人材からの登用となる。
実力は大事だが、何よりも信仰心を重視する聖鈴騎士としては、思想の教育を一からするよりは後から鍛える手間の方をとったわけだ。
現在、この部隊は意図して若返りを図ったという噂は俺も耳にしているが、それにしても熟練の魔術師がほとんどいないのは少し不安になる。
普通なら若手を多く取り入れるにしても、経験のある人間を頭に据えて部隊を運営するのが常なのだろうが、ざっと見ただけだが59人の隊員の中で年齢的に練達と言える人間は5人もいない。
学園で習った常識に当てはめると、部隊を小分けにするなら5名前後を一つの小隊とするのが一般的だが、そこに経験豊富な人間が最低一人は必要だ。
だが小隊を作るとなればその数は十にも及び、配すべき熟練者は到底足りない。
魔術師自体が貴重な人材であることは理解するが、せめて隊員の二割は老獪な人間が欲しいところだ。
経験の浅い新兵だけの隊などまともに機能するとは思えず、これで実戦へどう赴くのか疑問ではある。
流石に初陣以前に訓練はするだろうが、だとしてもどう仕上げるのか先が見えないのが怖い。
「部隊名は『バルガラ』、知っての通り魔術師のみで構成される。部隊長はキリクを任命する。キリク、前へ」
湧き上がる不安を宥めているうちにも式は進み、名前を呼ばれた若い女性がウルディオ司祭の前へと進み出る。
一切の気負いもなく、堂々とした立ち振る舞いは自信に満ちている。
背は女性の平均とさほど駆らないほどだが、体はメリハリがきいており、若い男なら鼻息を荒くしそうな美貌だと言える。
淡い茶色の長い髪をたなびかせ、キリと吊り上がる眦に濃い緑色の瞳が備わる姿は、ペルケティアに古くから住む人間によく見られる特徴だ。
立ち姿は平民とは思えない気品はあるが、一方で周囲にいる貴族の出と思われる連中が向ける冷めた視線から察するに、キリク自身が貴族ということはなさそうだ。
普人種の見た目通りなら年齢は俺とそう離れてはいないはずだが、纏う魔力の気配は確実に強者のそれだ。
実力で部隊長に選出されたとすれば、その実力を疑う人間はこの場にはいないだろう。
部隊長としての位を証明する杖の授受が行われ、キリクが淡い黄色に染められた金属製の長杖を恭しく受け取ると、居並ぶ俺達へ杖を突きだすようにして掲げる。
―我ら、遍く守護すべき世界のために。炎の中より出で、流水を奏でる者よ。気高きに従い、ここに約束を交わさん
ヤゼス教の聖書の中の一節に、大いなる戦いへ赴く者へ送る言葉というものがいくつもある。
今俺達が唱えたのもその一つで、『大地の底にある消えぬ炎で鍛え、妖精の歌によって生み出された水で清めた剣を手に、巨悪を討った英雄』を讃える一節がヤゼス教の教典には載っている。
戦いに赴く機会のある部隊は発足の際に隊員達がこれを口にし、ヤゼス教への忠誠と誇りを改めて心に刻むのが習わしだとか。
事前に決められていた通りに、部屋にいた全員の口から同じ言葉が紡がれると、それを聞き終えたキリク…部隊長が杖でヤゼス教の十字架を描くように振るい、儀式染みた任命の式がこれで完了となった。
これによりこの部隊―バルガラの指揮は正式にウルディオ司祭からキリク隊長へと移譲される。
隊長となった最初の仕事は、隊員である俺達への備品の支給だ。
「これより我が部隊における制服を各員に配布する。部隊員としての行動中、または公式の場においては必ず着用するように。外套と祭礼服を格二、平服にあたるものは三着。さらに予備が欲しい場合は私か事務方へ申請しなさい」
そう言って部隊長が部屋の隅に並べられていた木箱を指さす。
いつの間にか蓋が明けられた木箱には衣服がぎっしりと詰め込まれているのが見え、どうやら各々がその中から取って行けということらしい。
ゆっくりと群がっていく人の中に混ざり、早速支給品を手にとって見る。
外套は特に何の変哲もない灰色一色のもので、聖職者なら誰でも持つごく普通のものだ。
礼服はよく見る意匠ではあるが色は部隊独自のものか、白地に薄青色の細かい模様をちりばめたものとなっている。
対して平服は修道士に与えられている物と見た目はそう変わらないが、使われている布の質はこちらの方が数段上のようだ。
礼服は式典やパーティで、平服は普段着か戦闘が見込まれる任務などで着ていくことになるだろう。
新しい門出にはいい装備を宛がうという分かりやすいこの配慮は、つまり期待の現われだ。
「よし、総員そのままで聞け」
新しい装束に興味を持った人間でちょっとした喧噪が出来上がっている中、場の雰囲気を切り替えるように固さを増した部隊長の声が通る。
「我が部隊は実働に先立ち、導入訓練を実施する。まずは年齢で若い順に25名を選抜し、とある場所にて訓練を行う」
やはり来たか。
部隊が発足したのならまずは隊員達の能力を把握するための訓練は必須と言え、導入訓練の実施は予想は出来ていた。
いきなり実戦で鍛えると言い出さないあたり、俺達の隊長殿は真っ当な指揮官として期待できる。
選抜される25名には、年齢順で考えると俺が組み込まれるのは確実だろう。
とある場所というからには街中では行わないとは思うが、果たしてどこまで出張るのやら。
普通に考えれば、まだ出来立てほやほやの部隊の活動をいきなり大々的に行うのは危険すぎるため、せいぜい徒歩で一日圏内のどこかのはず。
「日程は明日、夜明け前までにこの部屋に集合。朝は冷えるからな、外套は忘れるなよ。食料や医薬品はこちらで用意する。目的地は当日まで伏せるが、決して穏やかなものとはならないことを覚悟して欲しい。……では式はこれまでとし、各員、明日に備えて体を休めておけ。解散!」
淡々とした口調のまま解散を言い渡し、部隊長はウルディオ司祭をはじめとした偉い人達と共に部屋を後にする。
残された俺達は、それぞれ知り合いで固まって話をする者や、さっさと支給品をまとめて部屋を出ていく者まで様々だが、ただ一様に先程の部隊長の脅し染みた言葉を深刻に捉えているような空気がないは、やはりまだ出来立てほやほやの部隊が故の緩さのせいか。
特に親しくしている人間もいないことだし、俺も早々に部屋を出るとその足で聖女の館へと向かう。
既に通達がされていたようで、俺達バルガラの隊員は明日に備えて今日この後からは完全に休みとなったため、どうせならとスーリアに報告をしようと考えたのだ。
見習いから魔術師部隊隊員への転向となれば出世と言っても間違いはなく、スーリアにも胸を張って会えると、足取り軽く館へ辿り着いたのだが―。
「生憎、スーリア殿はいない」
門番の無慈悲な言葉で出ばなをくじかれてしまった。
「まじかよ…。いつ帰ってくるかを聞いても?」
「聖女様に付き添い、教会へ行っている。帰りがいつになるかは明言出来ん」
急に来た俺も悪いが、それにしても門番の態度は冷たいものだ。
まぁこれには俺が男だからというのもあるか。
しかし帰りが分からないというのは少し困ったな。
このままここで待つのも流石にまずいし、出直すにも不安はある。
なにせ、ひょっとしたらリエット様は今日はこっちに戻ってこないかもしれないのだ。
以前は勤めがある時以外は館から出ることはほとんどなかったが、最近はあちこちに出向いて色んな人と話し合う機会を持っていると聞く。
司教や枢機卿らとは言うまでもなく、果ては下っ端の修道騎士にまで自ら会っているらしく、精力的に動き回るようになって館に戻る暇も惜しんでいるとか。
一体何があってそんな行動を起こしているのやら。
ともかく、それに付き添うスーリアもいつここへ戻ってくるかわからないため、報告はその内機を見てとなりそうだ。
となると、次はもう一方に報告といこうか。
親愛なる友、アンディとパーラへ今日のことを伝えねば。
その場を離れた俺は、アンディ達のいる宿へと足を向ける。
今日の俺がいるのも、大元を辿ればアンディのおかげというのが大きい。
俺の魔術の師と言っても過言ではないだけに、共に喜んでくれるに違いない。
なんだったら、三人で祝杯を挙げるのも悪くないだろう。
「その二人なら二日前から留守にしてるぞ」
「えぇー……こっちも?」
「あん?」
意気揚々とやって来たものの、宿の主からアンディ達の不在を伝えられては俺の肩も地面すれすれまで落ちた気分だ。
冒険者をやっている以上、依頼で遠出でもすれば宿を長く空けることなど珍しくないが、スーリアの不在と重なってしまうとは、俺も間が悪かったか。
「アンディ達がいつ頃返ってくるかは聞いてる?」
「さぁな。まぁ部屋には荷物もまだ残ってるし、宿代も向こう五日分は先に貰ってる。きっちり宿代分通りの日程なら、三日後辺りにまた来れば会えるんじゃねえか?」
宿を離れた日と先払いしている宿代分考えると、アンディなら多少余裕を持たせて明後日には帰ってくるかもしれない。
導入訓練が明日で、それも一日で終わるかは分からないため、ひょっとしたらまた入れ違いになる可能性もある。
単に報告だけならいつでもいいが、なるべくこの新鮮な気持ちの内にみんなと会いたいものだ。
しかしこうしてみると、他にこの喜びを共有できる人間の少なさを実感してしまうな。
この街に来てそう長くないのもあるが、仕事上の付き合い以上に交友関係を広げていなかったことにも改めて気付く。
勿論、顔見知りやそこそこ仲のいい人間には心当たりがあるが、こういう時に一緒に騒ぐ相手に悩むほどとなると流石に寂しい。
これはもう少しちゃんと人付き合いを考える必要があるか。
今はまだいいが、そのうち出世の機会も考えるようになると、政治的なことを意識した立ち回りも覚えなくてはならない。
別に偉くなることにこだわる気はないが、かといって一生下っ端のままでいいかと言われると、否と答える程度には欲もある。
誰かとの縁を持つ、もしくは切るなどすることが今後の俺の身を守ってくれるというのなら、少なくとも今よりは人付き合いを増やした方がいいのかもしれない。
なんだか色々と考えることが増えた気もするが、これも新しい始まりの一つと思えばいっそ清々しい。
今日をもって正式に部隊へ配属となっているが、実際は明日の導入訓練を終えてからが本当の始まりだろう。
そうなると、そろそろ明日に備えての準備に動くとしようか。
部隊長は厳しいものとなると言っていたが、命を奪うような真似はしないと思うが、とはいえ何があるかわからない。
食料や医薬品は部隊持ちらしいが、生憎それにすべて頼るほど俺も暢気じゃない。
最低限、俺だけでも三日は生き抜ける準備はしておくべきか。
それと持ち歩ける最大限の量の水も必要だな。
俺は水魔術を使うが、その規模は身の回りにどれだけの水があるかで変わってくる。
全力で戦うには大樽で五つは欲しいところだが、さすがにそれだけの量を担いで訓練に臨むのは許されないだろう。
訓練場所まで徒歩で移動することも考え、持っていくには一般的な水嚢で二つ、大きいものだと一つが限度だ。
今から手配するには多少骨は折れるが、心当たりを思い浮かべつつ、宿の主にアンディ達への伝言を託してその場を後にした。
翌日、まだ日が昇らない内に指定された場所へ集まった俺達は、部隊長の指示で街を離れた。
未だ目的地は知らされず、用意されていた四台の幌馬車にそれぞれ乗り込んだのは計二十七名。
先に聞いていた若手に加え、部隊長とウルディオ司祭が同行する。
徒歩での移動を覚悟していただけに、馬車に揺られるだけというのは楽で有難い。
ただし、走り始める前から気付いていたが、走り始めて改めて思うのはとにかく寒いということだ。
幌付きの馬車は雨にこそ対応できるが、走っている間に吹き込む風を遮るほどの用意はなく、冬も近い早朝の空気は俺達の吐く息を白くする。
隊員は全員支給された外套を纏ってはいるものの、この寒さはそれだけで凌ぐには少し辛く、自然と乗りあう人間同士で身を寄せ合っていく。
寒さに震えながら馬車に揺られていると、遠くの峰から太陽が姿を見せた。
馬車の速度は徒歩よりはましといった程度で、街からまだそう遠く離れていないが、見えた太陽の位置から大体の方角が分かる。
街を出てから少し経つと石畳の街道からは外れ、土が踏み固められただけの道を馬車は南へ向かって進んでいく。
そのまましばらく馬車は走り続け、座りっぱなしの体勢がきつくなった頃、目的地へと到着した。
辿り着いたのは街からは二刻ほどの距離という、比較的近い場所にある森の淵だ。
冬を迎えようという森は木々の青々とした気力を潜め、眠る寸前の微睡を纏うような静けさだ。
馬車を降りた俺達はそれぞれに身づくろいや身体を解したりして、ようやく訪れた解放感に浸っていたが、すぐに部隊長の号令で一か所に集められる。
ガヤガヤと気だるい足取りで整列した俺達だったが、そうなってもただじっとこちらを見るだけで一向に口を開かない部隊長の様子を訝しんでいると、突然、硬い何かがぶつかる激しい音が辺りに響き渡った。
音の正体は部隊長が手にしていた長杖の柄尻が、地面に丁度埋まっていた石に強く打ち付けられた音だった。
「…全員が静かになるまでかなりの時間がかかった。今日が部隊での初の団体行動であることを鑑み、まずは強くは言わない。次からは無駄口を叩かず、迅速に動くよう心掛けなさい」
睥睨とまではいわずとも、一人一人を目を合わせるかのように辺りを見渡した部隊長の姿で、誰かの唾を呑む音が妙に耳へと響いた。
あるいはその音も俺自身のものだったのか、いずれにせよここにいる誰もが部隊長の言葉に緊張を覚えていたのは間違いない。
言葉と口調自体は淡々としているが、そこには確かに諫めるものが含まれており、知らずと背筋が伸びたのを実感する。
恐らく、ここにいる誰もが部隊長の言葉で気持ちが切り替わったはずだ。
たかが集合するだけでこの有様では、とても実戦部隊としてやっていくには頼りない。
それを部隊長ははっきりと示し、また俺達も新たに自覚が芽生え、今日まで覚えていた高揚感や自負といったものが一気に萎んでいった。
全員の目が覚めたのに気付いてか、部隊長が満足そうに頷くと再び口を開く。
「では今より導入訓練を始める。まずは五人で一組の小隊を作るが、選出はこちらで行う。意義は認めん。名前を呼ばれた者は前へ」
少し急ぐように早口となった部隊長が、取り出した紙を読み上げて五人ずつを隊としてまとめていく。
時折落胆した様子で視線を交わす隊員達が見られることから、特に知り合いや年齢などで固めたりはせず無作為に選んでいるのが分かる。
俺も名前を呼ばれて前へ出ると、同隊となる他の四人と並んでの顔合わせとなった。
男三人に女一人はいずれも普人種で歳も俺と近いが、その内の男二人と女の方は恐らく貴族家の人間だろう。
手にしている杖が装飾からして値の張るものと分かり、この手のものを持つのは貴族の縁者であることが多い。
魔術の発動には杖の有る無しで効率がまるで違うため、たとえ安物であっても杖は必ず持つよう教育される。
そのため様々な職人が手掛ける杖は、材質と形状によって効果が変わってくるため、いい物は当然金がかかる。
実用品ではなくとも、美術品をも兼ねる物ともなれば城一つと等価というのもあるとかないとか。
あの杖もかなりの高級品だと思われ、平民の稼ぎではまず買えない品だ。
残る一人の男が持つのは派手さのない普通の杖で、俺の持つ安物の杖と同程度の品だ。
平民が手に出来るごく一般的な杖で、魔術に対する補助も平均的に収まるが、物としては悪いものではない。
俺は学生だった時に間に合わせで買った一番安い杖を未だに使っているが、そもそも無手でも魔術が扱える身としては杖にこだわりはない質だ。
そのせいか、あからさまに杖の質でこちらを見下してくる三人。
服装は全員同じせいか、こういうところで差を見つけるのは貴族の意地汚さか。
これから隊を組むというのに、そういう態度で来られてはこちらもいい気はしない。
小隊結成からいきなり空気の悪い始まりとなりそうだ。
「全員分かれたな?…よし、これより訓練の内容を説明する。諸君らはまず一隊ずつ森の中に入ってもらう。そして、森のどこかにある……これと同じものを持ち帰ってくることが目的となる」
そういって部隊長が全員に見えやすいよう掲げたのは、白地に茶色で独特な模様に染め抜かれた一枚の布だった。
どうやら俺達は森に分け入り、あの布を見つけ出してここに戻ってくることになるようだ。
魔術師部隊の訓練が探し物とは少し妙な気もするが、最初の訓練としてはこれぐらいがいいのかもしれない。
単に実力を見るだけなら隊員同士の模擬戦でもいいが、恐らくそれ以外のところをこの訓練では評価したいのだろう。
「これがどこに置いてあるかは自分達で見つけること。目的達成と自衛のためならば、各自の判断でのいかなる行動にも制限は設けない」
多くの動植物が冬に向けて長い眠りにつこうとする中でも、活発に動き回る動物や魔物は少なからずいる。
それらと不意の遭遇をしてしまった場合に備え、魔術の使用を躊躇わないよう促しているわけか。
ただ、ここはマルスベーラからも馬車で二刻ほどの距離と人間の生活圏に比較的近いため、定期的に魔物の盗伐は行われていそうなので、その手の脅威を過剰に恐れる必要はないだろう。
部隊長の言葉を聞き、不安そうな顔をする者もいれば目を輝かせる者までいる。
魔術の使用を制限なく解禁されたことでそれに見合う危険を想像するか、存分に力を振るう楽しみを思うかは人によるが、いざその時になって果たしてどれほどの人間が無事でいられるのやら。
「ただし、魔力切れや気絶、怪我などで行動不能となった者は訓練を中断し、ここへ連れ戻す。救出のための人員は既に森の中に配置しているので、声でも魔術でもなんでもいい、不測の事態が分かるように合図を出せ」
危険な場所での訓練ながら、ちゃんと安全には気を配っているらしい。
最悪の死には備えているとわかり、隊員の中には安堵する姿が見られる。
しかし部隊長の言葉を深読みすれば、単純に物探しをして終わる訓練とならず、行動不能になる何かは起こりうるということになる。
「また今回は、森の中にはこちら側で用意した妨害者が潜んでいる。それらの妨害をかい潜って目標を目指せ。なお、この妨害者は先に言った救助の人員も兼ねることを伝えておく。この妨害者が戦闘不能と見做した場合も、先の途中棄権と同じになる」
なるほど、その妨害者は俺達を邪魔するのと同時に、不測の事態では助けとなる人員というわけか。
二つの役を兼ねるとなると、妨害者の数はそう多くないはず。
それなりに大きい森とはいえ、草木が人の行動を阻害する空間で何人もが動き回っていては決して静粛性は保てない。
派手な音を立てれば警戒もされるし、居場所を知った隊員が逆に妨害者を襲撃することもできる。
それを避けるためにも、森の中で潜みつつこちらを追跡しながら動くには十人以下、最小だと二人という人数構成が考えられる。
もしも最少人数の二人での行動となれば、恐らくその二人ともが魔術師、それも手練れだろう。
……手練れの魔術師二人組?
急に特大の心当たりが思い浮かび、まさかと頭を振りたくなる。
いやな予感で背筋に冷たいものを感じた時、部隊長に立ち位置を譲られたウルディオ司祭が話しだす。
「隊長殿が言うその妨害者だが、急遽外部から雇った冒険者に勤めてもらっている。男女の二名、ともに魔術師だ。…侮るな、白一級で実戦経験も豊富な手練れであるぞ」
急遽雇われた冒険者というのを聞き、幾人かは侮りから鼻を鳴らしたが、咎めるようなウルディオ司祭の言葉でバツの悪そうな顔で視線を逸らす。
とはいえ、この部隊にいる以上は選抜された魔術師としての自負は確かにあり、冒険者になぞ負けぬという意識は誰もが持っていた。
だが俺は端から侮りなどもつことはない。
ここにいる誰よりも腕が立つ魔術師で冒険者を知っているので、侮ること自体が思いつかない。
そして、その冒険者が俺達に牙をむく可能性も秘かに感じ、体の震えを堪えるのに必死だ。
まだ確定とは言い難くとも、先程抱いた予感がもはや十の内の九は現実となりかけていることに、途轍もない絶望と恐怖を覚えているところだ。
いや待て、焦るな。まだ慌てる時間じゃない。
世の中には冒険者の魔術師など少なくないのだ。
たまたまマルスベーラにアンディとパーラ以外で雇われた冒険者がいたというのも十分考えられる。
アンディとパーラはたまたま時を同じくしてどこかにいっているだけで、ウルディオ司祭が雇った魔術師はあいつらとは別人だ。
そうだ、そうに違いない。
……本当に?
一つ揃うなら偶然と見なそう、しかし二つ三つと重なったのなら果たして偶然と断言してもいいものだろうか。
何故か呼吸が荒くなり始める。
馬鹿な、恐怖を覚えているのか?この俺が?
これは確かめねばならないか。
聞きたくはないというのと、聞かずにはいられないという二つの思いに支配され、自ずと俺はウルディオ司祭に問いかけてしまう。
「…質問、よろしいでしょうか」
「ふむ、なにかな?」
話しの途中に割り込んだにもかかわらず、特に気を悪くした様子もなく質問を許された。
周囲の視線も集まる中、意を決して尋ねるべきことを口にする。
緊張で唇が渇き、喉が押しとどめようとする言葉を何とか絞り出す。
「その冒険者らの名前を教えていただけますか?」
ダメだと言われたらそれでもいい。
あいつらの名前を聞かずにいれば、今抱いている感情も幾分かは和らぐ。
勿論、先送りに過ぎないとは分かっているが。
「構わんよ。名前は―」
ウルディオ司祭の口から飛び出した言葉は、俺の背に重しを負わせたように響き、次いで膝が壊れたかと錯覚するほどに激しく震えた。
倒れなかったのが奇跡だったと誇っていい。
それほどの絶望に俺は今、襲われている。
周りの人間はそんな俺を見て困惑しているが、今のこの姿は訓練が始まった時のお前らの未来だぞ。
いや、何人かは俺ほどではないが、顔色を悪くしているのがいるか。
ディケット学園の卒業生だ。
なるほど、学園の出ならあいつらのことは知っていてもおかしくはない。
一時期は教壇に立っていたこともあったしな。
そういった一部を除き、まともに立っていられる奴らの能天気さが今はうらやましい。
顔色もよく、きっと胃も痛んでいないに違いない。
知らないでいられれば、人間とはなんと幸せなのだろう。
今から妨害者の撤廃を願い出たところで聞き届けてくれるわけもないし、説き伏せるだけの材料を俺は持っていない。
となると、これはどうあっても避けえない災厄と同じということになる。
仕方ない、俺も教会関係者の端くれだ。
どうせなら神に届くと信じて祈るとしよう。
あぁ、神よ。なぜ俺を見捨てたのですか。
SIDE:END
「……以上の59名、新たに設立される部隊への編入を命ずる」
位階で見ると上は司祭から下は修道士見習いまで、様々な人間が集まった室内に響くのは、式台へ立つウルディオ司祭が読みあげた、教皇猊下による部隊発足の令書によるものだ。
その場で膝をついて辞令を聞いていた者達が一斉に立ち上がり、各々が祈る仕草で先のウルディオ司祭の言葉を静かに呑みこむ。
俺もその中の一人として神妙に祈る姿勢を示す。
ようやくこの日が来た、あるいは来てしまったというべきか。
魔術師部隊への配属が内々に伝えられてから今はもう半年ほどが経っており、少し前まで修道士見習いとして勤めていた俺がもう一端の部隊員だ。
たった今を持って俺は修道騎士に並ぶ身分として、教会の安寧のために歩き出すこととなる。
この部隊に魔術師を五十人以上も集めただけでも教会の人材の厚さが窺えるが、新たに一から作られる部隊なりに若い人間が多い。
何人か年齢的には老人といえる人もいるが、それ以外の大半は若いと言って差し支えない。
あくまでも見た目での判断となるが、上は二十代後半から下は十代と年齢の幅はそれなりに広く、その中でも何人かは学園でも見た顔だ。
同期と言える間柄ではないが、上級生として何度か言葉を交わしたこともある。
そもそも学園にいる魔術師は数も多くないうえに、その中でも扱う属性が同じ人間同士ともなると自然と交流が生まれるもので、こうして同じ場所で同じ時間を過ごすことには学園以来のなつかしさを覚える。
それら卒業生以外の人間で目立つのは、学園以外で魔術師として育成された人間だろう。
広範での教育という点ではディケット学園が先を行くが、特定の職種に限ればまだ士官学校が優れているらしい。
少数ながら国内に点在する士官学校は、騎士から官僚、魔術師や錬金術師まで分野は様々だが、主に国に従事する人材を育てるための学び舎と言える。
基本的にはいずれも貴族やそれに準じた地位の子女だけを受け入れているせいで、ディケット学園以上に閉鎖的と言われるものの、優秀な人材を多く輩出しているため、教会でもかなりの数を招き入れていた。
次いで多いのが、教会が独自に育てていた魔術師だ。
庇護者の方針で学園には出さず、独自に魔術師として教育した人材は、実力は抜きんでていなくとも教会への忠誠心は確かなものといえ、決して裏切らない扱いやすい駒として部隊へ送りこまれたと推測できる。
ちなみに聖鈴騎士に魔術師が選ばれる場合、基本的にこの教会が育てていた人材からの登用となる。
実力は大事だが、何よりも信仰心を重視する聖鈴騎士としては、思想の教育を一からするよりは後から鍛える手間の方をとったわけだ。
現在、この部隊は意図して若返りを図ったという噂は俺も耳にしているが、それにしても熟練の魔術師がほとんどいないのは少し不安になる。
普通なら若手を多く取り入れるにしても、経験のある人間を頭に据えて部隊を運営するのが常なのだろうが、ざっと見ただけだが59人の隊員の中で年齢的に練達と言える人間は5人もいない。
学園で習った常識に当てはめると、部隊を小分けにするなら5名前後を一つの小隊とするのが一般的だが、そこに経験豊富な人間が最低一人は必要だ。
だが小隊を作るとなればその数は十にも及び、配すべき熟練者は到底足りない。
魔術師自体が貴重な人材であることは理解するが、せめて隊員の二割は老獪な人間が欲しいところだ。
経験の浅い新兵だけの隊などまともに機能するとは思えず、これで実戦へどう赴くのか疑問ではある。
流石に初陣以前に訓練はするだろうが、だとしてもどう仕上げるのか先が見えないのが怖い。
「部隊名は『バルガラ』、知っての通り魔術師のみで構成される。部隊長はキリクを任命する。キリク、前へ」
湧き上がる不安を宥めているうちにも式は進み、名前を呼ばれた若い女性がウルディオ司祭の前へと進み出る。
一切の気負いもなく、堂々とした立ち振る舞いは自信に満ちている。
背は女性の平均とさほど駆らないほどだが、体はメリハリがきいており、若い男なら鼻息を荒くしそうな美貌だと言える。
淡い茶色の長い髪をたなびかせ、キリと吊り上がる眦に濃い緑色の瞳が備わる姿は、ペルケティアに古くから住む人間によく見られる特徴だ。
立ち姿は平民とは思えない気品はあるが、一方で周囲にいる貴族の出と思われる連中が向ける冷めた視線から察するに、キリク自身が貴族ということはなさそうだ。
普人種の見た目通りなら年齢は俺とそう離れてはいないはずだが、纏う魔力の気配は確実に強者のそれだ。
実力で部隊長に選出されたとすれば、その実力を疑う人間はこの場にはいないだろう。
部隊長としての位を証明する杖の授受が行われ、キリクが淡い黄色に染められた金属製の長杖を恭しく受け取ると、居並ぶ俺達へ杖を突きだすようにして掲げる。
―我ら、遍く守護すべき世界のために。炎の中より出で、流水を奏でる者よ。気高きに従い、ここに約束を交わさん
ヤゼス教の聖書の中の一節に、大いなる戦いへ赴く者へ送る言葉というものがいくつもある。
今俺達が唱えたのもその一つで、『大地の底にある消えぬ炎で鍛え、妖精の歌によって生み出された水で清めた剣を手に、巨悪を討った英雄』を讃える一節がヤゼス教の教典には載っている。
戦いに赴く機会のある部隊は発足の際に隊員達がこれを口にし、ヤゼス教への忠誠と誇りを改めて心に刻むのが習わしだとか。
事前に決められていた通りに、部屋にいた全員の口から同じ言葉が紡がれると、それを聞き終えたキリク…部隊長が杖でヤゼス教の十字架を描くように振るい、儀式染みた任命の式がこれで完了となった。
これによりこの部隊―バルガラの指揮は正式にウルディオ司祭からキリク隊長へと移譲される。
隊長となった最初の仕事は、隊員である俺達への備品の支給だ。
「これより我が部隊における制服を各員に配布する。部隊員としての行動中、または公式の場においては必ず着用するように。外套と祭礼服を格二、平服にあたるものは三着。さらに予備が欲しい場合は私か事務方へ申請しなさい」
そう言って部隊長が部屋の隅に並べられていた木箱を指さす。
いつの間にか蓋が明けられた木箱には衣服がぎっしりと詰め込まれているのが見え、どうやら各々がその中から取って行けということらしい。
ゆっくりと群がっていく人の中に混ざり、早速支給品を手にとって見る。
外套は特に何の変哲もない灰色一色のもので、聖職者なら誰でも持つごく普通のものだ。
礼服はよく見る意匠ではあるが色は部隊独自のものか、白地に薄青色の細かい模様をちりばめたものとなっている。
対して平服は修道士に与えられている物と見た目はそう変わらないが、使われている布の質はこちらの方が数段上のようだ。
礼服は式典やパーティで、平服は普段着か戦闘が見込まれる任務などで着ていくことになるだろう。
新しい門出にはいい装備を宛がうという分かりやすいこの配慮は、つまり期待の現われだ。
「よし、総員そのままで聞け」
新しい装束に興味を持った人間でちょっとした喧噪が出来上がっている中、場の雰囲気を切り替えるように固さを増した部隊長の声が通る。
「我が部隊は実働に先立ち、導入訓練を実施する。まずは年齢で若い順に25名を選抜し、とある場所にて訓練を行う」
やはり来たか。
部隊が発足したのならまずは隊員達の能力を把握するための訓練は必須と言え、導入訓練の実施は予想は出来ていた。
いきなり実戦で鍛えると言い出さないあたり、俺達の隊長殿は真っ当な指揮官として期待できる。
選抜される25名には、年齢順で考えると俺が組み込まれるのは確実だろう。
とある場所というからには街中では行わないとは思うが、果たしてどこまで出張るのやら。
普通に考えれば、まだ出来立てほやほやの部隊の活動をいきなり大々的に行うのは危険すぎるため、せいぜい徒歩で一日圏内のどこかのはず。
「日程は明日、夜明け前までにこの部屋に集合。朝は冷えるからな、外套は忘れるなよ。食料や医薬品はこちらで用意する。目的地は当日まで伏せるが、決して穏やかなものとはならないことを覚悟して欲しい。……では式はこれまでとし、各員、明日に備えて体を休めておけ。解散!」
淡々とした口調のまま解散を言い渡し、部隊長はウルディオ司祭をはじめとした偉い人達と共に部屋を後にする。
残された俺達は、それぞれ知り合いで固まって話をする者や、さっさと支給品をまとめて部屋を出ていく者まで様々だが、ただ一様に先程の部隊長の脅し染みた言葉を深刻に捉えているような空気がないは、やはりまだ出来立てほやほやの部隊が故の緩さのせいか。
特に親しくしている人間もいないことだし、俺も早々に部屋を出るとその足で聖女の館へと向かう。
既に通達がされていたようで、俺達バルガラの隊員は明日に備えて今日この後からは完全に休みとなったため、どうせならとスーリアに報告をしようと考えたのだ。
見習いから魔術師部隊隊員への転向となれば出世と言っても間違いはなく、スーリアにも胸を張って会えると、足取り軽く館へ辿り着いたのだが―。
「生憎、スーリア殿はいない」
門番の無慈悲な言葉で出ばなをくじかれてしまった。
「まじかよ…。いつ帰ってくるかを聞いても?」
「聖女様に付き添い、教会へ行っている。帰りがいつになるかは明言出来ん」
急に来た俺も悪いが、それにしても門番の態度は冷たいものだ。
まぁこれには俺が男だからというのもあるか。
しかし帰りが分からないというのは少し困ったな。
このままここで待つのも流石にまずいし、出直すにも不安はある。
なにせ、ひょっとしたらリエット様は今日はこっちに戻ってこないかもしれないのだ。
以前は勤めがある時以外は館から出ることはほとんどなかったが、最近はあちこちに出向いて色んな人と話し合う機会を持っていると聞く。
司教や枢機卿らとは言うまでもなく、果ては下っ端の修道騎士にまで自ら会っているらしく、精力的に動き回るようになって館に戻る暇も惜しんでいるとか。
一体何があってそんな行動を起こしているのやら。
ともかく、それに付き添うスーリアもいつここへ戻ってくるかわからないため、報告はその内機を見てとなりそうだ。
となると、次はもう一方に報告といこうか。
親愛なる友、アンディとパーラへ今日のことを伝えねば。
その場を離れた俺は、アンディ達のいる宿へと足を向ける。
今日の俺がいるのも、大元を辿ればアンディのおかげというのが大きい。
俺の魔術の師と言っても過言ではないだけに、共に喜んでくれるに違いない。
なんだったら、三人で祝杯を挙げるのも悪くないだろう。
「その二人なら二日前から留守にしてるぞ」
「えぇー……こっちも?」
「あん?」
意気揚々とやって来たものの、宿の主からアンディ達の不在を伝えられては俺の肩も地面すれすれまで落ちた気分だ。
冒険者をやっている以上、依頼で遠出でもすれば宿を長く空けることなど珍しくないが、スーリアの不在と重なってしまうとは、俺も間が悪かったか。
「アンディ達がいつ頃返ってくるかは聞いてる?」
「さぁな。まぁ部屋には荷物もまだ残ってるし、宿代も向こう五日分は先に貰ってる。きっちり宿代分通りの日程なら、三日後辺りにまた来れば会えるんじゃねえか?」
宿を離れた日と先払いしている宿代分考えると、アンディなら多少余裕を持たせて明後日には帰ってくるかもしれない。
導入訓練が明日で、それも一日で終わるかは分からないため、ひょっとしたらまた入れ違いになる可能性もある。
単に報告だけならいつでもいいが、なるべくこの新鮮な気持ちの内にみんなと会いたいものだ。
しかしこうしてみると、他にこの喜びを共有できる人間の少なさを実感してしまうな。
この街に来てそう長くないのもあるが、仕事上の付き合い以上に交友関係を広げていなかったことにも改めて気付く。
勿論、顔見知りやそこそこ仲のいい人間には心当たりがあるが、こういう時に一緒に騒ぐ相手に悩むほどとなると流石に寂しい。
これはもう少しちゃんと人付き合いを考える必要があるか。
今はまだいいが、そのうち出世の機会も考えるようになると、政治的なことを意識した立ち回りも覚えなくてはならない。
別に偉くなることにこだわる気はないが、かといって一生下っ端のままでいいかと言われると、否と答える程度には欲もある。
誰かとの縁を持つ、もしくは切るなどすることが今後の俺の身を守ってくれるというのなら、少なくとも今よりは人付き合いを増やした方がいいのかもしれない。
なんだか色々と考えることが増えた気もするが、これも新しい始まりの一つと思えばいっそ清々しい。
今日をもって正式に部隊へ配属となっているが、実際は明日の導入訓練を終えてからが本当の始まりだろう。
そうなると、そろそろ明日に備えての準備に動くとしようか。
部隊長は厳しいものとなると言っていたが、命を奪うような真似はしないと思うが、とはいえ何があるかわからない。
食料や医薬品は部隊持ちらしいが、生憎それにすべて頼るほど俺も暢気じゃない。
最低限、俺だけでも三日は生き抜ける準備はしておくべきか。
それと持ち歩ける最大限の量の水も必要だな。
俺は水魔術を使うが、その規模は身の回りにどれだけの水があるかで変わってくる。
全力で戦うには大樽で五つは欲しいところだが、さすがにそれだけの量を担いで訓練に臨むのは許されないだろう。
訓練場所まで徒歩で移動することも考え、持っていくには一般的な水嚢で二つ、大きいものだと一つが限度だ。
今から手配するには多少骨は折れるが、心当たりを思い浮かべつつ、宿の主にアンディ達への伝言を託してその場を後にした。
翌日、まだ日が昇らない内に指定された場所へ集まった俺達は、部隊長の指示で街を離れた。
未だ目的地は知らされず、用意されていた四台の幌馬車にそれぞれ乗り込んだのは計二十七名。
先に聞いていた若手に加え、部隊長とウルディオ司祭が同行する。
徒歩での移動を覚悟していただけに、馬車に揺られるだけというのは楽で有難い。
ただし、走り始める前から気付いていたが、走り始めて改めて思うのはとにかく寒いということだ。
幌付きの馬車は雨にこそ対応できるが、走っている間に吹き込む風を遮るほどの用意はなく、冬も近い早朝の空気は俺達の吐く息を白くする。
隊員は全員支給された外套を纏ってはいるものの、この寒さはそれだけで凌ぐには少し辛く、自然と乗りあう人間同士で身を寄せ合っていく。
寒さに震えながら馬車に揺られていると、遠くの峰から太陽が姿を見せた。
馬車の速度は徒歩よりはましといった程度で、街からまだそう遠く離れていないが、見えた太陽の位置から大体の方角が分かる。
街を出てから少し経つと石畳の街道からは外れ、土が踏み固められただけの道を馬車は南へ向かって進んでいく。
そのまましばらく馬車は走り続け、座りっぱなしの体勢がきつくなった頃、目的地へと到着した。
辿り着いたのは街からは二刻ほどの距離という、比較的近い場所にある森の淵だ。
冬を迎えようという森は木々の青々とした気力を潜め、眠る寸前の微睡を纏うような静けさだ。
馬車を降りた俺達はそれぞれに身づくろいや身体を解したりして、ようやく訪れた解放感に浸っていたが、すぐに部隊長の号令で一か所に集められる。
ガヤガヤと気だるい足取りで整列した俺達だったが、そうなってもただじっとこちらを見るだけで一向に口を開かない部隊長の様子を訝しんでいると、突然、硬い何かがぶつかる激しい音が辺りに響き渡った。
音の正体は部隊長が手にしていた長杖の柄尻が、地面に丁度埋まっていた石に強く打ち付けられた音だった。
「…全員が静かになるまでかなりの時間がかかった。今日が部隊での初の団体行動であることを鑑み、まずは強くは言わない。次からは無駄口を叩かず、迅速に動くよう心掛けなさい」
睥睨とまではいわずとも、一人一人を目を合わせるかのように辺りを見渡した部隊長の姿で、誰かの唾を呑む音が妙に耳へと響いた。
あるいはその音も俺自身のものだったのか、いずれにせよここにいる誰もが部隊長の言葉に緊張を覚えていたのは間違いない。
言葉と口調自体は淡々としているが、そこには確かに諫めるものが含まれており、知らずと背筋が伸びたのを実感する。
恐らく、ここにいる誰もが部隊長の言葉で気持ちが切り替わったはずだ。
たかが集合するだけでこの有様では、とても実戦部隊としてやっていくには頼りない。
それを部隊長ははっきりと示し、また俺達も新たに自覚が芽生え、今日まで覚えていた高揚感や自負といったものが一気に萎んでいった。
全員の目が覚めたのに気付いてか、部隊長が満足そうに頷くと再び口を開く。
「では今より導入訓練を始める。まずは五人で一組の小隊を作るが、選出はこちらで行う。意義は認めん。名前を呼ばれた者は前へ」
少し急ぐように早口となった部隊長が、取り出した紙を読み上げて五人ずつを隊としてまとめていく。
時折落胆した様子で視線を交わす隊員達が見られることから、特に知り合いや年齢などで固めたりはせず無作為に選んでいるのが分かる。
俺も名前を呼ばれて前へ出ると、同隊となる他の四人と並んでの顔合わせとなった。
男三人に女一人はいずれも普人種で歳も俺と近いが、その内の男二人と女の方は恐らく貴族家の人間だろう。
手にしている杖が装飾からして値の張るものと分かり、この手のものを持つのは貴族の縁者であることが多い。
魔術の発動には杖の有る無しで効率がまるで違うため、たとえ安物であっても杖は必ず持つよう教育される。
そのため様々な職人が手掛ける杖は、材質と形状によって効果が変わってくるため、いい物は当然金がかかる。
実用品ではなくとも、美術品をも兼ねる物ともなれば城一つと等価というのもあるとかないとか。
あの杖もかなりの高級品だと思われ、平民の稼ぎではまず買えない品だ。
残る一人の男が持つのは派手さのない普通の杖で、俺の持つ安物の杖と同程度の品だ。
平民が手に出来るごく一般的な杖で、魔術に対する補助も平均的に収まるが、物としては悪いものではない。
俺は学生だった時に間に合わせで買った一番安い杖を未だに使っているが、そもそも無手でも魔術が扱える身としては杖にこだわりはない質だ。
そのせいか、あからさまに杖の質でこちらを見下してくる三人。
服装は全員同じせいか、こういうところで差を見つけるのは貴族の意地汚さか。
これから隊を組むというのに、そういう態度で来られてはこちらもいい気はしない。
小隊結成からいきなり空気の悪い始まりとなりそうだ。
「全員分かれたな?…よし、これより訓練の内容を説明する。諸君らはまず一隊ずつ森の中に入ってもらう。そして、森のどこかにある……これと同じものを持ち帰ってくることが目的となる」
そういって部隊長が全員に見えやすいよう掲げたのは、白地に茶色で独特な模様に染め抜かれた一枚の布だった。
どうやら俺達は森に分け入り、あの布を見つけ出してここに戻ってくることになるようだ。
魔術師部隊の訓練が探し物とは少し妙な気もするが、最初の訓練としてはこれぐらいがいいのかもしれない。
単に実力を見るだけなら隊員同士の模擬戦でもいいが、恐らくそれ以外のところをこの訓練では評価したいのだろう。
「これがどこに置いてあるかは自分達で見つけること。目的達成と自衛のためならば、各自の判断でのいかなる行動にも制限は設けない」
多くの動植物が冬に向けて長い眠りにつこうとする中でも、活発に動き回る動物や魔物は少なからずいる。
それらと不意の遭遇をしてしまった場合に備え、魔術の使用を躊躇わないよう促しているわけか。
ただ、ここはマルスベーラからも馬車で二刻ほどの距離と人間の生活圏に比較的近いため、定期的に魔物の盗伐は行われていそうなので、その手の脅威を過剰に恐れる必要はないだろう。
部隊長の言葉を聞き、不安そうな顔をする者もいれば目を輝かせる者までいる。
魔術の使用を制限なく解禁されたことでそれに見合う危険を想像するか、存分に力を振るう楽しみを思うかは人によるが、いざその時になって果たしてどれほどの人間が無事でいられるのやら。
「ただし、魔力切れや気絶、怪我などで行動不能となった者は訓練を中断し、ここへ連れ戻す。救出のための人員は既に森の中に配置しているので、声でも魔術でもなんでもいい、不測の事態が分かるように合図を出せ」
危険な場所での訓練ながら、ちゃんと安全には気を配っているらしい。
最悪の死には備えているとわかり、隊員の中には安堵する姿が見られる。
しかし部隊長の言葉を深読みすれば、単純に物探しをして終わる訓練とならず、行動不能になる何かは起こりうるということになる。
「また今回は、森の中にはこちら側で用意した妨害者が潜んでいる。それらの妨害をかい潜って目標を目指せ。なお、この妨害者は先に言った救助の人員も兼ねることを伝えておく。この妨害者が戦闘不能と見做した場合も、先の途中棄権と同じになる」
なるほど、その妨害者は俺達を邪魔するのと同時に、不測の事態では助けとなる人員というわけか。
二つの役を兼ねるとなると、妨害者の数はそう多くないはず。
それなりに大きい森とはいえ、草木が人の行動を阻害する空間で何人もが動き回っていては決して静粛性は保てない。
派手な音を立てれば警戒もされるし、居場所を知った隊員が逆に妨害者を襲撃することもできる。
それを避けるためにも、森の中で潜みつつこちらを追跡しながら動くには十人以下、最小だと二人という人数構成が考えられる。
もしも最少人数の二人での行動となれば、恐らくその二人ともが魔術師、それも手練れだろう。
……手練れの魔術師二人組?
急に特大の心当たりが思い浮かび、まさかと頭を振りたくなる。
いやな予感で背筋に冷たいものを感じた時、部隊長に立ち位置を譲られたウルディオ司祭が話しだす。
「隊長殿が言うその妨害者だが、急遽外部から雇った冒険者に勤めてもらっている。男女の二名、ともに魔術師だ。…侮るな、白一級で実戦経験も豊富な手練れであるぞ」
急遽雇われた冒険者というのを聞き、幾人かは侮りから鼻を鳴らしたが、咎めるようなウルディオ司祭の言葉でバツの悪そうな顔で視線を逸らす。
とはいえ、この部隊にいる以上は選抜された魔術師としての自負は確かにあり、冒険者になぞ負けぬという意識は誰もが持っていた。
だが俺は端から侮りなどもつことはない。
ここにいる誰よりも腕が立つ魔術師で冒険者を知っているので、侮ること自体が思いつかない。
そして、その冒険者が俺達に牙をむく可能性も秘かに感じ、体の震えを堪えるのに必死だ。
まだ確定とは言い難くとも、先程抱いた予感がもはや十の内の九は現実となりかけていることに、途轍もない絶望と恐怖を覚えているところだ。
いや待て、焦るな。まだ慌てる時間じゃない。
世の中には冒険者の魔術師など少なくないのだ。
たまたまマルスベーラにアンディとパーラ以外で雇われた冒険者がいたというのも十分考えられる。
アンディとパーラはたまたま時を同じくしてどこかにいっているだけで、ウルディオ司祭が雇った魔術師はあいつらとは別人だ。
そうだ、そうに違いない。
……本当に?
一つ揃うなら偶然と見なそう、しかし二つ三つと重なったのなら果たして偶然と断言してもいいものだろうか。
何故か呼吸が荒くなり始める。
馬鹿な、恐怖を覚えているのか?この俺が?
これは確かめねばならないか。
聞きたくはないというのと、聞かずにはいられないという二つの思いに支配され、自ずと俺はウルディオ司祭に問いかけてしまう。
「…質問、よろしいでしょうか」
「ふむ、なにかな?」
話しの途中に割り込んだにもかかわらず、特に気を悪くした様子もなく質問を許された。
周囲の視線も集まる中、意を決して尋ねるべきことを口にする。
緊張で唇が渇き、喉が押しとどめようとする言葉を何とか絞り出す。
「その冒険者らの名前を教えていただけますか?」
ダメだと言われたらそれでもいい。
あいつらの名前を聞かずにいれば、今抱いている感情も幾分かは和らぐ。
勿論、先送りに過ぎないとは分かっているが。
「構わんよ。名前は―」
ウルディオ司祭の口から飛び出した言葉は、俺の背に重しを負わせたように響き、次いで膝が壊れたかと錯覚するほどに激しく震えた。
倒れなかったのが奇跡だったと誇っていい。
それほどの絶望に俺は今、襲われている。
周りの人間はそんな俺を見て困惑しているが、今のこの姿は訓練が始まった時のお前らの未来だぞ。
いや、何人かは俺ほどではないが、顔色を悪くしているのがいるか。
ディケット学園の卒業生だ。
なるほど、学園の出ならあいつらのことは知っていてもおかしくはない。
一時期は教壇に立っていたこともあったしな。
そういった一部を除き、まともに立っていられる奴らの能天気さが今はうらやましい。
顔色もよく、きっと胃も痛んでいないに違いない。
知らないでいられれば、人間とはなんと幸せなのだろう。
今から妨害者の撤廃を願い出たところで聞き届けてくれるわけもないし、説き伏せるだけの材料を俺は持っていない。
となると、これはどうあっても避けえない災厄と同じということになる。
仕方ない、俺も教会関係者の端くれだ。
どうせなら神に届くと信じて祈るとしよう。
あぁ、神よ。なぜ俺を見捨てたのですか。
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