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1年生・春
第24話 告白してみました(語弊あり)
しおりを挟む部屋に戻った私とゼノは改めて膝を突き合わせて話し合いをすることになった。
あれ……? ただの雑談だったのにどうしてこんなことに……?
今までにない真剣な表情のゼノに私は思わずたじろいてしまう。
「えーっと、で、何の話してたっけ」
思い空気に耐えきれず、私は思わず口を開いた。
「……お前が魔法を使えないのはかしこさが著しく低いからだと思っていた」
著しく低いって言うな! ちょっと傷つくだろ!
「悪口言うために呼んだの? 」
「まぁ聞けって」
ゼノはカバンから神話学の教科書を取り出すと、先ほどの真理の巨神のページを開く。
「ああ、さっきの授業の」
「僕はお前がこの存在を知らないことに驚いた。本当に知らないのか? 今まで話を聞いたことは? 」
元々のユノはもしかしたら知っていたかも知れないけど私は知らないなぁ……。そもそも私の家、無宗教だったし、あんまりそういうの興味なかったな。
ゼノのこの言い方といい、その神様はよっぽど有名なのだろうか?
「今日初めて知ったわ。ま、私転生したばっかりだし仕方ないよね」
「は? 転生? 」
あれ? 言ってなかったっけ。あー、そういえば私今まで誰にも前世の話はしたことがなかった気がする。
別に隠していた訳ではないのだけど、言う必要もないかなって。
私は今までのことを全てゼノに話した。
ゼノは表情をコロコロ変えながらも、最後までしっかり聞いてくれた。
「で、私は今ユノ=ルーンベルグとして最強を目指してるってこと! めでたしめでたし」
「……」
口をあんぐり開けたままゼノは固まってしまった。
おーいゼノ起きて―! あれー? そんなに変な話したかな?
「つまり前の世界で死んで、気が付いたらこの世界でユノ=ルーンベルグとして生きていたと……? 」
「そそ! 前世では四宮雪路って名前だったよ」
なるほど……と呟いたままゼノは再び黙りこくった。
「それならば……お前が滅びの凶星であっても不思議じゃないな、うん、信仰心がなくても説明がつく」
お、結構信じてくれてるみたいだ。
「そのぜのふぉーらーってやつ、そんなにやばいの? 」
「この世界の人間は、生まれ落ちたときから真理の巨神の祝福を受けているんだ。その祝福により皆魔法を扱うことが出来る。しかしごく稀にその祝福を受けずに生まれる人間がいる」
「へぇ、まあ、魔法使えなくても私困ってないから良いかな」
ゆるゆると首を振るゼノ。
「滅びの凶星が現れると世界が滅びるという言い伝えがあり、それにより彼らは生まれたときから処刑の対象なんだ」
しょ、処刑……?
嘘でしょ……私殺されちゃうの!?
上等だ、返り討ちにしてやるよ。思わず全身の血が滾る思いがした。
「だから滅びの凶星が大人になるなんてありえない、あってはならないことなんだ」
「でもさ、どうやって判別するの? 」
「この世界の人間は赤子の頃に皆魔力を測る。生まれたばかりとはいえ、皆多少は魔力を有しているからな。そして滅びの凶星には魔力が一切ない。0だ」
「つまり魔力が0だと分かると殺されちゃうと……」
ゼノが首を縦に振った。あれ、でも私新入生の能力測定のとき測ったよね……。
「あのとき測ったけど殺されてないよ? 」
「そこがお前が特別なところなんだ。滅びの凶星は魔力を一切持たないはず、しかしお前の場合は桁違いの魔力を持っている」
「え!? でも学園で測ったときは測定不能って……」
「あんな玩具のような代物で測れるもんか。僕の魔法で分析してみたら、魔力:9999のとんでも数値が出た」
まさか……あの測定不能にそんな意味があったなんて……。
え? ってことはかしこさ:2ってやつも測定ミスだったのでは?
「ちなみに僕の魔法でもお前のかしこさは2だったぞ」
人の心の中も読めるんかこいつは……。
しかもそこは変わらないのか……。
「あ、あとレベルもマックスだったぞ、だからもうこれ以上ステータスは伸びな……」
「えええええええええ!!?!?!?!?!」
私は思わずゼノに掴みかかってしまった。
「え!? じゃあ私のかしこさは2から伸びないの!? 」
「お、落ち着けって!! く、首締まってる……」
「2年生への進級条件がかしこさ:100なんだよ!? このままじゃ私留年確定だよ! それどころか永久に進級出来ない……」
ガクガクとゼノを揺さぶる。流石に進級できないのは卒業だけはしとこうと思ってたので、両親に申し訳がたたない。
学歴は一応つけておいた方が良いぞ! とは親父の口癖だったので体に染みついているのだ。
そして私は白目向いて泡を吹いてるゼノにようやく気が付いた。
「あ、ごめん」
慌てて手を離す。
「ゲホッ、ゲホ……。あぶねぇ、危うく三途の川を渡るとこだった」
「ゼノ~~~~~!!! どうしよ、私このままじゃ進級できないよ! 」
「お、おい抱き着くな!! ってどさくさに紛れて僕の服で涙拭くなよ! 」
本当に絶体絶命だ。このままでは永久に一年生だ……。
すると、ため息一つ吐いたゼノが頭を掻きながらこう言った。
「分かった分かった。僕がお前の進級についてはどうにかしてやる。その代わり」
「その代わり? 」
「お前に前世の記憶があること、滅びの凶星であることは絶対に他の誰にも言うんじゃないぞ」
何だそんなことで良いのか。そもそもゼノにしか言うつもりなかったし。
「おっけー! 」
「いいか、今日の話は二人だけの秘密だからな」
「分かってるって! じゃ、はい指切りげんまん」
「ゆびきり? 」
あ、そっかこの世界ではそういう文化はないのか。
「前の世界では何か約束するときはこうやってしたの、ほら、小指絡ませて」
「こうか? 」
ぎこちなく小指を絡ませてくるゼノ。
「指切りげんまん嘘ついたら針千本のーます! 」
ぷっとゼノが噴き出した。
「何だそれ」
「おまじないみたいなもんよ、じゃ、約束したから」
ゼノはしばらくぼーっと自分の小指をただ見つめていた。
もしかしたら痛かったかな? それは悪いことをしたかもしれない……。ごめんねゼノ!
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