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1年生・春
第29話 最強VS最恐
しおりを挟む飛び掛かってきたヤナギを、私はすんでのところで身をかわす。
瞳はギラギラと赤く、息は獣のように荒い。もはやその異様な姿は人と言うよりも魔のものに近かった。
「逃げ……て……くれ」
ただ、僅かばかりの理性は残っているのか、苦しそうな表情で彼は呻く。
「これが噂の……。なるほど」
人間離れした身体能力に、肌がビリビリするほどの殺意。確かにこれはコスモが怯えるのも無理もない。
「俺はもう……誰も……傷つけたくな……い。逃げろ……」
「逃げる? 」
笑わせてくれる。
私は今にも飛び掛かろうとしているヤナギに頭突きを一発食らわせる。
「舐めるんじゃねえ、私はあんたより強い、全力で来な」
その言葉が引き金になったのだろう、理性が完全に飛んだヤナギの鋭い蹴りが鳩尾に飛んできた。
ふむ、確かにずしりと重い。戦士科最強の名も伊達じゃないのだろう。
そして何より次の攻撃に移るまでがとてつもなく早い。一切の迷いなく、的確に急所を狙ってくるのだ。
雨のように降り注ぐ攻撃を避けながら私はじっと機会を窺っていた。
「壊してやる……壊してやる……」
うわ言のように呟く彼の瞳はもやは私を映してはいない。
「ふふふふ、良いねえ良いねえ!!! 久しぶりに楽しいよヤナギ」
この世界に来てから初めて戦う強い相手。私の心は躍っていた。
単純な殴り合いかもしれない。が、私にとってはどんな娯楽よりも楽しい。
私はちょっとイカれてるのかもしれない。
でもまあ楽しく生きれるのなら、良いことなんじゃないかと思う。
すると、ヤナギの攻撃の手が止んだ。いくら人間離れしていると言ってもいつかは限界が来る。
私はこの瞬間を待っていたのだ。
そのタイミングで、私は拳をヤナギの頬に叩き込んだ。
何やら音を立てながら吹き飛ばされるヤナギ。そのままボロい壁に叩きつけられると、土煙が立ち上ぼり辺りは真っ白になった。
「立てよ、こんなもんじゃないだろ? 」
返事はない。
あれ? 彼もこんなもんだったのだろうか?
「ヤナギー! おーい! 」
いくら声を掛けてみても声は返ってこなかった。
「期待外れ……だったのかな」
と、踵を返そうとしたとき、煙を切り裂くように何かが躍り出た。
しまった、と思ってももう遅い。
不意を突かれた私はそれに丁度押し倒されるような体勢になる。
「だから……やめと……けって」
素晴らしい、理性が飛んでいるにも関わらず相手を油断させるまでじっと押し黙り、機会を窺うその姿勢。
私は彼を侮りすぎていたようだ。
「良いね、私君のこと好きになっちゃいそう」
「……は? 」
「でもごめんね、私、馬乗りになられるのは嫌いなの」
そう言った私は彼の股関の辺りに蹴りを食らわせ、たじろく彼の鳩尾に拳を打ち込んだ。
「ぐっ……」
そしてヤナギの瞳が緑色に戻ったかと思うと、彼はそのまま眠りについてしまった。
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マナ様
誤字のご指摘ありがとうございます。
修正致しました。
また誤字脱字等ありましたらご指摘よろしくお願い致します。
魔王を倒したってことは…ユノが現魔王だよね。笑
もちっ様
感想ありがとうございます!
そういうことになりますね…序盤で魔王になってしまった主人公です…。
な...なるほど、主人公ちゃんには魔法は効かない...
なんだか、最強臭しかしないのだがw
これからも投稿頑張ってください!
lou様
またまた感想ありがとうございます!
魔王を上回るレベルの最強主人公ですからね…もうなんでもアリみたいです。