8 / 50
酪農の村ヨード
第8話 呪いってそもそも何なの?
しおりを挟む
リオンを海辺の村まで送り届けると決めたのは良いのだが、この一帯はそこそこレベルの高い魔物がうろつく地域。レベル15でおまけにただの旅芸人でしかない僕が彼女を守り通せるだろうか。
カッコつけたものは良いものの、自分が弱いということをすっかり忘れていた。
「ノアは冒険者なの? 」
トボトボと二人で並んで歩いていると不意にリオンが口を開いた。
「ああ、そうだよ。そこそこ強いパーティに入ってたんだ」
うっ、また見栄を張ってしまった。あながち嘘ではないが、そのパーティに役立たず認定された挙句命まで狙われ、しかも思いを寄せていた女性にも裏切られた。あれ、よくよく考えたら僕結構不幸じゃないか?
「そうなんだ、凄いね! 」
キラキラと目を輝かせるリオンの視線が苦しい。
「でもま、ただの旅芸人だし、大した役には立ってなかったけどな」
自嘲気味に笑う僕。あ、どうしよ、少し涙出てきた。
「たびげーにんって何? 」
「踊りや歌が得意な職業だよ。魔法や剣もちょっとは使えるけど……まぁ何もかもが中途半端な外れ職だよ」
自分で言ってて情けなくなってきた。この職業にしか適正がないと分かってからというもの何度も冷たい言葉は浴びてきたのに、いまだに慣れない。
「外れ? 外れの職業なんてこの世にないよ。踊りや歌が得意なんて凄いじゃない、誰かを楽しませるなんて立派な仕事だよ。それにノアならなりたいものに何でもなれると思う! 」
屈託のない笑顔を浮かべるリオンを見て、そんな悩みの全てがどうでも良くなった。
「リオン……」
僕は彼女の髪をくしゃくしゃに撫でる。
「良い子だなお前は、その純粋な気持ち忘れるなよ~」
「わあ、くすぐったい! それに、呪いのアイテムを使いこなすなんてノアにしか出来ないよ」
ん? リオンちゃん今なんて言った?
呪いのアイテムを使いこなす?
「え、リオンそれどういうこと? 」
良く分かっていない僕は改めてリオンに尋ねる。
「え? だから、ノアは呪いが効かない体質なの。それどころかそのアイテムの能力を何倍にも増幅して引き出すことが出来てるんだよ。あ、もしかして気づいてない? 」
さらりと言ってのけるリオン。
「え、でも……」
アスベルたちに騙されて呪われた扉を開けさせられたとき、あのときは呪いによるダメージを受けていた。
「何か強いショックを受けたことあった? そのせいで能力が目覚めたのかも」
あ、と爆ぜた『死の指輪』のことを思い出した。僕はその破片をポケットから取り出す。
もしかして、死にかけていたあのときかもしれない。
「『祝福の指輪』、一度だけ装備者の体力を全快にしてくれる魔法の指輪だね。ありゃ、真っ二つだね」
「え? 装備した生命の体力をじわじわ奪う呪いの指輪じゃ……」
「だからノアは特別なんだよ! その指輪が助けてくれたんだね」
まさか、と僕はちらりと腰から下げているボロい剣に目を向けた。
ただの呪われたオンボロ剣だと思っていたが、もしかして僕が使うと凄い物になる……?
「じゃあ、僕にかかっていた呪いは消えたのか? 」
「ちょっと違う。呪いを”受け入れた”ってかんじかな。だから教会のシスターは恐ろしくてノアを追い出したんじゃない? 」
じ~っと僕を見つめてリオンが言う。
「受け入れた!? じゃあ僕死んじゃうんじゃ……」
それは違うよ、とリオンが首を振った。
「呪いってのは誰かに気が付いて欲しい、救って欲しいという人の純粋な願いが少しだけ間違った方向に行ってしまっただけ。本当は誰かを殺すつもりなんてないの」
だからさ、とリオンが更に言葉を続ける。
「ノアはそんな人の思いを救って欲しい。これはノアにしか出来ないことだと思う」
大人びた表情をするリオンはどこか人間を超越している。
「リオン、君は一体何者なんだ」
呪いに関しての知識に加え、シスターに匹敵する程の呪いを知覚する能力。ただの少女ではなさそうだった。
「分かんない。でも分かるの」
でもそう言ってはにかむリオンは、やっぱり子どものようだった。
カッコつけたものは良いものの、自分が弱いということをすっかり忘れていた。
「ノアは冒険者なの? 」
トボトボと二人で並んで歩いていると不意にリオンが口を開いた。
「ああ、そうだよ。そこそこ強いパーティに入ってたんだ」
うっ、また見栄を張ってしまった。あながち嘘ではないが、そのパーティに役立たず認定された挙句命まで狙われ、しかも思いを寄せていた女性にも裏切られた。あれ、よくよく考えたら僕結構不幸じゃないか?
「そうなんだ、凄いね! 」
キラキラと目を輝かせるリオンの視線が苦しい。
「でもま、ただの旅芸人だし、大した役には立ってなかったけどな」
自嘲気味に笑う僕。あ、どうしよ、少し涙出てきた。
「たびげーにんって何? 」
「踊りや歌が得意な職業だよ。魔法や剣もちょっとは使えるけど……まぁ何もかもが中途半端な外れ職だよ」
自分で言ってて情けなくなってきた。この職業にしか適正がないと分かってからというもの何度も冷たい言葉は浴びてきたのに、いまだに慣れない。
「外れ? 外れの職業なんてこの世にないよ。踊りや歌が得意なんて凄いじゃない、誰かを楽しませるなんて立派な仕事だよ。それにノアならなりたいものに何でもなれると思う! 」
屈託のない笑顔を浮かべるリオンを見て、そんな悩みの全てがどうでも良くなった。
「リオン……」
僕は彼女の髪をくしゃくしゃに撫でる。
「良い子だなお前は、その純粋な気持ち忘れるなよ~」
「わあ、くすぐったい! それに、呪いのアイテムを使いこなすなんてノアにしか出来ないよ」
ん? リオンちゃん今なんて言った?
呪いのアイテムを使いこなす?
「え、リオンそれどういうこと? 」
良く分かっていない僕は改めてリオンに尋ねる。
「え? だから、ノアは呪いが効かない体質なの。それどころかそのアイテムの能力を何倍にも増幅して引き出すことが出来てるんだよ。あ、もしかして気づいてない? 」
さらりと言ってのけるリオン。
「え、でも……」
アスベルたちに騙されて呪われた扉を開けさせられたとき、あのときは呪いによるダメージを受けていた。
「何か強いショックを受けたことあった? そのせいで能力が目覚めたのかも」
あ、と爆ぜた『死の指輪』のことを思い出した。僕はその破片をポケットから取り出す。
もしかして、死にかけていたあのときかもしれない。
「『祝福の指輪』、一度だけ装備者の体力を全快にしてくれる魔法の指輪だね。ありゃ、真っ二つだね」
「え? 装備した生命の体力をじわじわ奪う呪いの指輪じゃ……」
「だからノアは特別なんだよ! その指輪が助けてくれたんだね」
まさか、と僕はちらりと腰から下げているボロい剣に目を向けた。
ただの呪われたオンボロ剣だと思っていたが、もしかして僕が使うと凄い物になる……?
「じゃあ、僕にかかっていた呪いは消えたのか? 」
「ちょっと違う。呪いを”受け入れた”ってかんじかな。だから教会のシスターは恐ろしくてノアを追い出したんじゃない? 」
じ~っと僕を見つめてリオンが言う。
「受け入れた!? じゃあ僕死んじゃうんじゃ……」
それは違うよ、とリオンが首を振った。
「呪いってのは誰かに気が付いて欲しい、救って欲しいという人の純粋な願いが少しだけ間違った方向に行ってしまっただけ。本当は誰かを殺すつもりなんてないの」
だからさ、とリオンが更に言葉を続ける。
「ノアはそんな人の思いを救って欲しい。これはノアにしか出来ないことだと思う」
大人びた表情をするリオンはどこか人間を超越している。
「リオン、君は一体何者なんだ」
呪いに関しての知識に加え、シスターに匹敵する程の呪いを知覚する能力。ただの少女ではなさそうだった。
「分かんない。でも分かるの」
でもそう言ってはにかむリオンは、やっぱり子どものようだった。
0
あなたにおすすめの小説
三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る
マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息
三歳で婚約破棄され
そのショックで前世の記憶が蘇る
前世でも貧乏だったのなんの問題なし
なによりも魔法の世界
ワクワクが止まらない三歳児の
波瀾万丈
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。
渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。
しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。
「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」
※※※
虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
転生したら領主の息子だったので快適な暮らしのために知識チートを実践しました
SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
不摂生が祟ったのか浴槽で溺死したブラック企業務めの社畜は、ステップド騎士家の長男エルに転生する。
不便な異世界で生活環境を改善するためにエルは知恵を絞る。
14万文字執筆済み。2025年8月25日~9月30日まで毎日7:10、12:10の一日二回更新。
【完結】異世界で神の元カノのゴミ屋敷を片付けたら世界の秘密が出てきました
小豆缶
ファンタジー
父の遺したゴミ屋敷を片付けていたはずが、気づけば異世界に転移していた私・飛鳥。
しかも、神の元カノと顔がそっくりという理由で、いきなり死刑寸前!?
助けてくれた太陽神ソラリクスから頼まれた仕事は、
「500年前に別れた元恋人のゴミ屋敷を片付けてほしい」というとんでもない依頼だった。
幽霊になった元神、罠だらけの屋敷、歪んだ世界のシステム。
ポンコツだけど諦めの悪い主人公が、ゴミ屋敷を片付けながら異世界の謎を暴いていく!
ほのぼのお仕事×異世界コメディ×世界の秘密解明ファンタジー
剣ぺろ伝説〜悪役貴族に転生してしまったが別にどうでもいい〜
みっちゃん
ファンタジー
俺こと「天城剣介」は22歳の日に交通事故で死んでしまった。
…しかし目を覚ますと、俺は知らない女性に抱っこされていた!
「元気に育ってねぇクロウ」
(…クロウ…ってまさか!?)
そうここは自分がやっていた恋愛RPGゲーム
「ラグナロク•オリジン」と言う学園と世界を舞台にした超大型シナリオゲームだ
そんな世界に転生して真っ先に気がついたのは"クロウ"と言う名前、そう彼こそ主人公の攻略対象の女性を付け狙う、ゲーム史上最も嫌われている悪役貴族、それが
「クロウ•チューリア」だ
ありとあらゆる人々のヘイトを貯める行動をして最後には全てに裏切られてザマァをされ、辺境に捨てられて惨めな日々を送る羽目になる、そう言う運命なのだが、彼は思う
運命を変えて仕舞えば物語は大きく変わる
"バタフライ効果"と言う事を思い出し彼は誓う
「ザマァされた後にのんびりスローライフを送ろう!」と!
その為に彼がまず行うのはこのゲーム唯一の「バグ技」…"剣ぺろ"だ
剣ぺろと言う「バグ技」は
"剣を舐めるとステータスのどれかが1上がるバグ"だ
この物語は
剣ぺろバグを使い優雅なスローライフを目指そうと奮闘する悪役貴族の物語
(自分は学園編のみ登場してそこからは全く登場しない、ならそれ以降はのんびりと暮らせば良いんだ!)
しかしこれがフラグになる事を彼はまだ知らない
田舎娘、追放後に開いた小さな薬草店が国家レベルで大騒ぎになるほど大繁盛
タマ マコト
ファンタジー
【大好評につき21〜40話執筆決定!!】
田舎娘ミントは、王都の名門ローズ家で地味な使用人薬師として働いていたが、令嬢ローズマリーの嫉妬により濡れ衣を着せられ、理不尽に追放されてしまう。雨の中ひとり王都を去ったミントは、亡き祖母が残した田舎の小屋に戻り、そこで薬草店を開くことを決意。森で倒れていた謎の青年サフランを救ったことで、彼女の薬の“異常な効き目”が静かに広まりはじめ、村の小さな店《グリーンノート》へ、変化の風が吹き込み始める――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる