外れ職業の旅芸人(LV.15)だったけれど、呪いの装備を使いこなせるチートに目覚めました

寿司

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酪農の村ヨード

第8話 呪いってそもそも何なの?

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 リオンを海辺の村まで送り届けると決めたのは良いのだが、この一帯はそこそこレベルの高い魔物がうろつく地域。レベル15でおまけにただの旅芸人でしかない僕が彼女を守り通せるだろうか。

 カッコつけたものは良いものの、自分が弱いということをすっかり忘れていた。

「ノアは冒険者なの? 」

 トボトボと二人で並んで歩いていると不意にリオンが口を開いた。

「ああ、そうだよ。そこそこ強いパーティに入ってたんだ」
 
 うっ、また見栄を張ってしまった。あながち嘘ではないが、そのパーティに役立たず認定された挙句命まで狙われ、しかも思いを寄せていた女性にも裏切られた。あれ、よくよく考えたら僕結構不幸じゃないか?

「そうなんだ、凄いね! 」

 キラキラと目を輝かせるリオンの視線が苦しい。

「でもま、ただの旅芸人だし、大した役には立ってなかったけどな」

 自嘲気味に笑う僕。あ、どうしよ、少し涙出てきた。

「たびげーにんって何? 」

「踊りや歌が得意な職業だよ。魔法や剣もちょっとは使えるけど……まぁ何もかもが中途半端な外れ職だよ」

 自分で言ってて情けなくなってきた。この職業にしか適正がないと分かってからというもの何度も冷たい言葉は浴びてきたのに、いまだに慣れない。

「外れ? 外れの職業なんてこの世にないよ。踊りや歌が得意なんて凄いじゃない、誰かを楽しませるなんて立派な仕事だよ。それにノアならなりたいものに何でもなれると思う! 」

 屈託のない笑顔を浮かべるリオンを見て、そんな悩みの全てがどうでも良くなった。

「リオン……」

 僕は彼女の髪をくしゃくしゃに撫でる。

「良い子だなお前は、その純粋な気持ち忘れるなよ~」

「わあ、くすぐったい! それに、呪いのアイテムを使いこなすなんてノアにしか出来ないよ」

 ん? リオンちゃん今なんて言った?
 呪いのアイテムを使いこなす?

「え、リオンそれどういうこと? 」

 良く分かっていない僕は改めてリオンに尋ねる。

「え? だから、ノアは呪いが効かない体質なの。それどころかそのアイテムの能力を何倍にも増幅して引き出すことが出来てるんだよ。あ、もしかして気づいてない? 」

 さらりと言ってのけるリオン。

「え、でも……」

 アスベルたちに騙されて呪われた扉を開けさせられたとき、あのときは呪いによるダメージを受けていた。

「何か強いショックを受けたことあった? そのせいで能力が目覚めたのかも」

 あ、と爆ぜた『死の指輪』のことを思い出した。僕はその破片をポケットから取り出す。
 もしかして、死にかけていたあのときかもしれない。

「『祝福の指輪』、一度だけ装備者の体力を全快にしてくれる魔法の指輪だね。ありゃ、真っ二つだね」

「え? 装備した生命の体力をじわじわ奪う呪いの指輪じゃ……」

「だからノアは特別なんだよ! その指輪が助けてくれたんだね」

 まさか、と僕はちらりと腰から下げているボロい剣に目を向けた。
 ただの呪われたオンボロ剣だと思っていたが、もしかして僕が使うと凄い物になる……?

「じゃあ、僕にかかっていた呪いは消えたのか? 」

「ちょっと違う。呪いを”受け入れた”ってかんじかな。だから教会のシスターは恐ろしくてノアを追い出したんじゃない? 」

 じ~っと僕を見つめてリオンが言う。

「受け入れた!? じゃあ僕死んじゃうんじゃ……」

 それは違うよ、とリオンが首を振った。

「呪いってのは誰かに気が付いて欲しい、救って欲しいという人の純粋な願いが少しだけ間違った方向に行ってしまっただけ。本当は誰かを殺すつもりなんてないの」

 だからさ、とリオンが更に言葉を続ける。

「ノアはそんな人の思いを救って欲しい。これはノアにしか出来ないことだと思う」

 大人びた表情をするリオンはどこか人間を超越している。

「リオン、君は一体何者なんだ」

 呪いに関しての知識に加え、シスターに匹敵する程の呪いを知覚する能力。ただの少女ではなさそうだった。

「分かんない。でも分かるの」

 でもそう言ってはにかむリオンは、やっぱり子どものようだった。
 
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