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ようこそアンフェルサーカス団へ
第39話 兄妹の秘密
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クロエのご好意でお風呂まで頂けることになった。
近くの温泉をここまで引いてきたものらしく、久しぶりの風呂に僕も少し嬉しい。
「ノアー! 一緒に入ろう! 」
リオンが無邪気に笑う。
彼女も浮かれているのか手にはふかふかのタオルを抱えてステップを踏んでいる。
「いやいやいやそれは流石に駄目だよ」
「え? どうして? 」
キョトンと首をかしげるリオン。本気で何が駄目なのか分かっていないようだ。
「どうしてって言われると……とにかく父親でもない知らない男性と一緒に風呂なんて駄目だ」
「ノアは知ってる男性だよ」
「それはそうだけど……」
信頼してくれているのは嬉しいが、もしここで一緒に入ってしまえば僕はロリコン認定を受けてしまうだろう。それだけは回避しなければなるまい。
「ほーらリオン。我儘言わない。あたしと女同士の秘密の話でもしよっか」
それを察したソフィアが助け舟を出してくれた。ナイスソフィア!
「んー、分かったよ」
そしてリオンはフードを脱ぐ。絹のような白い髪がさらりと流れ、顕わになる金色の角。
「ソフィアー! 行こう! 」
「え? そ、その角は……」
あ、そういえばソフィアはリオンの角を見るのは初めてだ。
「ごめんソフィア、言うの忘れてた。リオンは獣人族の子どもらしくて……」
「違う」
ソフィアの声が震えている。
「え? 」
「これは獣人族の角じゃない。むしろこれは竜族の……」
「あ、これ? 」
リオンが何でもないという風に自分の角に触れた。
「団長さんにも言われたなー。君はりゅうぞくなのか? って。りゅうぞくって何? 」
ソフィアの顔が段々青冷めていく。そして僕も手足が震えるのが分かった。
竜族ーー幻の種族と言われ、その存在すら伝説とされている
全てのパラメータが規格外で、宿す魔力はとてつもない。
もし奴隷市場に現れれば私財を投げ打ってでも買いたいと思う人間は掃いて捨てるほどいるだろう
その寿命も永遠と言われており、その角を薬にすれば不老不死の薬が作れると言われている。
つまり権力者の中には、不老不死を求めて竜族を乱獲しようとしているという噂もある。
「リオンが……竜族……? 」
「いや、まだ分からない。あたしも別に種族に詳しいわけではないからな」
ただし、とソフィアは一度言葉を止めた。
「本人に記憶がない以上、しっかり守ってやらなきゃいけない」
僕とソフィアは、不思議そうに首を傾げるリオンを差し置いて、お互い頷き合った。
◇◇◇
リオンとソフィアがお風呂から出たのと入れ違いに、僕も風呂に入ることにした。
もう夜も更けているので周りには誰もおらず、がらんとしている。
「貸し切りかー」
少し寂しいなと思いつつも服を脱いで、湯船につかる。
久しぶりのお風呂なので気持ちが躍る。ふー、と息を吐くと心まで溶けてしまうような錯覚に襲われた。
すると、白い煙の中、よくよく目を凝らすと誰かがいるのが分かった。
細い線に短髪。
おそらく、コアだ。
そして僕はちょっとした思いつきで、ゆっくり彼に近づくとぽんと背中を叩く。
「コア! おつか……」
「きゃあああああああ!!!!! 」
しかしコアが発したのは甲高い悲鳴。
するとどこからともなく「テスカ! どうした! 」という声が聞こえたかと思うと、頭に強い衝撃が加わった。
「妹に何してくれてんの!? この変態! 」
長い髪、気の強そうな顔立ち、妹のテスカか……いや、よくよく見ると股間には僕と同じものがついている。
「え? 」
どういうことだ? 頭を殴られたせいでおかしくなってしまったのだろうか?
テスカが男……?
「お兄ちゃん……」
ささっとテスカの後ろに隠れるコア。
お、お兄ちゃん?
「え? え? 」
目の前で起こっている状況が上手く呑み込めない僕。
するとテスカ、いや長髪の少年が呆れた様にこう言った。
「何か勘違いしてない? 僕が兄のコア。こっちの男みたいな恰好してんのが妹のテスカだ」
嘘……だろ?
女だと思っていた子が男で、男だと思っていた子が女?
まるで狐に化かされたような気分だった。
近くの温泉をここまで引いてきたものらしく、久しぶりの風呂に僕も少し嬉しい。
「ノアー! 一緒に入ろう! 」
リオンが無邪気に笑う。
彼女も浮かれているのか手にはふかふかのタオルを抱えてステップを踏んでいる。
「いやいやいやそれは流石に駄目だよ」
「え? どうして? 」
キョトンと首をかしげるリオン。本気で何が駄目なのか分かっていないようだ。
「どうしてって言われると……とにかく父親でもない知らない男性と一緒に風呂なんて駄目だ」
「ノアは知ってる男性だよ」
「それはそうだけど……」
信頼してくれているのは嬉しいが、もしここで一緒に入ってしまえば僕はロリコン認定を受けてしまうだろう。それだけは回避しなければなるまい。
「ほーらリオン。我儘言わない。あたしと女同士の秘密の話でもしよっか」
それを察したソフィアが助け舟を出してくれた。ナイスソフィア!
「んー、分かったよ」
そしてリオンはフードを脱ぐ。絹のような白い髪がさらりと流れ、顕わになる金色の角。
「ソフィアー! 行こう! 」
「え? そ、その角は……」
あ、そういえばソフィアはリオンの角を見るのは初めてだ。
「ごめんソフィア、言うの忘れてた。リオンは獣人族の子どもらしくて……」
「違う」
ソフィアの声が震えている。
「え? 」
「これは獣人族の角じゃない。むしろこれは竜族の……」
「あ、これ? 」
リオンが何でもないという風に自分の角に触れた。
「団長さんにも言われたなー。君はりゅうぞくなのか? って。りゅうぞくって何? 」
ソフィアの顔が段々青冷めていく。そして僕も手足が震えるのが分かった。
竜族ーー幻の種族と言われ、その存在すら伝説とされている
全てのパラメータが規格外で、宿す魔力はとてつもない。
もし奴隷市場に現れれば私財を投げ打ってでも買いたいと思う人間は掃いて捨てるほどいるだろう
その寿命も永遠と言われており、その角を薬にすれば不老不死の薬が作れると言われている。
つまり権力者の中には、不老不死を求めて竜族を乱獲しようとしているという噂もある。
「リオンが……竜族……? 」
「いや、まだ分からない。あたしも別に種族に詳しいわけではないからな」
ただし、とソフィアは一度言葉を止めた。
「本人に記憶がない以上、しっかり守ってやらなきゃいけない」
僕とソフィアは、不思議そうに首を傾げるリオンを差し置いて、お互い頷き合った。
◇◇◇
リオンとソフィアがお風呂から出たのと入れ違いに、僕も風呂に入ることにした。
もう夜も更けているので周りには誰もおらず、がらんとしている。
「貸し切りかー」
少し寂しいなと思いつつも服を脱いで、湯船につかる。
久しぶりのお風呂なので気持ちが躍る。ふー、と息を吐くと心まで溶けてしまうような錯覚に襲われた。
すると、白い煙の中、よくよく目を凝らすと誰かがいるのが分かった。
細い線に短髪。
おそらく、コアだ。
そして僕はちょっとした思いつきで、ゆっくり彼に近づくとぽんと背中を叩く。
「コア! おつか……」
「きゃあああああああ!!!!! 」
しかしコアが発したのは甲高い悲鳴。
するとどこからともなく「テスカ! どうした! 」という声が聞こえたかと思うと、頭に強い衝撃が加わった。
「妹に何してくれてんの!? この変態! 」
長い髪、気の強そうな顔立ち、妹のテスカか……いや、よくよく見ると股間には僕と同じものがついている。
「え? 」
どういうことだ? 頭を殴られたせいでおかしくなってしまったのだろうか?
テスカが男……?
「お兄ちゃん……」
ささっとテスカの後ろに隠れるコア。
お、お兄ちゃん?
「え? え? 」
目の前で起こっている状況が上手く呑み込めない僕。
するとテスカ、いや長髪の少年が呆れた様にこう言った。
「何か勘違いしてない? 僕が兄のコア。こっちの男みたいな恰好してんのが妹のテスカだ」
嘘……だろ?
女だと思っていた子が男で、男だと思っていた子が女?
まるで狐に化かされたような気分だった。
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