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夏
第26話 潜入成功
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偉い人ってのは一番大きい部屋にいるものじゃろ! というフレイアの言葉を信じて、屋敷をこそこそ探索する俺たち。
外にはずらりと警備の者たちがいたようだが、あらかじめ屋敷内に潜入した俺たちには関係のない話だ。
「アレス!! ここじゃないか! 」
フレイアの指差す先には、豪華な装飾が施された一際大きな扉。
うん、ここっぽい。でもまあ見つけたのは良いんだが……。
「え、入るの!? 」
一体どうやって、どんな言い訳をして入れば良いんだろうか……。
そもそも俺とミシェルってどんな関係だ……?
「ええい!! 鬱陶しい! そんなもの行ってから考えんか! 」
そうやってうじうじ考えていると、痺れを切らしたらしいフレイアが勢いよく扉を開いた。
思わずつんのめる俺。
「あああああ、すいません……これには訳が……」
何にも言われていないのに思わず謝り倒す俺。……返事はない。
「ふむ、不在のようじゃ」
恐る恐る前を向くと、うん。確かに人気がなかった。
誰もいないのか……。ほっとしたような残念なような……。
「それにしても不用心だな、誰もいないなんて」
「そうじゃのう……どこか責を外しているのか、柿をかけ忘れたのか」
そのとき、パタパタと足音が近付いてくるのが分かった。
「隠れろ! 」
近くにあったクローゼットに身を潜める俺たち。狭いが二人なら何とか入れた。
まずい、話をしたかったのになぜ隠れてしまったんだ……。
しかし今さらずこずこ出てくるのも強盗と間違われかねない。
ぴったり密着しているフレイアがじとっと不満げな目で俺を見上げている。
分かってる、分かってるよフレイア……。だからそんな顔で俺を見ないでくれ。
しかし、静かに息を潜めていると、何やら声が聞こえてきた。
「………だ」
「……すな」
どうやら二人の人物がこの部屋に入ってきたらしい。声音からして男性だろう。
「しかしあの、馬鹿娘がお役に立つ日が来るとは。ははは、有難いことです」
「とんでもないです。ミシェルさんはとても良い女性だ」
若い男の声。
「騎士なんて汚ならしい仕事をしおって……散々育ててやったのに一家の恥だ。しかしまさか王族の方に見初められるとは何たる幸せ」
「ははは、大袈裟ですよ」
ミシェルの父と、その婚約者の会話だろうか?
「それでユーゴさん、あの約束は……」
「ああ分かっている。ミシェルのことは好きに扱って良い。元々妾に産ませた下らない女の娘だ」
好きに扱って良い……!?
あまりにも父親とは思えない発言に腸が煮えくり返りそうだ。
「ふふふ、その言葉が聞きたかったんですよ。ミシェルさんの鍛え抜かれた肉体が私の実験にどこまで耐えられるか楽しみです」
「ははは、君もあまり人体実験はほどほどにしてくれよ。孤児院だって少ないんだから」
人体実験……!? 孤児院……!?
どういうことだ? 一体この二人は何の会話をしている?
「ボロを出すような馬鹿な真似はしませんよ。ただ死んだ子達も本望でしょう、魔王討伐の礎になれたのだから」
「楽しみにしています、ズーク様。ほう、そろそろミシェルが到着するようだ」
「ははは、娘との最期の別れでも済ませてきたらいかがです? 」
そのとき、俺は思わずクローゼットから飛び出してしまった。
「おい!!! 今の話はどういうことだ! 」
俺の姿を見て目を丸くする二人。ズークという名前の青年はどこかで見たことがある。確か王族の……。
「な、何者だ貴様!? 盗賊か!? 」
「ミシェルの友人だ! 今の話、聞き捨てならない。ミシェルを実験の道具に? 本当に人間のやることなのか? 」
「おや、よく見ればあなたはアレス=レシピオ……。聖人を多く輩出する名家を追われた落ちこぼれじゃないか」
馬鹿にしたような笑みを向けるズーク。俺の話ってやっぱり広まってるんだ……。
「アレス……? ああ、あの有名な」
ユーゴも俺のことに気がついたらしい。そんなに俺って有名なのか……?
「そうだ俺は元ルシピオ家のアレスだ! いやそんなことはどうでもいい、だがさっきの話、俺はしっかり聞いたぞ! 」
「だからなんだと言うのです? 」
「は? 」
余裕を崩さないズーク。
彼がぱちんと指を鳴らした。
すると、ずらりと警備の兵士たちが現れる。
「君は今ここで死ぬ。罪状はそうだな……強盗しようとして返り討ち、何てどうかな? 」
「そりゃ、傑作だ」
ユーゴがケラケラと笑い出した。
そして兵士たちが一斉に俺に飛びかかってきたのだった。
外にはずらりと警備の者たちがいたようだが、あらかじめ屋敷内に潜入した俺たちには関係のない話だ。
「アレス!! ここじゃないか! 」
フレイアの指差す先には、豪華な装飾が施された一際大きな扉。
うん、ここっぽい。でもまあ見つけたのは良いんだが……。
「え、入るの!? 」
一体どうやって、どんな言い訳をして入れば良いんだろうか……。
そもそも俺とミシェルってどんな関係だ……?
「ええい!! 鬱陶しい! そんなもの行ってから考えんか! 」
そうやってうじうじ考えていると、痺れを切らしたらしいフレイアが勢いよく扉を開いた。
思わずつんのめる俺。
「あああああ、すいません……これには訳が……」
何にも言われていないのに思わず謝り倒す俺。……返事はない。
「ふむ、不在のようじゃ」
恐る恐る前を向くと、うん。確かに人気がなかった。
誰もいないのか……。ほっとしたような残念なような……。
「それにしても不用心だな、誰もいないなんて」
「そうじゃのう……どこか責を外しているのか、柿をかけ忘れたのか」
そのとき、パタパタと足音が近付いてくるのが分かった。
「隠れろ! 」
近くにあったクローゼットに身を潜める俺たち。狭いが二人なら何とか入れた。
まずい、話をしたかったのになぜ隠れてしまったんだ……。
しかし今さらずこずこ出てくるのも強盗と間違われかねない。
ぴったり密着しているフレイアがじとっと不満げな目で俺を見上げている。
分かってる、分かってるよフレイア……。だからそんな顔で俺を見ないでくれ。
しかし、静かに息を潜めていると、何やら声が聞こえてきた。
「………だ」
「……すな」
どうやら二人の人物がこの部屋に入ってきたらしい。声音からして男性だろう。
「しかしあの、馬鹿娘がお役に立つ日が来るとは。ははは、有難いことです」
「とんでもないです。ミシェルさんはとても良い女性だ」
若い男の声。
「騎士なんて汚ならしい仕事をしおって……散々育ててやったのに一家の恥だ。しかしまさか王族の方に見初められるとは何たる幸せ」
「ははは、大袈裟ですよ」
ミシェルの父と、その婚約者の会話だろうか?
「それでユーゴさん、あの約束は……」
「ああ分かっている。ミシェルのことは好きに扱って良い。元々妾に産ませた下らない女の娘だ」
好きに扱って良い……!?
あまりにも父親とは思えない発言に腸が煮えくり返りそうだ。
「ふふふ、その言葉が聞きたかったんですよ。ミシェルさんの鍛え抜かれた肉体が私の実験にどこまで耐えられるか楽しみです」
「ははは、君もあまり人体実験はほどほどにしてくれよ。孤児院だって少ないんだから」
人体実験……!? 孤児院……!?
どういうことだ? 一体この二人は何の会話をしている?
「ボロを出すような馬鹿な真似はしませんよ。ただ死んだ子達も本望でしょう、魔王討伐の礎になれたのだから」
「楽しみにしています、ズーク様。ほう、そろそろミシェルが到着するようだ」
「ははは、娘との最期の別れでも済ませてきたらいかがです? 」
そのとき、俺は思わずクローゼットから飛び出してしまった。
「おい!!! 今の話はどういうことだ! 」
俺の姿を見て目を丸くする二人。ズークという名前の青年はどこかで見たことがある。確か王族の……。
「な、何者だ貴様!? 盗賊か!? 」
「ミシェルの友人だ! 今の話、聞き捨てならない。ミシェルを実験の道具に? 本当に人間のやることなのか? 」
「おや、よく見ればあなたはアレス=レシピオ……。聖人を多く輩出する名家を追われた落ちこぼれじゃないか」
馬鹿にしたような笑みを向けるズーク。俺の話ってやっぱり広まってるんだ……。
「アレス……? ああ、あの有名な」
ユーゴも俺のことに気がついたらしい。そんなに俺って有名なのか……?
「そうだ俺は元ルシピオ家のアレスだ! いやそんなことはどうでもいい、だがさっきの話、俺はしっかり聞いたぞ! 」
「だからなんだと言うのです? 」
「は? 」
余裕を崩さないズーク。
彼がぱちんと指を鳴らした。
すると、ずらりと警備の兵士たちが現れる。
「君は今ここで死ぬ。罪状はそうだな……強盗しようとして返り討ち、何てどうかな? 」
「そりゃ、傑作だ」
ユーゴがケラケラと笑い出した。
そして兵士たちが一斉に俺に飛びかかってきたのだった。
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