12 / 64
第11話 買ってしまおう
しおりを挟む
護衛を雇うと言っても、こんなこと誰に頼めば良いのだろうか……。
そもそもあまり人を信用してない俺にとっては誰かを頼るということにイマイチ気がのらない。
当たり前だが家族はいないし、友達もいない。
そもそもまだここに来て一ヶ月もたっていないので当たり前っちゃ当たり前だ。
じゃあ金で誰か護衛を雇うおうかと言っても、その手の人間には俺は偏見がある。
まあお金を持ち逃げされるぐらいなら別に良いのだが、殺されたりしてはもはやどうしようもない。
ルーナという少女は良い子ではあるが、俺の能力のことを話す気にはなれなかった。
「どうしたもんかね……」
自分の身ぐらい自分で守れよと思うかもしれないがそれは無理だ。
大体俺はただの一般人Aなのだ。暴漢どもをサクッと撃退! なんて無理な話だ。
すると、道の端で首輪をつけられ、手を拘束された少女を見掛けた。
その異様な姿に俺は思わず目を奪われる。
日本では漫画や映画でしか見掛けない光景だ。
「おら、早く歩け」
恰幅の良い男に連れられたその少女はただトボトボと歩いていた。その目に光はなく、言われるがままのようだ。
身に付けている服もボロボロで薄汚れている。
「いや、やりましたね旦那様。まさか奴隷がこんなに安く買えるなんて」
恰幅の良い男に付き従う秘書のような細い男がごまをすっている。
「ああ、それもかなりの上玉だ。俺のコレクションに入れたいな」
ニヤリとスケベな笑みを浮かべる男。そうか、この世界には奴隷という文化がまだ残っているのか。
奴隷の少女の末路を皆想像してしまったのだろう、顔を背ける人が多い。
そして俺は彼女の死んだ目と、ブラック企業に勤めていた頃の俺の姿を重ねてしまう。
「なあ」
俺は思わず男に話しかけていた。
「あ? 」
男が不機嫌そうに声を荒げる。
しかし俺は勇気を出してこう言った。
「奴隷というのはどこで手に入るのですか? 」
……クズだと思われるだろう。だが俺はただの一般人だ。貴族みたいな男に反抗して目をつけられたら溜まったもんじゃない。
それに俺は正義の勇者様ではないのだ。
ただこれだけは誤解しないで貰いたい。
俺が奴隷に興味を持ったのも、別にスケベ心からではないということだ。
そして俺は、勇気のない自分に心底嫌悪した。
◇◇◇
男はあの後、気前良く場所を教えてくれた。どうやら路地裏のマンホールから裏市場へと繋がる通路があり、そこで奴隷の売買が行われているらしい。
奴隷という制度はこの世界では違法ではないが、良く思わない者もいるらしく、解放運動など起こす人々もいるらしい。
そのため身の安全のためにこうしてこそこそ取引をしているとあの男が教えてくれた。
「あ、ここか」
俺は男の案内に従って進んでいくと、確かに怪しいマンホールがあるのを確認した。
トントンと蓋を叩くと、ニチャニチャした男の声が返ってきた。
「なんね? 」
「奴隷を買いたい。案内してくれ」
ギイギイと鈍い音を立てて、マンホールの蓋が開いた。そしてそこから枯れ木のように細い腕が飛び出したかと思うと、俺の腕を掴み、引きずり込まれた。
「……っあ!? 」
声を出す暇もなくマンホールに引きずり込まれた俺は、気が付くとスラムのような場所に立っていたのだった。
あまりにも一瞬の出来事で、まるで夢の中のようだ。
これも魔法の力なのだろうか?
「ここは……? 」
辺りには仮面を被った人が行き交っている。そして出ている出店には処女の生き血だの、悪魔の胃袋など、悪趣味なものがズラリと並んでいて、俺は思わず吐き気を催した。
どれもこれも、凝視したら吐き戻してしまいそうな代物ばかりだ。
「奴隷買うなら、これ被る」
案内人らしき男が俺に古ぼけた仮面を押し付けた。鳥を模した仮面には、血みたいな赤い液体がベッタリ付着している。
「うえ……」
しかし付けない訳にもいかない。俺は言われた通りにそれを装備し、ズンズン進んでいく案内人の後ろをただ追ったのであった。
気持ち悪くなるからなるべく出店は見ないように、そして臭いを感じないように口で呼吸をした。
そもそもあまり人を信用してない俺にとっては誰かを頼るということにイマイチ気がのらない。
当たり前だが家族はいないし、友達もいない。
そもそもまだここに来て一ヶ月もたっていないので当たり前っちゃ当たり前だ。
じゃあ金で誰か護衛を雇うおうかと言っても、その手の人間には俺は偏見がある。
まあお金を持ち逃げされるぐらいなら別に良いのだが、殺されたりしてはもはやどうしようもない。
ルーナという少女は良い子ではあるが、俺の能力のことを話す気にはなれなかった。
「どうしたもんかね……」
自分の身ぐらい自分で守れよと思うかもしれないがそれは無理だ。
大体俺はただの一般人Aなのだ。暴漢どもをサクッと撃退! なんて無理な話だ。
すると、道の端で首輪をつけられ、手を拘束された少女を見掛けた。
その異様な姿に俺は思わず目を奪われる。
日本では漫画や映画でしか見掛けない光景だ。
「おら、早く歩け」
恰幅の良い男に連れられたその少女はただトボトボと歩いていた。その目に光はなく、言われるがままのようだ。
身に付けている服もボロボロで薄汚れている。
「いや、やりましたね旦那様。まさか奴隷がこんなに安く買えるなんて」
恰幅の良い男に付き従う秘書のような細い男がごまをすっている。
「ああ、それもかなりの上玉だ。俺のコレクションに入れたいな」
ニヤリとスケベな笑みを浮かべる男。そうか、この世界には奴隷という文化がまだ残っているのか。
奴隷の少女の末路を皆想像してしまったのだろう、顔を背ける人が多い。
そして俺は彼女の死んだ目と、ブラック企業に勤めていた頃の俺の姿を重ねてしまう。
「なあ」
俺は思わず男に話しかけていた。
「あ? 」
男が不機嫌そうに声を荒げる。
しかし俺は勇気を出してこう言った。
「奴隷というのはどこで手に入るのですか? 」
……クズだと思われるだろう。だが俺はただの一般人だ。貴族みたいな男に反抗して目をつけられたら溜まったもんじゃない。
それに俺は正義の勇者様ではないのだ。
ただこれだけは誤解しないで貰いたい。
俺が奴隷に興味を持ったのも、別にスケベ心からではないということだ。
そして俺は、勇気のない自分に心底嫌悪した。
◇◇◇
男はあの後、気前良く場所を教えてくれた。どうやら路地裏のマンホールから裏市場へと繋がる通路があり、そこで奴隷の売買が行われているらしい。
奴隷という制度はこの世界では違法ではないが、良く思わない者もいるらしく、解放運動など起こす人々もいるらしい。
そのため身の安全のためにこうしてこそこそ取引をしているとあの男が教えてくれた。
「あ、ここか」
俺は男の案内に従って進んでいくと、確かに怪しいマンホールがあるのを確認した。
トントンと蓋を叩くと、ニチャニチャした男の声が返ってきた。
「なんね? 」
「奴隷を買いたい。案内してくれ」
ギイギイと鈍い音を立てて、マンホールの蓋が開いた。そしてそこから枯れ木のように細い腕が飛び出したかと思うと、俺の腕を掴み、引きずり込まれた。
「……っあ!? 」
声を出す暇もなくマンホールに引きずり込まれた俺は、気が付くとスラムのような場所に立っていたのだった。
あまりにも一瞬の出来事で、まるで夢の中のようだ。
これも魔法の力なのだろうか?
「ここは……? 」
辺りには仮面を被った人が行き交っている。そして出ている出店には処女の生き血だの、悪魔の胃袋など、悪趣味なものがズラリと並んでいて、俺は思わず吐き気を催した。
どれもこれも、凝視したら吐き戻してしまいそうな代物ばかりだ。
「奴隷買うなら、これ被る」
案内人らしき男が俺に古ぼけた仮面を押し付けた。鳥を模した仮面には、血みたいな赤い液体がベッタリ付着している。
「うえ……」
しかし付けない訳にもいかない。俺は言われた通りにそれを装備し、ズンズン進んでいく案内人の後ろをただ追ったのであった。
気持ち悪くなるからなるべく出店は見ないように、そして臭いを感じないように口で呼吸をした。
5
あなたにおすすめの小説
生贄にされた少年。故郷を離れてゆるりと暮らす。
水定ゆう
ファンタジー
村の仕来りで生贄にされた少年、天月・オボロナ。魔物が蠢く危険な森で死を覚悟した天月は、三人の異形の者たちに命を救われる。
異形の者たちの弟子となった天月は、数年後故郷を離れ、魔物による被害と魔法の溢れる町でバイトをしながら冒険者活動を続けていた。
そこで待ち受けるのは数々の陰謀や危険な魔物たち。
生贄として魔物に捧げられた少年は、冒険者活動を続けながらゆるりと日常を満喫する!
※とりあえず、一時完結いたしました。
今後は、短編や別タイトルで続けていくと思いますが、今回はここまで。
その際は、ぜひ読んでいただけると幸いです。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
隠して忘れていたギフト『ステータスカスタム』で能力を魔改造 〜自由自在にカスタマイズしたら有り得ないほど最強になった俺〜
桜井正宗
ファンタジー
能力(スキル)を隠して、その事を忘れていた帝国出身の錬金術師スローンは、無能扱いで大手ギルド『クレセントムーン』を追放された。追放後、隠していた能力を思い出しスキルを習得すると『ステータスカスタム』が発現する。これは、自身や相手のステータスを魔改造【カスタム】できる最強の能力だった。
スローンは、偶然出会った『大聖女フィラ』と共にステータスをいじりまくって最強のステータスを手に入れる。その後、超高難易度のクエストを難なくクリア、無双しまくっていく。その噂が広がると元ギルドから戻って来いと頭を下げられるが、もう遅い。
真の仲間と共にスローンは、各地で暴れ回る。究極のスローライフを手に入れる為に。
S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります
内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品]
冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた!
物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。
職人ギルドから追放された美少女ソフィア。
逃亡中の魔法使いノエル。
騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。
彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。
カクヨムにて完結済み。
( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )
嵌められたオッサン冒険者、Sランクモンスター(幼体)に懐かれたので、その力で復讐しようと思います
ゆさま
ファンタジー
ベテランオッサン冒険者が、美少女パーティーにオヤジ狩りの標的にされてしまった。生死の境をさまよっていたら、Sランクモンスターに懐かれて……。
懐いたモンスターが成長し、美女に擬態できるようになって迫ってきます。どうするオッサン!?
五十一歳、森の中で家族を作る ~異世界で始める職人ライフ~
よっしぃ
ファンタジー
【ホットランキング1位達成!皆さまのおかげです】
多くの応援、本当にありがとうございます!
職人一筋、五十一歳――現場に出て働き続けた工務店の親方・昭雄(アキオ)は、作業中の地震に巻き込まれ、目覚めたらそこは見知らぬ森の中だった。
持ち物は、現場仕事で鍛えた知恵と経験、そして人や自然を不思議と「調和」させる力だけ。
偶然助けたのは、戦火に追われた五人の子供たち。
「この子たちを見捨てられるか」――そうして始まった、ゼロからの異世界スローライフ。
草木で屋根を組み、石でかまどを作り、土器を焼く。やがて薬師のエルフや、獣人の少女、訳ありの元王女たちも仲間に加わり、アキオの暮らしは「町」と呼べるほどに広がっていく。
頼れる父であり、愛される夫であり、誰かのために動ける男――
年齢なんて関係ない。
五十路の職人が“家族”と共に未来を切り拓く、愛と癒しの異世界共同体ファンタジー!
ハズレスキル【地図化(マッピング)】で追放された俺、実は未踏破ダンジョンの隠し通路やギミックを全て見通せる世界で唯一の『攻略神』でした
夏見ナイ
ファンタジー
勇者パーティの荷物持ちだったユキナガは、戦闘に役立たない【地図化】スキルを理由に「無能」と罵られ、追放された。
しかし、孤独の中で己のスキルと向き合った彼は、その真価に覚醒する。彼の脳内に広がるのは、モンスター、トラップ、隠し通路に至るまで、ダンジョンの全てを完璧に映し出す三次元マップだった。これは最強の『攻略神』の眼だ――。
彼はその圧倒的な情報力を武器に、同じく不遇なスキルを持つ仲間たちの才能を見出し、不可能と言われたダンジョンを次々と制覇していく。知略と分析で全てを先読みし、完璧な指示で仲間を導く『指揮官』の成り上がり譚。
一方、彼を失った勇者パーティは迷走を始める……。爽快なダンジョン攻略とカタルシス溢れる英雄譚が、今、始まる!
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる