チートなかったからパーティー追い出されたけど、お金無限増殖バグで自由気ままに暮らします

寿司

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第43話 共犯者

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 顔色が戻ったリュイはすやすやと眠りについている。  
 これで本当に魔力欠乏症が治ったのかは分からないが一先ずは安心だ。

 俺に恥をかかされたユージーンはいつの間にかいなくなっており、気が付くと病室は静かになっていた。

「やっとうるさいのがいなくなったな」

「信じられません……まさか天使の涙を入手出来る人がいるなんて。本当に貴方、何者ですか? 」  

 マインさんが冷や汗をかきながら口を開く。

「いやまあ……ちょっとワケありでして」

「……そうですか」

 これ以上聞いても無駄だと思ったのだろう、マインさんはリュイの額の汗を拭いに行ってしまった。

「リュイくん良かったですね、これで元気になりますか? また遊びたいです! 」

 シエルが無邪気に笑っている。
 俺はそうだな、と答えると彼女の頭をくしゃくしゃと撫でた。

「……取り敢えずは大丈夫そうですね。脈も安定していますし、呼吸もしています。私は一度仮眠を取りますので何か合ったら声かけてください」

 マインさんはふわぁと小さな欠伸をすると、どこかへと去っていった。昼間から治療に当たっているのだろう、かなり疲れている様子だ。

 そして残されたのは俺とシエルとミシェルとあとはまあ寝てるリュイ。

 ミシェルは何か言いたげに俺のことをチラチラ見るが、見るだけで何も言っては来ない。

「リュイも大丈夫そうだし、俺たちも帰るわ。じゃあな」

 シエル、行くぞ。と声をかけると、ミシェルが不意に立ち上がった。

「ま、待ってください! 」

 そして一度口をもごもごさせた後、言葉を続ける。

「あの、本当にありがとうございます。この間は失礼なことを言ってしまい、申し訳ありませんでした」

 深々と頭を下げるミシェル。
 失礼なことなんて言われたっけ? 正直覚えていない俺は首をかしげる。

「それで……天使の涙の代金をお返ししたいのですが……」

「あー、別に良いよ。この前使ったときの残りだし」

「そ、そんな! それじゃあ私の気持ちが収まりません! 」

「と言われてもね……」

「それに、ユージーンを追い返してくれてちょっとスッとしました。あの人と結婚だなんて……寒気がします」

「ああ、あれは気持ち悪かったよな」

 ですね、と少しだけミシェルの口許に笑みが浮かんだ。
 
「……私に出来るお礼は限られています。その……貴方に向けられている疑いを晴らすことは出来ません」

「ああ、大金の出所を漁られてるんだっけ。まあ仕方ないよな、それが君の仕事なんだし」

 すっかり忘れていた。
 というかもはや疑いが晴れているもんかと思っていたが甘かったようだ。
 どうやら水面下で動いていたようだ。

「ですが、虚偽の報告をすることは出来ます。例えば、高価なアイテムをたまたま入手して売った、ですとか」

「正気か!? そんなことしたらクビになるぞ」

 要はミシェルが俺を庇ってくれるということだ。
 しかしそれがバレたらミシェルはおそらくクビだ。

「構いません、私はそもそも弟のために働いて来たのですから。弟の学費は貯金していますし、仕事を失っても当分は暮らしていけるでしょう」

「意外と考えなしなんだな……」

 するとミシェルはムッとしたように頬を膨らませた。

「考えなしとはどういうことですか! 私は恩人のために何かしてあげたいと思って。それに初めに言い出したのは貴方ではないですか! 」

「ああ、すまん。つい本音が……。いやでもそれで良いや。俺も生活を探られるのは気分が悪いからな」

「ふふ、これで共犯ですね」

 悪戯っぽく笑うミシェル。この女、こんな表情も出来たのか……と思わず驚く俺。いつも常に怒ってるような顔をしていたから意外なギャップだ。

「悪い騎士だな、まったく」

「貴方がお金をたくさん持っているのは不思議です。でも悪いことには使ってなさそうですね、私の正義がそう言っています! 」

「そりゃどうも」

 悪いことには使ってないが良いことに使っているかと言われたら少し困る。自分の私利私欲に使っているというのが正しいか。

「またいつでも遊びに来てくださいね。リュイも懐いていましたから」

「ああ、ありがとう」

 そしてミシェルはシエルの方に向き直る。

「シエルちゃんもぜひ遊びに来てね。美味しいお菓子を用意して待ってるから」

「お菓子!? はい! 行きます! 」

「こら、お菓子に釣られるな」

 ぽすんとシエルの頭を叩く俺。

「だってー……」

「この前も俺が焼いたクッキー全部食べちゃっただろう」

「……バレました? 」

 はぁとため息をつく俺。
 嗜好品の摂りすぎは良くないぞ、生活習慣病とか怖いからな。

「ふふ、仲が良いんですね」

 そんな俺たちの様子をミシェルが面白そうに眺めている。しかし不意に真面目な顔になると、こう語り始めた。

「実は今、貴方への監視が緩くなっているのにも理由があって、竜殺しドラゴン・キラーが現れたという情報があるんです」

「竜殺し? 」

「はい。希少種である竜を襲う正体不明の人物です。……いや、人間かどうかも分かりません。あまりにも華麗な手口は人間離れしてますから」

「竜殺しねえ……性別なんかも分かってるのか? 」

 首を横に振るミシェル。

「何も。ただまっ黒な服を纏い、顔も隠しているの。だから手がかりもつけめないまま。でもこの前、王国で飼われてる軍竜が殺される事件があったのよ。だからその……気を付けてね」

 ミシェルはちらりとシエルに視線を移す。
 薄々シエルの正体に気が付いていたようだ。

「……ああ、大丈夫さ」

 俺はシエルの小さな手を握り、そう答えた。
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