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第6話 獣人って辛いのよ
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奴隷という立場上、私は首輪なしで外を出歩くことはできない。
そのため市場に行くにはアステルに連れていって貰うしか方法はないのだ。
一人で行動することはおろか、主人から離れることは出来ない、それが奴隷だ。
まるで犬の散歩だなと私は一人で苦笑した。
「……で、何を買うんだ」
もう春だというのにすっぽり顔をフードで覆い、挙動不審気味のアステルさん。
「食材よ食材! って、アステル何その格好、暑くないの? 」
「……ほっといてくれ。俺は顔を見られたくない」
王子様という立場である以上、仕方ないのかもしれない。
「王子様って大変なのね」
「いや、俺が……人混みが苦手なだけだ。それにジロジロ見られるのも声をかけられるのも好きじゃない」
ずるっ、思わずずっこける私。あんたがコミュ障なだけかい!
「よくそんなんで奴隷なんて買いにいけたわね」
奴隷を買いに行くのはアステルとはむしろ逆、根拠のない自信に満ち溢れたような嫌なやつが多いのだ。
……私はそんな奴等に買われていく友達を何人も見てきた。
「ち、違う! あれは無理やり連れて来られたんだ! 」
必死に弁明するアステル。
「別に疑ってないって! ま、さっさと米と野菜と……後は肉と卵と……買うものはいっぱいあるわね! 」
「そんなに買うものあるのか……」
げんなりしたようなアステルに私はこう告げる。
「いいえ、アステル。これは貴方の死の運命を回避するためでもあるのよ」
「……俺の? 」
目をぱちくりするアステル。いまいちピンと来てはいないようだが、分かったよ……と渋々店を案内してくれた。
◇◇◇
ここに来て分かったことその1、獣人の奴隷というのは大変嫌われる……。
「すいませーん」
「いらっしゃ……獣!? 」
途端に人懐こそうな表情から眉間にシワを寄せる店員さん。
……お店の人に声をかけただけでこの反応だ。
ま、こんなん奴隷商に囲われてた間も日常茶飯事だったし慣れてるけどね。
ただ横のアステルが酷く不機嫌そうな顔をしていたのが気掛かりだった。
「……気にならないのか」
「え~? もう慣れたよ」
私の手にギリギリ触れないように小銭を渡そうとしている店員さんが何だか面白い。まあものを売ってくれるだけこの人は優しい方だ。
獣人と言っても取って食う訳じゃないし、耳と尻尾がある以外は特に人間と変わらないのだけどね。
「……そうか」
「はいこれで野菜と卵と肉は買ったし、後は米ね……」
そういえばこの世界って中世ヨーロッパ風だけど米なんてものが売っているのだろうか?
前世が日本人の私としてはほかほかの白飯が食べたいところだが……。
そのとき、誰かが駆け寄ってくるのが分かった。
私が反応するより先に、冷たいなにかが私に降ってきた。
「この化け物!! さっさとここから去れ! 」
バケツに入った水をいきなりぶっかけられる私。しまったー、まさか通行人にやられるとは。
私としたことが少し油断してしまったな。まったく、服がビショビショじゃん!
「……やめろ」
しかし濡れた私の体をアステルが自分の上着を脱いで包んでくれた。
そしてあらわになる彼の素顔。
「ア、……アステル様!? 」
水をかけたその特徴のなさそうな男はあんぐりと口を開けている。
「貴様、俺の奴隷に何をする? 」
「すいません、すいません……!! 僕、アステル様の奴隷だとは……」
別人のように態度を変え、地面を舐めるようにひれ伏す男性。
周りの人々もぎょっとしたような、それでいて怖いものをみたいように遠巻きで見ていた。
「申し訳ありません、命だけは……命だけはお助けください……」
最初からこんなことしなきゃ良いのに。
背筋が凍るような目で男性を見下ろすアステル。このままじゃ本当に男性を切り殺してしまいそうだ。
私ははーっと息を吐くと、二人の間に割って入った。
「じゃ、あの店でお米買ってきて。そしたら許してあげる」
「は……え? 」
「ほら、早く。アステル様の気が変わらないうちにさ」
は、はい!! と男性は弾丸のように走り出し、店の奥へと消えていった。
「……なんで許した」
じろりと私を睨むアステル。
「別に、ただ自分で米を買いに行くのがめんどくさかっただけかな」
ふふん、と私はピースサインを彼に向けて見せた。
そのため市場に行くにはアステルに連れていって貰うしか方法はないのだ。
一人で行動することはおろか、主人から離れることは出来ない、それが奴隷だ。
まるで犬の散歩だなと私は一人で苦笑した。
「……で、何を買うんだ」
もう春だというのにすっぽり顔をフードで覆い、挙動不審気味のアステルさん。
「食材よ食材! って、アステル何その格好、暑くないの? 」
「……ほっといてくれ。俺は顔を見られたくない」
王子様という立場である以上、仕方ないのかもしれない。
「王子様って大変なのね」
「いや、俺が……人混みが苦手なだけだ。それにジロジロ見られるのも声をかけられるのも好きじゃない」
ずるっ、思わずずっこける私。あんたがコミュ障なだけかい!
「よくそんなんで奴隷なんて買いにいけたわね」
奴隷を買いに行くのはアステルとはむしろ逆、根拠のない自信に満ち溢れたような嫌なやつが多いのだ。
……私はそんな奴等に買われていく友達を何人も見てきた。
「ち、違う! あれは無理やり連れて来られたんだ! 」
必死に弁明するアステル。
「別に疑ってないって! ま、さっさと米と野菜と……後は肉と卵と……買うものはいっぱいあるわね! 」
「そんなに買うものあるのか……」
げんなりしたようなアステルに私はこう告げる。
「いいえ、アステル。これは貴方の死の運命を回避するためでもあるのよ」
「……俺の? 」
目をぱちくりするアステル。いまいちピンと来てはいないようだが、分かったよ……と渋々店を案内してくれた。
◇◇◇
ここに来て分かったことその1、獣人の奴隷というのは大変嫌われる……。
「すいませーん」
「いらっしゃ……獣!? 」
途端に人懐こそうな表情から眉間にシワを寄せる店員さん。
……お店の人に声をかけただけでこの反応だ。
ま、こんなん奴隷商に囲われてた間も日常茶飯事だったし慣れてるけどね。
ただ横のアステルが酷く不機嫌そうな顔をしていたのが気掛かりだった。
「……気にならないのか」
「え~? もう慣れたよ」
私の手にギリギリ触れないように小銭を渡そうとしている店員さんが何だか面白い。まあものを売ってくれるだけこの人は優しい方だ。
獣人と言っても取って食う訳じゃないし、耳と尻尾がある以外は特に人間と変わらないのだけどね。
「……そうか」
「はいこれで野菜と卵と肉は買ったし、後は米ね……」
そういえばこの世界って中世ヨーロッパ風だけど米なんてものが売っているのだろうか?
前世が日本人の私としてはほかほかの白飯が食べたいところだが……。
そのとき、誰かが駆け寄ってくるのが分かった。
私が反応するより先に、冷たいなにかが私に降ってきた。
「この化け物!! さっさとここから去れ! 」
バケツに入った水をいきなりぶっかけられる私。しまったー、まさか通行人にやられるとは。
私としたことが少し油断してしまったな。まったく、服がビショビショじゃん!
「……やめろ」
しかし濡れた私の体をアステルが自分の上着を脱いで包んでくれた。
そしてあらわになる彼の素顔。
「ア、……アステル様!? 」
水をかけたその特徴のなさそうな男はあんぐりと口を開けている。
「貴様、俺の奴隷に何をする? 」
「すいません、すいません……!! 僕、アステル様の奴隷だとは……」
別人のように態度を変え、地面を舐めるようにひれ伏す男性。
周りの人々もぎょっとしたような、それでいて怖いものをみたいように遠巻きで見ていた。
「申し訳ありません、命だけは……命だけはお助けください……」
最初からこんなことしなきゃ良いのに。
背筋が凍るような目で男性を見下ろすアステル。このままじゃ本当に男性を切り殺してしまいそうだ。
私ははーっと息を吐くと、二人の間に割って入った。
「じゃ、あの店でお米買ってきて。そしたら許してあげる」
「は……え? 」
「ほら、早く。アステル様の気が変わらないうちにさ」
は、はい!! と男性は弾丸のように走り出し、店の奥へと消えていった。
「……なんで許した」
じろりと私を睨むアステル。
「別に、ただ自分で米を買いに行くのがめんどくさかっただけかな」
ふふん、と私はピースサインを彼に向けて見せた。
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