7 / 56
12/24
悪役令嬢、電話をする
しおりを挟む
ロキは魔道具というものの作成に秀でているらしく、通信機(前世でいう携帯電話みたいなものだ)を渡された。
この魔道具とは便利なもので、魔法という概念があるこの世界では向こうで言う科学の代わりのようなものである。
おっと、話を戻そう。
あまり頻繁に会うと今度はこちらが不審に思われてしまうので、メインはこれを使って連絡し合うということになった。
と言っても、なるべく声量を抑えて、誰かに会話を聞かれないよう気を配るのは意外と神経を使うものだった。
「それで……私は一体何をすれば良いの? 」
『馬鹿を演じろ』
きっぱりと言い放たれる謎の指令。意味が分からず、私は聞き返す。
「馬鹿を……? 一体どういうことよ」
待ってましたとばかりに電話越しのロキが説明を始める。
『良いか? 証拠を掴むためには奴等にボロを出させるんだ。ハグや二人きりで会話だけでは証拠としちゃ弱い』
確かに。友達同士のスキンシップだ! と主張されたら彼らの日頃の行いの良さから負けてしまうかもしれない。
しかも私は元々あまり人望がないし。
『もっと動かぬ証拠を得るために奴等を調子に乗らせ、燃え上がらせる必要がある。その為には……』
「何も知らない馬鹿な姉の目を盗んで恋に溺れるバカップルの図式を作り上げるのね」
『正解』
つまりはエドワードとエミリアに「婚約者を裏切って恋に溺れる僕」と「姉を裏切って恋に溺れる私」になって貰おうと言うわけだ。
『ま、二人の仲が深まるのも時間の問題だとは思うけどな。ただお前が浮気に感付いてることに気付かれたら元々頭は悪くない二人だ。何をしてくるか分からない。運が悪いとこっちが嵌められるかもしれない』
「注意するわ……」
馬鹿な姉を演じる。
出来るだろうか……。一応私との婚約発表日が近いとのことでエドワードとデートする日も増えて来ると聞いた。うっかりボロを出さないか不安だ。
『それで、今日のターゲットの予定はどうなってる? 』
「エミリアはお友達とお茶会と言ってたわね。エドワードは……分からないけど、今日は私とのデートは中止みたい」
『臭うな……』
「え? 」
『イリア準備しろ、エミリアを追うぞ』
そうして一方的にぶつりと通信は切れた。
私はあたふたしながら外出の準備を始めたのである。
ふとカレンダー見ると今日は12/24。ああ私、せっかくのクリスマスイブに何してんだろ。
そう、驚いたことにこの世界でもクリスマスという概念がある。
ゲーム内だとキャラクターを一人選んでデートが出来るという特別なイベントが起きる日なのだが、現実はそう甘くはない。
とはいえ前世でも家族や友達としか過ごしたことのない私は少しドキドキした。
この魔道具とは便利なもので、魔法という概念があるこの世界では向こうで言う科学の代わりのようなものである。
おっと、話を戻そう。
あまり頻繁に会うと今度はこちらが不審に思われてしまうので、メインはこれを使って連絡し合うということになった。
と言っても、なるべく声量を抑えて、誰かに会話を聞かれないよう気を配るのは意外と神経を使うものだった。
「それで……私は一体何をすれば良いの? 」
『馬鹿を演じろ』
きっぱりと言い放たれる謎の指令。意味が分からず、私は聞き返す。
「馬鹿を……? 一体どういうことよ」
待ってましたとばかりに電話越しのロキが説明を始める。
『良いか? 証拠を掴むためには奴等にボロを出させるんだ。ハグや二人きりで会話だけでは証拠としちゃ弱い』
確かに。友達同士のスキンシップだ! と主張されたら彼らの日頃の行いの良さから負けてしまうかもしれない。
しかも私は元々あまり人望がないし。
『もっと動かぬ証拠を得るために奴等を調子に乗らせ、燃え上がらせる必要がある。その為には……』
「何も知らない馬鹿な姉の目を盗んで恋に溺れるバカップルの図式を作り上げるのね」
『正解』
つまりはエドワードとエミリアに「婚約者を裏切って恋に溺れる僕」と「姉を裏切って恋に溺れる私」になって貰おうと言うわけだ。
『ま、二人の仲が深まるのも時間の問題だとは思うけどな。ただお前が浮気に感付いてることに気付かれたら元々頭は悪くない二人だ。何をしてくるか分からない。運が悪いとこっちが嵌められるかもしれない』
「注意するわ……」
馬鹿な姉を演じる。
出来るだろうか……。一応私との婚約発表日が近いとのことでエドワードとデートする日も増えて来ると聞いた。うっかりボロを出さないか不安だ。
『それで、今日のターゲットの予定はどうなってる? 』
「エミリアはお友達とお茶会と言ってたわね。エドワードは……分からないけど、今日は私とのデートは中止みたい」
『臭うな……』
「え? 」
『イリア準備しろ、エミリアを追うぞ』
そうして一方的にぶつりと通信は切れた。
私はあたふたしながら外出の準備を始めたのである。
ふとカレンダー見ると今日は12/24。ああ私、せっかくのクリスマスイブに何してんだろ。
そう、驚いたことにこの世界でもクリスマスという概念がある。
ゲーム内だとキャラクターを一人選んでデートが出来るという特別なイベントが起きる日なのだが、現実はそう甘くはない。
とはいえ前世でも家族や友達としか過ごしたことのない私は少しドキドキした。
6
あなたにおすすめの小説
断罪まであと5秒、今すぐ逆転始めます
山河 枝
ファンタジー
聖女が魔物と戦う乙女ゲーム。その聖女につかみかかったせいで処刑される令嬢アナベルに、転生してしまった。
でも私は知っている。実は、アナベルこそが本物の聖女。
それを証明すれば断罪回避できるはず。
幸い、処刑人が味方になりそうだし。モフモフ精霊たちも慕ってくれる。
チート魔法で魔物たちを一掃して、本物アピールしないと。
処刑5秒前だから、今すぐに!
わたくしがお父様に疎まれている?いいえ、目に入れても痛くない程溺愛されております。
織り子
ファンタジー
王国貴族院の卒業記念パーティーの場で、大公家の令嬢ルクレツィア・アーヴェントは王太子エドワードから突然の婚約破棄を告げられる。
父であるアーヴェント大公に疎まれている――
噂を知った王太子は、彼女を公衆の面前で侮辱する。
婚約破棄された人たらし悪役令嬢ですが、 最強で過保護な兄たちと義姉に溺愛されています
由香
ファンタジー
婚約破棄のその日、
悪役令嬢リリアーナは――弁明すら、しなかった。
王太子と“聖女”に断罪され、すべてを失った彼女。
だがその裏で、王国最強と名高い三人の兄と、
冷静沈着な義姉が、静かに動き始めていた。
再検証によって暴かれる“聖女の嘘”。
広場で語られる真実。
そして、無自覚に人を惹きつけてしまう
リリアーナの優しさが、次々と味方を増やしていく――。
これは、
悪役令嬢として断罪された少女が、
「誰かの物語の脇役」ではなく、
自分自身の人生を取り戻す物語。
過保護すぎる兄たちと義姉に溺愛されながら、
彼女は静かに、そして確実に幸せへ向かっていく。
悪役令嬢発溺愛幼女着
みおな
ファンタジー
「違います!わたくしは、フローラさんをいじめてなどいません!」
わたくしの声がホールに響いたけれど、誰もわたくしに手を差し伸べて下さることはなかった。
響いたのは、婚約者である王太子殿下の冷たい声。
わたくしに差し伸べられたのは、騎士団長のご子息がわたくしを強く床に押し付ける腕。
冷ややかな周囲のご令嬢ご令息の冷笑。
どうして。
誰もわたくしを信じてくれないまま、わたくしは冷たい牢の中で命を落とした。
断罪中、味方が多すぎて王子が孤立している件について
夏乃みのり
恋愛
バーンスタイン伯爵家の令嬢ラミリアは、魔力も剣の才能もない「ごく普通」の地味な女性。
ある日のパーティーで、婚約者であるジェラルド第二王子から「地味で無能で嫉妬深い」と罵られ、身に覚えのない罪で婚約破棄を突きつけられてしまう。
しかし、断罪劇は予想外の展開へ。
婚約破棄された翌日、兄が王太子を廃嫡させました
由香
ファンタジー
婚約破棄の場で「悪役令嬢」と断罪された伯爵令嬢エミリア。
彼女は何も言わずにその場を去った。
――それが、王太子の終わりだった。
翌日、王国を揺るがす不正が次々と暴かれる。
裏で糸を引いていたのは、エミリアの兄。
王国最強の権力者であり、妹至上主義の男だった。
「妹を泣かせた代償は、すべて払ってもらう」
ざまぁは、静かに、そして確実に進んでいく。
タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。
渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。
しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。
「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」
※※※
虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる