青い鳥と白い魔法使いの旅行記（休載中）

一章 子供編

４話 まだまだ小さい

　私が鳥人に生まれ変わってから、早くも１か月が経った。この１か月で、さまざまな知識を得ることができた。
　まず、この世界と地球との違いを確認した。主に季節や時間、天体のことについてだ。すると、季節の区分も、一年や一日の長さも、地球とほとんど同じことが分かった。また、昼間には太陽が空に輝いているし、夜には月のような天体があった。ただ、月のような天体は大小の２つがあることが、地球とは違うところだろう。
　あとは、イリスに人族じんぞく以外の種族や、鳥人についても詳しく教えてもらった。他の種族については、かなり種類が多かったから半分も理解できてないと思うけど、今一度確かめておこう。


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　人族の他には、この世界には３つの種族がいる。霊族れいぞく、魔族まぞく、天族てんぞくだ。
　霊族は人族と同じく、４つの種が属している。
　まずは、「精霊せいれい」。身体が魔力の塊でできた種で、光の玉のようなものや動物、人型のものが存在する。生き物に「加護」を与えたり、死んだ生物の魂を死後の世界である冥界に送る役割をもつ。「加護」は、いわゆる魔法の属性が一つ強化されるというものらしい。属性が強化されると、より強力な魔法が使えるのだとか。
　次に、「幽霊ゆうれい」。これは前世で聞いたものと同じで、死後の魂が現世に留まっているもののことをいう。現世から影響を受けたり、現世に影響を与えたりするため、厄介なものと捉えられているらしい。体の埋葬が不十分だと、魂が体に縛られて精霊でも冥界に連れていけないため、幽霊になってしまう。
　３つ目は「半霊はんれい」。生前に加護を与えられた魂が、死後に半分精霊となって現世に留まっているもの。半分精霊といっても、身体が魔力でできているだけで、精霊と同じことはできないらしい。数が少ないため、詳しいことは不明だ。
　最後は「神霊しんれい」。これは半霊以上にどんな種なのか分からないそうだ。ただ、天族に関係があるらしいことは分かっている。

　魔族には３つの種が属しているが、特徴はどれも同じだ。ただ、見た目や生態の違いで、「魔獣まじゅう」「魔鳥まちょう」「魔虫まちゅう」と分けられる。
　魔族は、「シムティエール」と呼ばれる、魔力の溜まる特殊な場所で生まれる。通常、魔力を多量に浴びても少し体調を崩す程度だが、たくさんの属性が混じり合ったシムティエールでは、動物が混じり合った魔力を帯びて変異し、凶暴性が増す。これが魔族と呼ばれている。その凶暴さ故に、人族に被害をもたらすため、度々討伐されている。

　天族は、「神」「悪魔」「天使」という種がいるが、その実態は分かっていない。それもそのはず、天族は冥界や天界といったさらに異なる世界にいるからだ。異なる世界と言っても、ここ、ヴォワ・ラクテに属した世界なため、遠く離れてはいないのだとか。



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　さて。ここまで長々と確認してみたが。もうワクワクが止まんないよ！ 　早くいろんな種族に会ってみたい！　前世でちゃんとオタクの沼にハマっていたから、こういうバリバリファンタジーは大大大好きだ。世界中を旅して、いろんな人に出会って、魔法も使って、美味しいものも食べて⋯⋯
　と、ここまで色々妄想したが、見下ろすと見える小さい体。はぁ～⋯⋯なんでまだこんなに小さいんだ。早く大きくなりたい。

「ぴぴっぴ、ぴっぴっぴ⋯⋯（時間を操って、一瞬で大きく⋯⋯）」
「どうした。大きくなって何かしたいのか」

　急に、机に本を広げて作業をしていたイリスに話しかけられて、ぴゃっ、と飛び上がる。いつの間にか声に出てたらしい。

「ぴっぴぃ、ぴぃぴぴっぴ（ちょっとね、魔法で一瞬で大人になれたらいいなって）」
「ふむ⋯⋯そういう魔法はあるが、無理やり体を成長させると、未発達になる可能性がある。例えば、魔法が使えなかったり、鳥人の場合は翼が不完全で飛べなかったりな。あまり勧めはしないぞ」

　ヒェッ。せっかく転生したのにそれは嫌だ！　私は 大人しく、自然に成長するのを待つことにした。