青い鳥と白い魔法使いの旅行記(休載中)

華衣

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一章 子供編

8話 魔力と魔法

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説明回です(-_-;)
○○◇○○◇○○◇○○





 今日はようやく魔法を教えてもらえる! この世界に転生してから、ずっと楽しみにしていた。準備が出来た、と言われて一階へ降りると、何やらホワイトボードのようなものがテーブルの前にあった。これを使って、説明をしてくれるようだ。席に着くと、イリスの授業が始まった。

「ではこれから、魔法について教える」
「はーい!」
「だがその前に、魔法を行使するのに必須な、魔力について説明しよう」

 そう言うと、イリスはボードに向かって杖を振る。すると、文字や絵が浮かびあがった。

「魔力とは、生物、物質など、この世のありとあらゆるものに存在するエネルギーのことだ。生物は、魔力を生命活動のためのエネルギーの一部として使用している。ただ、全てではないため、魔力が枯渇しても死ぬことはほとんど無い」

 へぇ~! 魔力って、ただ単に魔法を使うための力では無かったのか。

「人族はみな、心臓の中心に『スルス』と呼ばれる、魔力を作り出す器官を持っている。そこで作り出される魔力の量は人それぞれだ。また、心臓から全身へ、血管とは別に『魔力管』という管があり、そこを通って魔力は全身へ行き渡る。作り出される魔力量と、魔力管の強度は比例していて、この2つを合わせて『魔力の強さ』と呼ぶ。魔力の強さが強い程、行使出来る魔法も強くなる」
「生まれつき、使える魔法の強さが決まってるってこと?」
「大まかには、決まっている。ただ、ある程度訓練で魔力の強さを強く出来る」
「ふむふむ」

 人の形の絵を杖で示しながら、イリスは説明をしている。というか、訓練で強くなれるなら、あまり心配しなくて良かった。もしも魔力が弱くてどうにも出来なかったら、もうそこで希望がなくなってしまっていた。

「また、魔力に関係するものに、『属性』というものがある。属性とは、属性魔法を使うのに参考にする適性のことで、、月、水、炎、風、の、6つがある。人族には、それぞれ得意属性と不得意属性がある。だが、全ての属性魔法を行使することはできる。ではなぜ、得意不得意があるのか? これはいわゆる、魔力のその属性への変換効率に差があるためだな。魔力そのものに属性は無く、属性魔法を使う際に、その属性へ変換している。生まれつき、それぞれの属性に変換する能力に差があるため、変換効率にも差が生まれる」
「こっちは訓練でどうにかできないの?」
「ある程度は伸ばせるが、不得意属性を、得意属性以上に強くすることは不可能だ」

 魔力そのものに属性があって、一つの属性の魔法しか使えないってわけじゃないんだね。この世界の魔法はかなり便利だな。

「魔法の説明の前に、エメの属性適性を見ようと思う」
「え! ここで分かるの?」
「あぁ。これを使う」

 そう言うと、イリスは帽子の中から石で出来た円盤を取り出した。円盤の中心に透明な宝石が嵌め込まれていて、そこから外側へ6本線が描かれている。その上から、宝石を中心に3重に円が描かれている。6本の線の先には、黄、紫、青、赤、緑、茶の小さめの宝石が嵌め込まれている。それぞれ、日、月、水、炎、風、地に対応している。

「この中心の石に触れると、その者の魔力が流れて適性が分かる。とりあえず触ってみろ」
「う、うん」

 ちょん、と触ってみると、魔力が流れる感覚がして、宝石が淡く光りだした。光は、6本の線を通って外側へ伸びていき、やがて止まった。それぞれの線の長さには差があり、外側の円まで伸びたものと、内側の円までしか伸びなかったものがそれぞれ1つずつ、真ん中の円まで伸びたものが4つあった。

「おお?これ、線の長さで適性を見てるのかな?」
「そうだ。この外側の円まで伸びているものが得意属性、内側の円までしか伸びていないものが不得意属性だ。その他は得意でも不得意でも無いものだな。エメは、得意属性が月、不得意属性が炎だな」
「ほぇ~」

 なんと、月属性という意外な属性が得意だったようだ。鳥といえば、風とかと相性が良いイメージがあったが。

「イリスは何の属性が得意なの?」
「俺は、炎と風だな」
「え!2つも得意なことってあるの?」
「稀にいる。得意属性が2つある者もいれば、逆に不得意属性が2つある者もいる。ただ、総じて得意属性と不得意属性は必ず1つ以上はある。得意属性が1つも無い、なんてことは無い」

 得意属性がいっぱいあって、不得意が1つも無いなんてチートすぎるからね。そう言うのは転生者特典とかでしかあり得ないよ。⋯⋯って、私も転生者だったわ。普通が一番よ。

「ところで、そろそろ魔法について知りたいです!」
「そうだな。では次に、魔法とはどんなものか説明しよう」

 ボードの文章と絵が消え、また違う文章と、幾何学的な図形が現れた。

「まず、魔法とは、魔力を使って起こす現象を、名称をつけたり、使用用途を明確にしたもののことをいう。また、魔法の構造を図形を使って表したものを、魔法陣という。ほとんどの魔法は、魔法陣として表せられるかということを考えて創られる。この魔法や魔法陣が多数記録された書物を、魔法書という。この家にも、魔法書は沢山あるぞ」
「魔法って、誰でも創れるの?」
「まあ、そうだな。魔力を使って起こした現象に名前を付けて、使用用途を説明すればそれは魔法と言える。ただ、それを魔法書に記すには、国に認められなければならない」
「へぇ~」
「では次に、魔法の種類について説明しよう。大まかに3つ存在する。『属性魔法』と『特殊魔法』、『基礎魔法』だ。『属性魔法』は、得意属性や不得意属性、魔力の強さなどによって使える魔法の強さが異なる魔法だ。それぞれの属性に対応し、日魔法、月魔法、水魔法、炎魔法、風魔法、地魔法と分けられる」
「日属性が得意で、魔力の強さが強いと、より複雑で強力な日魔法が使えるってことか」
「そのとおり。次に、『特殊魔法』は、時空魔法、心情魔法、聖癒せいゆ魔法に分けられ、使える者が限られている魔法だ。使い手が少ない訳では無いが、適性がなければ一切使えない。そのため、使える者は重宝されている」
「私も使えるかな」
「後で試してみると良い。最後に、『基礎魔法』は、いわゆるその他の魔法だな。普段使いのしやすい魔法や、体を強化する魔法などが該当する」

 生活魔法とか、身体強化魔法、みたいなものか。なんか雑に纏められている気がするが。

「基礎魔法は、魔力を属性変換せずに使う魔法のみなため、誰でも使うことができる」
「一番便利そうだね」
「世界で一番使われていると言っても過言では無いかもしれないな。これで、説明はほとんど終わりだな」
「じゃあ次は実践!?」
「そうだ。庭へ出よう」
「やったー!お待ちかねの魔法だぁ!」

 イリスはボードの文章を消して、玄関へ向かった。私もそれについて行って、庭へ出た。今までにないくらいワクワクし過ぎて、心臓がバクバクしていた。





○○◇○○◇○○◇○○
次の話に続きます
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