青い鳥と白い魔法使いの旅行記(休載中)

華衣

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一章 子供編

11話 旅前準備

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 いつの間にか眠ってしまった翌日、私たちはしっかりと話し合った。私は「遥か東の地」の「神の山の頂」に行かないといけないことも伝えた。

「⋯⋯ふむ、東か」

 呟くと、彼はどこからか大きな地図を持って来た。その地図をテーブルいっぱいに広げた。地図には、大陸が一つだけ、でかでかと描かれていた。イリスによると、他にも大陸はあるらしいが、交流が無いため情報があまり無いのだとか。
 それは置いといて、地図をよく見る。東西に広がっているこの大陸は、「プルミエ大陸」というらしい。

「今俺たちの住むこの家は、大陸の西端にある。つまり、ここはこの『ブランディーユ国』だな」
「成る程」

 大陸の西側五分の一程を、このブランディーユ王国が占めている。3方向が海に面していて、残りの東方向は、「ヴォルカン国」と面している。

「そして、このヴォルカン国だが、国の中央辺りに大きな火山がある。『遥か』という程遠くは無いが、これが『神の山』の可能性もあるだろう。どうせ東へ行くなら、ここにも寄って行こうか」
「そうだね。手がかりが少ないから、虱潰しらみつぶしに調べないと」
「あとはもう一つ、この、大陸の東端にある『スリジエ国』。ここに、大陸一の標高を誇る山があるそうだ。ここからはかなり遠いため、こちらの方が『神の山』である可能性は高いな」

 ヴォルカン国から東へいくつかの国を挟んだ先に、どちらかというと小さめなスリジエ国がある。ひとまずはここを目指して行く方向で良さそうだ。

「そうと決まれば、旅の準備だな。あまり急いではいないよな?」
「うん。準備は念入りにしたほうが良いと思うよ。備えあれば憂いなしって言うし」
「では、まずはできるだけ魔法を覚えることに専念するか。半年もあれば十分だろう」
「えー? 長くない?」
「全属性を覚えるならそれくらいは掛かるぞ? それに、魔法は作ろうと思えば無限にできるからな。ほら、今日からどんどん覚えさせていくぞ」
「は、はひぃ⋯⋯!」

 ⋯⋯というわけで、出発は半年後となった。


  ◇◇□◇◇


 魔法の勉強を始めてすぐに、とある事が原因で躓いてしまった。それは、なぜか私に魔法書が読めないことだった。普通の書物は読めるのに、最初にイリスから渡された魔法書以外は文字が理解できなかった。ではなぜ、その魔法書は読めたのか? イリスに考えを聞くと、実はその魔法書はイリスが書いたのだという。なんでも、私のために便利な魔法を創りたかったとか。
 ⋯⋯いや、嬉しすぎるんだが!? わざわざ私だけのために⋯⋯!
 それを話した時のイリスが、表情は変わらずとも少し赤くなってたのが、かわいいと思ってしまった。

 話を戻して。なぜかは分からないが、イリスの書いたその魔法書は読めるため、それをメインに使って魔法を学んだ。そしてある程度魔法書を読み終えたところで、属性魔法は、得意属性以外は攻撃や防御に使える魔法は発動できなかったことが分かった。
 イリスによれば、それが当たり前だそう。だから、自分の得意属性を伸ばすのが一般的なのだとか。不得意属性の炎属性なんて、指先からロウソクぐらいの火を出すのが限界だったよ。

 そんなこんなで、半年後。初めて覚えた《影絵シルエット》に加えて、新たに得意な月属性で覚えた魔法がこちら。

影踏みオンブル
属性 月
通常適性時使用魔力量 中
相手の影をその場に縛り付け、動きを封じる。影から魔力が無くなるか、時間が経てば解除される。

闇弓テネーブル
属性 月
通常適性時使用魔力量 少
魔力をそのまま闇へと具現化し、矢の形にして対象を攻撃する。「影絵《シルエット》」とは違い、どこでも使える。

夜の守護ニュイ
属性 月
通常適性時使用魔力量 変動
夜のヴェールで、対象を守る。強度、大きさは発動に使った魔力に依存する。

宵に潜むソワレ
属性 月
通常適性時使用魔力量 中
影や闇に潜み、移動する。ある程度の暗さが無いと潜れない。

 使い所が限られるのもあるけど、ほとんどは使いやすいと思う。
 ちなみに、これらの魔法の名称で、私が漢字として読んでいる文字は魔法文字といって、魔法に必要不可欠な文字だった。そしてルビは、こちらの世界の言語でそのまま読みを表している。魔法文字で意味、言語で音を表し、魔法が発動できる。つまり、ちゃんとこの書き方に意味があったのだ。厨二臭いって言ってごめんよ。

 そして、基礎魔法もいくつか覚えた。普段の生活に使える魔法、体の一部を強化する魔法、物に効果を付与する魔法など、一通り覚えられた。単純に量が多い分、大変だった。
 また、特殊魔法については、時空魔法のみ発動できた。他の2つは、残念ながらうんともすんともいわなかった。時空魔法と言っても、時を止めるなんてすごいものじゃ無くて、小さな空間を創るくらいのものだった。それを応用して、アイテムボックスみたいな魔法になった。ただし、時間は進むため生物なまものは入れられない。
 これらの魔法は、全てイリスが他の魔法書を翻訳したり、創ったりしてくれた。本当に感謝しか無い。

 魔法を学んだ後は、旅に必要になりそうな知識を学んだ。例えば、言語や通貨。言語は、このプルミエ大陸では共通した、「プルミエ語」が使われている。まあこれは自動で翻訳されていて読める為、一から学ぶ必要は無かった。
 次に、通貨。こちらも大陸全土で共通していて、「モネ」という通貨が使われている。1モネ硬貨が鉄、100モネ硬貨が銅、ちょっと飛んで1万モネが銀、また飛んで100万モネが金でできている。金貨はあまり一般的には使われないようだ。価値的には、前世の日本円とほとんど変わらない。

 こうして順調に知識を得て、旅に出る準備が整った。




○○◇○○◇○○◇○○
更新サボってしまいすみませんでしたm(_ _;)m
次で一章終了予定です✨
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