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猛者
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上空から兵士たちが次々とその身を放り出す、パラシュートを開き落下傘部隊が戦場に降り立った。ここは世界大戦の最前線、もっとも過酷な戦場だと言われた地。兵士たちはパラシュートを外すとすぐに身を屈め草むらの中に身を隠す。無線から指令が届く「エリアA15の地点に行け、そこが拠点だ。物資を受け取れ」「了解」屈強な兵士たちがエリアA15の拠点に向かう。
遠くでミサイルが着弾するたびに辺り一面が明るく照らし出され、まるで昼間のように明るい。火薬の匂い、叫び声、銃声、耳をつんざくような戦闘機の音、いつでも死と隣り合わせの状況に兵士たちの瞳孔が開く、薄暗い草むらの中、足元もよく見えないまま、ひたすらに前に進んでいく。
最前線に送り込まれた落下傘部隊の兵士たちは、自ら志願してここにいる。精鋭中の精鋭である。その中にフロランがいた。
エリアA15の付近に来た兵士たちが周りを見渡す「テントはどこだ?ここには何もないぞ」先着した兵士が不審に思ったのも束の間、エリアA15が突然、爆発する。兵士たちは宙に飛ばされ、砂埃が立ち込めた。後方にいた兵士が慌てて叫ぶ「罠だ!逃げろ!」その声を聴いたフロランが180度向きを変えて走り出した。あれこれ考えているヒマはない、戦場ではすぐに人が死ぬ。
エリアA15の爆発を合図に遥か彼方から戦闘機が2機やってきた。兵士たちが混乱の中、逃げ惑い、草むらの中に忍び込んだのを知っているかのようにミサイルを撃ち込んでくる。残酷でもっとも恐ろしい生身の人間同士の争いである。
戦闘機は旋回を繰り返しながら同じ場所を何度も攻撃し、フレアを放って辺りを照らして兵士たちの居場所を捕捉した、もはや精鋭たちは袋の中のねずみである、成す術がなかった。
仲間の兵士が叫ぶ「危ない!避けろ!」その声が耳に届くと同時にフロランの視界は真っ暗になって途切れた・・・。
断片的な記憶が頭の中を流れていく。味方の拠点の集中治療室に担架で運ばれているところ、医師や助手が自分の体を手術している最中の様子、ベッドに運ばれて目を覚まし壁の隅に置かれたステンレスの容器に自身の姿が映し出されたときに体の半分以上がなくなっていて衝撃を受けたとき・・・。
「ああー!」叫びながら目を覚まし、また悪い夢を見たと冷や汗をかきながらベッドから起き上がる。生きているのがまるで奇跡のようだった。視界が真っ暗になった後のことはよく覚えていない。断片的な記憶も本当に正しいものかわからない。今はこうして五体満足で生きていられる。これはすべてイシドール・ラチエ博士のおかげだ。どうやって体が戻ったのかわからないがあのミサイルが飛んできたときに負った傷はキレイに治っている。
あの大戦後もイシドール・ラチエ博士とは繋がりがある。今でも密に連絡を取り合っている仲だ。オレみたいな退役軍人にまで気にかけてくれるなんて本当に優しい人だ。フロランはシャワーを浴びて目を覚まし冷蔵庫からビールを取り出してジョッキに注いだ。
「おい、女ども!こっちに来い」フロランが同棲している3人の女を自分の部屋に呼びつけた。3人の女とソファの上で戯れる。
退役軍人のフロランに社会復帰のための特別訓練をイシドール・ラチエ博士は勧めた。約半年の特別訓練は終わり、フロランは修了証を受け取った。「おめでとうございます。あなたは特別訓練を修了しました。ゲームへの参加許可が出ています」デジタルチックな光の文字が壁に流れた。
「なるほどな、アカウント開設して修了証のパスで承認すればネオグライドに参加できるのか・・・。その前にアカウントを開設したら博士がラボに来いって行ってたな。昼からにするか」ソファで女とイチャついているうちにヤリたくなってしまったようだ。仕方がない、男の性である。
昼からフロランはラボに向かった。ラボに着くと博士にスマホから電話をかける。「ラチエ博士、メールでデジタル修了証が届いたから来たぜ」扉のロックが開く音がする。「どうぞ、中へ入りたまえ。半年もの間、よくぞ特別訓練に耐えてくれた。よくやったな」そういうと電話が切れた。フロランがラボに入り、研究所の奥に行くと博士はノートパソコンにデータをまとめながら忙しそうに動き回っていた。
「おお、よく来た。その修了証があれば仮想現実に行くことができる。エルディオスの街に行き、ネオグライドのゲームで勝てばお金がもらえる。今はもうそういう時代になったんだ。世界大戦のことは忘れてくれ」博士がフロランを諭した。
「そりゃないぜ、博士。世界大戦のことは死んでも忘れられねーよ。あれはオレたちにとって大きな使命があったんだ」怒りを抑えつつ、フロランが反論する。
「わかってる。忘れてくれとは言ったがそういう意味じゃない。戦争は終わったんだ。今は生きる目的がいるだろ?違うかい?」ラチエ博士は命の恩人だ。暴君フロランも博士の前では大人しく言うことを聞かざるを得ない。
「仮想現実でも戦いに変わりはない。お前に仲間を用意したんだ。もちろんリーダーはフロランだ。ネオグライドで戦って勝ちまくれ!そうすれば金も名誉も手に入る。それが死んだ仲間への償いだ。わかるだろ?」興奮ぎみにラチエ博士がフロランを鼓舞した。それに感化されフロランが「おう!もちろんだ」と威勢よく返事をする。
フロランは、博士が用意した3人の仲間と組んでネオグライドに参加することになった。
遠くでミサイルが着弾するたびに辺り一面が明るく照らし出され、まるで昼間のように明るい。火薬の匂い、叫び声、銃声、耳をつんざくような戦闘機の音、いつでも死と隣り合わせの状況に兵士たちの瞳孔が開く、薄暗い草むらの中、足元もよく見えないまま、ひたすらに前に進んでいく。
最前線に送り込まれた落下傘部隊の兵士たちは、自ら志願してここにいる。精鋭中の精鋭である。その中にフロランがいた。
エリアA15の付近に来た兵士たちが周りを見渡す「テントはどこだ?ここには何もないぞ」先着した兵士が不審に思ったのも束の間、エリアA15が突然、爆発する。兵士たちは宙に飛ばされ、砂埃が立ち込めた。後方にいた兵士が慌てて叫ぶ「罠だ!逃げろ!」その声を聴いたフロランが180度向きを変えて走り出した。あれこれ考えているヒマはない、戦場ではすぐに人が死ぬ。
エリアA15の爆発を合図に遥か彼方から戦闘機が2機やってきた。兵士たちが混乱の中、逃げ惑い、草むらの中に忍び込んだのを知っているかのようにミサイルを撃ち込んでくる。残酷でもっとも恐ろしい生身の人間同士の争いである。
戦闘機は旋回を繰り返しながら同じ場所を何度も攻撃し、フレアを放って辺りを照らして兵士たちの居場所を捕捉した、もはや精鋭たちは袋の中のねずみである、成す術がなかった。
仲間の兵士が叫ぶ「危ない!避けろ!」その声が耳に届くと同時にフロランの視界は真っ暗になって途切れた・・・。
断片的な記憶が頭の中を流れていく。味方の拠点の集中治療室に担架で運ばれているところ、医師や助手が自分の体を手術している最中の様子、ベッドに運ばれて目を覚まし壁の隅に置かれたステンレスの容器に自身の姿が映し出されたときに体の半分以上がなくなっていて衝撃を受けたとき・・・。
「ああー!」叫びながら目を覚まし、また悪い夢を見たと冷や汗をかきながらベッドから起き上がる。生きているのがまるで奇跡のようだった。視界が真っ暗になった後のことはよく覚えていない。断片的な記憶も本当に正しいものかわからない。今はこうして五体満足で生きていられる。これはすべてイシドール・ラチエ博士のおかげだ。どうやって体が戻ったのかわからないがあのミサイルが飛んできたときに負った傷はキレイに治っている。
あの大戦後もイシドール・ラチエ博士とは繋がりがある。今でも密に連絡を取り合っている仲だ。オレみたいな退役軍人にまで気にかけてくれるなんて本当に優しい人だ。フロランはシャワーを浴びて目を覚まし冷蔵庫からビールを取り出してジョッキに注いだ。
「おい、女ども!こっちに来い」フロランが同棲している3人の女を自分の部屋に呼びつけた。3人の女とソファの上で戯れる。
退役軍人のフロランに社会復帰のための特別訓練をイシドール・ラチエ博士は勧めた。約半年の特別訓練は終わり、フロランは修了証を受け取った。「おめでとうございます。あなたは特別訓練を修了しました。ゲームへの参加許可が出ています」デジタルチックな光の文字が壁に流れた。
「なるほどな、アカウント開設して修了証のパスで承認すればネオグライドに参加できるのか・・・。その前にアカウントを開設したら博士がラボに来いって行ってたな。昼からにするか」ソファで女とイチャついているうちにヤリたくなってしまったようだ。仕方がない、男の性である。
昼からフロランはラボに向かった。ラボに着くと博士にスマホから電話をかける。「ラチエ博士、メールでデジタル修了証が届いたから来たぜ」扉のロックが開く音がする。「どうぞ、中へ入りたまえ。半年もの間、よくぞ特別訓練に耐えてくれた。よくやったな」そういうと電話が切れた。フロランがラボに入り、研究所の奥に行くと博士はノートパソコンにデータをまとめながら忙しそうに動き回っていた。
「おお、よく来た。その修了証があれば仮想現実に行くことができる。エルディオスの街に行き、ネオグライドのゲームで勝てばお金がもらえる。今はもうそういう時代になったんだ。世界大戦のことは忘れてくれ」博士がフロランを諭した。
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「わかってる。忘れてくれとは言ったがそういう意味じゃない。戦争は終わったんだ。今は生きる目的がいるだろ?違うかい?」ラチエ博士は命の恩人だ。暴君フロランも博士の前では大人しく言うことを聞かざるを得ない。
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