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忘却の断片
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ノクティスのお菓子の街に遊びに行ったノアとレナータはNeon Dustを一緒に使って、仮想現実のアバターの身体能力にどれほどの影響が出るのか試す予定だったがNeon Dustの強力な高揚感とムードに飲まれ、ふたりは知らず知らずの内にキスをしていた。最高の雰囲気に包まれていたふたりだが突然レナータのアバターにノイズのような縦の平行な線模様が走り、そのとき彼女が口走った言葉が気がかりだった。「ノア・・・・私をみつけて・・・・本当の私・・・」あれは一体どういう意味だったのだろうか?
「本当だよ。それはレナータが口走っていたんだ。アバターにノイズが走っていたし何か心あたりはないの?」ノアが意識を取り戻したレナータに気になったことを質問する。「わからないのよね。スマートグラスの不具合やノートパソコンに異常があるようには思えないわ」確かにそれらの電子機器に不具合があるようには思えない。もしそれらの機器に不具合があればAIが先に知らせるはずだ。
仮想現実の世界はエルディオスの街が拠点となっていて、世界大戦後に16億人にまで減少した人類のうち約80%は仮想現実の世界とつながっているという。こっちの世界の拠点はエルディオスだが中央公園を通じて、たくさんの街に移動ができるようになっている。ノクティスの街のように、それぞれ概念があって、その概念ごとに街が細分化され、実在の街とは異なり、人間の脳の具現化が街の形をしていると考えるとわかりやすい。
「レナータがもし心の中で何か引っかかるものがあるのなら一緒にアイスブルグに行くかい?」ノアがレナータに寄り添うように仮想現実の心の街、アイスブルグへ誘った。「・・・どうしよう、怖い」彼女は得体の知れない何かに怯えているようだ。「大丈夫だよ、きっと。何も起こりはしないさ」もしレナータに何かが起きたとしてもそれが嫌いになる理由にはならないとノアは思っている。それより心に引っかかる何かを取り除いたほうが気持ちが楽になるに違いない。そう信じたい。
ふたりはアイスブルグの街へ移動すると心療内科を訪ねた。レナータはカウンセリングを受けたが特に問題は見られず、手掛かりとなるものは得られなかった。帰り道、催眠療法をやっている店に入り、レナータの過去を探ってもらうことにした。レナータは、ベッドに横になって先生の催眠療法を受ける。
『ゆらぎ言葉』が始まり「ほーら、だんだんだんだん眠くなっていく。ゆっくりゆっくり心の深いところに落ちていく」先生がレナータを催眠誘導で心の深いところへ導いていく。彼女の意識は遠のき、視界が真っ暗になっていった。しばらくすると暗闇の向こう側に一筋の光が見えて、一気に過去の自分が見た記憶が蘇った。
お母さん「レナータ、朝ご飯ができたわよ。今日はお父さんと私は会議に出席するの。帰りが遅くなるから、念のためキャッシュカードを置いていくわ。良い子にしてるのよ」ある日の朝、レナータの母親が朝食を作ってくれたシーンを思い出した。あの日、会議に行ったっきり両親は戻って来ていない。SSBRの幹部だった父は、組織の中で同じ幹部のひとりと対立していた。あのケネス・ブルックと・・・。
私が幼い頃、父とケネス・ブルックはまだ幹部になっていなかった。同僚として仲が良かった記憶がある。そうだ・・・家に何度か遊びに来ていた。しかし、10年以上の時を経て、いつしか意見が対立するようになってプライベートでは一切会わなくなっていったのだ。世界大戦の終結が間近となり、軍事予算は先送りになって武器や兵器の供給過多を抑えるために大幅に予算が削られることになった。その分、国の復興や教育、失業者支援に国の予算は割り当てられた。その結果、急拡大をしていた軍事産業メーカーが軒並み倒産してしまった。
会社幹部として一番キツイ時期を担当していた父とケネス・ブルックが対立したのも無理はない。ただ会社の方針を変えるために父を裏切り、陥れるようなやり方をヤツは選んだ。そして、私の両親は「会議に行く」と言ったっきり帰って来なかった。私はSSBRとケネス・ブルックへの復讐を誓い、実行したのだった・・・・。
ノア「レナータ!レナータ!しっかりしろ。大丈夫か!」気がつくとノアが私の名前を何度も叫んでいた。まだ完全には記憶が戻っていない。ただボロボロと涙が溢れてくる。ノアにしがみついてレナータは泣いていた。
先生「過去の辛い記憶が蘇ったようですね。あなたが心に蓋をしていた記憶が戻ってきたのです。今日の催眠療法はきっかけに過ぎません。いずれあなたは何かの拍子に自分の過去を取り戻すでしょう」
頭痛のように頭がズキズキと痛い。何か本当に大切なことを忘れているような気がする。なんだったんだろう?
「本当だよ。それはレナータが口走っていたんだ。アバターにノイズが走っていたし何か心あたりはないの?」ノアが意識を取り戻したレナータに気になったことを質問する。「わからないのよね。スマートグラスの不具合やノートパソコンに異常があるようには思えないわ」確かにそれらの電子機器に不具合があるようには思えない。もしそれらの機器に不具合があればAIが先に知らせるはずだ。
仮想現実の世界はエルディオスの街が拠点となっていて、世界大戦後に16億人にまで減少した人類のうち約80%は仮想現実の世界とつながっているという。こっちの世界の拠点はエルディオスだが中央公園を通じて、たくさんの街に移動ができるようになっている。ノクティスの街のように、それぞれ概念があって、その概念ごとに街が細分化され、実在の街とは異なり、人間の脳の具現化が街の形をしていると考えるとわかりやすい。
「レナータがもし心の中で何か引っかかるものがあるのなら一緒にアイスブルグに行くかい?」ノアがレナータに寄り添うように仮想現実の心の街、アイスブルグへ誘った。「・・・どうしよう、怖い」彼女は得体の知れない何かに怯えているようだ。「大丈夫だよ、きっと。何も起こりはしないさ」もしレナータに何かが起きたとしてもそれが嫌いになる理由にはならないとノアは思っている。それより心に引っかかる何かを取り除いたほうが気持ちが楽になるに違いない。そう信じたい。
ふたりはアイスブルグの街へ移動すると心療内科を訪ねた。レナータはカウンセリングを受けたが特に問題は見られず、手掛かりとなるものは得られなかった。帰り道、催眠療法をやっている店に入り、レナータの過去を探ってもらうことにした。レナータは、ベッドに横になって先生の催眠療法を受ける。
『ゆらぎ言葉』が始まり「ほーら、だんだんだんだん眠くなっていく。ゆっくりゆっくり心の深いところに落ちていく」先生がレナータを催眠誘導で心の深いところへ導いていく。彼女の意識は遠のき、視界が真っ暗になっていった。しばらくすると暗闇の向こう側に一筋の光が見えて、一気に過去の自分が見た記憶が蘇った。
お母さん「レナータ、朝ご飯ができたわよ。今日はお父さんと私は会議に出席するの。帰りが遅くなるから、念のためキャッシュカードを置いていくわ。良い子にしてるのよ」ある日の朝、レナータの母親が朝食を作ってくれたシーンを思い出した。あの日、会議に行ったっきり両親は戻って来ていない。SSBRの幹部だった父は、組織の中で同じ幹部のひとりと対立していた。あのケネス・ブルックと・・・。
私が幼い頃、父とケネス・ブルックはまだ幹部になっていなかった。同僚として仲が良かった記憶がある。そうだ・・・家に何度か遊びに来ていた。しかし、10年以上の時を経て、いつしか意見が対立するようになってプライベートでは一切会わなくなっていったのだ。世界大戦の終結が間近となり、軍事予算は先送りになって武器や兵器の供給過多を抑えるために大幅に予算が削られることになった。その分、国の復興や教育、失業者支援に国の予算は割り当てられた。その結果、急拡大をしていた軍事産業メーカーが軒並み倒産してしまった。
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ノア「レナータ!レナータ!しっかりしろ。大丈夫か!」気がつくとノアが私の名前を何度も叫んでいた。まだ完全には記憶が戻っていない。ただボロボロと涙が溢れてくる。ノアにしがみついてレナータは泣いていた。
先生「過去の辛い記憶が蘇ったようですね。あなたが心に蓋をしていた記憶が戻ってきたのです。今日の催眠療法はきっかけに過ぎません。いずれあなたは何かの拍子に自分の過去を取り戻すでしょう」
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