偽りと嘘のネバーランド

ZERO

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一つめ 憧れと約束そして代償

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~~~~~~~

私の憧れ

「お母さん!ピーターパン読んで!」

「ふふっこれで何周り目だったかしら?」

「わかんない!」

夜 ある部屋から漏れ出す灯り  小さく響く笑い声

「お母さん私もピーターパンに会えるかな?」

「えぇきっと会えるわよウェンディーはとってもいい子だもの」

優しい母親と夢を抱く子供

「そろそろおやすみなさいウェンディー」

「うん おやすみなさいお母さん」

窓から漏れ出す月光

外の冷たい空気とともに流れた小さな呟き声

「・・・おやすみウェンディー」

その声は夢を抱く少女にも優しい母親にも届かずに夜の闇へと溶け込んでいった
~~~~~~~~~

父親との約束

「お父さん!」

「どうしたんだ?ウェンディー」

優しい父親

「私ね大きくなったらお母さんとお父さんとネバーランドに行ってずっと一緒に暮らすの!」

「うーんちょっと難しいなぁー」

「ええーなんで?」

「ネバーランドは子供しか行けないからだよ」

「でもフック船長いるもん」

「フック船長かぁーうーん行けるのかー?」

「行けるもん!」

「うーん ネバーランドには行けるかわかんないが大きくなっても一緒には暮らせるよ」

「本当?」

「あぁ 本当だよ 絶対に家族全員で幸せに暮らそう 父さんはなウェンディーも母さんも母さんのお腹にいるウェンディーの妹?弟かな でもどっちでも父さんが絶対に全員守って幸せに暮らせれるようにするよ」

「わかった約束ね!」

「あぁ約束だ!」

優しい約束

少女は優しい父親と優しい母親と一緒に暮らしていた
幸せな記憶

小さなお家の小さな幸せ

ずっと続くと思ってた

だけど人生は夢を抱く少女に代償を与えた

幸せは続かない

続く幸せはない

幸せには代償がいる

コレは少女の7回目の誕生日の日の事だった

~~~~~~~~~~~~~

その日は酷い雨だった

外は暴風が吹き荒れ、きっと大人の男性でも吹き飛ばされてしまう程だろう

少女は双子の弟の片割れと家でお留守番をしていた

母親は少女にプレゼントを買いに出掛けていた

父親は仕事が忙しく今日は早く帰ると言って出掛けて行った

「大丈夫だよ!お母さんもお父さんもきっともうすぐ帰ってくるよ!だから一緒に待ってよ!」

「うん・・・」

永遠に続いている闇

鳴り響く雷の音

夜はまだまだ終わらない

・・・・・・・・・

少女は心配にだった

だから弟に笑いかけ大丈夫と言った

弟が寝ても少女は待ち続けた

夜遅くになり

大丈夫だと思い続け少女はきっと雨の所為で帰れなくなり近くの叔母の家に泊まっていったのだと思い
込み明日と朝には帰ってくると思い込んだ。

けれど、朝来たのは目から涙を流している叔母と苦しげに顔を歪めていた父親だけだった。

少女は絶望した。

察してしまった

少女は叔母のこんな姿を見たことはなかった

少女はいつも笑っていた父親がこんなに苦しげな顔をしているのを見たことはなかった

だからわかってしまった。

けれど まだ幼かった彼女はその考えを受け止めることは出来なかっただから聞いてしまった

だから堕とされた

「ねえ おばあちゃん、お父さん  ”お母さん”は?」

そう聞いた時の父親と叔母は少女を抱きしめただただすまないとごめんなさいと言い泣いた

そして父親は少女の最も恐れていた事を口にした

「ウェンディーすまない”約束”を守れなかった母さんも守るってずっと家族全員で暮らそうって言ったのに母さんは・・・ウィナは事故にあって死んでしまったすまない 本当にすまない」

少女の目から溢れ出す涙

違う

少女は自分の所為で母親は死んだ

そう思った

だから攻めた

葬式が終わっても

少女は泣いていた

少女の腕の中には母親が最後に買ってくれていたプレゼントがあった。

私が止めていたら母親は外へは出なかった

私が今日誕生日じゃなければ外へは行こうとしなかった


コレは代償

幸せを引き換えとした代償



小さな部屋から漏れ出す嗚咽

窓から見える美しい月

彼女への代償は母親の死

それは幸せと引き換えにするには大きすぎた

幸せと絶望は紙一重

彼女の絶望は幸せの量よりも酷く重いものだった

だから

彼女には新しい幸せが来る


それはもうすぐそこまで来ている

それには誰も気づけない

「迎えかえにいくよ」


新しい幸せは鈴の音と共に




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