私のこと好きだったの?

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ラナルドの独り言

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 一人屋敷の外に出たラナルド=モーティマーは、おろおろとした様子で自身の帰りを待っていた御者に労い、馬車に乗り込んだ。出してくれと言えば馬車はすぐに動き始めた。


「ルチアーノ様のご息女……あんなにも瓜二つとは」


 六年前、突然ルチアーノに娘が生まれたという噂が広がると社交界は大いに盛り上がった。特定の女性とは付き合わず、社交の場に滅多に姿を現さない謎多き男。

 魔導研究所の管理長を二百年務めるハーフエルフの王族。本人は王族籍は不要だと辞退しており、現国王クロウリーは隙あらばルチアーノを王族籍に加えたいと企む。

 母親が誰だか気になるところだがルチアーノの口振りから察すると本当に金を握らせて子供を産ませた女性の確率が高い。マルティーナはルチアーノの生き写しと言える程そっくりで、ルチアーノと違うところと言えば性別くらいなもの。

 母親探しは隅に置いたラナルドは微かに安堵を含んだ息を吐いた。


「頑固な年寄りを説得するのは骨が折れる。クロウリーが諦めれば良いものを」


 第二王子ヴィクターの婚約者はマルティーナ一択だと言い張るクロウリーと、何があったか知らないが異様にルチアーノを怖がる王妃ジュディーヌは国内の令嬢を吟味して選ぶべきだと主張する。肝心のヴィクターの意見は分からない。相手を選べるという点では後者が強い。エルフ族の交流や魔導研究所という後ろ盾を得たいならマルティーナとなる。

 ラナルドにはヴィクターやマルティーナより二歳上の息子がいる。自分に似ず寡黙で大人しい性格の子だが、魔力は強く他者との接し方に問題はない。人見知りをするマルティーナの相手だって十分に務まるだろう。


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