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縛られたら何も出来ない2
――夕食の時間。
今日はメリル様の招待を受けて、城の最上階にあるメリル様の部屋で夕食を頂いた。席には私とルーは勿論、メリル様と魔王陛下がいる。
定期的に私達をお食事に招待してくれるメリル様ですが、一つだけ困ったことがあります。
「あ……あの、フィロン様。さすがにこれは……」
「……」
「うう……」
私とルーは隣同士で、向かいにメリル様とフィロン様が座っている……のだけれど、毎回メリル様はフィロン様の膝の上に座らされてお食事をする。始めは顔を真っ赤にする私と子供の前では恥ずかしいと顔を真っ赤にするメリル様、涼しい顔で食事を進めるルーと栗色の髪を指で梳くフィロン様だった。十一年も経てばなんとか慣れたけど、……慣れない場面だって存在する。
それが今。
食後のデザートが食べたいとルーが言ったのでメリル様も便乗し、使い魔を放ってフルーツタルトと紅茶を運ばせたフィロン様。
三人分のフルーツタルトと四人分のティーカップを見てあれ? と首を傾げた私の前で、フォークに一口サイズのフルーツタルトを刺したフィロン様がメリル様に向けていた。
あ、あーんだ。
顔を真っ赤にして弱々しく抵抗するメリル様だが、無言のフィロン様の視線を受け、私達の視線を気にしつつ顔を真っ赤にしながらパクリと食べた。
「お……美味しい……です……」
弱々しく、真っ赤な顔のまま咀嚼するメリル様がちょっとだけ可哀想に見える……。
見ない方がいいかなと思って、フルーツタルトを見たままティーカップの縁に口を付けた。
デザートも食べ終えて、メリル様の部屋を出るとルーが呆れが含んだ溜め息を吐いた。
「やれやれ、父上にも困ったものだね。息子相手に見せつけなくても」
「魔王陛下とメリル様いつ見ても仲が良いね」
「そういう問題じゃないよ、あれは」
「?」
どういう問題?
頭にクエスチョンマークを飛ばす私にルーが苦笑して額にキスを落とす。
「まあ、気にしなくていいよ。父上の母上に対する愛情表現はいつも通りだったしね。
――それより」
部屋に戻る道中の廊下で突然歩みを止めたルーが私の腰を抱き締め、耳に顔を近づけ囁いた。
「昼間言ったご機嫌取り、今からシて?」
「っ……」
低い声と一緒に息を吐かれ身体がぶるりと震えた。
私がスノー殿下の名前を口にして、機嫌を悪くしたルーが求めたご機嫌取り。
「ね……? ミリーちゃん」
顔を上げた際に見える赤い瞳が妖艶に揺れ、欲情に濡れて私を見下ろす……。
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