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貴方に溺れたまま生きていたい。のに……
『人間界』に戻って三日目。どんなお仕事をしているか分からない私は、安全の為にルーが用意した宿の部屋で大人しくするしかない。でも、ルーがいない間はとても寂しくて時間の流れがとても遅く感じてしまう。『魔界』にいる時に漏らした私の言葉を聞いて、意地悪く緋色の瞳を光らせたルー。どきりと胸が高鳴ったのを今でも覚えてる。ルーは私が寂しくないようにって、一緒にいられない時は私が遅くまで眠る様に激しく抱く。
何度絶頂を迎えてもルーが満足するまで入れてもらえなくて、やっと入れてもらえても今度はルーがイくまで止めてもらえない。それにルーは一度達しても、またすぐに動いて私を快楽に落とす。
このままルーに与えられる愛情と快楽を受けて生きていたい。私にはルーしかいない。ルーがいないと私は何も出来ない、生きていけない。
「あっ……ああぁ……」
「んう……ふふ、どうして君はこんなにも可愛くて淫乱なんだろうね」
魔王城にあるルーの部屋にあるベッドよりも小さいシーツの上で、手首を足首と縛られて身動きが取れない所か足を閉じる事も出来ない私は、脚の間に顔を埋めてそこを舌で刺激し続けるルーに甘い声を出した。
「ルー……ねえ……」
魔王陛下から受けたお仕事から戻ったルーはちょっとだけ不機嫌だった。私を見て顔を綻ばせたけど、感情まではまだ戻らなかったみたい。
ルーが帰ってきてくれただけで寂しさが一瞬にして霧散した私にキスをして、ドレスを脱がして、ベッドのある寝室に運ぶと「ミリーちゃんが一番淫乱になる事をしようか」と言い出し――今に至る。
「なあに」
「早く……早くルーの入れて……ルーの、欲しい……」
何度も絶頂しても入れてくれないそこは、今か今かとルーを待ってる。舌だけでも十分に気持ちいい。でも、それよりももっと気持ちいいのが欲しい。少しだけ顔を上げたルーと目が合った。
「だーめ」
「え――きゃあ! あ、ああああぁー!!」
敏感な突起を強く吸われ、更に中に指を入れられて、どうしてという疑問は消えた。ううん、最初から存在しなかったかもしれない。
急に動きを激しくしたルーの愛撫に思考が追い付かない。気持ち良さしかない快楽に喘ぐだけ。
「ああっ、あんん、はあ……!」
「ん……ちう……、……ミリーちゃん……俺の、俺だけの、淫乱で可愛くて、……大事なミリディアナ」
「あああぁ……!!」
熱の籠った声で久しぶりに愛称ではなく、名前を呼ばれた。これだけで馬鹿みたいに感度が上がった私の体は、ルーの指がある場所に触れたと同時に絶頂を迎えた。
休ませてほしいのにルーの愛撫は止まらない。連続の絶頂を迎えても、大量の愛液を噴き出しても。
ルーは私を快楽の中から出してくれなかった。
――意識が朦朧とし始めた頃
「一杯気持ち良くしてあげたんだ。俺の事も気持ち良くしてよ?」
「あ……ああ……っ」
何度イったのかも、何度愛液を噴き出してしまったのかも、何も覚えてない。
ひたすらにルーが与える快楽に溺れる声を発しただけ。縄を解かれ、手足が自由になった。力なくベッドに伸ばされた両脚を抱えられ、一気にルーが挿入してきた。
「ああ……!!」
「ん……は……、今日のミリーちゃん、すごくイイね」
ずっと欲しかったものを入れられ、またイってしまった。いつもより大きく感じるルーのものを締め付けた。微かに表情が歪んだルーだけど、耳元で色っぽい声で囁かれた。
これだけで更にルーのものを締めた。全身の感度が上がった私の体は、何処を触っても敏感に感じてしまう。耳だって同じ。寧ろ、入れられながら耳元で囁かれるのが一番感じる。
それを分かっててするルーは酷い。
「っ、はは、ミリーちゃん」
「ルー、ルーっ」
「可愛いミリーちゃん、今日も沢山啼いてね」
「あっ、ああ、あん」
最初から遠慮のない激しい動き。余裕が崩れた顔をして私を見下ろすルーに抱きついた。もっとルーを感じたくて、ルーがちゃんと側にいる実感が欲しくて。
「愛しているよ、ミリディアナ」
「わた、私も、だよ、んああ……! ルー、ルーリッヒ……!」
愛しい愛しい、私のルーリッヒ。
ずっとこうやって、私を愛して……
*ー*ー*ー*ー*
長い情事から一夜明け。
眠りから目を覚ました私は、ちょっと前から起きたルーに額をキスされた。
「おはようミリーちゃん」
「おは……よう、ルー」
「はは……声、掠れちゃってるね」
散々喘がされた喉は渇ききって水分を欲している。魔法で水差しを引き寄せたルーはそのまま口をつけると水を口内に溜めていく。
溜めた水を私に口移しで飲ませていく。ゆっくりと注がれる水を飲む。冷たくて美味しい。もっと欲しくてルーの首に腕を回した。
「ん……んん……」
「んう、ちゅ……ふ……」
冷たさが全身を回って気持ちいい。二度目のお水を貰ってやっと上体を起こした。体の怠さや腰の痛みはない。起きた私が辛そうなのは可哀想っていうルーの慈悲。
私の頭にちゅっちゅっとキスを落としていくルーがこんな事を言った。
「一つ聞いていい?」
「なあに」
「ミリーちゃんはまだ聖女教育で習った内容をまだ覚えてる?」
「うん。覚えてるよ」
「なら聞くけど、今の聖女であるミリーちゃん以外に聖女になれる人間はいないの?」
突然の質問を疑問に感じつつも答えた。
「ううん。聖女はその時代につき一人だけ。次の聖女が現れるまでの期間は不規則だけど、一つの時代に聖女が複数になるのはないよ」
「例外はないの?」
「私が受けた聖女教育じゃ聞いてないよ」
どうしてこんな事を聞くのかな。知りたい顔をしたらルーが困った様に笑った。
「ごめんね。教えられないんだ」
「……ルーのお仕事って聖女と何か関係あるの?」
「うん。でもミリーちゃんが心配する必要はないよ。君に危害が及ぶ訳でもないし、この命令自体危険もない。だから、安心して」
「うん……」
そう言われても不安だらけだよ。
私の額にチュッとキスをしたルーは、着ていてシャツを私に着させてベッドから降りた。私も出ようとしたらまた額にキスをされた。
「ミリーちゃんはお留守番」
「でもっ」
「収穫祭はまだやってる。明後日には終わると思うから、それまでの辛抱だよ。ね?」
「やだっ、ルーといたいっ」
我儘を言って困らせるのは分かってる。それでもルーの側を離れたくない。小さな子供みたいに駄々を捏ねる私をルーは抱き締めてベッドに押し倒した。甘くて蕩けるキスをされる。気持ち良くて、もっとしてほしくて自分から舌を絡めた。少しだけ驚くルーの顔が映る。でも、直ぐに私の不馴れな動きをする舌を絡め快感を引き出していく。
ずっとこのままでいい。
側にいて、側にいてルー。
「ん……、ルー……行っちゃやだ……」
「……ふふ。可愛い……困ったな、そろそろ真面目にしないと……『魔界』から、父上に雷を落とされそう……なのに。ミリーちゃんが……可愛くて……出来そうにない……」
「んん……ん……、あ……、ルー……お願いっ……側にいて。駄目なら、私もルーと行きたい」
絶対に頷いてくれないお願いだとしても、せずにはいられなかった。無性に嫌な予感がする。
動いたらすぐにキスが出来る距離で懇願した。困った子だよ、と苦笑したルーにまたキスをされた。今度は触れるだけの優しいキス。
瞳を閉じ、暫く考え込むルーは軈て綺麗な緋色の瞳で私を見下ろす。
「いいよ。ミリーちゃんも行こう」
「本当? 本当にいいの?」
「いいよ。但し、絶対に俺の側を離れないこと。何を見ても俺の側を離れない、後声を出さない。守れる?」
「うん……うん! 守る! ルーの言うこと守る!」
短い時間の中ですごく悩んでくれたルーのお願いは絶対に守る。嬉しくてルーに抱き付くと強く抱き締め返してくれた。
押し倒された格好のまま、私の顔の横に両肘を立てて顔にキスの雨を降らせるルーが真剣な声で話してくれた。
ルーのお仕事は、新しい聖女が目覚めた原因とその聖女の抹殺だと。悪魔にとって聖女は厄介な存在。私の場合は、元々私を殺す筈だったルーが私を好きになったから『魔界』に連れて帰るのを条件に殺されずに済んだだけ。新しい聖女は、半年だけ婚約者だったスノー殿下の婚約者として大切にされていると聞いた。
ずきりと胸が痛んだ。私が好きなのはルーなのに胸が痛むのはなんでだろう。
ルーに隠し事は出来ない。気付かれる前に聞いてみると綺麗に微笑を浮かべられた。
「差だよ」
「差?」
「そう。ミリーちゃん自身は、身に覚えがないのに王子に冷遇され、新しい聖女は王子にされている。その差にミリーちゃんが無意識に傷付いただけだよ」
「私はルーが好きなのに?」
「嫌っていも、いざ嫌われている理由を知ったり、自分以外の人に対してだけ態度が違うと知るとどうしても悲しくなってしまうのさ」
「そういう、ものなの?」
「そういうもの。ミリーちゃんには関係ない話だけどね。だって、俺がいるんだから」
スノー殿下に嫌われていても、もうそれは過去の話。今の私には大好きなルーがいる。住む住民が全て悪魔な『魔界』だけど、ルー以外にも気に掛けてくれている人はいる。人数が少なくても、一人でもいるだけで心の持ちようは違ってくる。
「新しい聖女の名前はアリア=ヘップバーン。知ってる?」
「ううん……ヘップバーン公爵家っていうことくらいしか」
「そっか」
「アクアローズ家は伯爵家だから、接点はなかった筈よ」
「ミリーちゃんがいなくなった後に家柄で決められた婚約者だ。彼女が聖女に目覚めたのは半年前と聞いた。半年前『人間界』で変わったことは起きてないと報告は受けてるのだけど」
一つの時代に於いて聖女は一人だけ。『魔界』に連れて帰る為にルーが私の死を偽装したから、王国側は私は死んだとしている。
それって神様も?
「もし、私の死を神様も認めたとしたらどうかな?」
「うん?」
「その、私が悪魔に殺されて、神様が特別に聖女の力を王子殿下の婚約者に与えたってことはないかな?」
「……成る程。その可能性もあるか」
飽くまでももしもの話、だけど。
「となると、やっぱり調べるのはアリアか」
「調べるってどうするの?」
「魔法にはね、相手の記憶を覗ける魔法があるんだ。アリアを眠らせて記憶を見る。それでミリーちゃんの推測通りなら、今回彼女が聖女に目覚めた原因が確定される」
「もしも、本当に神様が与えていたらどうするの?」
「そこから先は父上が判断することさ。俺は聖女に目覚めた原因と抹殺を命令されただけだから」
「……」
抹殺……つまり、殺すってこと。
顔も知らない会ったこともない人だけど、聖女に目覚めただけで殺されるのは……ちょっとだけ悲しい。彼女も聖女に目覚めなければ悪魔に目を付けられなかったのに。何も言えず俯いた私にルーは優しく頭を撫でる。
「軽蔑した? 俺の命令が聖女殺しって聞いて」
「しない。私がルーに我儘言ったから」
「俺は後悔してる。純粋なミリーちゃんに人殺しをするって言って」
「ルーは意味もなく人を襲ったりしない。今回は魔王陛下の命令だから、でしょう?」
「知らないだけで沢山人を殺していたら?」
「でも、私が気付かないようにはしてくれたでしょう?」
「当たり前だよ。血の臭いをしたままミリーちゃんといたくない。本当は殺してない。無闇に人間を殺すのは知性もない下級以下の悪魔だ。魔族は最上級と言っていい。俺は父上の血が濃いから、気に入った相手以外は基本どうでもいい」
「そうだね。ルーは魔王陛下そっくりだね」
髪や瞳の色は違っていても、冷静な表情だったり他者を冷たく見下ろす姿は魔王陛下と同じ。メリル様は魔王陛下とそっくりな部分を見つけるとすごく嬉しそうに話してくれる。
私が笑うとルーは拗ねたような顔をする。
「ミリーちゃんも母上と同じこと言うね」
「メリル様の場合は、母親として嬉しいのだと思う」
お腹を痛めた生んだ我が子が愛しい夫と似ていたら、どの女性も嬉しいに思う。私も……いつか、ルーの子供が欲しい。人間が悪魔の子を生めるかは分からない。仮に生まれて、母体である私がどうにかなってしまう危険もある。それでも、いつかお腹に命が宿ったら、その時私は子供を優先してもらう。
大好きなルーとの子供の為なら死んだっていい。
……実際に言ったら、一番長くお仕置きされて子供なんかいらないって言われそうだから心の中だけに仕舞っておこう。
「一時間くらい経ったら外へ行く準備をしよう」
「じゃあ、その間に朝食を食べよう? お腹空いちゃった」
「いいよ。何が食べたい?」
「今日はルーの食べたいのがいい」
「俺は食べられるなら何でもいいよ」
「むう。ルーの好きな料理がいい」
「やれやれ、我儘だね」
「今日は我儘になるの」
開き直って胸を張ったら先端をいきなり摘まれた。きゃあ、と悲鳴を上げたらすぐに手は離れた。
「我儘な子にはお仕置きが必要だよね?」
「も、もう、ルーっ」
「今日は約束したからミリーちゃんを連れて行ってあげるから、しないであげるね」
顔を真っ赤にして睨んでも可愛いと囁かれるだけ。耳元で囁くから熱い息が耳に入って全身に微弱な電流が走る。
「意地悪しちゃっ、やだあっ」
「ごめん。今はしない。ほら、ミリーちゃんの大好きなフレンチトーストを食べに行こう」
謝りながらも意地悪く笑ったままルーにキスをされ、魔法で動きやすいドレスを着せられた。ルーもシンプルに白いシャツに黒いズボンに着替えた。
「上着は着なくていいの? 寒くない?」
「魔法で温度調整をしたから全然。ミリーちゃんは?」
「私は大丈夫だよ」
私は差し出されたルーの手を取ってベッドから降りた。今日の朝食は宿の食堂で食べるから部屋を出ないといけない。私が床に立ったその時だった。急に敵意を露にした面持ちでルーは出入り口の扉へ振り向いた。
突然の変異に声を掛けようとした時――扉は乱暴に開かれた。
悲鳴を上げた私はルーの後ろに隠れた。そっと前を覗くと、ヘーリオス王国の家紋が刻まれた鎧を纏った騎士が数人と……
「ミリディアナ……?」
十一年振りに姿を見た、スノー殿下が呆然と私を見ていた。
――この時、歪に口端を上げてルーが嗤っていたのを……私は知らなかった。
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